【OVA・TVシリーズ】機動警察パトレイバーについて【劇場版・実写化】
さあ、今日も戯れ言《
この記事は2020年8月30日が初アップだ
【引用元――機動警察パトレイバー(原作:ヘッドギア、サンライズ)より抜粋】
ここ最近、一気観していた
契約している『dアニメストア』にてシリーズが配信されていたので、何の気なしに軽い気持ちでTVシリーズを視始めたら、つい止まらなくなっていた。つまみ食いのつもりが、とんでもない時間を消費する羽目に。浪費とは思っていない。
80年代後半の回顧的な作品。
今では当たり前である「メディアミックス」という商売については、このパトレイバーが先駆者といえる存在でもあった。
僕は基本、そんなにブログの更新をサボる方ではない。更新間隔が開いている時期でも、サイトのメンテとか水面下での作業を地道に行っているのだ。しかし、ここ12日ほどは仕事の都合というよりも、空いた時間をまるっとパトレイバーの視聴に充てていたので、まあ、ぶっちゃけ、更新をサボっていた。自分にとっての初といえるサボり期間であった。それでもメインブログの方は、辛うじて最低限は更新していたけれど。
話をパトレイバーに戻す。
旧OVAが7話
劇場版が3作
TVシリーズが47話
新OVAが16話
う~~ん、長い長い旅路であった。
正直、疲れている。
ほぼ観終わったので、感想を述べよう。
ここから先はテストに出るぞ
テスト(試験)は冗談ですけれど、パトレイバーを語る上で押さえておきましょう。誤解していると恥をかきますから
ゆうきまさみの漫画版は原作ではない
特車二課の第二小隊――
隊長を後藤 喜一し、隊員は以下になる。
カッコ内はTVシリーズでの年齢。今の年齢感覚でいうと、野明の19歳はともかく、地方公務員(勤め人)モノとしては、皆、若いと思ってしまう。
- 篠原 遊馬(20)
- 泉 野明(19)
- 太田 功(24)
- 進士 幹泰(27)
- 山崎 ひろみ(20)
基本はこの5名だったりする。
そして旧OVAおよびTVシリーズでは第2話から香貫花・クランシー(19)が加わり、TVシリーズ第26話から熊耳 武緒(29)が加わるのだ。実はこの才女2名は割と年の差があったりする。冷静に考えると、香貫花の経歴で19は無理があるなぁ。
年齢はともかく。
香貫花・クランシーと熊耳 武緒について、一部の視聴者には誤解が生じていた。
「Yahoo! 知恵袋」の質問から
「パトレイバー」の香貫花・クランシーは原作の漫画ではストーリーの大分後半に登場してくるのはどうしてですか? しかも特車2課の隊員ではなく児童売買組織を追う捜査官としての登場だったのは何故ですか?
アニメ版も最初から熊耳さんを出しても問題は無いと思うのですが、香貫花を起用した理由は何ですか?
これに対してアンサーは以下になる。
まず、漫画版は原作ではありません。
原作者は「ヘッドギア」であり、ヘッドギアはビデオアニメ版パトレイバーの製作のための集団です。
ビデオアニメのパトレイバーの製作にあたり、その宣伝の意味も兼ねて、ヘッドギアのメンバーで漫画家のゆうきまさみが、漫画版の連載を開始します。本人も言っています。「直ぐに終了させるつもりだった」と。
そして、ヘッドギアのメンバーで監督の押井守が言っています。「香貫花は、足りない女っ気を補うため、急遽作られたキャラクターだ」と。
ヘッドギアの各人の中では、香貫花は当初から企画されていたキャラクターではなかったということでしょう。そして、ゆうきまさみは、漫画版で、独自の熊耳を使用したのでしょう。
漫画版に香貫花が登場したのは、単純にファンサービスかと。人身売買の話を作る上で、捜査官なりが存在して当然なので、都合が良かったのかもしれません。
つまり、アニメ版で最初から熊耳が登場することはありえなかったのです。
テレビ版の後半で熊耳が登場しますが、これにも理由があります。パトレイバーのテレビ版は当初予定を変更し、放映期間を延長しています。単純に、ネタが不足していたのです。ヘッドギアのメンバーで脚本家の伊藤和典が、製作現場は大混乱だったと語っています。
まずアナタは誤解されています。
ゆうきまさみ描くコミック版はあくまで、メディア展開の一部であり、パトレイバーの原作ではありません。便宜上、そのように扱かわれるコトもありますが、それは大人の都合ってヤツです…
とゆーコトで本家本元はアニメ版なのです。当然、TV版もOVA版を原作としたTVシリーズ化となる訳です。
…で、香貫花の件ですが…
コミック版で登場しなかった理由は、四つあります。
1-アニメ版との差別化。
2-香貫花をデザインしたのは、高田明美であり、ゆうき氏のキャラではない。
3-上記の理由に加え、当時のゆうき氏には香貫花というキャラを、性格&絵を描けないと判断した為。
4-かと言って、太田の手綱を操るキャラは不可欠。ただし香貫花の場合、本質的には暴走キャラである為(劇場版1作目を観れば、分かるハズです)、太田を止めるどころか、事態を悪化させかねない…
そんな訳で、香貫花以上に経験があり強力なスーパーウーマンのおタケさんが誕生した訳です。
アニメ版の中盤で、おタケさんや内海課長が登場したのは、単にTV版が元々半年の予定が急遽延長になり、ネタが無かったからに過ぎません。
最後にコミックの後半で、香貫花が登場したのは多分、ファンサービスなんじゃないかと思います。当時、連載も既にクライマックスに入っていたしね…
本当のところは分かりませんが…
そして、この二人に限らず、アニメ版とコミック版とでは、様々な相違点がありますが、列挙したらキリがありません…とゆーコトでお分かり頂けたでしょうか?
おタケさんこと熊耳 武緒はコミック版の2巻という序盤で登場する、コミック版における香貫花・クランシーの代わりとなる、コミック版オリジナルキャラ(TV版には出ない)が元の立ち位置だった。
TVシリーズは、香貫花の研修期間終了(そしてアメリカ帰国)=アニメ放映終了の予定だったのだが
第24話「さらば香貫花」にて、香貫花はアメリカに帰ってしまう。
ここでTV放映は終わらず、番組は続く。
さて、困った。
視聴者からの好評を受けて放送延長を決めた側としては、まだまだネタを捻り出せると安易に考えたのだろうが、製作側からすると「ンなアホな」ってな感じだったのだろう。それでも準総集編といえる第23話「香貫花レポート」のみで、どうにかシリーズを再構成したのだから、大したものだと思う。
ちなみに「グリフォン編」が始まるのが第20話「黒い胎動」である。
ネタ切れが招いた「グリフォン編」の漫画版からの逆輸入
パトレイバーという作品は、ロボットがメインとは言い難いのは周知の事実だ。
近未来の巨大ロボというファクターは、あだち充の青春漫画における高校野球みたいなものであり、機動警察パトレイバーは僻地に宿直(待機)任務している地方公務員の若者たちの日常を描いている。
パトレイバー=日常系、だ。
確かにレイバー犯罪に対処する為に特車二課は出動する。
だが、たいていは酔っ払いとか救助活動とか、他の部署の手伝いとか、政治的要因が絡んだイングラムの宣伝とか、そういった方向性なのだ。基本、1話内で完結してしまう。
表沙汰に出来ない国側の失敗の尻拭い、軍事用レイバーの密輸関係、といった危険な任務にも対処していたが、別に敵組織云々という構図ではない。最新鋭機イングラムでなければ無理な任務だから、第二小隊にお鉢が回ったというだけである。
しかし、漫画版は様相が異なる。
特車二課に対するライバル組織として、シャフト・エンタープライズや敵ボス、内海をトップとする同社内の企画7課、そして極秘開発された戦闘用レイバー「グリフォン」というイングラムの宿敵――長編的なフォーマットをベースに漫画版は構成されている。
「企画7課を率い、グリフォンを擁する内海」対「後藤・南雲率いる特車二課」、「天才少年・バド」対「根性娘・野明」の戦い、が漫画版の骨子だった。
漫画版も日常的なエピソードも交えられていたし、「グリフォン編」の合間に劇場版3作目のベースとなる「廃棄物13号編」も描かれていた。
これは推測に過ぎないが第23話「香貫花レポート」が制作される前に、漫画版から「グリフォン編」を逆輸入するという英断を下したのだろう。
仮定であるが「グリフォン編」をやらないのならば、香貫花の研修期間を旧OVA版と同じく1年間に延長して、最終回=香貫花の帰国、という基本構成を変えなかった筈だし、変える必要もなかったからだ。
分かり易く表現すると、香貫花とおタケさんはパラレルワールドにおける同一人物(同じ役割)と定義できてしまう。漫画版の後半にファンサービスで「第二小隊メンバーではない」香貫花が登場した為に、こんがらがってしまったが、違う世界線において香貫花=おタケさん、だったのだ。
しかしTVシリーズで「グリフォン編」をやる以上、本来ならば漫画版のみの(香貫花の代わりであった)おタケさんを、TVシリーズにも登場させざるを得なくなる。
香貫花を残したまま熊耳武緒を登場させると、役割が思い切りダブってしまうので、香貫花とおタケさんを「同一人物の縛り」から切り離す為に、香貫花帰国⇒おタケさんが後任という方法を採った。
香貫花が後に帰国して一時的に復帰する(おタケさんの一次的な離脱=撃たれて入院は漫画版と同じ)のは、当時のファンからの反応もあったのだろう。
私は香貫花さんが好きでしたので、可能ならばTV版も彼女だけで最後まで放映して欲しかったです
OPとEDの切り替えと「グリフォン編」の真の完結
TVシリーズのOPとEDは、本来ならば半年放映なのでOP2、ED2が作成される事はなかった。結果としてOP1となった「そのままの君でいて」とED1「MIDNIGHT BLUE」は、全47話のうち34話まで使われる。
単純に25話時点で新OP&ED作成が間に合わなかったのだろう。
第25話から一部を差し替えて、OP1ED1共に「おタケさんバージョン」にはしていたが、一部には香貫花が残っているという。まあ、苦し紛れが伝わってくる。
真のおタケさんバージョンともいえるOP2「コンディション・グリーン 〜緊急発進〜」およびED2「パラダイスの確率」が放映された話数は、僅か13だった。
尺の都合が上手くいかなかったのは、新OVAシリーズがリリースされた事からも察せられる。TVシリーズ内では「グリフォン編」を完結できなかった。 よって、2001年(平成13年)10月3日よりテレビ東京の水曜日深夜に放送された、テレビアニメおよび新OVAのセレクト版で並べると――
- (1) イングラム起動
- (2) 香貫花が来た
- (5) 暴走レイバーX10
- (7) 栄光の97式改
- (10) イヴの罠
- (11) イヴの戦慄
- (19) ジオフロントの影
- (20) 黒い胎動
- (21) 亡霊ふたたび
- (26) 私が熊耳武緒です
- (29) 特車二課壊滅す!
- (30) グリフォン参上!!
- (31) 雨の惨劇
- (32) 再会
- (33) シャフトの犬たち
- (34) 城門の戦い
- (35) グリフォン堕つ!
- (38) 地下迷宮物件
- (46) その名はゼロ
- (OVA13) ダンジョン再び
- (OVA1) グリフォン復活
- (OVA3) 逆襲のシャフト!
- (OVA5) 史上最大の決戦
- (OVA7) GAME OVER
漫画版のアニメ化、というテイストで観たいのならば上の順番でどうぞ。
香貫花の帰国シーンがカットされているのと、新OVA1話で唐突に香貫花が帰国済みだったりする。漫画版オリジナルキャラだったおタケさんが、アニメ版でもメインキャラに昇格した感が強く、結果的にだが「香貫花を押し退けた」格好になってしまった。
旧OVA版⇒劇場版の立ち位置
繰り返すが漫画版は原作ではない。
おタケさんの逆輸入と第二小隊レギュラー化で「漫画版が原作」と錯覚する者が出てしまうが、原作はあくまで旧OVAシリーズだ。
この旧(初期)OVAシリーズは後に『機動警察パトレイバー アーリーデイズ』と改題されている。
対してTVシリーズには『ON TELEVISION』と付き、新OVAシリーズは『NEW OVAシリーズ』となっている。
劇場版は『アーリーデイズ』と地続きの世界観だ。
よって、おタケさんは存在しない。1作目には帰国していた香貫花が一時帰国して助っ人参戦している。2作目だと第二小隊の面子はすでに任期を終えてバラバラになっていた。全シリーズの完結編とも定義できるエピソードだ。
3作目の劇場版は色々と変化球な作品で、そもそも第二小隊にスポットが当たっていない。
第一小隊の初期配備機を見れば分かり易いが、旧OVAとTV版、漫画版でそれぞれ異なっている。それだけではなく細かい設定もだ。その中にあって最も目立つ差異が、長々と述べた香貫花とおタケさんの存在だった。
劇場版で完結という流れが正当だとするのならば、香貫花は劇場版第1作にしか出ていないし、それはそれでちょっと寂しい気もする。
ちなみに実写版『THE NEXT GENERATION パトレイバー』においては――
個人的には、香貫花・クランシーが好きなので旧OVA⇒劇場版が正当であって欲しいのだが、旧OVAシリーズが『アーリーデイズ』と題されただけあり、TV版および新OVAの下敷き的な存在という色も否定できない。
象徴的なのが以下の話だ。
廃棄物13号に比べると「なんだそりゃ」ってオチだったもんなぁ(汗
完成形はTV版⇒新OVAだろう
パラレルはパラレルと割り切った上で、パトレイバーというメディアはやはり『TV版⇒新OVA』で完成しているのかな、と認めざるを得ない。
結果としてであるが、旧OVA版と漫画版の融合という形になっている。
第一小隊に最新鋭機の「AV-0(劇場版1作目に登場)」が配備されたりとか。
日常的なエピソードで最も好きな「地下迷宮」に香貫花がいないのが、ちょっと残念だけど(おタケさんは早々に気絶するので存在意義が薄い)。
観終わった感想
まとまりのない内容というか、取り留めない記事になったが、そろそろ締めよう。
完走(感想)――面白かったが、話数が話数なだけに割とマジで疲れ切った感じである。グラフィック面では、正直いって劇場版と旧OVA版(の後半3話)以外はちょっとキツイ。そりゃ、30年前の作品だもんなぁ。
好きなエピソードは――
1位:二課の一番長い日(旧OVA)
2位:特車隊、北へ!(旧OVA)
3位:劇場版1
4位:地下迷宮物件(TV)
5位:目標は後藤隊長(TV)
こんなところだ。
お勧めともいえる。
新OVAの「火の七日間」みたいに、今の時代にはそぐわない価値観の話もある。ぶっちゃけ「グリフォン編」はそんなに好きではなかった。劇場版3作目も同じく。
この記事に目を通して少しでも興味を持った方は、是非ともパトレイバーを観て欲しいと思う。上のお勧めだけでも試しに。
総視聴時間を考えると、流石に全シリーズ全話を視てとは言えない(苦笑