【ガイアの夜明け】大戸屋がブラック体質をPRしてしまい炎上した件について【飲食業界あるある】
さあ、今日も戯れ言《
この記事は2019年12月16日が初アップだ
『ガイアの夜明け』(C)TV TOKYO Corporation All rights reserved.
炸裂したガイアの夜明け砲
日経スペシャル『ガイアの夜明け』といえば、レオパレスの放映回が有名だ。
そんなメジャーなドキュメンタリー番組であるが、日本国内有数の外食チェーン『大戸屋ごはん処』の回にて、再びレオパレス級のアレな衝撃が炸裂してしまった。
別にこれ、内部告発の番組ではない。
単に密着取材して放送しただけだ。
その証拠に大戸屋の公式ツイッターでは放送直前にウッキウキな様子であった。
最低限の事前チェックくらいはしているだろうから、この内容で大戸屋のPRになると確信していたのであろう。
放送前 (*'ω'*)
放送(世間)の反響(炎上)
別にこれらは極少数の拒絶反応を意図的にピックアップしているのではない。
SNS分析ツールによるツイートの分析結果で、実に94%がネガティブな反応というデータになっている。頻出関連語には「社長」「無能」「現場の状況」などが多く見られる中、「ブラック企業」「恐ろしい」などの単語も散見できた。
放送後 (´・ω・`)
「ガイアの夜明け」をご覧頂いた皆様、ありがとうございました。
— 大戸屋ごはん処 (@Ootoya_Gohan) 2019年12月12日
現在も残業時間を含め、働き方の改革中です。
ご視聴頂いた皆様からのご意見を誠実に受け止め、
社員の皆さんが健全に働ける環境づくりを会社全体で取り組んで参ります。
この度は貴重なご意見をありがとうございました。
番組(この放送回)の趣旨
働き方改革による残業規制に対して、業務内容を改善して残業時間を減らす。
大戸屋がこれに着手し、結果を出すまでを紹介した内容であった。
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/business/entry/2019/020788_amp.html
「もっと働きたい」「会社の奴隷じゃない」残業規制に賛否...「大戸屋」店主の現状から考える
現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。12月10日(火)の放送では、シリーズ「人生が変わる働き方」第4弾として、残業時間の規制に翻弄される企業の姿を追跡した。
政府が進める働き方改革で、今年4月から大企業を中心に義務付けられた残業時間の規制。厚生労働省は、臨時的、特別な事情がある場合を除き、上限は月に45時間、年間360時間までと定めた。
さらに、月45時間以上の残業は年間6ヵ月まで。破った場合、企業の管理者は30万円以下の罰金か6ヵ月以下の懲役が課せられることになる。「月45時間」の壁でいま何が起きているのか。大手定食チェーン「大戸屋」の現場を追う。
『ガイアの夜明け』(C)TV TOKYO Corporation All rights reserved.
視聴者には内部告発めいて受け止められたが、大戸屋はありのままの内実を密着取材により晒し、おそらくは放送回の内容が顧客および世間に好評を博し、企業PRになる――と思っていたのだろう。
スポンサーリンク
炎上の理由(原因)を考える
視聴者のヘイトを集めたシーン
『ガイアの夜明け』(C)TV TOKYO Corporation All rights reserved.
カメラが回っている前でコレだもんなぁ(汗
この山本社長さんは、顧客(視聴者)を最低限でいいから不愉快にさせないビジネスマナー研修を受けていないのだろうか? バイト上がりという経歴らしいが、カメラの前で従業員に「目が死んでいるんだけど」「空回りなんだって、努力が」と口を滑らせてしまう程度ならば、もう1度、アルバイトから再研修した方が良い様な気が。
ヤラセでもいいから、TV番組というか公共の電波に流されるのだから、もうちょっと感情を抑えた理知的かつ丁寧な言葉遣い(ビジネストーク)を心掛けるべきだった。特に社長というのは(この放映回にあって)会社の顔でもあるのだから。
飲食業界の中ではホワイトな方
バイトの時給(やシフトの都合をつける)といい、もっと残業したい店主がいる事といい、大戸屋って超ブラックが蔓延している業界内では割とマシな部類だとは感じた。シフト制の職種でブラックだと、この大戸屋より酷い会社は多いだろう。
本当に狡猾な意味でブラックだったら、残業規制すら誤魔化そうと悪足掻きするし、こういった取材にも応じない筈だ。
放送内容をチェックしてOKも出していると思われるので、きっと「ウチは(飲食業界の中では比較的)ホワイトだから、放映しても大丈夫! 視聴者に好評で客足もバッチリ伸びるに違いない」と錯覚していたと想像する。
ガチの超ブラック企業はブラックの自覚があるから、こんな取材(密着ドキュメンタリー)には応じないし、放送前のチェックでNGを出すし、そもそもカメラが回っている前で大戸屋みたいな隙(本音、実態)は見せない。飲食業界の基準ではなく世間一般常識の範囲でホワイトとして(偽装であっても)振舞う。
まあ、飲食業界内ではマシな部類かもしれないが、こんな内容(企業実態)を(晒しても問題なしとして)世間に暴露してしまう程に業界のブラック気質に染まってしまっていた大戸屋の中の人たちは、今回、本当に痛恨の判断ミスをしてしまったわけだ。
厳しく斬ってしまえば、異常を異常と正常に認識できていない時点で、この社長はそんなに根本的なスペックのある人ではないと思われる。真に優秀ならばこんな(店の利用者にバレてヤバい)実態はカメラの前で漏らさないから。
現場に負担を押し付ける精神論
残業を減らすなんて、本社が合理的に取り組めば実に簡単な事である。
それは誰もが知っている。
知っているが、日本人はその民族性ゆえに声を大にして主張できない。
- 人員を増やす
- 仕事量を減らす
- 設備投資してシステム改善
ぶっちゃけ、シンプルにこれだけだ。
働き方改革が問題視されているのは、上記3つを行う事なく「人員はそのまま」「仕事量もそのまま」「設備投資してのシステム改革もない」状態で、残業だけを減らせ、と無茶振りしている会社が多いからだ。正直、日本企業に必要なのは働き方改革よりも「マネジメント側をレベルアップさせる働かせ方改革」である。海外から見ると、日本企業の経営者は奇跡的に無能でレベルが低いとの事。
効率化は設備投資しての抜本的なシステム改良が必須といえよう。
なのに山本社長は「方法は各店舗で考えてな!」と、具体策なしで発破を入れるのみという。設備投資ゼロで。いやいやいや、そうじゃねえよ!
現場(店主&アルバイト)が負担なく普通に働いて、自然に残業が減る環境を提供するのが「社長および経営陣の役割(責務)」だろうに。
アホか。残業が思った様に減らないのは、現場や店主の責任じゃなくて、経営陣や社長の責任だっつーの! 「目が死んでいるんだけど」と感じたら、あなたが社長の責務として店主の目を蘇生させるんだよ。「空回りなんだって、努力が」と思ったら、あなたが社長としてその努力を軌道修正するんだよ、ってか、残業減の努力(と責任)を「責任に見合った裁量もない」店主に押し付けるなよ!
社長としての姿勢が、精神論と根性論のみで無責任だから世間から非難を買ったのだ。残業を減らす施策を巡らせる責任(と努力)は、あなたが一番背負うべきなんだよ、社長! 店主よりもあなたが頑張るんだよ、社長!
バイト頼りの限界をみた
番組内で映されていたシフト表がコレ(外国人頼り)だもんなぁ(苦笑
『ガイアの夜明け』(C)TV TOKYO Corporation All rights reserved.
元店主の本部社員を(派遣部隊として)ヘルプに回していたが、飲食業界がアルバイトを主戦力にしなければ経営を回せないのならば、各店舗ごとではなく大戸屋本部が一体となって「アルバイトを確保する戦略」を練らなければならないだろうに。
スポットでのバイトサービス『タイミー』(当然ながら割高&ノウハウ蓄積なし)に頼らなければシフトが埋まらないのならば、本社が手を差し伸べてシフトを補充するべきだし。「店員が『タイミー』ばかりで店に活気がない」じゃねえってばさ。気が付いているのならば店主が疲弊する前に、助けてやるのが本社の役割である。
生活残業する店主の主張と態度
「もっと働きたい」のだったら、残業が減った分の時間で副業でもしてくれ。
甘えるな。
というか、労働時間を減らして成果(売上、利益)がそのままならば、長期的な経営視野に立って以前よりも総支給額を増やしてやれよ。そもそも「生活残業している」なんて、従業員にカメラの前で喋らせるって、どんな社員教育しているんだ。
会社側にしても「残業減る⇒総支給額減る」という従業員の不満を、ガイアの夜明けの取材が入る前から解消しておこうよ。働き方改革とは「残業減る⇒業績は維持⇒能率化に成功⇒給与は維持かUP⇒ライフワークバランスがとれる」となるのが狙いじゃないの? 「残業減る⇒業績は維持⇒残業代がなくなり給与が安くなる」って、労働者が「能率的に働くと損をする」という状況が発生するのが問題になっているのだ。
つーか、残業減に失敗すれば労働者当人ではなく「経営者に」罰則なのだから、残業減に取り組むのは経営者の筈なのだが。労働者は罰則ないのだから「普通に働いていれば良い」のだよ。それで「残業が減る」方向性に職場が改革される努力するのは、会社側であり経営者側だ。
根本的に意識がおかしい。
日本の会社なんてそんなレベルとは周知されているものの、それを堂々とTV番組で公開してしまえば、そりゃ多くの視聴者(大戸屋利用客含む)が不愉快に思うのは道理である。
まったく丁寧じゃない調理方法
丁寧で手作り風な家庭料理みたいな優しい味――ってな商品コンセプトであった筈だが、 キッチン担当が3名必要なところを、店主含めた2名で回しているシーンが放送されていた。
丁寧どころか、めっちゃアクロバティックに料理されているではないか。
飲食店の調理場が戦場さながらなのは常識としても、あんな場面を晒す神経が理解できない。それに能率化を考えるのならば、もっと調理場に設備投資しないと。チェーン店なのだから、熟練アルバイターや少ない調理師の練度に依存する職場体制って、根本的にシステムが間違っている様な(苦笑
ストップウォッチで計測して最速ラップ目指すとかwwww
これが改善案? おいおい(笑
仕事を舐めているのか?
真面目に、真剣に考えてコレなのか?
色々と馬鹿にしているのか?
能率化や効率化は「最低限のノウハウと熟練度」および「平均的な労力」でマニュアル的に達成されなければ意味がない。それなのに「仕込み時間を半分にする⇒平行作業で時間当たりの仕事量を倍にする」とかやっていた。ダメだこりゃ。
で、視聴者の腹筋に大ダメージを与えたストップウォッチが登場である。
仕込み時間を減らす為に作業を平行して最速ラップを目指すとか、あのさぁ、それはギャグでやっているのか? 視聴者を笑わせにきているギャグパートなの? 使用者の練度と作業速度に依存するマニュアルなど、マニュアルとは呼べない。
それから――
現場のトイレ掃除している時間(暇)があるのだったら、あなたが残業減のアイデアを1つでも多く捻りだして下さいよ、社長!
まとめ:簡潔な総評
店主3名が披露した「それぞれのダメっぷり」は仕方がないだろう。
タイミーに依存しちゃう店主。アルバイトに教育できない、任せられない店主。生活残業と社畜自慢を主張する店主。いい感じでダメなキャラを揃えてきた。まあ、真っ当に優秀でまともな店主だったら、番組映えしないからね。
だが、1番ダメダメで無能&無責任なのが、社長だったという(苦笑
この残業減問題に対して「もっともダメで無能なキャラ設定」を、表向きは有能に見せかけている山本社長に、というのは、ガイアの夜明けのシナリオライターが意図してセッティングしたのだろうか?
なんにせよ、視聴者の90%以上が「いや、努力の方向性が間違っているのは社長だ」と感じたのだから、ツイッターでの声明「社員の皆さんが健全に働ける環境づくりを会社全体で取り組んで参ります」に対し、真摯に向き合って着手して欲しい。
それから、この放送内容で「大してブラックじゃない、パワハラじゃない」と感じた人は、もっと仕事をシステマチックおよびビジネスライクに考える努力をした方が良いと思う。あのやり方が「真面目な仕事」なのは昭和の時代までである。