【ガルクラとヨルクラ】『ガールズバンドクライ』『夜のクラゲは泳げない』の12話/13話(最終回)までの感想・考察【オリジナルアニメ】
さあ、今日も戯れ言《
公式略称が類似するオリジナルアニメ2作
注)最新話レビューは下の方
う~~ん、相変わらずYouTube動画にしたいアニメ系ネタがない(GWに遊んでいるのもあって2週間もサボり)ので、またちょっとこのサブブログに繋ぎ用の記事を書こうと思う。
2024年の春アニメも放映1ヵ月が過ぎて、かなり視聴者の評価も固定してきた。続編や2クール以上のアニメを除き、覇権候補・良作佳作・クソアニメと各自の選別は終わっている頃合いだ。そういった中で、この期はオリジナルアニメの打率が高い。
●ガールズバンドクライ
●夜のクラゲは泳げない
●終末トレインどこへいく?
この3作品は総じて評価は高いと言えるだろう。
自分もこの3作品は、脱落せずに現時点の最新話(5話)まで視聴継続している。個人的な感想としては面白い。『終末トレイン~』に関しては、オチが分からないというか、最後の〆がどうであろうが、途中の「不思議な感じ」を楽しむ作品だと思う。
ただし『終末トレイン~』は第6話のギスギス展開で、やや失速した感は否めないが。必要な展開なのは理解できても、ちょっと主人公の言動が迂闊というか、シナリオの都合に沿ってキャラが動かされている感が隠しきれていない様に思えた。
この記事においては、『ガルクラ』こと『ガールズバンドクライ』と『ヨルクラ』こと『夜のクラゲは泳げない』について語りたい。公式略称が似ているだけではなく、少女達がグループを結成してアーティスト活動する――という面も共通している。
バンドを結成するのがガルクラで、MV制作グループを結成するのがヨルクラ
ガルクラは実在のバンド『トゲナシトゲアリ』を売り出すプロジェクトの一環だ。
作中の同名バンド『トゲナシトゲアリ』も、声優をリアルバンドメンバーが担当する。アーティスト本業で、声優業はガルクラ専門になる可能性が高い。少なくともバンド活動のスケジュールを考えると、メインキャストで他のアニメに出演はないだろう。
第5話の時点ではスリーピースバンド『新川﨑(仮)』で、5人揃って本来の『トゲナシトゲアリ』になっての初演奏(おそらくライヴ)は第8話と判明している。
追記)初演奏は7話で8話はライヴなしのシナリオ回
ストーリーはアニメ版『トゲナシトゲアリ』の成り上がり系と明白だ。
目指せ単独での武道館ライヴ、になるだろう。
宣伝アニメだからね、極論すれば。当たり前だが、リアル『トゲナシトゲアリ』と色々な面で企画として連動している。東映が音頭を取っての大プロジェクトだ。
ヨルクラは覆面アーティストグループ『JELEE』を、主人公たち4人が結成する。元々はソロだった『JELEE』に、歌い手以外の他3名が加入方式だが。
主人公はイラスト担当、他には歌唱・歌詞担当、作曲担当、映像編集担当だ。
ガルクラとは異なり第3話で早くもグループ結成。4話ラストにてグループ第1弾MVをアップロード。5話でMV第2弾および顔出しなしの配信までやった。
アニメ本編と連動して『JELEE』のYouTubeアカウントおよびX(旧Twitter)アカウントも作成されている。
✦.*·̩͙JELEEの新MV公開 ✦.*·̩͙
— JELEE (@jeleechandayo) May 4, 2024
『渋谷アクアリウム』
https://t.co/7yXrNMXoGI
私たち4人の最高傑作、みんなに届けーーー🪼!!!
#渋谷アクアリウム #JELEE
ただ、この『JELEE』は最終的にどこを目指しているのか。
歌い手である花音本人は、覆面歌手のまま、かつて所属していたアイドルグループ『サンフラワードールズ』を超えて、その暁には正体を明かし、アンチだけではなく世間も含めてギャフンと言わせたい――という初期目標があったものの、第5話で仲間と一緒にMV作って配信やれている現状に満足となってしまっている。
また、花音本人の心境の変化もあり、主人公まひるに「渋谷に水族館を作る」と約束した。この水族館と中で泳ぐクラゲがラストシーンになるのかもしれない。
『トゲナシトゲアリ』でプロとして飯を食っていく方向になるのが確定しているガルクラとは違い、『JELEE』はどうやってマネタイズというか、その道で飯を食っていく方向性になるのだろうか?
ぶっちゃけ、イラストと動画編集は外注で代替可能な面もあり『JELEE』がこの4人であり続ける必要性というか、『トゲトゲ』とは異なり人生賭けて一緒にい続ける様な集まりとも思えない。だって全員が別分野でのエキスパートだから。花音が歌手として覆面でなくなれば『JELEE』は役割を終える気がする。
主人公が最初から才気あるヴォーカリストなのがガルクラで、主人公がイラストレーターとして素人レベルなのがヨルクラ
第5話時点での情報に過ぎないが、ガルクラの主人公・仁菜がヴォーカリストとして凄いのは間違いないだろう。2度目のライヴで目の肥えた客を満足させている。ダメなバンドには塩対応なライヴハウスの客相手に、これはハッキリと非凡なレベル。
桃香が惚れこみ見出した珠玉の声だ。
性格はロックで狂犬かつ面倒、そしてアレな奴である仁菜だが、歌唱力は本物だろう。
まあ、それしか取り柄がないヤツっぽいが。根は良い子だとも思うけれど。
対称的に、ヨルクラの主人公であるまひるは、第1話時点では「才能ある絵描き」っぽかったのだが、第5話でイラストレーターとしてはショボいと判明。知名度がないっていうのもあるのだろうが、SNSでの反応やYouTubeのコメント欄では、かなり厳しい結果を突き付けられる。ブランク期間に技術的な基礎を磨いていなかったのと、仁菜みたいな天性の才能を持ってはいなかった。
何者かになりたい、と願うまひるは、おそらく特別な何者ではない。平凡な生き方を拒否したいと潜在的に願うまひるが特別になれる武器(才能)は、現時点ではイラストだとは言い難い現状である。まひるより「上」はゴロゴロいるのだ。
その点では、すでに破天荒な生き方に片足を突っ込んで、かつ「特別な何者かになれる武器=歌声」を天賦の才として持っている仁菜とは正反対と言えよう。
第5話で造ったMVのサムネ絵も、ぶっちゃけ上手くないというか、作中設定に合わせて意図的に下手に描いている。花音(CV高橋李依)の歌詞と唄、めいの作曲編曲、そしてキウイの動画編集・制作スキルが高いだけに、イラストの稚拙さが目立っているのだ。
もっとも第5話で、その現実を受け入れたまひるは「上手い絵を描ける様になりたい」と一念発起するのであるが。よって今後は上達していくだろう。絵描きとしてのセンスと才能は持ち合わせている筈なので、デッサンとデジタル彩色の技術が上がれば、見違えるレベルのイラストを描ける様になると思う。
性格と言動にフックが利きまくっている仁菜に比べると、まひるは主人公像としては、やや凡庸な部類だ。「ヨル(夜)に対しての真昼」という名前は上手いと思う。最終的にはメンバー全員、日の当たる場所(昼)へと歩き出すと予想するが。
まひるが「視聴者共感型」の主人公で、仁菜は「視聴者俯瞰型」の主人公だから、その役割の差も大きい。そして仁菜に共感できる人は凄いと思う。ロックな人生を目指そう。
フルCGなのがガルクラで、手描きで完パケなのがヨルクラ
ヨルクラの作画は素晴らしい。完パケ済みなので作画崩壊しないのも確定だし。
だが手描きではライヴシーンに限界があるので、ガルクラの3DCG路線は個人的には肯定である。両方とも金は掛かっていると感じた。っていうか、CGに関してはノウハウを蓄積する為にもチャレンジし続ける必要がある分野だ。
仁菜の物語なのがガルクラで、群像劇なのがヨルクラ
ガルクラは仁菜を柱(主人公)と決めてのガールズバンド物語である。
主人公と他メイン4名、とハッキリと区切られている。バンドでの役割もヴォーカル担当だ。『ぼざろ』の主人公はギター担当で、ヴォーカルは喜多郁代。作中バンド『結束バンド』のメンバーとは違い、リアル『結束バンド』のメンバーは喜多役の長谷川育美がヴォーカルで他の面子は全員が男性プロミュージシャンである。声優は演奏しない。
前途したが、ガルクラは作中『トゲトゲ』=リアル『トゲトゲ』だ。
ヨルクラはキャラを担当している声優がリアル『JELEE』として、アニメ放映後も活動継続する事はないだろう。というか、高橋李依しか実際にはやっていないし。
ガルクラって、因縁のグループ(ライバル)は『ダイダス』こと『ダイヤモンドダスト』で、『トゲトゲ』ギター&サブヴォーカル(コーラス)担当の桃香が元ギター&ヴォーカルだった。その桃香が旧『ダイダス』を脱退した理由は、元仲間と桃香、双方の正しさがあり遺恨はなかったと第5話で明かされる。彼女が曲の権利を元仲間(ダイダス3名)に譲ったのも、そういう事情(置き土産)だ。
それと入れ替わりで、桃香が歌っていた頃の旧『ダイダス』のファンだった仁菜と、メジャーデビューと引き換えに売れる為のアイドル路線に舵切った新生『ダイダス』の新ヴォーカルに、過去の因縁があったと第5話で示される。
つまり主人公・仁菜にとって旧『ダイダス』と新『ダイダス』の両方に、それぞれ違った関わり方があり、それが仁菜という人格の一部――物語となっているのだ。
しかしヨルクラは違う。
主人公・まひるは、仁菜の様に物語の軸にはいない。
人物の輪の中心にいるというだけ。
今のところ物語の中心にいるのは花音だ。彼女がスキャンダルを起こしてアイドルを辞め、脱退する事になった『サンフラワードールズ』に対して、まひるは直に関わっていないのだ。ここから関わろうにも、絵描きだし。
作曲担当で『JELEE』に加わるめいも、アイドルであった花音繋がりである。
そもそも『ダイダス』とは違い、『サンフラワードールズ』が『JELEE』のライバルとして立ちはだかる展開が見えない。人間関係での交わりはある筈だが。
キウイはまひる繋がりでの加入だったが、キウイの不登校問題に関しても、これから先にまひるがどうこうできるのだろうか?
要するに、個々の事情がバラバラなのである。
ガルクラはストーリーラインが明白というか、全てが1本に収束する構成だ。
ヨルクラは個々の(抱えている)問題がそれぞれ部分的に噛み合っているが、テーマがバラバラになってしまっている。それが故の群像劇だ。同じ場所を目指すにせよ、最後は個々の道を歩み出すにせよ、結局は4人それぞれの物語として終わる気がする。
助けたり、手を差し伸べられても、ガルクラみたいな運命共同体にはなれない。青春群像劇――つまり青春時代の1ページで、真っ当な人生を蹴っ飛ばす、ロックな生き様を描く作品ではないから。
ノンケなのがガルクラで、レズなのがヨルクラ
第6話の予告を見るに、仁菜は「バンドとしての目標」を早くも探し始めている。
『ぼざろ』の『シックハック』みたいに、インディーズバンドとして生計を立てる道もあるだろうが、OPを見る限りデカい箱で演奏する未来は確定していると思われるので、やっぱりメジャーデビューを目指すだろう。
ってか、リアル『トゲトゲ』自体、すでにメジャーデビューしているし。
コンセプトを考えても、アニメ版『トゲトゲ』がリアル『トゲトゲ』のイメージダウンになる様な真似、展開には絶対にならないと断言できる。
それに対して、ヨルクラは第5話で唐突な百合(レズ)をぶっこんできた。
辛辣に評すれば「他にネタがなかったのかな」と思う。
レズとホモはSNSでバズり易いネタだ。いわゆる百合豚と腐女子をターゲットにした戦略である。実際、予想外のキスで百合豚は歓喜していた。話題にもなった。
しかし、個人的に首を傾げたのが、花音は「ヨルの絵」が好きだった筈なのに、この百合要素によって「(好きな)ヨルが描いた絵だから好き」に、解釈がズレてしまいかねないという点である。イラストレーターとしては、絵師個人は嫌いだが作品は好き、の方が誇らしい筈だ。作り手への贔屓ってクリエーター的にそれってどうなの? と思う。
ヨルクラの第6話は箸休め回っぽいが、元々とっ散らかっている印象だったのに、さらにカオスになってしまった感が強いと、個人的に感じた。全体のテーマが分からない。
まさか「百合(レズ)感情>アーティストとしての矜持」にまではならないと思うが、これ(ヨルクラ)は「何の物語」だろうという一抹の不安が湧きあがるのだ。ハッキリ言うとオチが不明の『終末トレイン~』よりも、作品コンセプトがブレている。
身バレだったり、グループ内のイザコザだったり、過去との因縁だったりと、トラブルや話の起伏を付け足す事自体は容易なのだが、群像劇としてバラバラに過ぎる。
ガルクラは最後のライヴシーンにカタルシスをもっていく為の構成だ。
それ以上でもそれ以下でもないと言える。
でもヨルクラは、特殊EDであるMVでカタルシスを訴える作品とは思えない。
MVは単なる引きだ。第5話に至っては、百合要素の方がMVよりも印象的である。もっと言ってしまえば、まひるの成長の印象までもが薄まったと感じた。
物語としてゴールと筋が明白ならば、百合要素だろうが恋愛関係だろうが、そういった人間ドラマはストーリーのスパイスとして機能する。または全6話で次回エピローグならば、別にこれでも良いと思うのだが。
ガルクラが第5話は神回と話題になったのに対し、ヨルクラは百合豚を釣った(SNSでバスった)はいいが、先が予想できないのではなく、先がどうとでもなる展開に落ちてしまったなぁ、と個人的には残念なエピソードだった。
現時点では「監督と脚本家」の力量の差がモロに可視化されている印象だ。
さて、第6話以降で、この個人的な評価をヨルクラはひっくり返せるのだろうか。
6話で色々と「わかれた」かな?
ガルクラ6話の雑感
割とオーソドックスな展開にて5人が揃う。
桃香以外の4人が意気投合し、どうやって桃香を納得させようかという流れ。
前だけを向く4人対して、自身の音楽への向き合い方と元仲間に対しての引け目・不義理、かつて諦めた「メジャーを目指す事」が正しいのか否か、色々と迷っている桃香の葛藤が描写されていた。新加入の2名に対しても、この時点では心を許していない。
裏主人公といえる桃香は、ダイダス視点だと自分が悪役だと理解しているだろう。
他の4人は明白に「メジャーデビューして武道館を目指す」と目標を定めた。
ルパは智に、現状維持でリスクを取れないのならば「武道館を目指すは滑稽だ」とハッキリと告げたし。それは桃香の葛藤にも通じる事だ。
仁菜に迷いはない。受験勉強は消し飛んでいるが。新生ダイダスに対して「自分の方(元ダイダス)が正しい」という、負の感情が原動力ではあるけれど。
物語の方向性として、プロでの武道館、を明示だ。
本当に見事な構成で、今回はライヴシーンではなく通常EDであったが、ルパと智の部屋で桃香を除く4人がフェス出場について相談とミスリードしつつ、最後の最後に夕日をバックにした桃香がベランダにいる、というエモいシーンは最高だった。
ヨルクラ6話の雑感
みー子がメインの回。
つまりゲスト的な話であるが、今後、このエピソードが本編にどう関わってくるのかは今は不明。位置づけ的にはハイスピ6話と全く同じだが、滑りまくった「もんじゃアニメ」ハイスピとは違い、話単体では確かに面白かった。
SNSでもバズるでしょ、っていう話でもある。
申し訳ていどに、今後の布石になる情報は織り交ぜられてもいたが。
ぶっちゃけラノベアニメで、原作1巻を5話で終えたから尺調整で、箸休め回を入れて、次の7話から原作2巻目に突入――という印象だった。
う~~ん、目先&目先&目先だなぁ。このままだと放映中はSNSで話題になっても、放映後にすぐに熱が冷めて、振り返って冷静に評価すると凡作~佳作の「その場の受け狙い」な地力不足というオリジナルアニメになりそう。
7話で作品の方向性の差異が明白に
オリジナルアニメで1話~7話まで失速しないまま継続できている作品が、なんと2つもあり、かつ評価的にデッドヒートを繰り広げるというのは、本当に稀な珍事だ。
前クールだと覇権の『まほあこ』が全作品の中で唯一失速せずに最終話まで突っ走ったが、原作付きでオリジナルアニメではない。オリジナルで失速なしは本当に難しいのである。
ガルクラ7話の雑感
7話8話での前後編という構成だ。
仁菜の姉ちゃん、いい人だったなぁ。そして父親はアレな奴だとも判明した。姉は妹を心配したが、仁菜の気持ちはすでに実質的に固まっていて、その決意を察してしまった姉は、このままだと父親より妹を味方できないとも伝える。仁菜はあの姉さえも、最後はロックして袂を分かつのだろうか。
智とルパの過去の一端も明かされた。
フェスに参戦する前に、桃香の知り合いであるミネ(CV:沢城みゆき)の誘いで、諏訪に遠征してライブする事に。まあ、前哨戦といった感じになるか。
知り合いからレンタルしたハイエースで、一行はそのライブハウスへ。金の節約で車中泊をしていた。その辺の会話ややり取りは、流石といった脚本だと思う。
しかし桃香は、フェスではなく今回の遠征を最後にグループを抜けると宣言。
例によって居酒屋で桃香は酔い潰れてしまうのだが、その時、ミネに仁菜が色々と会話する。ミネは将来の安定を棄てて「今、音楽に挑戦している」が、それで結果が出ないのならば「自分の音楽が通用しない」残酷な証左に他ならないと。
ミネは「自分の音楽の否定という現実」を突き付けられても、音楽が好きだし心が折れるまで挑戦し続ける(ただし今は)という旨を仁菜に話す。
桃香がグループから抜けると意思表示したのは、すばるが言っていた通りに「2人の桃香が存在しており」その2つが葛藤し悩んでいるのだろう。
ダイダスを脱退する時は「音楽性の違い」という言い訳があった。でも、この5人で「桃香の音楽」で勝負するという事は、ミネが仁菜に話した通り「言い訳のきかない結果」を突き付けられてしまう。桃香は1度は音楽を棄てて地元に帰ろうとしたし、当時は技術的に素人に毛が生えたレベルのすばると仁菜をバンドに誘ったのも、メジャーデビューを考えていないからこそだ。
だが、ルパと智の加入によって「プロと武道館を目指す」となってしまう。
仁菜が証明したい正しさ。
それは旧ダイダスの桃香の歌だ。
仁菜は湖に向かって走り、花火を背に「最後の」迷いを吹っ切った笑顔でジャンプした。
そして、桃香にとって「この5人での」最後の演奏。
↓ 仁菜の身体を揺すりながら背中を観客に向けてから、正対し直し、最後に右腕を振り下ろすパフォーマンスが良い
桃香がメンバーに視線を合わせない中、仁菜は情熱を歌として叩きつける。
それは鬼気迫る歌声であり、魂の具現でもあり、どこか禍々しくもあった。
爆ぜる歌と才能――客は熱狂し、歌が終わった直後に「ニナ」と複数の声援。
最後に仁菜は「予備校、辞める」と(おそらくは桃香への)爆弾宣言だ。
後編となる第8話は、フェスにて「桃香が決意を固める」回と予想。
土壇場で桃香がフェスでトゲトゲに合流すると思う。
桃香の背中を押すのは、フェスで再会した新生ダイダスの元仲間だろう。ただ、その事については、ダイダスが口止めして欲しいと桃香に希望する気がする。将来的に、純粋に音楽で勝負したいからと。まあ、ヒナの件は分からないけれど。
脚本と構成の技術がズバ抜けて高いのは勿論だが、とにかくエモさとパッションに訴えかけてくる作品のパワーが凄い。そして登場人物が劇中で「生きている人間」している。
加えて、仁菜という主人公がロックでカッ飛んでいる。ある意味でクズではあるが、理不尽に迎合しての「賢い生き方なんてクソ食らえ」って、大人しい目の外見と反する精神性が、棘と闇と光を放っているのだ。
ヨルクラ7話の雑感
円盤1巻のジャケ絵が公開された。
主人公のまひるではなく花音である。
これに対して、驚きはない。実質的な話の柱は花音だから。
全4巻なのでJELEEのメンバーが各巻のジャケットを飾るのだろう。ちなみに、ガルクラは全7巻だっけ。基本的に円盤の巻数は――
●全1巻BOX⇒売る方も期待していない
●全2巻(上下巻)BOX⇒ファンは買ってくれそう
●全3~4巻⇒売上出す自信あり、儲けたい
●全6~7巻⇒クール覇権を狙える自信あり
『ヨルクラ』『ガルクラ』共に円盤に関しては強気というか自信ありだ。なお、前期で覇権だった『まほあこ』は全3巻である。
で、この7話だがまひる達は高校3年になっていた。
出席日数が足りて進級しているのは2名だけだが。
それぞれの(高校卒業後の)進路――
めいは音大に進み、将来はピアニスト。
まひるは美大か芸大に進み(受験を突破できるのかは分からない)、将来はプロのイラストレーターとして食っていく事を目指す。
キウイは仁菜と同じ高認ルート(仁菜はぶん投げたが)で、早稲田大学教育学部に進み、中学教師になるのが目標。不登校だからこそ、具体的に先を考えていた。
そんな中、花音だけが「宙ぶらりん」だ。
第5話で「歌い手として」満たされてしまった彼女は、ここから先、なにを目指すのか――というよりも、将来はどうやって飯を食っていくのかだ。前途した通りに、やっぱりJELEEはいずれは解散か、花音1人に戻るだろうし。
花音はプロシンガーとして飯を食っていく方向を目指すのだろうか。
キウイと小春の出会いが、そのキッカケになるかもしれない。
基本的に、この第7話にて「まひる、めい、キウイの未来と目標」は確定済みだ。覆面アーティスト活動での繋がりは続くとしても、大学生活および将来の職業はバラバラである。ストーリーとして残っている問題(テーマ)は、家族との関係も含めて「真の主人公である」花音だけ。
この先の展開でJELEEとしての活動に障害が起こり、それが閉ざされても、花音を除く3名の道(目指す未来)は既に第7話時点で決まってしまった。よって、もうJELEEという存在自体は、「話の核」とは言い難い設定になっている。
テクニカルな脚本と演出が光る回だった。
中型二輪免許とバイク描写は、小春を登場させる+花音とキウイの関係性、の為に必要なイベントである。ラストの砂浜シーンは、別にバイクは必須ではなかった。せっかくバイクの免許を取得させたので、それを上手く活用したなと感心したが。
全12話で、残り4話だ。
まひると花音がいつまでも互いに「大切な存在」であり続けるエンドなのは想像できるが、花音の物語はどういった結末を迎えるのだろうか。残りの尺を考えると、覆面アーティストグループとしての山場は、あと1回しかないと思う。
キウイと小春の繋がりから、花音はチャンスを得るが、有名プロデューサーである母親がそれにどう絡んでくるのか。色々と予想できるが、なにが「まひると花音の」物語として正解なのかは、自分にも分からない。
ガルクラ8話が超神回だと話題沸騰
『ガルクラ』『ヨルクラ』同時に書こうと思っていたが、反響が凄まじいので先に『ガルクラ』の方だけ執筆しよう。作り手側が「7話⇒8話と神回だから期待して観て(意訳」とハードル上げまくっていたが、そのハードルを上回る内容だった。
一晩遅れて『ヨルクラ』の放映であるが、神回という程ではないが失速はせずに勢いは保っているかな、という印象。次回予告の1周年ライブって時点で、身バレ展開は普通にというか、ほぼ誰にだって読めていただろう。
ガルクラ8話の雑感
イベントで振り返り上映があるので、最後にライブをやると予想していたが、なんと外れてしまった。これには驚いた。まさかの通常EDだったという。
予告映像からフェスの演奏で〆ると思っていたら、フェス本番はまだ先っぽい。第9話の予告を見ても、まだフェスじゃないっぽいし。
ストーリーライン自体に意外性や変化球は一切ない。
小細工・小手先ではなく直球勝負である。
桃香がダイダスと遭遇して、最終的には「覚悟を決める」という、本当にストレートな内容であったが、その内容が凄まじく神懸っていた。脚本家の筆力と映像の演出で、とにかく観る者の胸を打つ。圧倒的な地力と練り込みが成せる業だ。
遠征の帰りでも、すでに覚悟を固めた仁菜と、それに否定的な桃香は激しく激突。
ルパ&智の距離感、そしてすばるのフォローと、そのやり取りが良かった。
少しだけ時は流れ――
仁菜はレターパックで父親に通帳を返す(大学は行かない、もう仕送りは要らない)という非常識っぷりを発揮し、ルパと智の吉野家でバイトを始めた。サービス業、客商売に向いていないと、すぐに分かる仁菜らしいダメっぷり。
修羅の国と一部から評判な川﨑国の下劣な客から人種差別を受けたルパが、「だから私にもロックは必要」と仁菜に小さく言ったのが印象深かった。
一向に解決しない仁菜と桃香の対立。
智は「もう終わりかも」とルパに言ったが、ルパは「始まりです」と返す。
で、桃香なのだが、すばるとの会話で「逃げ道」を塞がれていく。
第7話のミネと仁菜の会話――桃香が「自分の音楽で勝負して」その結果「否定される事」から逃げているのは、本当にそのままであった。
・ルパと智は最初からプロ志望で、そのつもりで自分達に加わった
・仁菜が覚悟を決めたから、自分(すばる)も付き合うつもり
・つまり桃香以外の4人の意思はプロを目指すで決まっている
・トゲトゲはフェスの選考を通過した
・活動拠点のライヴハウスでは1番人気を誇っている
・ルパに事務所からの声掛けあり(形式上は桃香たちが引き抜かれている?)
・とあるボーカルの拡散から、トゲトゲのフォロワーが3万近くに増加
・仁菜の歌声に「とあるボーカルが反応」そして拡散後の評価も高い
要するに、インディーズレーベルでのデビューならば現時点でも十分に射程圏内だと、すばるは桃香に告げる。早々に最も効果的な主張であろう「プロなんて無理・無謀」という桃香の「逃げ道」が消えた。
だから桃香は仁菜を連れて、ダイダスのライブを裏方スペースから見せる。
メジャーデビューするという事は、結果が出なければ事務所の意向に従うしかなく、望んでいた「自分たちの音楽」ができなくなるリスクもあると。
実際に、桃香は音楽性はともかく事務所からドル売りを指示されて、それに耐えられなくなりグループから抜けた。アバンにて「逃げない為に逃げ道をなくそう」と仲間と共に高校中退したのにだ。逃げ道なくした筈なのに、ぶっちゃけ桃香は逃げてしまった。
でもって、現ダイダスは成功を収めている。
桃香脱退の時は、以前からのファンに叩かれまくっていたが、それを乗り越えて更なる成功を手にしたのだ。だから桃香は言っていた。あいつ等は正しい、と。
現実から逃げて、独りで歌ってもダメで、諦めて北海道に帰ろう。
仁菜に「後悔するぞ」と言ったのは、過去の自分に向けての敗北宣言だ。自分は逃げて後悔してしまったから、仁菜にはそんな思いを味わって欲しくないと。
まあ、それすら自分を騙す詭弁だったのだが。
仁菜の歌に惹かれたのは、かつての自分の様で、かつての自分を重ねたから。
いわば逃げた自分を慰める為の代償行為でもあった。だからプロから目を背ける。
思い出だけは綺麗なままで残したい。そして仁菜もそうあって欲しいと。
そう吐露した桃香に仁菜は「勝手に思い出の中に私を閉じ込めるな」と想いをぶつける。
もう仁菜は自分の意思で歩き出しているのだ。
そして桃香の歌に救われた過去。
その桃香に誘われたバンドと音楽の世界。
自分が歌う、桃香の歌。
仁菜は逃げない。前だけを向く。
加えて、ダイダスがその場に現れ、桃香は仁菜を置いて逃げ出そうとした。第5話で「ごめん」と呟いた通り、負い目があった。同じく仲間たちも桃香に対して、負い目があった。
これまでの虚飾が剥がれ、この第8話の桃香は徹底して逃げる。
その逃走も、回り込んだ仁菜が身体を張って防ぐ。危うく人身事故だったが。
ダイヤモンドダスト—―桃香が始めた物語であった筈だが、桃香は逃げて、その物語は残った3人が引き継ぎ、桃香ではなく彼女たちの物語になっていた。その虚無感。
魂を込めて仁菜が訴えてくる。自分の物語は桃香が始めたものだから、桃香には逃げないで欲しいと。自分の物語(トゲトゲ)には桃香が必要だと。
桃香が仲間に残した歌――『空の箱』が『ETERNAL FLAME ~空の箱~』と変わっていたのは、絆は永遠だという仲間からのエール。
新しいバンドを作って音楽を続けているんだよね、という仲間からの確認は、桃香に音楽を辞めて欲しくないという願いである。今でも仲間だと思っているから。
その上で、ダイダスの元仲間3人は云う。
ドル売り受け入れた過去に後悔はしていないし、今の自分達に矜持があると。
それでついに桃香は「仲間との過去」を吹っ切った。
小指を立てて「あんなクソみたいな演奏」と、「フェスでファンを奪ってやる」と。
ついでに仁菜はダイダスというか、ヒナに宣戦布告だ。
正しいのはお前達じゃなくて、私達で、だから勝つ。
帰りの道中で、軽トラを運転する桃香は仁菜に訊く。
どうしてここまでするのかと。
仁菜はシンプルに「桃香が好きだから」と答えた。
――なんだそりゃ――
察した仁菜がラジオのボリュームをマックスにすると、桃香は号泣。
仁菜は聞こえないふりで、桃香から視線を逸らす。頬には一筋の涙。
サブタイトル「もしも君が泣くならば」――僕も泣く
解釈は色々あるだろうが、自分は「最後は打算抜きで必要としてくれて、そして離さないでくれたから」だと思った。だって絆は永遠だし、蟠りはないし、恨みもないし、これは互いに納得しての結果だけれど、ダイダスの3人は結局は離れてしまったし、桃香を追いかけてくれなかったから。
ビビッて逃げた桃香を追いかけてきて、そして「お前が始めた物語だし、お前の歌に私は救われた」と、だから「一緒に覚悟を決めてくれ」――なぜならば「私達は昔も今も正しいから」と迫ってきた仁菜の動機が、打算や不純な感情ではなく「ただ好きだから」である。
ロックだよ。
好きだから一緒に退路を断って「桃香の歌」と「自分の歌声」で勝負しようぜって。
一度は諦めた武道館へ、自分と一緒に行こう。
もちろん恋愛的な好きではなく、もっとスケールの大きいロックな愛情だと思う。
とにかく凄い回だった。
神回を超えた、まさしく超神回である。
なんていうかケチの付け様がないし、ここが悪い、ここをこうした方がもっと良いのではみたいな、そんな指摘も思い浮かばない。人物の造形、描写、物語の構成、脚本、ストーリーと金と時間をかけて練りに練っているのは理解できる。
この8話単体のみならず、1~8話までの流れが完璧だ。
無駄がないし、バランスが絶妙である。凄いなぁって唸る事しかできない。
ヨルクラ8話の雑感
結成1周年ライブを顔を隠して行う。発案はもちろん花音。
しかし「みー子」回(第6話)にて「JELEEのコピーバンド」を騙って代打ライブやってしまった為に、花音の過去がすっぱ抜かれて身バレ、ネットで炎上。
で、無観客ライブを配信で成功を収めて、トレンドを独占する。
『サンフラワードールズ』のPである花音の母親が、まひるの引き抜きを画策だ。
問題発生⇒すぐに解決、はノンストレスで悪くはない。
余韻や深みは全くないが。ストレスないって、逆に言えばそういう事だから。
だが、6話のコピーバンド云々は身バレのネタ(原因)としては安直に過ぎたし、そもそもコンセプトとしては「役割を分担した匿名アーティストグループ」だった筈。
おいおい、結局はバンド的な事やる方向に行くんかいっていう。
ま、ぶっちゃけ物語が雑である。
コピーバンドを騙って代打ライブ=ちょっと強引じゃね?
1周年記念で覆面ライブをやろう=必要性が皆無じゃね?
そもそも身バレしたって、昔と違い事務所に所属しているプロではなく趣味で好き勝手にやっているだけ――で押し通してしまえばいいし。アンチは無視、嫌なら見るなと。というか、現時点でそんなレベルの収益を得ていたとは。
なによりもライブシーンがイマイチだった。
まあ、歌手とキーボードはともかく、他の2名はモデレーターと(絵を描く)リアルタイムパフォーマー(ライヴドローイング)と、裏方でいい人がわざわざ壇上にいるのだから。やっぱりライブシーンだとバンドじゃないと映えない。
尺が詰まっているのではなく、展開そのものを無理に詰めている感じだ。
引き抜きに関しても、まひるにはチャンスであろう。逆に今と仲間優先でチャンスを見送ったとしても、どの道、美大に進学して地力とコネを蓄える予定・方向性だから、これって単なる仕事のオファーで障害とは言えないのだ。予想外に早く1回目の選択肢が訪れたね、というだけ。
背水の陣、なんて状況ではないのである。
そうなんだよね。まるひが引き抜きに応じるか否か、は別にまひるのイラストレーターとしての人生(将来)に重大な影響を及ぼすわけではない。第7話で「花音以外の」3名は将来を決めてしまっているから。
ノンストレスで問題が解決して、その場その場のカタルシスはある。
凡アニメやクソアニメと比較すると、それで十分といえば十分だ。
だが、しかし。
見せたい展開、やりたい展開を強引に繋げた「やや素人臭さ」が、なんていうか、隠しきれていないというか、ほのかに感じてしまう。配置されているキャラが忠実にその役割を果たしている反面、そのキャラ配置から先の展開まで固定化されている。
ここから先、小春とキウイの繋がりがこの問題に影響を及ぼすのだろうな、と予想できてしまう。尺的にまだ4話残っているから分離してもいいけれど。
テクニカルには違いないし、先も気になるが、作画100点を除けば他の全ての要素が80点でまとまっているという総評は変わらない。このままでも十分に良作だけれど、この作品ならではのパンチに欠けている。
9話はヨルクラが神回をぶっこんできた
8話の反応の差で、ガルクラ対ヨルクラも決着ついたかなと思っていたが、どっこい、この第9話はヨルクラが神回にて話題沸騰に。とはいっても、別にガルクラ9話が不評だったり失速したわけではない。単純にヨルクラが一気に加速してきた。
ガルクラ9話の雑感
超神回だった8話の次という事もあり、基本的には穏やかな日常回。
仁菜のアパートのエアコン(クーラー)が故障してしまう。ルパと智の団地へ、仁菜は涼を取りに「アポなし」で突撃的に訪問する。心を許すまで超がつく人見知りなのに、いったん友達認定すると距離の詰め方がバグっているよ仁菜。
少しの間だけと言いつつ居座る気満々なだけでは済まず、ルパと智のエアコン(クーラー)すら、故障しているパワフル機能のボタンを押し、破壊してしまう始末。ヒデェ(笑
今度は3人ですばるのタワマンに乗り込む。
なにが凄いって、仁菜は他人の家のエアコン(クーラー)破壊した事を全く反省せずに「ボロクーラー」とか揶揄っていた。仁菜のアレっぷりと、それを許容できる仲間との絆が表現できているギャグ的なほっこりシーンだ。2話の頃を思うと感慨深い。
さらにバイト夜勤だった桃香も合流してのハチャメチャなお泊り会。
すばるの聖人っぷりに感動するというか、本当に色々と笑えた。そんな中、智1人だけ乗っていけないのには、訳があり、それは彼女の過去に起因している。
ガチでプロを目指して音楽に向き合わなかった昔の仲間2名と決裂した過去。
それがトラウマ(プロを目指す上で間違いだとは思っていない)になり、智は「音楽に関してガチな本音」を、新しい仲間にぶつける事を躊躇してしまっていた。要するに、まだ新しい仲間3人を信じられないでいる。決裂した2名と同類なのではと。
ちなみに、音楽的な素養と経験は智がメンバーの中で1番っぽい。幼少時から本格的にピアノを習っており、複数回のコンクール受賞歴まである。
桃香も相当なレベルだろうが、旧ダイダス時代はギターボーカル。リードギターではない。自分と同等以上のボーカリストである仁菜と出会い、リードギターに転身だ。
曲作りの技術と才能はともかく、演奏者としては智>桃香=ルパ>すばる、かな?
で、仁菜がギターに挑戦し始めたのだが、智は強烈にダメ出しする。
自分(智)の本音をぶつけられた仁菜は、かつての仲間みたいに自分を嫌う、拒否ると思ってたが、ルパは「仁菜は喜んでいた」と後で智に教える。
視聴者は嫌という程に分かっているが、仁菜は正しい事が正しくあるべきだと思い、間違っている事が嫌いで、それ故に納得できない理不尽に対して牙を剥くヤツだ。智の(仁菜のギター)評価は正しい。よって嬉しいのだ。そして「プロを目指すのも本気で、ギターの練習も本気」だから、正しい酷評程度でやる気をなくしたり、諦めたりしない。
ちゃんと正しく向き合って欲しいと願う。
気を遣われて、間違ったお世辞を言われるのは、むしろイヤ。
実際、仁菜の現時点でのギターに対しての反応は、他の3名も三者三様で「これではステージで披露するのは無謀」と伝えていた。
まあ、日和った智は「下手くそだけど、ステージで演奏したいのならば、すれば」と仁菜に遠慮してしまうのだが。しかし仁菜はその嘘(間違い)を拒絶する。
なんだかんだで、最後は智も心(本音)を開いてくれて、トゲトゲ5人はまた1歩、先へと進んだ。新曲に対して納得がいかない桃香に対して、音楽的な素養に乏しい仁菜は「自分はこのままでも好き(悪気なし)」と言っていたが、智は「桃香、このままじゃツマラナイ」と本音(本気)をぶつける。
桃香は嬉しそうにニヤリと笑み――「だよな」
ルパが智に言っていた通り「桃香たちも智と同じくガチだ」と、智も実感だ。
互いに本気で、同じ道を歩む仲間・友達ならば、バチバチのぶつかり合いすら心地よいってね。相手の顔色を窺って取り繕う様な真似は、本当の仲間には必要ないから。
母親の不貞に比べれば、分かり易く予想できる智の過去であったが、上手い具合に仲間との絆に昇華できたなと思った。仁菜というキャラの特性からも、変に捻らずに王道でいったのも効果的である。というか、1話~9話まで「視聴者の裏をかく」「視聴者の予想を外すのを狙う」という変化球が1度もない。
箸休め回に相当する今回ですら、剛速球でパワフルに捻じ伏せてきた。この剛腕っぷりは、監督と脚本家の地力・技術がスバ抜けているからこその芸当だ。
この第9話のAパートのお泊り会から解散まで、何度も繰り返し観てしまった。
キャラ立っているから、コミカルな掛け合いだけでも楽しめる。やっぱりキャラ立ちだよキャラ立ち。脳内で色々なパターンの日常会話や楽しいやり取りが、この5人ならば容易に想像できるもんなぁ。しかも人間的にどこかダメなヤツばかりだし。
ヨルクラ9話の雑感
種明かし&伏線回収第1弾って感じの話であった。
ストーリーラインは単純。
①まひるがキウイに相談「せっかくのチャンスだし挑戦したい」「でも、花音の過去(母親+サンドーとの確執)を考えれば、後ろめたい」
キウイは「花音にオファーを受けた報告してから、雪音Pの話を聞けば?」「自分はまひるの挑戦を支持、応援する」
②まひるが花音に「サンドー関係で仕事のオファーあったから、まずは雪音Pの話を聞きにいく」と電話で報告
③花音のアイドル時代の過去が明らかに
(これは特に意外性はない情報開示、ただしサンドーとの和解は難しそう)
④まひるが雪音Pにオファー内容を聞き、返事は後日にとなる
⑤4人揃っての席にて、まひるは「チャンスなので挑戦したい」と花音に打ち明ける
新作MVの作業時期がブッキングするので、新作MVはリスケして延期希望
⑥花音が癇癪おこしてキレまくり、一線を越えた暴言で、まひるを絶望させる
大雑把に、こんな感じ。
5話時点での感想で、自分は百合キスに関しては否定的な意見を書いた。
まひるの絵が好きだった筈なのに、まひるが好き、まひるが描いた絵が好きにすり替わっているんじゃないの、これ――と。間違いじゃなかった。花音はクラゲ壁画をみて歌詞を思い付けたから「ヨルの絵」に思い入れたのであって、絵そのものが好きではなかった。
出逢ってまひると親睦を深めてからは、「まひるが描いた絵ならば『へのへのもへじ』でもオッケー」状態であった。デッサンが狂っていようが、問題ないのだ。だって「大好きなまひるが描いた」事が肝要であって、その絵本体には興味が薄いから。
まひるはその違和感に気が付き始めているっぽい。自らデッサン狂いをダメ出ししたラフを、花音は全肯定してしまう。まひるは「少し褒め過ぎ」と困り顔で返しつつ、(あれれ、花音って、ひょっとして私を絵をちゃんと見てなくね?)って感じで。
逆に、雪音Pはまひるの絵を通して、彼女がしっかりと基礎を学んでいる事を見抜く。正当にまひるの絵を評価して、その上でオファーというチャンスを提示だ。
キウイとめいの2名は、まひるのイラストレーターとしての将来に理解を示す。
そりゃそうだろう。たとえ大失敗に終わっても、プロキャリアの第一歩を踏み出す機会を得て、そして経験できるのは将来を考えても非常に大きい。またとないチャンス。
後押しするよ、だって友達で仲間だから。
とはいっても、花音の家庭環境とアイドル時代の事件を思えば、いくら「大切な友達同士とはいっても」花音が心からまひるを送り出してくれるか、やはり不安――
バッサリと切ってしまえば、なんだかんだで友達としては「幼馴染の」キウイの方が、花音よりも信頼できるって事でもあった。本当に花音を友達として信頼できているのならば、誰よりも先に花音に話している筈だから。
でも、友達だから最後は「将来の夢のためにも頑張れ」って、まひるに言ってくれる――
結果は無残だったが。
ガルクラ9話は(仲間だろ)怖がらずに本音でぶつかってこいよ智、的な話であったが、ヨルクラ9話は「お前の本音ってそれかよ、花音」である。
第7話の雑感でも述べた通り、花音は将来に対して「宙ぶらりん」状態で、だからJELEEとまひるに依存していた。縋り付いている。現実から目を背けている。
サブタイトル「現実見ろよ」
そして作品タイトル「夜(ヨル=まひる)のクラゲ(花音)は泳げない」だ。
これは花音の再生の物語。
自分で泳げるようになる為のストーリー。
まひる、キウイ、めいの3人にとって「JELEEのフォロワー10万人」は、花音の目標であって、自分達は手伝っているだけだ。まひるは花音に「(JELEEとしての)目標」を訊かれたが、「(自分個人にとっての)目標」を答えた。
採算度外視、無償で参加している趣味活動グループの一員との自己認識である。
4人での席にしても、キウイとめいは「自分達と同じく最後はまひるの背中を押すだろう」と考えていた節があり、裏切り者的に反対した花音に、めいは「ええ?」という戸惑い、キウイは「マジかよ、コイツ」的な表情をしていた。
花音の本音を聞かされたまひるは絶望の顔だ。
JELEEに対する花音と他3名の温度差は4話の時点で薄々と示されていた。その燻っていた歪みが9話にて顕在化したな、という印象である。ガルクラのトゲトゲ5人とは違って、同じ道・同じ目標・同じ夢を追う運命共同体ではないのだ、JELEEの4名は。
それぞれが別の道を目指す、今は一緒に活動しているに過ぎない「友達」である。
友達同士だから、その友達がチャンスを得たならば応援したり後押しする――のだが。
JELEEに縋り、(母親に代わって)まひるに依存していた花音にとっては、そういった「友達」ではなかったから、あの最悪な態度になってしまったと。
もちろん過去のトラウマが、花音爆発のトリガーになっているのは容易に想像つくのだが、その爆発の結果が「言ってはいけない本音ぶっちゃけ」は致命傷だ。
少なく見積もっても、リアルに考えると花音とまひる&キウイの信頼関係は瓦解した。そして、それはもう決してもとには戻らない。
ギスギス展開に拒絶反応を示している視聴者が、裏切ったまひるが悪い、雪音Pがまひるを騙していて、それを見抜けないまひるが悪い、という論調を展開しているのも興味深い。
雪音Pは花音の母親としては最低の部類だろうが、JELEEの無観客ライブを観て(インスピレーションを得て)、まひるに仕事のオファーするのは単なるビジネスだ。契約書を交わして、ギャラを払って、その対価としてまひるは仕事を請け負う。それだけである。失敗するか成功するのかは、別の話だ。
仮に雪音Pが悪人で詐欺師だとしたら、ギャラの未払いとか、契約内容とは違う仕事をやらせようとする? のかな? う~~ん、わからない。
趣味グループで無償にて描いているイラストの納期のリスケを頼むのも、本当に夢を応援し合う友達ならば、そんなにおかしな事なのだろうか。花音が他所からのオファーで新規MVを年末までに完成させる金銭的な契約を結んでおり、それを守れなければ莫大な違約金が発生する(=破滅する)わけでもあるまいし。
まひるが「裏切らなければ」ギスギス展開にはならなかったから、まひるが悪い、まひるクズみたいな論調には、友達のチャンスを応援できずに裏切り呼ばわり、クズ認定する様な連中は、友達でもなんでもないから、縁を切ればとしか思えない。
ってか、JELEEの作業を優先してプロ初オファーを断るなんて、大局的に見れば花音の為にならないんだけどね。いずれ別々の道を歩む時を考えれば。
それと、花音がメロの顔面に右ストレートをぶちこんだ件については、メロは殴られるだけの事はしたと神視点では思うが、他人の目の前で殴ってしまったら、単なる暴行事件の現行犯だ。事務所内で被害届なしにしても、世間に対してのケジメは必要だろう。殴られるだけの咎を犯した者は、無責任に殴って良い、ではない。殴る=罪を犯す、だから殴るなら殴った事に対してのケジメは(少なくとも法的には)要る。
なんにせよ、次回以降の展開が楽しみである。
まあ、確実に小春とキウイの関係が絡んでくると予想だ。まひるがサンドーの仕事で成功しようが失敗しようが、物語の大筋にはあまり差異はないと思う。仮に大失敗したところで、美大進学とイラストレーターの道を諦めないだろうから。
っていうか、第10話でまた時間が経過して、まひるは初仕事の成功で新進気鋭のイラストレーターとして名前が売れ始めている状況からって気がする。で、JELEEの活動は休止状態で、花音とも連絡取れずにどうしようって感じ。
10話は個人的には互角だったかな
ストーリーラインと脚本については、やっぱり地力の差を感じる。人間と関係性の表現はガルクラが一枚も二枚も上。でも、クライマックス時の激情は(ちょっと作りモノっぽかったが)ヨルクラの方が盛り上がったかな。加速も失速もなしで、両作品ともに最終エピソードに向けての助走回だろう。ってなわけで、それぞれの感想を。
ガルクラ10話の雑感
仁菜と家族というよりも、父親である宗男との関係性の改善を扱った回。
この第10話で宗男の好感度が爆上がりだ。
宗男が一気に人気キャラ、愛されキャラになった。
色々とダメ親であるのと同時に不器用ながらも良い親父やん、宗男。
というか、仁菜は本当に宗男の娘なんだなと強く共感できる話であった。
あからさまに「相互理解はすれ違っているし、噛み合っていない」部分が示されているのだが、完全に理解し合えなくても「互いの家族愛」を確認できた事が大きい。
理屈や損得勘定・世間体ではなく、気持ちで純粋に背中を押せるのが家族愛だ。
宗男は父親として、虐め対処の初動をミスった。後にそれを認めた上で奔走し、熊本県教育連盟顧問で世間ではカリスマ教師なのにそのプライドをかなぐり捨てて、今度こそ娘の仁菜に対して虐め対処のケジメを示した――つもりだったが、学校側の対応がアレ過ぎて滑っていたし、仁菜の反応も(納得いかねえと)鈍かった。
まあ、虐め問題に関しては「父親の認識と対応」を除いて、据え置きだろう。
放送室ジャックした時とは違い、宗男が仁菜側に立って動いてくれたって事が、仁菜にとっては何よりも大きかっただろうし。仁菜が虐め問題でブチ切れたのは、父親が被害者である自分の味方をせずに、敵である学校側に立って「妥協点として大学の推薦」という「仁菜が望んでいない結果を、父親の希望として押し付けた」からであって。
潤滑剤を担ってくれた姉。
ルパに往復チケットを託してくれた母。
以前は厳格だった家訓を撤廃し、姉と共に食べた母が作ってくれたカレー。
細かい演出の数々で、宗男の後悔と後押し、そして頑固さが表現されている。
そして、仁菜の帰りを信じているというか、もしも帰ってこなかったら熊本に乗り込むつもりだった桃缶と愉快な仲間たち。
この回は普段よりも「行間を読ませる」「解釈に幅を持たせる」事を、意識して行っていたと思う。家族も「レターパックで通帳を送り返された時はビビった」「仁菜の目標はだいたい分かったから、大学に行かないのは仕方ないとして、安心して送り出せる」――こんな感じだよなぁ。バンドでプロ目指すのは理解したので、フェスに応援しに行くと予想だ。行かなかったらビックリだが。
チラホラと「仁菜の牙(トゲ)が抜けた」と感じている視聴者がいたが、仁菜が直情的に咬み付いて狂犬化するのは「なあなあ的に迎合する理不尽」「正しさを否定する間違い」に対してだ。自分を後押ししてくれる家族愛に咬み付いたら単なるバカである。仁菜のキャラは一貫している。まあ、第9話の言動からも基本的にダメなヤツだとは思う。
というか、家族愛を再認識した結果、仁菜は新曲の歌詞を完成させられた。
派手さを抑えた演出に、カタルシスよりも涙腺に訴えかけてくるエピソードである。
バンドがメインだから、家族ドラマに「少しだけ」物足りなさを覚えたのも否定できないけれど。8話9話10話と3回連続でライブないんだよね、実は。
そしてアニメ版トゲトゲは、グッズが売れる程の人気は、現時点ではないと判明。
ルパのチェキが大人気なのはbeni-shouga時代からだろう。
有名芸能事務所、株式会社ゴールデンアーチャーのスカウト三浦 潮美とのコネが出来て、いよいよフェスが(アニメ1期の)クライマックスだと判明した。フェスで爪痕を残せられれば、メジャーデビューへの第一歩となる事務所所属が叶う。
次回予告では第1話で共演したキョーコがミネと一緒にいるので、フェス本番前に何かイベントが起こりそう。それか、もうフェスが開幕しているのか。
12話のフェスが最高潮で、13話でエピローグ。
つまりインディーズレーベルでのデビュー決定までなので、メジャーレーベルまでの道筋や目標である武道館ワンマンライブを考えれば、3期や劇場版はともかく、企画として2期構成っぽい。フェスでダイダスと共演しても、今は立っているステージが違っている。勝負云々という立ち位置にはいないのだ。ってか、2期でダイダスと勝負して欲しいと希望だ。
ヨルクラ10話の雑感
花音が立ち直る回。
キウイとめいが大活躍だった。
キャラが脚本の都合で少し「動かされている」感は拭えない。キャラブレという程に酷くはないが、これ、たぶん脚本の人の本業である方のラノベ版を読めば、違和感は解消されると思う。キャラ視点での心理描写がないと、ちょっと解釈に迷うなという感じ。
この第10話は、まひるの「今の心理」が断片的に過ぎて分からなかった。
そりゃ、仕事(チャンス)に対して真摯に取り組んでいるのは分かる。友達からの電話に、浮かれたり天狗にならず、しっかりと足元を見ている事も。
前回の第9話から、視聴者が理解するのに必要な行間が「意図的に」抜かれている。
最後のシーンから花音を許し応援しているのは分かるが、途中が不明だ。
キャラブレについて少し脇道に逸れるが、前クールの『バーンブレイバーン』では、アニメ映像のみだと、多くの視聴者は「ホノカは少しヤバ目な女で、ホノカはイサミが好き」という風に解釈していた。「イサミはヤバ目な女に惚れられている」と。まあ、公式ホームページでのキャラ紹介でも、ホノカはイサミに惚れているって風なイメージだったし。
しかし、公式外伝小説『未来戦士ルル(現時点で2話まで公開)』でのホノカ視点の心理描写で、ホノカは「イサミに憧れていた」と明示されている。恋愛的な感情はない+アニメ本編では排泄ネタもあり「やや変わった人」な印象だったが、公式外伝小説の心理描写だと「感性的に常識的でまともな人」であった。逆に映像ではサバサバ系な印象だったヒビキの方が、ヒビキ視点の心理描写だと少々メンヘラ気質だったという。すぐに思い直すとはいえ「イサミが自分に背中くらい任せてくれていれば(一緒に死ねていたから)いま自分は独りぼっちじゃないのに」とか考える、激重な女だった。アニメと小説では「イサミに対して」受ける印象がホノカとヒビキでほぼ真逆だ。
だから映像情報だけでは、キャラ心情の解釈や考察は難しいな、と。
追記で第3話についてだが、アキラ、シェリー達といった戦友と再び共闘する流れになり、ヒビキはメンタル復活してアニメ本編のイメージに戻る。
注記)大張監督はあえて「見せたいシーンのみ」をシームレスとは反対の手法で繋ぎ合わせたらしく、それによって「本来のキャラ設定」に沿っていない言動を「見せたいシーンと話の都合」で、キャラが強引に動かされている場面が散見できる。最たる例が、イサミが2度目の戦闘の後で全裸のままブレイバーンに引き籠った事。「全裸引き籠りのイサミ虐」を実現させるのを優先して、イサミの性格・キャラ心理を無視していた。
で、話を戻すと――
●まひるが花音に対して、第9話に浴びせられた暴言をどう内心で処理して、かつ仲直りするつもりでいる心境は、正直いってラノベ版での心理描写でなければ分からない。どうやって、あのショックから気持ちを立て直し、花音を応援する気になれるのか。
●キウイ、めいの両名は、花音を見限らずにJELEE存続と「花音の居場所」を守るために奮闘する。奮闘とはいっても代理で入ったバイト先にめっちゃ迷惑かけていたけれど。不真面目すぎてクビになって当然の勤務態度だった。店長が可哀そうである。花音とまひるはバイト復帰できるのだろうか。
●メロについては、寂しくて空っぽな人だと表現されていたと思う。雪音Pの養分である事が自分の全て。母親(雪音)に必要とされたいという想いが全てだったのは、花音も同じ。それもメロは理解していた。違っていたのは、花音は歌が好きという事と「メロとは違い」友達を得ていたという事。最後に車の中で「今もこれからも自分は独り」だと再認させられたのが、この物語におけるメロへの罰だと思う。
●花音の心理は割と明白だったと思う。結局は「母親に再び見つけて欲しい」から、JELEEの活動(歌っていた)をしていたと、めいに対して認める。9話で「(母親が見つけたのは)自分ではなく、まひるの方だった」と呟いた裏付けだ。まひるへの好意とは別に、まひるを利用していた事も認める。母親と同じ事(利己的な真似)をしていたと。まひるへの怒りも消えており、ただ自虐と自身の本音に強制的に向き合わされて「JELEE解散」へと逃げる。逃げるというか、もう歌えないと心が折れた感じか。めいが「自分はののたん推し」と自称していたとはいえ、アパートを訪ねためいを「追っかけ&(まひると同じく)利用していた仲間」扱いしたのも、花音という人間の孤独さの象徴でもあった。めいに「友達だ」と言われて、最後の音痴な歌披露で、ようやく花音も目が覚めたっぽいが。
●雪音Pについては、分からない。家庭人・母親としてダメなのは確定だ。プロデューサーとしては別に悪人ではない様な。メロと花音を「利用していた」とは言っても、そこはプロとして契約している以上は避けられないし。メロへの心理的フォローは、プロデューサーとしてやる方がいいかもしれないが、それをやるとメロが抱く不健全な依存度が更に上がるリスクもある。プロデューサーとして「タレントの」花音を切り捨てるのは仕方がないが、母親として娘のフォローしないのは人(家族)としてどうよってだけだ。
旧「みー子」こと馬場静江31歳は、大食いユーチューバーに転身していて笑ったが、あまり役に立っていなかった様な。それと糖尿病が心配だよ、BBA静江。
ていうか、小春がまだ再登場していないのは予想外だ。
展開が時間的にキツキツで、登場人物がちょっと渋滞気味なのも気になる。
9話の意味がある10話ではあったが、良い話ではあったが、粗も気になった。
最後の配信シーンは、神視点で見ている視聴者としては盛り上がったが、あの配信を見ているファンからすれば「なんじゃこりゃ」な感想が大半なのでは(汗
WEBラジオでもそうだが、基本的には放送作家が大筋を書いて、それに沿ってタイムキープしながら進捗する筈。配信でも「全てがぶっつけ本番」はないと思う。冷静に振り返ると「かなり強引じゃね?」って気がする解散詐欺であったが、勢いで押し切れたと言えば、ギリギリ押し切れたと思う。
残り2話の筈だが、Cパートでキウイの身バレ云々が差し込まれていた。
あれれ? これって尺的に間に合うのだろうか。
(花音を裏切った)まひるはどの面を下げてJELEEに復帰するつもりだろうか、という拒否反応を示した視聴者もいたが、当の花音が「まひるを利用していた面は否定できない」と自省しているので、まひるが謝罪した花音を許して、なあなあで終わる気がする。
尺的に逆算すると、まひるの初仕事は深堀する時間はないよね、これ。初仕事は成功評価で終わり、でスッ飛ばすのでは? っていうか、尺的に花音と雪音Pの直接対峙すら怪しい。花音が過去を克服(本当の意味での母離れ)して「独り立ちして」自分の歌を見つける――のがテーマで、ここまで過去を明かされたら、もう雪音Pとメロ、サンドーは基本的な役目を終えているよなぁ。消化する必要があるのは父親の方だ。
11話でキウイ回。いや、丸々1話を使うのか?
そうしたら残り1話でやれる事って、4人揃ってのJELEE復活ライブで、そこから「それぞれの未来」を断片的に描いたエピローグ、くらいしか尺がないのでは?
11話はクライマックス!!!!
ガルクラ11話の雑感
フェスのライヴ回は12話で、最終13話がエピローグだと予想していたが、この第11話にフェス回でのライヴ対決をぶっ込んできた。ハイスピも最終話前の11話からラストレースを始めているので、構成としてはこれが王道だと思う。
この回は王道&王道。
ド真ん中への剛速球である。ここまでの1話~10話までの積み重ねをしっかりと消化しつつ、最高潮に盛り上げてきた。意外だったのが――
●仁菜とヒナの因縁の詳細は未公開なまま
●ライヴシーンの墓参り(明るいから現在の映像ではない)の女性はルパ本人? あるいは未登場の肉親?
12話で波乱が起こるとすれば、ルパに肉親(おそらく姉か妹)がいる事が判明くらいだろうか。あるいは株式会社ゴールデンアーチャーとの契約内容か。フェスでのライヴの成功を考えると、活動自体に暗雲が立ち込めるとしたらやっぱりルパの肉親関係では?
第1話でトラブった挙句、最後に共演したキョーコはトゲトゲおよびボーカリスト仁菜のファンになっていた。ひょっとして、アカウントが拡散する切っ掛けになった「とあるボーカル」ってキョーコだったりする?
仁菜が拘っている「私は間違っていない(自分の方が正しい)」については、アニメ2期がある前提で考えると1期で解消されるのか否かは、微妙だと思う。「正論モンスター」のアイデンティティでもあるので、それを解消する必要があるのかも分からないけれど。
で、フェスでの先行はメインステージでのダイダス。
ライバルとして正々堂々の正統派である。
流石のメジャーデビュー済み。アイドル企画系バンドと揶揄していた連中を見返す演奏と歌を披露だ。これが自分達だ、と。その意識と実力は、充分に客へ伝わっている。
演奏後の小指パフォーマンスはトゲトゲを意識していた。
そして、その後にサブステージでトゲトゲの番だ。
メンバーはそれぞれ特徴的な衣装をチョイスしているのだが、仁菜は「仁義(おそらく仁菜の正義)」の文字を胸に、そして「傍若無人」パッピを羽織っていた。パンクな和風っていう印象である。ロックでカッケーわ、仁菜。
圧倒的な唄および演奏そしてパフォーマンスで、観客を集め魅了した。
トゲトゲVSダイダスの第1ラウンドは引き分けといった感じ。演奏後、観客の熱狂した反応が、仁菜のボーカリストとしての才能を証明している。
この11話に関しては、今までの集大成といった感じで考察云々ではない。
ただ素晴らしい作品という感想だ。
桃香の買取価格、10万円の大台に乗っている。
ライヴシーンに尺を割いているとはいえ、必要なドラマを「引き算」を効かせて上手く見せてくれていた。7話以来のライヴだったので満足度が高かった。
あと2話でガルクラが終わると思うと悲しいし、残念だし、ガルクラロスが怖いなぁ。最終13話の後に「2期製作決定」と告知してくれると嬉しいのだが。
アストロノオト11話の雑感
なんで唐突に『アストロ~』の感想を入れたのかというと、11話Bパートの展開がなかなかにブッ飛んでいたから。
某『めぞん一刻』パロな昭和風ラブコメかと思って視聴していた。まあ、だいたい全てにおいて60~70点といった凡作という自分の評価だ。ところが、だ。この第11話のBパートでその凡庸だった印象が一変する。
①アパートの庭から探していた『鍵』が見つかる
⇒実は第1話からひっそりと画面に映っていたりする
②主人公が「好きです」と大家(ミラ)に告白
ミラ「私も好きです」⇒ぶちゅ~とミラからディープキス
想いが成就するシーン、めっちゃ雑だな、おい
③ミラはミボー星には帰らず、このままアストロ荘で2人は暮らす(母星の民衆&家族とか女王の責務は清々しくブン投げ)のかと思いきや、なんか異変が起こる
④結婚式のケーキ入刀のノリで、2人はアストロ荘の時計台に鍵を差し込む
⑤ゴシュ星から地球侵略の艦隊が!
⑥アストロ荘が巨大ロボに変形(2人は宇宙服に自動チェンジしてコクピットへ)して、いざ最終回で大決戦だ(いや、地球を巻き込むなよ)!!
真っ当なラブコメを期待していた視聴者は「10話まで丁寧に積み重ねてきたのに、残り2話でいきなり雑になった、ぶん投げた」と失望していた。いやいや、最終回でこれやって、ぶつ切りエンドをかましたのならばともかく、雑にチューしてくっついたのも含めて、絶対に狙ってやっているでしょ、この超展開。
最初から真面目なラブコメで〆る気なんてなかった。ひっくり返す気が満々である。
おいぃ! 盛り上げゼロで速攻でぃーぷチューしてくっつくのかヨ!
おいぃ! ミラ、次期女王の責務とかブン投げて地球永住をあっさり選んだヨ!
おいぃ! アストロ荘が巨大ボロに変形しちまったぁぁあああッ!
第1話から10話における伏線と積み重ねは、11話Bパートで視聴者にツッコミを入れさせて、笑わせるのが目的だと思うんだ。――少なくとも自分は、アストロ荘が割と格好悪い巨大ロボに変形するシーンは、腹を抱えて爆笑したよ。
この1発ギャグをぶちかます為に、10話以上も丁寧な前振りやっていたのか、と。
最終回もさらにどんでん返しがあるかもしれないが、アストロ荘が巨大ロボ(名前はアストロノオト?)に変形した1発ギャグだけで、かなり凄いと思った。冷静に振り返ってみると、伏線と構成はかなりしっかりと練られている部類の作品なのだが、そのシナリオが、まさか巨大ロボ変形の1発ギャグの為だったとは(笑
↓0話切り1話切りが当たり前の時代にこんなん無謀すぎるやろ・・・
「最終話では…。まだネタバレで言えませんが、ラブコメ作品、いやアニメ作品の中でも今までほかに類をみないとんでもない結末となっております。
話数を追うごとに壮大なミステリーの伏線が回収されていきますので必ず最終話までご注目ください!」
↓ 公式が「覇権は無理でした」と敗北宣言するのは珍しいな。
方々から突っ込まれているが、宣伝チーム云々ではなかった様な。トンチキ系のイロモノ枠で覇権は最初から無理があったと思う。冬の覇権『まほあこ』も、内容そのものは原作付きかつベースのストーリーは王道系だったし。
【お詫びとお願い】
— TVアニメ「アストロノオト」公式 (@AstroNote_anime) June 19, 2024
TVアニメ「#アストロノオト」は、覇権を取りたかった…
これは宣伝チームの力不足…応援していただいている皆様、誠に申し訳ございません。
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そこで❗️
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最終回の盛り上げに、みなさんのお力添えをいただけませんでしょうか。
何卒宜しくお願いいたします。 pic.twitter.com/jec6YNIm6n
ヨルクラ11話の雑感
次回予告からして、小春が重要な役どころで出てくると予想していたのだが。
え~~と、結局は7話に登場したっきりのゲストキャラだったの?
まひるが「自分が好きだった本来の絵」を思い出したり、キウイが過去(のトラウマ)を乗り越えたのは、普通に予想の範疇内。地元の昔馴染み3名は、これ以上なく分かり易い「悪役としての」舞台装置だったけれど。
富田節が光っていたシャウトだったなぁ。
雪音Pも予想通りのプロフェッショナル。
娘(花音)が関わっている配信から、まひるの才能をスカウトしたってだけで、一部のまひるアンチが邪推していた様な策略はなかった。というか、そんな真似して何になるんだっていう。同人活動の素人集団に過ぎないJELEEの邪魔するメリットなんてない。
一緒に仕事をするメロに対して、まひるが共感という名の救済をするのは意外だった。作品的に断罪されたままでフェードアウトと思っていたから。
ガルクラの仁菜達は「理不尽に対する反骨心」を持っていても「心の闇(汚さ)」は抱えていない。汚さと理不尽さに傷つけられて、反抗(ロック)してやるって連中だから。
人物描写がリアルな反面、存在そのものはファンタジー(非平凡)だ。
ヨルクラのまひるやメロ、花音はガルクラの面子とは真逆に近い。
純粋な境遇自体はかなり恵まれている部類(堕ちたのは、ほぼ自身の責任)なのに、認めたくない向き合いたくない、自分が抱えている「心の闇(汚さ)」に苦しんでいる。
そういった「心の在り方」そのもの、人物造形は、かなりリアル寄りだ。
花音が本当に「歌を届けたい」人は、やっぱり母親(雪音P)であった。
クリエーター(絵師)としての階段を一つ登ったまひるは、最後にサンド―とJELEEの合同ライヴを雪音Pに持ち掛ける。
ラストは和解なのかな?
う~~ん、トゲトゲとダイダスのライバル関係を見た後だと、JELEEとサンド―の間にも、もうちょっとやり様があったと思う。これ前クールの『バーンブレイバーン』でも似た傾向があったのだけれど、「作り手が見せたいシーン」を繋げるのを優先して、作品全体の芯がブレている。人物設定と人物描写にズレと粗が目立つ。
ガルクラを見た後だと、余計にその差異が無視できないのだ。脚本と構成の実力・技術が不足していると言ってしまえば、それだけなのだが。
っていうか、まひると花音は和解エンドが確定として。
合同ライヴ実現と仮定すると、花音はメロとどういった決着をつけるのか、そして母親にどの様なカタチで気持ち(歌)を伝えるのか。
小春は本当に未登場のまま? 父親と姉も含めた家族関係は?
尺から逆算すると、Aパートで残りの伏線を全て消化してBパートでエピローグは難しい気がする。ってか、無理なのでは? 合同ライヴやってブン投げエンドになる?
ぶっちゃけコミカライズ版とラノベ版で「明白な回答(各人物視点での心理描写)」は示されるのだが、ラノベや漫画のアニメ化ではないのだから、アニメ本編じゃ情報提示不足で、答えは脚本の人の本職であるラノベ版でね、はどうかと思う。
最悪のパターンだと、ブツ切りエンド⇒エピローグはラノベ版で、だ。
そういえば、ハイスピも年間獲得ポイントがアニメ本編で示されず、公式HPでチェックしてねっていう方式である。キングとクィーンのポイントが割と近く、そしてカナタが年間0ポイントは酷いと思った。
12話でヨルクラの方は最終回
とりあえずヨルクラに関してであるが、後味が良いスッキリとした終わりだったと思う。結局、悪人らしい悪人はいなかった。自分が不快に思った登場人物に「ザマぁ」展開を期待していた視聴者には物足りなかったかもしれないが。
ガルクラ12話の雑感
円盤7巻の収録が11話12話だから、この2話分で1エピソード構成だ。
溜め回というか、前編というか、最終13話に向けての助走だった。ラストのデビューシングル再生回数だけが衝撃で、他は極めてオーソドックスな流れだったと思う。
最初の予想では13話はエピローグ回だと思っていたが、最後の最後にダイダスとのリマッチをもってきた。エピローグやる尺はあるのかな?
①事務所に所属してプロ契約
固定給20万円+歩合の契約で、おそらくはインディーズからのスタート。
これによって事務所斡旋と思われる単発バイト以外はしなくなり、音楽活動に専念。
②マネージャーの三浦さん以外にもスタッフ4名が付く
この4名のキャラは笑えた。
そこまで掘り下げる設定ではないが、アマ活動とプロ活動の違いは明白に。
③ダイダスの事務所から「対バン」企画を持ちかけられる
勝った方がドラマの主題歌とタイアップ。
ただし、対バンとは名ばかりで「演奏日も違えば、パフォーマンスによる観客の判定ではなく観客動員数での勝敗」――つまりまともに勝負する気はなく、元ダイダスの桃香を潰して踏み台にする気満々。
最初は仁菜とルパ以外は勝負を受けるのを反対していたが、最後は受ける事に。
曲作りの葛藤とか、メンバーが絆を確認し合うとか、なんだかんだで「良い曲」ができたとかは、フツーといえば本当に普通。今までの全12話の中で最も落ち着いた話であったのではなかろうか。
刺激やロック成分はラストの103再生以外はなかったので、物足りなさを覚えた視聴者がいたのも事実だ。実際、海外の視聴者の評価はこれまでよりも低調だった。神回としてバズった5話以降は放送の度にうなぎ登りだったが、ほぼ現状維持に。というか、韓国・フランス・インドネシア以外は(公式配信されていないので)違法視聴民なのだが(苦笑
配信後の再生数103は、そんなに深刻ではないと思う。理由は単純でプロの広報担当がスタッフに付いているから。残りの尺を考えると「ライブ前に仁菜が不安・弱気になる」要素の為の引きかな。智の「私は好きよ、アンタ(仁菜)の歌」が未回収なので、本編で使ってくると予想する。
というか、ラストシーンが読めなくなった。
どのパターンのエンディングかなぁ?
第6話の4名に続いて、この第12話で桃香も武道館の前に立った。メジャーデビューがゴールでも、ダイダスに勝つのがゴールでもない。武道館に辿り着くのが、すばる以外(たぶんすばるは「仲間とバンド続けたい」のであって、武道館自体に思い入れは少ない)4名にとっての最初のゴールだ。
ダイダスに負けるものの、爪痕は残して、ロックな魂で立ち上がって全国行脚へ――みたいな感じの終わりかな? エピローグなしはないよね?
2期への余白は残して終わると思う。エピローグで武道館にキンクリはないだろう。
本編後の次回予告で、最終回とは言わずに次回、だったし。最終回直後に2期決定の報はないにしても、ラスト「To be continued」の文字で〆たりして。
最後の最後に「どうなるか分からない」展開を持ってきたのは、英断というか、制作している時は「ここまで圧倒的に成功する」とまでは予想していなかったから、最終13話は無難かつ安全に着地させるという判断はなかったのだろう。11話で満足して、残りの2話はノンストレスでと願っていた視聴者には、少し辛い流れだろうが。
ヨルクラ最終12話の雑感
前半で合同ライヴ、後半で完全なエピローグ――結論から述べると「雪音Pは仕事人間であったが、悪い人ではなかった」という点に尽きる。まひるが持ち掛けた交渉に関しても「俗物的なバズではなく、その奥に美学はあるのか」と、仕事に対して信念も持っていた。
この物語の「真の主人公」は、やはり花音であった。
未熟で「プロとして仕事(歌)が出来なかった」花音が、大人の階段を上り、そして母親に逆恨みしていた事(過去)を受け入れ、母親に認められた事(「橘ののか」クレジットでも「山ノ内 花音」クレジットでもなく「早川花音」クレジット表記だった)に嬉し涙を流し、最後に歌手として「本当に歌う理由」を見つけ出す。
同時接続5万人――東京ドームを埋めたいという雪音Pの夢を間接的に叶えた事を、花音は「親孝行できた」と素直になる。すなわち母親への依存を卒業だ。その台詞を母親に言ったのが高校の卒業式というのも上手い構成である。
娘の門出を校門前で出迎えてくれた雪音Pは、母親としても不器用なだけで、そこまで酷い人物じゃなかった。ガルクラの宗男と同じ系統のキャラだ。
渋谷の水族館を叶えたのはむしろまひるだったとか、そんなに都合よく5万人も視聴してくれるのかよ、とかいうご都合主義には目を瞑ろう。
花音視点で「雪音Pは問題のある人物」と視聴者にミスリードしていたが、実は問題があったのは(主観が歪んでいた)花音の方で、それを克服するストーリーでした、と。ミステリー要素があると自称していたアストロノオトよりもミステリーしていた、アニメ特有の叙述(視覚)トリックだったと思う。『ひぐらしのなく頃に』と同じだ。
第9話の「まひるの絶望」も、花音視点のトリックだったっぽい。
まひるは雪音Pが「ちょっと変なところがある」と、花音に話すくらいに親しみを覚えつつ、仕事人かつ大人として尊敬・理解していた。
メロとの和解については、その途中が明らかに描写不足。
殴った花音が悪いし、最後の最後でメロは花音の背中を押してくれたし、メロは早川親子に理解も示していたし、まあ、すれ違いのままよりはマシだったかな?
尺の都合で、アニメ本編外で説明している個所もある上に、やはり脚本の人が本職で書いているラノベ版が「正解というか、回答というか、正史」なのだろう。
色々と浅かったり足りなかった部分もある作品ではあったが、メロの暴露の件以外での「悪いのはほぼ全て花音」で「当の花音がそれを克服した」ってバランスによって、不快感がないのは良かったのでは?
最大の苦言は、花音の父親(結局なんで離婚したんだよ?)と、小春の尺が勿体なかった点だ。全12話しかないんだから要らないキャラは削ろうよ。作中で説明し切れない設定はオミットか、前半に上手く説明台詞で視聴者に消化させよう。これは前クールのバーンブレイバーンでもそうだが、描写できない不要キャラは削れ。たとえば上級曹長とサタケの会話シーンなんて丸々オミットできるだろうに。意味なかったし。
まあ、面白くするのが難しい題材ではあった(王道的なテンプレートがない)ので、それなりに作品テーマを消化して、エモい感じにまとめたのは良かったのでは? この登場人物配置とこのストーリーで、この作品以上に面白く仕上げられる人も、そう多くはないだろうし。
物語を動かす役割であった「視聴者視点」を担ったまひる(仮想主人公)も、それなりに群像劇のメインとして成長もしたし。作品としては及第点より上だ。基本、まひるという主人公視点を通じて見る「早川花音の物語」で、良作には部類される作品だと思う。
作画:100
演出:95
音楽:70
構成:80
脚本:75
キャラ:65
採点するとしたら、自分ならばこんな感じか。
回答集とも言えるラノベ版だと、シナリオ90くらいはありそう。
最終13話にて「本当の意味で」はじまる
安っぽい「ご都合主義な展開」なんて一切なかった。
何故ならばガルクラの世界は、視聴者にとってファンタジーではなく現実だから。
ただ「当たり前」の結果。潔く現状を受け入れて、なお未来での反撃を誓い、逃げることなく負けるべくして負けた。それを物語として表現し、彼女たちの音楽・歌・バンド人生は続いていく――と、2期への伏線、そして武道館への未来を想像させる「終わり?」いや、違うよ、これは「はじまり」なんだ。
いわば前日譚「ガールズバンドクライZERO」である。
ガルクラ13話の雑感
再生数103は、単純に「桃香の歌が今の時代に迎合されなかった」という結果。
事務所がプロデュースしても無駄に終わり、逆にプロの宣伝がしっかりしていた(拡散していた)が為に、「桃香の歌」の現実(セールス力)を思い知らされる。
あと27(仁菜)番目の素数が103というのは面白かった。でも、事務所が宣伝していた+現在のフォロワー数からすると、ちょっと少な過ぎな感は否めない。
っていうか、トゲトゲは事務所所属前でもインディーズレーベルで商売(販売)していたと判明だ。桃香が「インディーズの頃より売り上げが減っている」と言っていた。
つまり満を持してのメジャーデビューでコケたのは大ダメージだ。
そして仁菜が虐めに遭った経緯と、親友であり絶交したヒナとの過去の種明かし。
それ自体は「そういうのあるあるだよなぁ」という範囲だ。段階的な情報提示は凄く上手かったと思う。虐めによる退学からヒナとの因縁に、焦点を移していく過程も良かったし。
観客動員対決で、早々にソールドアウトのダイダス。
逆にトゲトゲは約3割しか捌けていない。配信・ネット再生状況も悪く、しかもエゴサの結果、なまじ事務所が宣伝して名前が拡散しているだけに、悪評も出始める始末だ。
この時点で敗北確定。
三浦さんがダイダス側の事務所に頭を下げて、2日間の共演――真っ当な「対バン」に変更してもらう様に掛け合う。そうすれば、ダイダスのファンに聴いてもらえるし、ダイダスの集客力でトゲトゲ単独ライヴだと発生する空席による赤字も補填できる。
その裏側を知らなければ、集客勝負から実力勝負になったとトゲトゲは解釈(誤解)したかもしれない。喜んで真っ向勝負を受けてやる、と。
しかしヒナからコンタクトを求められ、それに応じた仁菜は真相を知らされてしまう。ヒナの正しさ。ダイダスの成功により「売れるという事」という現実。そして「桃香の歌」で勝負して、セールスに失敗したという今。かつて桃香がビビッて逃げていた結果である。
ヒナは仁菜を煽る。
自分(仁菜)が間違っていると認めろと。それを認めたからといって、仁菜とヒナの関係が元に戻るというわけではない。ヒナもそれを分かった上で仁菜を挑発だ。
ライヴ直前のすばるの台詞がそれを補完している。ヒナはヒナで仁菜が好きだし、なによりも本心では「仁菜に変わって欲しくない」というのが暗示されていた。
仁菜とヒナ――学校の屋上で一緒に旧ダイダスを聴いていた仲。
ヒナはオーディションに合格し、新ダイダスのヴォーカルに抜擢され、仁菜は元ダイダスとなった桃香と出会い、新たな仲間を加えてトゲトゲとして活動を始めた。
別たれた2人は、ダイダスと音楽により再び運命的に邂逅する。
仁菜はヒナとの過去を仲間に打ち明け、三浦の奔走と真意を教え、その上で「ダイダスに施しを受けるのは嫌だ。それならば自分たちを貫いて負けたい」と訴えた。
その意味を仲間たちは確認する。
事務所に対して、背負わせる必要のない赤字を押し付ける行為に他ならないし、その事(不義理)に対してのケジメだってあると。
5人は意思を確認し合う。
プロ失敗――という現実の前に、今の桃香は挫けていなかった。すばる、ルパ、智も「今は敗北を潔く受け入れる」が、自分たちを曲げないしこのまま終わらないと、これからの自分たちを誓い合う。退所後に、出発点となった吉野家の前で。
改めて川﨑という街から5人で小指を立てよう。
僅か1曲のリリースで事務所を脱退。フリーとして出直す。
ロックというか、無茶苦茶だが、いかにもトゲトゲらしい。
エンジニアの中田さんも「10年、生き残れたならタダで仕事をしてあげる」とエールを送ってくれる。長年業界で仕事をしている彼は分かってたのだ――「良い曲だけれど、今は売れる曲ではない」と。いきなり退所までは予想外だろうけれど。
それと第8話の補完にもなっているのだが、桃香がダイダスを辞めた時は、他の3人は事務所に残った。でも、この第13話は全員で事務所を脱退して、桃香と一緒に居続ける事を選んだ。そういう意味でも、構成は実に練られている。
売れる為には、正しさを証明する為には、地道な活動で「桃香の歌を受け入れてくれるファン層(裾野)の拡大」が必須だと、改めての現実だ。
対バンは「日本シリーズ4連敗」的な惨敗である。
格闘技で例えるのならば、ダイダスにKO負け。
大の字にテンカウントで倒された。
それでもトゲトゲは真正面から「今は勝てない相手」に打ち合い、豪快に散る。
敗北という現実の中、この先の光明でもあるファン達に、仁菜は云う。
「私達のはじまりの目撃者になって下さい」
これはメタ的にも「はじまりの目撃者=ガルクラの視聴者」としても機能している。芸が細かいというか、第5話のライヴで咬み付いてきたバンドマンが「脱退Tシャツ」を着て、すっかりファンになっているのは、明るい未来を想起させてくれた。
衣装も「はじまり」と「過去への決別」を意識したものだ。
桃香はダイダス時代の改造衣装。
すばるはJK風改造衣装。
ルパと智は旧beni-shouga時代の衣装。
そして、仁菜は――
そこから綺麗に移行する通常ED。
実は、事務所を脱退してフリー(自身で交渉してインディーズレーベルで)活動、そしてバンで全国行脚している未来だったとは。すばるが髪を切るのは未来の話。
EDが実質的な最終回Cパートである。
掛け値なしで、数年に1度あるかないかの傑作だった。
この3ヵ月は本当にこの作品に嵌ったなぁ。
これ以上の構成、脚本、シナリオ、キャラは狙って再現は無理だろう。特にオリジナルアニメでこのクォリティーのストーリーを全12話か全13話で提供は、本当に難易度が高い。
水島努監督の『終末トレイン~』もテーマ性、作家性に優れた快作であったが、こちらは視聴者に必要なリテラシーと、全12話なのに劇中情報量が多過ぎで、惜しかったけれど今一つ人気が出なかった。
キャラと演出、最終回の畳み方(特に余韻)は良かったのだが、なんでもありな摩訶不思議ロードムービーの「視聴者への」解像度が悪かったのかなぁ? 7Gは各人の認識をバグらせているだけで、実際の世界は変わっていないのではという考察も序盤では散見できたが、結局は思いっ切り世界自体が物理的に変貌していたし。
この作品、主人公の「静かに留まる=静留」は田舎で変化を拒んでいたが、夢を持ち変化を望んだ友人と決別(喧嘩別れ)し、再会までのロードムービーで価値観を変え、静留は拒んでいた変化を受け入れ、最後はその友人と共に「変わっていく世界」されど元の田舎へ一緒に帰るって話なんよ。
7G事件で世界は変わってしまった。7G事件に関係なく未来は変わっていく。そして7Gを止めても世界は元には戻らず、やっぱり変わっていくよっていう。まあ、世界の消滅とビースト化は防げたけどね。
繰り返すけれど、テーマ性と作家性に秀でた良作だったよ『終末トレイン』も。
話をガルクラに戻そう。
ヒットしなければ「このまま各自でアニメ版トゲトゲの武道館への未来」を想像して下さいね、的な終わりだったと思う。東映の株主総会での話が本当ならば、期待以上の結果で「ガルクラというIPを今後も育てていく」「次に向けて動き出す」的な話もあった様なので、総集編劇場版⇒2期、は充分にあるだろう。
個人的には続編を待ちたい。
下にリンク貼ってある『バーンブレイバーン』は、失礼ながら超ショボいグッズ展開から察するに、サイゲはブレイバーンというIPを畳みたがっている感じだが、ガルクラに関してはリアル・トゲトゲの活動も含めて、ここからの展開を考えていくと思う。
っていうか、キャラ人気も含めて「このレベルの成功」をオリジナルアニメで狙ってできるものではない。リコリコにせよガルクラにせよ、狙って当てられる成功を超えた結果だ。
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オマケ:ブレイバーンは円盤の売上的に2期がきそう?
追記なのだが、第1巻BOXが初動で4100枚を超えてきた。
それ以降、積んで4900枚超え。
スポンサーであるサイゲ(の上)の判断と、制作しているサイピクのスケジュール次第であるのだが、約5000枚は普通に2期にトライして良い結果だ。
2期があるとすれば、出世した(?年後)のイサミとスミスの物語か。
あるいは『グリッドマン』⇒『ダイナゼノン』形式で、(クーヌスの能力により複数の世界線が存在しているし)別の平行世界での新ブレイバーンか。
追記)
円盤特典の公式後日談(アフターストーリー)の後編のオチ(ラスト)が酷く、ファンのほとんどがドン引きに近い評価&作品スレはプチ炎上。どう考えても続編やれる様な締め方ではないので、完全に畳むっぽい。そしてBOX下巻のアマランは発売2日目でデイリー10位に後退、3日目で14位に後退――発売2週目の春アニメ1巻より下だから、上巻より下がっている感じ。
テーマが「人間賛歌」だったらしいが、最終回で奇跡が起こり、デスドライヴズの脅威が去った地球には必要なくなったブレイバーンが消えて、スミスが戻ってきた。
人々の勇気と人間の力で人間同士の争いや生き様は解決せねばならなく、それが生きる事だと示された筈の最終回の奇跡。スミスの帰還。
ところがどっこい、アフストでスミスは再びブレイバーンになってしまい、しかも人間である事を棄ててしまう。いやいやいや、人間同士の争いに対してブレイバーンの力を望んでは駄目だろうに。対して、イサミは自衛官を辞めて出家しようとするし、挙句ブレイバーンとの融合を望み(いずれ人に戻れなくなるっぽい)、そしれそれを仲間たちも祝福するわで、なんと「人間賛歌」ならぬ「ホモロボット賛歌」で終わってしまう。
未来戦士世界でスペルビアが隠居状態なのは仕方がないにしても、デスドライヴズの脅威がない世界で、ブレイバーンが存在してどうすんだっていう。しかもイサミは両親とか親戚とかいる設定だった筈。なんでロボナーになって人間辞めるの? 親とか知った事じゃないの? 某ディオじゃないんだから。天涯孤独なスミスは、う~~ん、でもせっかく人間に戻れたのに、ってか、あのアニメ最終回はなんだったのかという。まるっと意味ないじゃん!
でも、この『ガルクラ』と『ヨルクラ』の記事は(放映中という事もあり)読まれていても、ブレイバーンの記事はリンク貼っても読まれていないんだよね。つまり世間的には『ガルクラ』『ヨルクラ』程の関心はないって証左であり、そこはちょっと寂しい結果だ。