僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

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【あだち充】戯れ言――クロスゲーム CROSS GAME を読む前に把握しておく事【登場人物ネタバレ】

【あだち充】クロスゲーム CROSS GAME を読む前に把握しておく事【登場人物ネタバレ】

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さあ、今日も戯れ言 記事 ゴト を始めますからね

 

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タッチの逆version的な側面

名作『タッチ』については、この記事で多くを語る必要はなしとして割愛させて頂く。

大御所・あだち充の最高傑作が『H2』であり、ファンの間で最も評価が高いのが『ラフ』、そして『クロスゲーム』だ。人気があるヒロインは『KATSU!』の水谷 香月であり、TOP3に挙げられるのが前途した『ラフ』の二ノ宮 亜美と『クロスゲーム』の月島 青葉である。浅倉 南が好きという人は、ニワカ認定されてしまう。

アニメ化作品としては、序盤をやや強引に端折った感は否定できないものの『クロスゲーム』が全50話で最後まで放映されている。『H2』『MIX』のアニメは途中までであるので、原作が全17巻とコンパクトにまとまっている恩恵だろう。

『H2』と高校野球マンガとして比較すると、どうしても小粒感が否めないために「あだち充マンガ」としてはマイナーなイメージを持たれているかもしれないが、野球という題材は最小限で、コウと青葉のストーリーとして着目すると、無駄がそぎ落とされた傑作だ。あだち充マンガは終盤の「風呂敷を畳む」段階に入ると、やや打ち切りめいたドタバタ感が出てしまう傾向がある(というか、あだち充は作品を通して綿密なプロットを設計するタイプではない、と本人が言っている)が、この『クロスゲーム』は全17巻のプロットが完璧に組まれており、クライマックスの完成度はピカ一だ。

 

この『クロスゲーム』という作品、基本的に『タッチ』の逆というか、裏version的な設定で描かれている側面が強い。

両作品に共通しているのは『3年夏の甲子園地区予選大会の決勝がクライマックス試合』であるのだが、ヒロインにとっての意味合いが違っている。『タッチ』の浅倉 南にとっては「甲子園出場は亡き上杉 和也による大切な夢」であったのに対し、『クロスゲーム』の青葉にとっては「努力の延長上にある皆の夢舞台」に過ぎなかった。

亡き和也が達也に託した「特別な夢(約束)」が甲子園出場である『タッチ』

亡き若葉が観た夢(コウと明石と青葉に語った言葉)を現実にしようと、相棒の明石と共にコウが甲子園を目標にする『クロスゲーム』

根本的に大きく差異が図られている。

なお『H2』は甲子園が戦いの舞台であり、地区予選大会は通過点に過ぎない。

登場人物のネタバレ的な裏側

基本的に1回で全てを把握するにのは熟読を必要とする作品だ。

普通に流し読むと最低1度は読み返さなければならないだろう。時間がなく多忙の現代人に合わせて「1回読んだだけで、ある程度は内容を理解できる様に」主要登場人物のネタバレを記載しておく。

以下に目を通すと「頭を使って熟読しなくても」最低限の理解度は得られる筈。

コウ(樹多村 光)

多くの読者が「コウは若葉が好きだった」「コウと若葉は両想い」とミスリードされるだろうが、実のところ若葉のアピールに対して「若葉を学年一、可愛い」と認識してはいても、彼女を異性として好きではなかった。小5の時点から気になっていたのは青葉の方であり、異性への好意としては一貫して青葉のみ。

誕生日が同じであった若葉との誕生日プレゼント交換時、コウは若葉を気に掛けずに青葉の投球フォームの再現に夢中になっていた。下宿してきた東に若葉の事を語った際、東の「(若葉はお前を好きだったが)お前も(彼女を好きだったの)か?」の問いに、間を開けてしまって「ああ(そういう事にしておいてくれ)」と返事している。(コウの好意の先を)悟った東は「シンドイな、おまえ達(コウと青葉)」と言った。コウが若葉を好きだったのならば、「シンドイな、おまえ」になる筈。

また、最終話における青葉のモノローグから、コウはなんと「青葉がずっとコウを好き」という「青葉が隠していた」真実を見抜いていたと暴露される。

月島 青葉

青葉は「コウはずっと若葉を想っている」と誤認している。

コウも最後の最後まで「青葉が抱いている若葉の思い出(若葉の初恋は両想いという周囲の認識)」をキレイにしておく為に、自分の青葉への気持ちを隠し続けていた。また、それは月島姉妹の父に対しても同じ。

青葉もコウと同じく、幼少時からずっとコウが好き。しかし「若葉の11歳の死」が両想いである2人に重く圧し掛かっていた。

月島 若葉

これは推察に近くなるが、若葉は「コウの好意は自分ではなく妹の青葉に向いている」と気が付いていた節がある。最たる理由が、若葉がコウに送った「20歳までの誕生日プレゼント予定表」。20歳で婚約指輪となっており、次の欄は「つづく」だ。

妹の青葉には「(コウが160km/hを投げても)盗らないでね」と牽制している。青葉がコウを好きだと確信していたのかは不明。この言葉は長く青葉に影を落とす事となる。

滝川 あかね

亡き若葉の生き写し的なヒロインであるが、彼女は「コウと青葉」の事情を知ってからは、意図して「若葉が生きていたならば、のIF」を演じていた。実はコウを異性として好きだったわけではない。2人の架け橋となるべく青葉を焚きつける為の演技。あかねが意識していたのは最初から明石の方。

月島 一葉

現在のコウと青葉が両想いなのは四女の紅葉も気が付いているが、長女の一葉(当時は高校1年)は「若葉のコウへの好意は片想いだった」と分かっている。 

赤石 修

あかねの事を「若葉の代わり」ではなく「あかね本人」として好きだと自覚するまで、コウが青葉を好きだったと気が付いていなかった。もしくはコウに若葉を好きでいて欲しかった。

 

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その他の豆知識

甲子園および野球

青葉に憧れてコウはピッチャーになった。球速を追求したのは、青葉の好みの男性が「160km/hのストレートを投げられる男」だから。

コウと明石の甲子園が目標になったのは、若葉が最後に観た夢が「コウが投手、明石が捕手、試合は大観衆の甲子園」だった為。対して青葉はコウが本気で甲子園を目指す事を聞き、最初は意外そうな反応を示した。

 

星秀学園が甲子園初出場を決めた時、周囲の生徒は泣いていたのに青葉だけ「コウの事を考えて」泣くタイミングを逸してしまった。というか、泣くほど感動していない。

撤収時に、抱きしめてきたコウに長年の想いを告げて、彼の胸で泣くが。

9回裏に追いつかれて延長戦になるのだが、9回裏の守りに入った時、青葉は(約束した160km/hをコウはまだ出していない)と考えていたくらいだ。

 

青葉自身も高校1年生時にMAX130km/hをマークする投手(コウの160km/hより凄い気がする)で、女子野球日本代表の1次選考に通る実力。ただし2次選考の合宿は辞退した。『KATSU!』の水谷香月も女子ボクシングには興味を示さなかったのと同様、彼女も女子競技者として上を目指すというマインドではなさろう。

 

香月はあくまで「恋人であり自分の夢でもある里山 活樹(高校二年・三年で公式戦無敗かつ高校アマ5冠)が、プロボクシング世界チャンピオンになる」のを望んでいたが、青葉もコウの「投手としてのその先(NPB⇒MLB)」を何より見たいのかもしれない。

誕生日プレゼント

11歳で若葉は亡くなっているが、12歳~18歳まで彼女のリクエストに応えて、コウは命日(2人の誕生日)に誕生日プレゼントを贈っている。リクエストの元となる若葉の「20歳までの誕生日プレゼント予定表」は非常に良く考えられていた。

高校卒業後、コウは達也とは違い間違いなくドラフト1位指名でプロ入りだ。

故障(ドクターストップ)でプロ志望届を出さなかったと思われる達也とは違い、コウがプロに進まないという選択肢はあり得ない。セカンドキャリアは実家のスポーツ用品店および月島家のバッティングセンターと喫茶店を継げばいいので。

 

すると――

19歳(コウがプロ1年目)は、リクエスト通りにネックレスを贈るだろう。

問題はラストになる次の年の婚約指輪だ。

故人に婚約指輪を贈っても意味がないというか、そもそも好きなのは青葉の方なので、若葉へのプレゼントは19歳で打ち切りだと推察する。

つまり20歳(プロ2年目)に婚約指輪を贈る相手は、大学1年の青葉だ。

 

20歳と19歳の婚約は世間一般では早いが、付き合いが幼少時からの上に、コウのプロ野球選手としての経済力を考慮すると、そう常識外れではない。

コウは間違いなくドラフト1位なので、契約金は1億円に出来高5千万円。年俸は1600万円スタートが標準になる。故障さえしなければ、高校3年時にアベレージ150でMAX160の投手(カーブ、スライダー、カットボールもある)なので、順調に成長および先発として相応の成績を残せれば4年で年俸1億円には乗るだろう。

世界中で一番

最終話で、青葉は一葉の(似てるのよ。あんたとコウちゃんは)という言葉を思い出す。

きっかけは青葉が喫茶店のマスターに頼んだ「ツーショット写真の焼き増し」を、店を出てから遅れてコウが頼もうとした事であった。青葉は焦る。自分も写真の焼き増しを頼んだのが、コウにバレてしまうと。(ったく、どうしていつもいつも同じことを)

 

で、ふと気が付くのだ。

 

(そうなんだ)

(すべてお見通しだったんだ)

 

行動が似ているのではなく、コウは分かっていて青葉の真似をしていた。

コウは分かっていた。

若葉を亡くした悲しみ。

若葉との楽しい思い出。

そして青葉のコウへの気持ち。

 

若葉ではなく青葉が好きだったコウは、すべてをお見通しだったと気が付く。

あかねもコウから「コウは青葉を分かっている」という言質を取って「安心した」と言ったのは、そういう事だ。

だから青葉はコウに対して――

 

やっぱり嫌なやつだ

世界中で一番

嫌なやつだ

じゃ、わたしとは?

地区大会決勝戦およびあかねの手術日の前日。

コウと青葉は若葉の墓参りに行く。

その帰り道、青葉はコウに「あの人(あかね)ならば許すって、さっきワカちゃんがそう言っていたわよ」と言う。コウは「おまえはいたこか?」と返す。クライマックス直前であるこの時点でも、まだコウと若葉が両想いだと青葉は思っている。

 

その夜、青葉とあかねは電話で話す。

内容は明かされていない。青葉がコウとの会話でそう告げただけ。しかし手術に失敗すればあかねは還らぬ人になるので、内容は容易に推察できる。というか1つしかない。

 

試合前(手術前)、コウと青葉の会話。

場所は学校のグラウンド。

 

青葉「好きなんだよね、あかねさんのこと」

コウ「ああ」

 

青葉「ワカちゃんとどっちが?」

 

前日の、あかねとの会話から、ついに青葉が踏み込んでくる。

コウの気持ちを確かめに。

 

コウ「亡くなっちゃったやつとは比べられねえよ」

 

バッサリと若葉を「亡くなったやつ」と言い捨てるコウ。

未だに好きとか、そういう感情はないとドライに本音を告げた。

また、あかねに対しての好きは、若葉がコウに向けた好きとは比べられないとも。

それは、青葉にとっては、あかねとの会話の裏付けでもあるだろう。

 

青葉「じゃ、わたしとは?」

 

ダブルミーニングになっている問い。

あかねと自分の比較。

自分と若葉は比べられるのか。

 

コウ「ウソついてもいいか?」

青葉「いいよ」

 

会話というか場面はそこからカットされる。そして決勝戦の試合中、青葉は隣席の東 純平(一葉の婚約者)に、「コウは160km/h出すって約束した」と言う。

甲子園までアウト1つ。前の打者への投球で、ついに160km/hを出したコウ。

 

コウの3つのウソを思い出す青葉。

――甲子園に行く!

――160km/h出す!

――月島青葉が一番好きだ

 

三振で試合終了。

一番好きという真実(ウソ)を「甲子園」「160km/h」という裏付けで、コウは証明する。

あかねと比較しても勿論、すでに故人で比べられない筈の若葉と比べても「一番好き」なのは青葉と、コウは明白に隠さないで告げていた。

 

だから試合後、青葉はコウの胸で、

 

ずっとずっと、大っ嫌い(大好き)だったんだから!」

 

幼少時からの秘めた想いと共に泣いた。

 

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あかねは青葉に告げていたと思われる。

大丈夫だよ、と。

 

若葉が生きていたとしても、成長した若葉ならば、2人の両想いを知った時には自分から身を引いて、コウと青葉を祝福してくれるに違いないから――

 

 

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