僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

ヘッダーPC画像 ヘッダーSP画像
 — 最 新 記 事 —

【第92話までのデータ】戯れ言――青春系ダイビング漫画『ぐらんぶる』について【感想&考察レビュー】

【第92話までのデータ】青春系ダイビング漫画『ぐらんぶる』について【感想&考察レビュー】

f:id:ayafumi-rennzaki:20180529140913j:plain

 

さあ、今日も戯れ言 記事 ゴト を始めますからね

 

f:id:ayafumi-rennzaki:20210408212655j:plain

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】


www.youtube.com


www.youtube.com

コミックスは下のリンクより!

最新話は下のリンクより!

※)意外というか予想外なことに、コミックスよりも下のリンクから「good!アフタヌーン」本誌の方が売れています(流石に月三桁冊は売れていませんが)(売上0冊だと予想していました)。電子版は嵩張らないしコミックス未収録になるカラー扉絵なんかもある号も存在しますので、お金に余裕がある方はどうぞ。

最新話の感想

第92話『伊豆秋祭』

 秋祭が幕を開けた。

『PaB』1年生4人は予定通りにお好み焼き屋を出店。先輩たちは見守るのみ。

ライバルは同じお好み焼き屋をやるテニサー『ティンベル』の店。3年の工藤はすでに引退しており元会長になっていた。

競合する2サークルであるが、『ティンベル』には策がある。なんと野島を味方につけて、『PaB』の妨害を仕掛けてきたのだ。しかも後に山本も自主参戦する。

それ関連でドタバタの末、雪子も衛生面で『PaB』のお好み焼き屋に絡んでくる。

暴走する野島の被害が、彼を招聘した当の『ティンベル』にも及び始め、駆除を依頼してきた工藤に伊織と耕平は「男コンに組織票を入れて協力してくれ。優勝賞金で先輩達の引退イベントを派手にやりたいから」と条件を出す。

伊織と耕平の策で、雪子を餌に野島と山本の同時排除に成功した。なお、利用された雪子は「全て千紗の策略」と勝手に千紗への逆恨みを募らせていく。

男コンは1コマで伊織がキンクリにて優勝(春秋連覇)。「裸の王様」のパロディ「全裸の王様」の寸劇を披露して、ネタ枠を単独で突っ走った結果だ。

そして伊織は優勝特典でミスコンの審査員枠をもゲット。

屋台閉店(売り切れ)後の打ち上げ飲み会の最中、実行委員が明日のミスコン参加者のコメントを取りに来たが、雪子の策略(不正)で『PaB』代表が千紗からケバ子(愛菜)に変更されていた――で、次号に続く。

感想および考察

先輩達の引退が近い。そして不思議な事に大学サークルなので引退は3年、卒業は4年だと理解していない読者が散見できる。引退=卒業じゃねえよ。1年ズレるよ。

ってか、工藤は引退済みなのにトッキー達はまだなのね。

サークルメインなのに、野島と山本が活躍という異色の回であった。

気のせいか、千紗の作画が良くなっていた(と感じた)。

代替わりイベントを派手にやる予定という流れなので、それで一旦の完結もあり得るかも? 新学年で『ぐらんぶる2』で仕切り直しとか。先輩達が卒業するまで、もう1年の猶予があるので可能といえば可能だろう。なかなかイイ感じで雪子が動いている。同じ学科というのも大きいのかな。

衛生面を考えても、バイトテロ的な野島のアレはギリギリを攻めていた。

ミスコンはまさかの展開というか、不愛想な千紗が突っ立っているだけで、どうやってネタを作って優勝させるのだろうかと疑問に思っていた。ここでエントリーがケバ子(愛菜)にスイッチは、次回の伊織たちの機転が楽しみである。

 

――最新話以外は下の方に移動

お得な情報をお知らせです

時代はサブスクだ

無料期間を利用して、是非ともお試ししてみて下さいね

 

【広告】最新話は『U-NEXT』でお得に読める!

 

『U-NEXT』は動画のみならず、漫画・雑誌の電子書籍も配信しているサブスクだ。

しかも31日間無料お試し期間あり。

現在、無料会員登録で600円分のポイントがもらえ、『ぐらんぶる』掲載誌である『good!アフタヌーン』は699円での配信なので、実質的に「最初の一ヵ月は」100円で最新話が読めるのだ。

しかも『U-NEXT』ならアニメ『ぐらんぶる』の動画を全話無料が可能!

f:id:ayafumi-rennzaki:20210524181516j:plain

 

【広告】

最新コミックも600円分無料で読める<U-NEXT>

 

クレジット決済のみならず、docomo、au、Softbankという3大キャリアによる支払ができるので、クレカを所持していない方でも安心して手軽に契約できる。アニメ視聴だと『dアニメストア』が圧倒的にコスパが良いが、漫画・雑誌の電子書籍配信を含めて考えると、トータルパッケージ的に『U-NEXT』の方がお得かも。

まずは無料トライアルで試してみて欲しい。

 

――まあ、自分は採算度外視(YouTube動画の作成で金よりも時間重視ゆえ)で、Kindle版とコミックスは紙とKindle版の両買いだけれど(苦笑。

 

スポンサーリンク

 

 

過去レビューおよび考察は、下にスライドしていくからな

 

92話考察:雪子の導入は成功ではなかろうか

千紗の敵対キャラとして上手く機能していると思う。
思い込みの激しい「変なメガネっ子」であるが、不快感は全くといってよい程ない。元からして「こういった役割」のキャラが、与えられた役割をこなしているからだ。
 
野島、山本、雪子の3名は素晴らしいトリオだった。
 
っていうか、今となっては他のどのキャラよりも「キャラ立ち」していると感じる野島と山本の両名である。この2人が主人公のスピンオフが読みたい程だ。
 
桜子は結果として失敗に終わったと思う。
理由は――
・千紗のライバルなのに、千紗よりいい女
・千紗のライバルなのに、千紗より言動がマシ
・千紗のライバルなのに、千紗より真っ直ぐ
・千紗のライバルなのに、千紗より魅力的
本来ならば「読者に対して」桜子より千紗を応援したくなる方向へ誘導しなければならない筈だが、千紗はその言動と内心から読者のヘイトを買い、本来は咬ませな筈の桜子を「千紗より伊織に相応しい」と応援したくなるという、本末転倒。
落としどころとして、強キャラ過ぎて強引にフェードアウトさせた沢村竜平みたいな、千紗が絡むことない恋愛レースからの脱落であった。
 
しかし雪子は桜子とは違う。
真っ当に「千紗を引き立たせる」ライバルキャラを貫いている。
変に奇を衒うことなく、千紗を魅力的に、かつ他のライバルヒロインを一段階下げた感じで描写すれば、それで不快感ないという当然の帰結を再認識させてくれたキャラだと思う。
いやホント、雪子はいいキャラしてるわ。

【悲報】宇崎ちゃんにすら先を越されたのだが

第91話に関しては、詳しく考察する様な内容ではなかった。

っていうかYouTube動画の方が忙しいので余裕がない。もっと言えばYouTubeの為に視聴するアニメの本数を頑張って増やしているのだ。それから『陰実』を今更ながら見始めている。人気作だし動画のネタにできそうなので。うん、流石に面白いよ『陰実』

 

少しだけ『セクシー田中さん』の件について触れるが、前途した『陰実』は割とアニオリや改変が多めなイメージである。監督が番組のWEBラジオにて「作品の神は自分ではなく原作者」「元々からして原作ファン」と公言しているだけあり、アニメ化としてのブラッシュアップが素晴らしい。

原作ファンで原作者と原作をリスペクトしている監督と脚本家ならば、いくらでも原作補間も兼ねて改変しても良いと思う。『陰実』の監督は原作を理解した上で、映像化のプロとして、映像化に際して必要となるアレンジを加えていた。より正確には原作正確再現してはダメな箇所を、しっかりと修正というイメージか。

 

 

まさか『宇崎ちゃん~』にすら先を越されてしまうとは(苦笑

伊織の童貞ネタなんて、桜子を抱けるのに抱かなかった時点ですでに使えなくなってしまったのだから、もうやるコトを先送りしても物語的にはほぼ意味なし状態だ。

童貞ネタは悪友たちに任せるしかない。

3回目があるのならば、合コンも。そもそも合コンだって ①野島が惚れた女の為に⇒失敗 ②山本が惚れた女の為に⇒失敗 ③藤原が惚れた女の為に⇒失敗 ④御手洗が浮気したいが為に⇒失敗 ⑤耕平が大学の女たちに狙われての合コンに巻き込まれる

この理由づけで少なくとも5回は合コン話ができる。

 

仮に千紗と朝チュンした後でも、それを悪友たちに隠すなり、奈々華に「千紗に内緒で」隠すなり、栞関係なりでネタなんていくらで作れそうだが。

割とマジで情けない。主人公が奥手気味(理由もある)で純情路線だった『宇崎ちゃん』にすら、やるコトやる方面で後れを取ってしまうなんて(泣

90話考察:モブ女子1名が消された(笑

f:id:ayafumi-rennzaki:20210628062427j:plain

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

ひょっとしたら左の子がイメチェンしたのかもしれない。

連載10年で、このテコ入れは本当に思い切ったなぁ。

 

正直いって、心理描写だったり人間模様だったり複雑に絡み合う恋愛話なんて、この漫画では無理だって桜子関連で分かったから、今回みたいな路線の方が良いだろう。

伊織も第89話で「(桜子より千紗というか)今の生活そのもの」を選んだので、桜子との件もあり、そこまで積極的に「本当の」恋人が欲しいという感じではなくなっている。桜子でダメならば、作品の後日談あたりで千紗と結婚していた、くらいなオチで良いかな。

 

桜子の告白(17巻ラスト)からヒロイン模様で読者の多くは盛り上がっていたと記憶しているが、結局、メインヒロインである筈の千紗が恋愛パートでは真っ当に機能せず、読者の期待を裏切る展開のオンパレードで、作品の勢いが盛り下がった印象が強い。

それとは逆に、悪友たちのキャラが上手く作品にマッチする気配が濃くなり、この作品の方向性は「恋愛じゃない」といった雰囲気に固まった気がする。今さら千紗に、桜子みたいな「いい女」や伊織とのドラマチックなやり取りは、欠片も期待していない。

 

それから、やはり耕平と伊織は(本人達が知らない範囲で)女性から(それなりに)人気があると判明した。騒がしいが基本的に陽キャで顔がいいもんなぁ。『Pab』に関わっていなければ、2人とも普通に彼女ができていただろう。というか、2人とも恋人を作ろうと思えば、作れる状況だし。

 

新キャラの雪子が使い捨てでない事を願う。

89話考察:伊織と桜子だけで完結した恋バナ

軌道修正としては満点に近い出来だと思う。

通して読むと、千紗とケバ子(愛菜)共に、「伊織と桜子の恋愛面」にほぼ絡むことなく、伊織と桜子2人のやり取りに終始して完結というね、もう。つまり勝手に始まり、勝手に終わった、みたいな。

まあ、伊織と桜子の間柄に、ケバ子(愛菜)はともかく千紗をしっかりと絡められなかった時点で、ストーリーテリングとしてはド下手といえば、ド下手なんだけれど、これを区切りに再び単行本16巻以前の調子に戻ってくれればと思う。

 

桜子というヒロインが光った伊織との恋愛パート(ラブコメ)であった反面、読者視点では単に千紗とケバ子(愛菜)のイメージが下がっただけで、総じて迷走気味だったというか、失敗イベントな恋愛パートだったと感じた。

88話考察:こういうラブコメでいいんだよ

王道かつ普通、奇を衒わずに第88話みたいな話でいい。

変な捻り、こだわりなど不必要である。

プロの漫画家に言うのもアレだが――

 

やればできるじゃないか

 

こういった恋愛要素やラブコメならば、メインストリームのギャグとの親和性も高い。

後は――カリーナ、きたぁぁぁあぁぁぁ!

カリーナ、可愛い!

ホント、こういうのでいいんだよ。

 

たった1つの課題は、こういったノリにどうやって千紗を混ぜるか、なのかだが。やはり「無口な地蔵キャラ」という造形が色々な意味で足を引っ張っていると思う。

 

そもそも何が歪になっているのかって、「伊織と千紗の関係」よりも「伊織と桜子の関係」の方がストーリー性が強くなってしまっている点だ。出会い⇒再会⇒バイト仲間としてのアレコレ⇒桜子の乙矢くんへの失恋⇒伊織への恋心⇒沖縄での告白⇒以降のアタック、と奇しくも非常に出来が良い流れになっている。立派な恋愛ストーリーだ。

2度目の沖縄旅行までは「桜子はオジャマ虫系ヒロイン」で「千紗がメインヒロイン」という立ち位置だった筈なのに、その後の2人の言動で「千紗は伊織に桜子との一線を踏み留まらせる楔」で「桜子がギャグ漫画として正統ヒロイン」に、描写(立ち位置)がひっくり返ってしまっている。それくらい千紗は受け身かつ何もやっていない。

千紗には、共感もへったくれもないのだ。桜子と比べて、何もなさ過ぎるので。

その何もやっていない千紗が伊織に失恋しても、読者的には「まあ、そりゃそうだ」くらいの痛痒しか感じないが、ここまで伊織に頑張っている桜子が伊織に失恋したら、ギャグ漫画としては読んでいて精神的にかなりキツイ。恋愛メインの漫画ならば「そういう痛み」も不可避だが、青春グラフティーなギャグ漫画で、ここまで真っ直ぐな桜子が負けヒロインになるのは、ちょっとギャグ漫画としては超えてはいけないラインを超える気がする。

 

もうさ、ヒロインレースは「このまま」で連載完結して、エピローグで伊織は桜子と結婚しており旅館を継いで幸せな家庭を築いているが、実はカリーナとも事実婚で重婚していて、なんやかんや大家族なドタバタで北原旅館を(桜子とカリーナの子供、小姑な栞も含め)盛り上げている一方で、「大学卒業後に伊織と自然に疎遠になっていた」千紗は、山本か乙矢くんか、寿先輩と結婚、そしてイントラとしての夢を叶えて充実な生活をしている――なオチで問題ない様な、ラブコメ的にホッコリとした読感が最高な第88話だった。

千紗が魅力的ヒロインだった要因

気が付けば「千紗アンチ」的な記事になってしまっている。

全文を読めば理解できると思うが、最初は「ヒロインとしての千紗に期待」していた内容であった。それに『ぐらんぶる』という作品の面白さは全面的に肯定派だ。だが千紗の言動・性格の酷さに、こんな千紗アンチめいた方向性に(泣

 

まあ、自分はダメな内容はダメ、とハッキリ述べるタイプである。

 

 

クソアニメ打線を組んでみた


www.youtube.com

 

第87話時点の千紗は、喩えるのならば『監獄学園』の最後の騎馬戦みたいなものだ。正直いって『ぐらんぶる』には『監獄学園』みたいな終わり方はして欲しくない。ってか、あの作品、どうして素直に「読者の期待に応えて」花ENDにしなかったのか。作品の後期は明かに「花の人気」でもっていたというのに。

――っと、話が逸れた。

 

今の千紗は酷いとしか言えないが、第16巻までの千紗は本当に魅力的だった。

 

なぜ千紗は「かつては」魅力的だったのだろうか。

 

〇性格は元々悪かったが、なんだかんだで最後は伊織をフォローしてくれた

〇言動は元々酷かったが、なんだかんだで本心では伊織を好きっぽい描写が所々で挟まれていたから、ツンデレ系キャラの亜種だと読者に誤認させる事ができていた

〇直接的な心理描写が極端に少なく「伊織が好きという本心を上手く読者に隠している」という巧妙な構成および表現と、読者に深読み&考察させた

〇メインヒロインが、まさか「本当に伊織をナンパ除けに利用」とか、まさか「伊織と本当の恋仲が嫌」とか、そんな斜め下の発想をしているとは夢にも思っていなかった

〇メインヒロインだから対抗ヒロインの2名よりも、伊織との恋愛感情に向き合った時に間違いなく真剣、真面目になる筈――という正常化バイアスみたいな読者心理があった

〇メインヒロインだから、ケバ子(愛菜)より真剣に伊織を想っているに違いない、というラブコメにおいての前提条件・お約束を信じた

〇メインヒロインだから、桜子よりもドラマチックに伊織に告白するに違いない、というラブコメにおいての前提条件・お約束を信じた

 

――と、まあ、こんなところであろうか。

キャラブレと、描写がバラバラで飛び飛び気味な部分が「伊織に隠している好意を読み取る行間」的に作用していた内は良かった。それが16巻までの範囲だ。

 

だが、17巻以降でそういった「(作者側が意図していなかったであろう)行間読み」が効かなくなってしまい、千紗を好意的に解釈できていた部分(深読み・考察箇所)がボロボロと剥がれ落ちていった成れの果て――それが今の千紗である。

 

ぶっちゃけると、投げることができない変化球に拘らず、球速と制球はともかく力いっぱいの真っすぐを放れば、ここまで千紗はヒロインとして酷くならなかったと思う。

アニメ『てんぷる』で千紗はグラドル

お遊びな設定とはいえ『てんぷる』アニメ6話で――

 

 

千紗がグラドルかぁ(感慨深い

この平行世界の千紗は『ぐらんぶる(漫画原作)』とは違い、ちゃんと伊織以外の恋人か、伊織と真っ当な恋愛関係なんだろうなぁ(遠い目

87話考察:千紗は長月ぼたんを見習うべき

本来、千紗はしっかり者というキャラ設定だった筈。

都合の悪い事(伊織との関係云々、恋人のフリが終わる)から、ひたすら逃げまくる様は見ていて悲しくなった。ここまで恋愛面で引っ張ったのに見苦し過ぎる。なんていうか、共感できる部分が皆無と言っていい。

 

単行本16巻の頃の千紗は、いったい何処に消えてしまったのだろう。

 

千紗は現在アニメ2期放映中の『もののがたり』のヒロイン、長月ぼたんを見習うべきというか、ぼたんの爪の垢を煎じて飲んだ方が良い。

ぼたんの兵馬(主人公)への距離感(の変化)、想い(の確立)、そして恋愛に関するスタンス等、視聴者や読者に対して情動的に強く訴えかけるものがある。ぼたんへの共感と彼女は幸せになるべきだという、登場人物の心情の深さ。本当に色々と伝わってくる。

 

 

しかし千紗には、ぼたんとは違いソレがない。

作中の人間ではなく作者のロボット的な記号だから。

伝わってきて欲しくないが、嫌でも(千紗から)伝わってくるのは「都合の悪い事から目を背け、逃げる」「結局、伊織に自分の都合を押し付けて一方的に譲歩させる」――だけならばマシなのだが、「(恋愛のゴールを)引き延ばしたい」「告白を引き延ばしたい」「ギャグ漫画だから男女関係云々を引き延ばしたい」――という登場人物ではなく、その後ろにいる作り手側の事情と本音だ。

 

千紗に関してのみ、ラブコメ描写が下手くそ過ぎる。

通して読むと本当に酷い(ただし千紗限定)

同作画の『てんぷる』のラブコメはしっかりしている、というか、ちゃんとプロレベルだ。でも『ぐらんぶる』の千紗の恋愛面は、場面場面はブツ切り気味だし、千紗の心理描写や心情変化はブレている上に、対抗ヒロインの桜子とは違い成長皆無だし(桜子の方は成長しているし描写も正しい)、どストレートに断ずれば「プロ未満の素人レベル」である。

『てんぷる』でカグラが赤神に惚れたことを認めるエピソード(第83話)があるが、あれは非常にオーソドックスな手法および構成だけれど、それすら「千紗の恋愛面」では出来ていない。全体的なストーリーやギャグ面、キャラ造形はともかく千紗に関しての恋愛面での心理変化およびラブコメ面に関しては、今の『ぐらんぶる』はハッキリと『てんぷる』を大きく下回っている。

 

なんかもう、千紗は「察してくれて理解ある兄貴分に甘える妹分」でしかないし、見開きで伊織に抱き着いた千紗は「父親に甘える幼い娘」みたいだし、物語として描写が一貫できないのならば、恋愛パート・ラブコメを面白く描けないのだったら、いっそ思い切って第87話の関係を維持したまま最終回、10年後くらいの後日談で伊織と千紗はそれぞれ別の相手と結婚していました、でもいいのではないかと思った。

 

前述してあったこの表記が現実になりつつある。

 ぶっちゃけ、今の千紗でムリヤリに千紗ルートにしても不自然さ満載の超絶駄作にしかならないだろう。絶対にゴミ&クソ話になる

 

この第87話、千紗は出てこないと(期待して)思っていたから、扉絵と冒頭から千紗が登場してガッカリだ。しかもそのシーンが伊織から逃げる千紗っていうね。

単行本17巻から株が下がりまくって、今じゃこんな酷いヒロイン「ヒドイン」にまで印象が落ちまくってしまっているよ。

 

バッサリ切ると、伊織と千紗のやり取りよりも伊織と桜子のやり取りの方が面白い。

第85話のラストから告白すらできない千紗ならば、多くの読者にとって魅力あるヒロインとして映るのは、桜子の方だと思うんだよなぁ。桜子は本当にイイ女だ。

ってか、第88話で見れるかもしれない桜子のエロい悪戯が今から楽しみである。

86話考察:千紗の自己認識の変異を確認すると

第86話時点で振り返ってみる。

おおまかに――

 

〇摩耶の結婚パーティーまでは「付き合っているフリ」だと自覚している

 この時点までは、認識が一貫している範疇

 

〇『キャットファイト』にて想起した伊織との思い出により、「まだ別れたつもりはない」宣言が飛び出し、「付き合っているフリ」を「付き合っている」に変換

 

〇――と思ったら『ホワイト相談室』の回にて、伊織を好きではないと自分に言い聞かせる

 

〇――と思わせて、桜子に「伊織は自分の彼氏」と何度も(牽制目的で)アピール

 

〇第85話で伊織に「絶対に別れないから」と告げる

 しかし伊織に好意を打ち明けずに、そこで解散

 

〇第86話にて、伊織に「私と別れたいから嫌われようとしてる?」と、次回以降の伏線に使いそうだが、かなり意味不明な解釈の台詞

 そもそも自称・恋人同士なのだから男女関係だと周知されても問題ないどころか、ナンパ除けならば、プラスの情報

 

伊織は「本当に付き合っておらず、実際は付き合っているフリ、だから別れ話もなにもない関係の筈」という理解だが、実際にそれは正しい。

ここにきて月刊連載で1話1日くらいの時間経過にスピードを抑えているので、伊織と千紗の関係については「引き延ばし・オブ・引き延ばし」なのは確実だ。

本当に付き合っている間柄ではない(形式上の彼氏彼女)ので、第86話の様に「伊織が悩む」のは実に自然な思考回路である。だが、千紗視点で情報を整理するのならば、第85話時点で「心の変化を説明して、伊織に告白しない」は、まあ、ぶっちゃけメンヘラ思考だ。

というか、あの場面で千紗が思い切って色々と打ち明けようとするも、梓かケバ子(愛菜)から電話がかかってきて、タイミングを逸す――でも良かった様な。それ以前に、ケバ子(愛菜)と桜子は、何故かハロウィンに伊織を誘わないし。もう恋愛パートに関しては「完全に人形劇」だ。出番がないヒロインは「電池が切れた」状態で、伊織に対して「本来ならばするべき干渉をしない」で、次の出番まで待機するという。

どちらかが告白した時点で即決着状態だから、伊織の童貞ギャグのネタが思い浮かぶ内は、徹底して千紗の告白を避ける展開にするのだろう。

 

伊織視点で千紗を見ると――

 

結婚パーティーの後日

千紗「伊織と付き合っているフリは大変」

伊織「元はといえば、お前から」

千紗「うるさい、バカ!」

 

ボアーズランドに誘った時

千紗「色々あって行けない」

 

桜子とデートに行ってもノータッチ

 

ハロウィンに誘った時

千紗「無理。無理なものは無理」

伊織「俺たち「前の関係」に戻れないか?」

千紗「あぁ!?(キレる)」

 

カップル狩りから帰宅した時

伊織「まだ起きていたのか」

千紗「私、絶対に別れないから」

伊織「え?」

そのまま(何の説明もなしで)解散

 

ノーリアクションゲームの後

伊織「不名誉な噂が流れてしまい、ゴメン」

千紗「別れたいから嫌われようとしてる?」

 

千紗の「伊織に対しての」心理変化と言動が、斜め下ばかりの傾向が強く、恋愛面では先の展開が読めないのを通り越して「なんで千紗はこんな言動とオチになるん?」の連続になっている感じだ。正直いって「まともな人間の思考パターン」に千紗をいうキャラを当て嵌めて考察したり先を予想するのは、無駄だと悟り始めている。

 

というか、19巻の引き

⇒実はその後、なにもなしです。

21巻の引き

⇒やっぱりその後、なにもなしです。

 

辛辣な話、22巻の最後「千紗による」引きがあります

⇒でも、そこからなにもありません。

それから、2✕巻の最後「千紗による」引きがあります

⇒でも、そこからなにもありません。

 

引きは、単行本の売り上げをキープする目的の「釣り」で、このまま連載が終了するまで、ずっとこのパターンでも驚かない。桜子の告白はあんなに劇的だったのに、どうしてこうなったというか、振り返るとアレ、無駄にドラマチックだったなぁ(遠い目

 

正直、今週号(第259話)の『MAJOR 2nd』の睦子と道塁の方が、真っ当にラブコメ的にヒロインしているって、コレどういうコトよって思った。『MAJOR 2nd』の方も野球漫画なのに、その野球要素がもっともダメっていう状況だけど。

 

onecall2ch.com

まあ、個人的な「今のところ」の意見としては

・やはり恋愛面は間延びしている

・最近は悪友たちとのバカ話も面白い

かな。むろんサークルメインであって欲しいが。

85話考察:もう「朝チュン」でいいんじゃないかな?

第85話を読み終えて、率直な感想だ。

そもそも恋愛パートに関しては、イベントおよびヒロインのアクション不足で露骨にダレてるなぁと思っている。

基本的に評判が良かった第85話だが、以下の様な意見も掲示板に書き込まれたし。

 

 125名無しんぼ@お腹いっぱい2023/06/07(水) 21:41:39.22

千紗は何なんだろうな。
桜子にも彼女アピールする割には、部屋で二人きりなのを見てもあっさり引き下がったりよくわからん。
今さら伊織が好きとか言い出しても違和感あるよ。

 126名無しんぼ@お腹いっぱい2023/06/07(水) 21:54:50.15

千紗は正直嫌われるヒロインムーブし過ぎになってるわな
最初はセクハラされてたりしたからヘイトもなかったけど、色んな女キャラが伊織に好意持ってる状況で別に好きじゃないけど(異性としての好意自覚できてないだけ的な感じで描かれていても)キープしておくかみたいな態度は見ててちょい不快だな

謝罪)転載は申し訳ないが、SEO(検索エンジン)的に過疎スレを自作自演する意味はないというか、上の方の書き込みについては『深夜体操』の件だと思われるが、時系列的に『キャットファイト』より前なので、千紗の心理状態として矛盾していない。下の書き込みについては、ほぼ同意。千紗がセクハラされていたという場面は、テニスウェア(奈々華のせいだが)くらいしか思い当たらないが。なお『球詠』スレでも過去にアフィカスと呼ばれていた。『MAJOR2nd』のページはともかく、このページと『球詠』のページはSEO的にサイバー警察云々というレベルでなく、スレの住人の大半が知っていると思われる。

 

千紗に関しては「場面場面を切り取ってみる」と、特徴的で面白いヒロインなのだけれど、「通算してみると」17巻から露骨にシナリオの歪(粗)を一身に背負っている所為なのか、キャラとしてガタガタ(キャラブレと細かい矛盾が激しい)っていうのが、自分も含めて気になる人は気になると思う。

それがストレスだから、可能な限り早く千紗の恋愛パートは店仕舞いしてくれよ、という。

 

19巻ラストの「別れた気ないんだけど」

 

20巻

①テーマパーク⇒これはOK

②ホワイト相談室⇒完全に要らない

③アドヴァンス⇒後に回せる

④シャークS⇒後に回せる

 

21巻

①真のストライカー⇒後に回せる

②据え膳⇒20巻の②で良かった

③昔話⇒これはOK

④今回の話⇒20巻のラストが良かった

 

つまり整理すると――

 

20巻(修正版)

①テーマパーク

②据え膳

③昔話

④今回の話

 

21巻(修正版)

①伊織と千紗の朝チュン⇒「そっち関係」でドタバタして、ギャグ話へ

②アドヴァンス・改

③シャークスクランブル・改

④パンツスクランブル・改

 

こちらの方が話の流れとしては、落ち着いて読めていたと思う。

というか『ホワイト相談室』が明らかに余計な話である。そもそも桜子の伊織への告白から、千紗は見事なまでに「伊織に(イベント的に)何もしていない」のだ。催眠術誤爆で迷惑かけたくらいか。

 

◆伊織と千紗の恋愛パート要約

1:桜子が伊織にアピール

2:ケバ子(愛菜)が伊織を好きと、千紗が知る

3:千紗が「伊織の大切さ」に気が付く

  話を動かしたのは、野球拳で桜子

4:千紗は桜子に「伊織に手を出すな」と牽制

5:伊織が「千紗の大切さ」に気が付く

  話を動かしたのは、デートした桜子

6:第85話で「お互いに」別れたくないと告げる

  ⇒今ココ

 

ほら、『水星の魔女』15話ラストで、グエルが「ジェターク社を立て直したいから、(宇宙に戻るために)軌道エレベーターに案内してくれ」とオルコットに言ったじゃない?

で、次にグエルが登場した時には、途中の過程(行間)をすっ飛ばして、もう宇宙に帰って、ラウダの元へ一直線だったからね。軌道エレベーターに向かう道中とか、宇宙に昇ってからの話は、略しても全然かまわないんだよ。

 

引き延ばしの為の邪魔が入らなければ、まあ、普通の流れとして

・お互いの誤解・齟齬をなくす

・告白して気持ち(想い)を確認し合う

・そのまま解散か、チューする

・そのまま解散か、きっと抱き合う

・伊織か千紗の部屋で合体する

 

ここまでは「普通の男女」ならばするだろう。

するって分かっているから、全部すっ飛ばして第86話の冒頭で「朝チュン」でいい。ギャグ漫画だから上の過程を詳細に描写しなくて結構である。

読者にはすでに「伊織が千紗を好き」「千紗が伊織を好き」と明示されているので、いっそ告白シーンすら完全に省いてくれても問題なしだ。

 

その後のパターンとしては

・千紗の部屋で朝チュン⇒奈々華が関わるギャグ話に発展

・伊織の部屋で朝チュン⇒栞に知られて、栞が来襲に発展

 

もう「両想い」なのは(読者には)分かったから、流石にここから互いに告白までグダグダと引き延ばすのは勘弁して欲しい。ギャグ漫画で恋愛ラブコメじゃないので、千紗が勝ちヒロインで伊織の本当の恋人になったところで、どうとでも扱える。

ってか、ハッキリ言って恋人同士のギャグとして見れば、御手洗とりえの方が余程おもしろいカップルだと思う。

83話考察:残酷ショーはみたくない

リテラシーが足りていない読者もそれなりにいる気配であるが、第83話は「伊織の千紗への認識が決定的に変化した」話である。

 

第82話までの伊織にとって「千紗は異性として認識していても、桜子相手に脱童貞しても千紗に対し意に介さない状態」であった。だが、桜子相手に脱童貞直前で、千紗を思い出して桜子相手の脱童貞を回避する。完全に伊織のマインドが変わった瞬間だ。

 

番外編(単行本未収録)『おとなりにぐらんぶる』でも――

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

時系列的には第83話の後と推察できる。

やはり伊織は変わってしまった。

 

第82話時点の伊織ならば、桜子のみならずケバ子(愛菜)も頑張れば「伊織の心の中心」に座れるチャンスは残っていた。

伊織の心の中心にはまだ誰も座っておらず、伊織が恋人を欲している理由は性欲の為であり、パラオ編でモデルのアイちゃんをナンパしたりと、伊織は自分にとって最も大切な存在を自覚していなった。摩耶の結婚パーティーでの千紗との会話からも「千紗は将来、自分以外の男性と結婚する」と考えていた。

 

だから桜子とケバ子(愛菜)のアプローチは「ラブコメ足りえた」のである。

 

でも、もう伊織は「千紗が最も大切だ」と認識してしまい、桜子とケバ子(愛菜)のアプローチは無為・無意味になってしまった。伊織が千紗に振られない限り、桜子とケバ子(愛菜)が伊織の恋人になれる可能性はゼロだと「読者に対し」示されてしまった。

読者が桜子とケバ子(愛菜)を応援しても、物語(ラブコメパート)的にはもう消化試合以下である。

 

可能性ゼロとなった負けヒロインの主人公へのアプローチは、すでに「ラブコメではなく残酷ショー」に過ぎない。

 

伊織と千紗が互いの本音を確認し、本当の恋人同士になった後――

桜子は伊織にキッチリと振られ、

ケバ子(愛菜)は千紗に介錯される

――という役割しか残されていないのだ。

 

千紗視点だと、いつ伊織が桜子とヤってしまってもおかしくない+桜子が伊織を誘惑しているのを知っている状況なので、千紗は今回のデートで「どうして桜子の誘いに乗らなかったのか」と伊織に確認する筈というか、そういった動きをしないと人間心理として不自然だ。次のデートで伊織の貞操が無事という保証はないし、もう他の女とデートして欲しくない筈である。逆にいうと、「恋愛関係を引き延ばしたい」という都合優先でこういった人間心理に逆らった動きをキャラがする=キャラが作者のロボット化であって。

第82話までの伊織だと、そういった類の千紗の問いかけに対して「童貞だから経験者の桜子にマウントをとられたくないから」と「家族と認識している」千紗に答える。

でも第83話を経た今の伊織ならば「千紗との今の関係が壊れるから」と、正直に答える筈だし、もう二度と誘惑には乗らないと云うだろうし、その答えを得た千紗は伊織に対して素直になると思う。

 

その先は2人だけの沖縄旅行の初日では繋がれていなかった手が握られて、向かい合いはしたが電話コールで離れたベッドの上の続き――は伏線として拾うと予想。

単行本21巻部分相当で、連載8年超において、ここまで状況がお膳立てされて伊織と千紗が男女関係にならないのは大学生モノとして無理を超えて無茶の域だ。

『カノジョも彼女』の主人公みたいに、(まあ、高校生設定かつハーレム系だから男女関係はマズイってのもある)主人公がプラトニック主義の変人ならばともかく、伊織は普通に性欲あるし、ここまできて千紗がさせないってなると、グダグダ過ぎてイメージ悪いし、読者的には「だったらさせてくれる桜子を選べよ、普通に」と思ってしまう。

 

千紗との関係の為に伊織が「連載中は男女関係を我慢する」という、読者にとっては最悪なオチも可能性としてはある。ただ、そこまでいってしまうと、伊織というキャラが純情かつ聖人に過ぎて、キャラの魅力が薄まるのでは。

どうなんだろう?

トッキー、ブッキー、梓も経験者だ。彼らのソレが劇中で描かれたシーンはない。時田先輩に関しては彼女の姿すら一度も写っていない。伊織と千紗も「1度だけ朝チュンの場面」を入れて、そこから先は「描写外で普通にやることはやっている」と暗示させるだけで事足りるから、(大学生なのに)そんな勿体ぶる意味はない筈だが。

 

『宇崎ちゃん~』みたいに恋敵不在ならば、恋人未満状態でグダグダと引き延ばせるが、前述した通りに「今の伊織と千紗」を恋人未満でグダグダ引き延ばす=桜子とケバ子(愛菜)を残酷ショーで読者に対して晒しものにする、なので、ここから伊織と千紗の恋愛面に関してはそんなに引き延ばせないと思う。

 

それに最近の千紗が読者視点でやっている事といえば、准教授に伊織の悪口を言って、影で桜子に「伊織に手を出すな」と牽制していただけである。主人公である伊織の方から告白する流れではあるが、そのきっかけを作る動きくらいは見せる筈――というか、第79話の失点を少しでも挽回してくれる、よね?

 

伊織と千紗の恋愛を引き延ばしたければ、やはり「伊織に千紗が最も大切だ」と自覚させないのが最適な手段であるのは間違いないのだから。

83話考察:整合性を重視した結果、恋愛レース、勝負あり

第83話――これしかなかったのだろう。

3月号は作者急病により休載となっていたが、週刊連載じゃあるまいし、まあ、プロットが相当に煮詰まっていたのか、あるいは担当編集と意見が合わなかったか。この話は難産だったんだろうな、と推察する。

 

・なかなか伊織が桜子を抱こうとしなかった理由

・桜子のアプローチを断り脱童貞しなかった理由

 

この2点を整合性を保ったまま処理する為には、伊織に「千紗の存在の大切さを認識させる」しかなかった。そして、ソレは現状で千紗が勝ちヒロインとして生き残る唯一の方策であり、ラブコメパートにおいては致命的で決定的な一撃だ

 

前述している個所を引っ張り出すと――

 恋愛面のゴールを遠ざけるのは「伊織に千紗を好きだと認識させない」だけで良い。伊織が千紗を(異性として)何とも思っていないのは「(読者目線で)そりゃそうだろうな」としか思わない描写だ。

 

なぜならば複数ヒロインにおける主人公争奪戦がラブコメとして成立する大事な条件に、「主人公の気持ちがメインヒロインに固まっていない」事が挙げられる。

例外的な作品もあるにはあるが、『ぐらんぶる』の人間関係においては「伊織が千紗を一番大切な存在と認識」したら、恋愛レースは決着だ

 

伊織は千紗を認識した上で、そのまま桜子を抱ける男ではなかった。

「据え膳」を食わないレベルで千紗との今を優先した。

つまり桜子とケバ子(愛菜)はもうノーチャンスである。

 

伊織が千紗の存在を認識するのを先延ばしにすると、その代償として桜子相手の脱童貞になってしまう。いくらなんでも、積極的にアプローチしてくる桜子に対して、伊織が手を出さないのは不自然に過ぎる状況になっていた。

 

伊織と千紗を両想いにするのを先延ばしにするのは簡単だが、そうなってくるとノーチャンスが確定した桜子とケバ子(愛菜)を、読者に対して晒しものにしてしまう。

まあ、話のネタ的にクリスマスまでには2人は本当の恋人同士になっていると予想。

 

悪友たち+大学のモテない男子連中、そして奈々華にバレない様に隠れながらの恋人関係になるのは確実(表向きは今まで通りの関係)なので、伊織と千紗が男女関係になってもストーリーへの影響は少ない筈。

というか、桜子を抱かなかった時点で「色んな女にナンパしていた」頃の伊織はすでに消えてしまっている。青女祭の時の伊織は、もう『ぐらんぶる』には存在しておらず、今の伊織は千紗に対して誠実な男だ。話の都合上とはいえ、誠実にも程がある。

別に現時点で桜子と寝ても、伊織には全く非はない。記憶にある限り今まで読んだ全漫画の主人公で、これ程までに理性的かつ誠実は男は存在していなかった。非現実的に過ぎて、ここまでくれば「千紗にとって都合のよい理想の男性」そのものになっている。

 

流石に千紗みたいに

「北原伊織は悩んでいた」伊織(どうして俺は昨日、水族館の後、桜子の誘いに乗ってヤらなかったんだ?)――とならないと思うというか、それは勘弁して欲しい。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

第79話のラスト以降、何度も桜子に繰り返し言っていると軌道修正されているので、千紗も自分の本心を認めていると読み取れるというか、いい加減に前進してくれ。

本当の恋人同士でない千紗に貞操を立てる義理などないのに、伊織が桜子の誘い(誘惑)を断って帰宅したという意味を、半分でもいいから理解してくれ。ヤりたくてたまらないくらい限界まで我慢に我慢を重ねているのだから、流石に筆卸しさせてやってくれ、千紗よ。他の女と寝るのはダメで、自分も身体を許さないとか、このままだと地雷女を超えた地獄の様な女になってしまう。

『てんぷる』TVアニメ化、正式発表

2023年1月18日ニュース。

放映は、2023年中だから夏クールが本命か。

 

アニメ公式サイト

https://temple-anime.com/

www.youtube.com


www.youtube.com


www.youtube.com

 

 

スポンサーリンク

 

桜子に告白させたのは失敗だったか

告白シーンそのものは素晴らしかった。

だが、その後の展開を見て長期的に判断すると――

 

onecall2ch.com

 

伊織が桜子相手に「すかさず」脱DTしないのが、不自然極まりない印象に。

 

人間関係からして梓相手に尻込みするのは理解できる。

不自然ではない。

ケバ子(愛菜)が身持ち硬いのもキャラとして成立している。

千紗がソッチ方面に興味ないのも納得。

 

だがリアクションを起こしたのが『深夜体操』の回だけで、伊織が桜子を抱こうとしないのは、とにかく不自然。正直いって、こんな不自然な状況になるくらいだったら、桜子の告白をケバ子(愛菜)が邪魔・妨害して、伊織へのアピールがうやむやになってしまった――という17巻のオチの方がマシだった。

 

やる展開を避けたいのは理解できるが、それなりに説得力を持たせるべきであって、伊織が桜子を抱かないのも、なし崩し的に「梓の約束という弱みが消えたのに」千紗の彼氏役を継続しているのも不自然過ぎるよなぁ、ってな感じになってしまっている。

 

伊織のキャラ、悪友たちとの関係性、千紗の彼氏役を継続する説得力、桜子を抱かない理由――これらを同時に成立させる為には、酒の勢いでうっかり千紗と一晩の関係やっちゃって、それを「弱み(伊織的には対外的にバレたらヤバい、千紗は別に大したダメージではない)」に千紗に彼氏役をやらされる、でも良かったような。

単行本派の人は20巻に驚くだろうな

19巻の締めで、見開きアップにて千紗がついにヒロイン覚醒!――だった。

読者はやっと「可愛い」千紗が見られると期待した事だろう。

 

まさか次の20巻にて、准教授とのギャグと引き換えに千紗が正ヒロインとして最も大切なモノを崖下に投げ捨てるだなんて、単行本派の読者は想像もしていない筈だ。

ストレートに言うと、千紗の本性は単なる自己中で、不快な性格ブスだった。

 

少しだけ注意深く読み返せば唖然となること請け合いである。

付き合っているフリは大変⇒摩耶のパーティーの余興の協力を頼まれただけ(というか、催眠術の件で伊織に迷惑をかけた)⇒別れた気はない

最近では栗拾いの手配をしただけ⇒サークルの友人が好きな男を偽彼氏にしていても良心の呵責なし⇒(照れ隠しとはいえ)准教授の前で伊織をボロクソにけなす

 

性格(本性)がクソ過ぎて笑えん。

無意識・無自覚ゆえに「千紗に悪気はなかった」っぽい「言い訳めいた」演出が、千紗のクズ&ゴミっぷりに拍車をかけている。某世界さんの方がまだマシだ。

カシメロ戦の赤穂が「ボクサーとして終わった」様に、千紗も「メインヒロインとして終わった」という感がもの凄く強い。

 

17巻の引きでも同じだった。

普通の人:ケバ子(愛菜)が伊織を好きだと知り、その事を知らなかったとはいえ、ケバ子(愛菜)を苦しめていたのかもと後ろめたさ、申し訳なさを覚える

千紗:ケバ子(愛菜)の好きな人が伊織って & ケバ子(愛菜)と桜子は伊織のどこを好きになったのだろう?

普通の思考回路してないんだよ、千紗は。

ハッキリと頭オカシイ系の女だ。

 

作中で最も性格が悪く、クズなのが実は千紗なんだよね。

第81話みたいな感じだとボロは出ないが、千紗のモノローグが入ると性格破綻者でクズなのが隠し切れなくなる。そりゃこんな性格じゃ友達もできないわけだ。

 

ケバ子(愛菜):伊織を好きで彼に踏み込もうと努力

桜子:すでに告白して踏み込んでいる

千紗:ギャグ回にてヒロインとしては自爆・爆散

 

第79話の千紗が何を意味するのかというと、第77話で思い出した「伊織との記憶をドブに棄ててくれた」わけで、ここから「やっぱり本心では伊織が傍にいる方が良い」とか手の平返しして千紗がほざいても、読者としては「ふざけんなクソ女」にしかならない。

 

まあ、『ぐらんぶる』は伊織と耕平メインの青春系ギャグ作品だから、別に千紗がメインヒロインから滑り落ちても話の大筋には何ら関係ないのだけれど。第81話みたいなポジションのままで問題ないと思うし。千紗視点にシフトすると不快感マックスだ。

第79話で千紗の性格の悪さを暴露されてしまった以上、このキャラもういいや、って個人的には見限っている。ケバ子(愛菜)を可愛く描けて、桜子を魅力的に描けるのだから、間違いなく原作者は千紗を意図的に性格クソ女にしている筈だ。

元からして学食でぼっち飯しているヤツだし。

ダイヤのAが完結したわけだが

※)予定は未定らしいが、作者的には「ダイヤのAの週刊連載」に区切りをつけたかった意向との事。同系列のイブニングか月マガに移籍しての続き――という路線かも。それだと完結詐欺になるが。

 

最終回が読者の間で騒然となっているなぁ。

 

納得していない読者が多いってわけだ。個人的にも「血行障害じゃなくて軽度の炎症だったんかい!」って思ったが。その要素、稲実戦に必要あった? 炎症がなければ打たれていなかったという事にしたかったのかもしれないが。

 

――で、ダイAについての話はここまで。

 

余談だがダイ大の最終回は良かった。1クール基準の時代に全100話をあのクォリティで原作完走は偉業だったと思う。

 

そのダイAから『ぐらんぶる』に話を戻すと。

 

引き合いに出したのは、読者として納得がいくかいかないかって話なのだが。

ムリヤリにご都合展開で、強引な千紗ルートにもっていくだろう事は、まあ、諦めてはいるのだけれど、各キャラの自然な心情を思えば千紗ルートは勘弁して欲しい。

 

ケバ子(愛菜)の「伊織に失恋しての耕平ルート」は、友人3名(かなこ、きっこ、恵子)の希望からしても確定だろう。

 

そのケバ子(愛菜)なんだが、伊織に真剣なわけ。

パラオ編で千紗に対して、無理に笑顔を作りスマホを握り締めたり。

沖縄リベンジ編にて、帰った後に耕平と飲んだ時、「あの人(桜子)は本当に伊織が好きなんだなって」――と自分と同じだけ桜子が真剣だと理解していた場面とか。

 

ケバ子(愛菜)が負けて納得がいくのは、千紗ではなく桜子であろう。

 

『はじめの一歩』で一歩が伊達にKO負けした様に、『球詠』の美園学院戦で1点ビハインド最終回の攻撃、なんのご都合主義もなしでアッサリと三者凡退で新越谷が負けた様に、今の千紗は桜子に負けるべきだと思う。勝って伊織に選ばれるのはおかしい。

今の千紗は桜子に勝ってしまってはダメだよ。

 

千紗=作品の顔としてのヒロイン

桜子=伊織と結ばれるヒロイン

 

で、区分できれば個人的には納得する。

あくまで現時点の描写での話であるが。

 

形式上の彼氏彼女も「桜子が勝って」解消してくれればな、と思う。

 

仮に千紗を桜子に勝たせるのならば、最低限の説得力を持たせて欲しい。

真剣なケバ子(愛菜)と桜子に比べて、作者はギャグで引き延ばしたつもりかもしれないが、単に不真面目かつフザケテいるって感じにしか見えないのが今の千紗だ

伊織に対して真剣な桜子が伊織に選ばれないのは、作劇として変だって、やっぱり。

 

まあ、伊織が桜子ではなく千紗を選んだのならば、個人的には「伊織は女を見る目がないな」って感想にしかならないかな。

 

もしも千紗ルートにもっていくのならば、ケバ子(愛菜)の気持ちを考えれば、1度は真剣に喧嘩するべきだと思うし、互いの想いをぶつけ合う必要はあるし、千紗はビンタを食らう程度の贖罪は受けるべきであるし、そういう真剣さをこの作品内において避けるのならば、あくまでギャグ的に軽い感じで恋愛レースを済ませたいのならば、伊織に関しては桜子ルートにするべきだと思う。

 

ぶっちゃけ、今の千紗でムリヤリに千紗ルートにしても不自然さ満載の超絶駄作にしかならないだろう。絶対にゴミ&クソ話になる。

 

というか、恋愛メインの『宇崎ちゃん~』みたいな漫画ならば、恋愛関係の引き延ばしは理解できるが、飲みサー&ダイビング&バカ男子学生の大学生活が主題の漫画で、どうして恋愛面をグダグダと引き延ばすのか、サッパリ理解できないものある。

先輩方のサークル引退を引き延ばすのは分かるが。

まさか千紗は若年性認知症?

ギャグ漫画でヒロインが若年性認知症を患っているなんて事はない――と、断言したいのだが、実際に千紗の描写は明かに認知症の傾向が見られる。

 

第77話『キャットファイト』の終わり。千紗は「伊織との思い出」をフラッシュバックし、そして「伊織が桜子と共に千紗から離れていくイメージ」にて、桜子に宣戦布告した。

 

多くの読者は「千紗は伊織の大切さを認識した」と思い、その後の桜子およびケバ子(愛菜)との真剣な気持ちと気持ちのぶつけ合いを期待した。

まあ、その読者の期待はまるっと裏切られてしまうのだが。冷静に考えると、ここまで読者の期待を裏切る漫画も珍しい。それはさて置いて――

 

問題は後日の千紗である。

 

彼女は「どうして自分は桜子に宣戦布告したのだろう?」と、自身の発言に疑問を抱いていた。これがどういう事を意味するかというと、

 

伊織との思い出を反芻した記憶を喪失している事に他ならないのだ。

 

それだけではなく、自身の発言における論拠が欠落している点について、千紗は疑問に思っていないのである。「(伊織を好きではない筈なのに)どうしてあんな発言をしたのか」と疑問に思う前に、「発言に至った心理や記憶を思い出せない」方が普通に考えたら衝撃(ショック)である筈だが、千紗はそこに考えが至っていない。認知症は恐ろしいと思う。

 

第79話の千紗を分かり易く喩えるのならば――食事において「一昨日はラーメン(麺類)だったから」昨日はカレーライスにした、としよう。

しかし今日、どうして昨日はカレーライスを食べたのだろうか? 私はカレーライスをそこまで好きではないのに、カレーライスかぁ、と首を傾げているのが第79話の千紗である。「一昨日はラーメンだったから」という記憶(経緯)が抜けている点を疑問に思えない程に、彼女は認知が低下しているのだ。

 

本当に千紗が認知症の初期症状を発症しているのならば、ケバ子(愛菜)への言動も辻褄が合う。「友人が伊織を密かに好いている」という認知を常態的に継続できないからこその、第79話のダンマリなのだろう。

 

千紗が若年性認知症ならば辻褄(整合性)は色々と合う状況だが、ぶっちゃけ整合性を重視してまでヒロインを認知症にするのは、僕はお勧めしない。アルツハイマー系ヒロインはギャグ漫画にて新機軸かもしれないが、そんなの僕は読みたくないし。というか、認知症を疑うレベルで単純に千紗がバカなだけだと思う。

沖縄リベンジ編が分岐点だったか

全体のストーリーを俯瞰すると、パラオ編までは「連載開始時点からしっかりとプロットが練られている」範囲だと推察できる。伏線もちゃんと機能していた。

 

ひょっとしたら、パラオ編で完結――が初期の構想だったのかもしれない。

 

で、再び沖縄へ千紗と2人で旅行は、あくまで後日談的なエピソード。

パラオ編で本当の恋人同士になった2人が、今度は2人きりで沖縄ダイビングしたシーンにて『ぐらんぶる』完結、が本来の着地点だった可能性がある。

 

というのも、沖縄リベンジ編から露骨にストーリーの完成度が下がっている。

話の質と密度も劣化だ。

伊織に対しての千紗の言動も、パラオ編くらいで「伊織に対して素直になれれば」非常に良いヒロインムーブだったと思う。17巻から千紗というキャラの劣化が著しい。

17巻から千紗の知能が目に見えて低下した。

桜子にスポットを当てる判断は正しいが、その陰で千紗の言動がヒロインとして目も当てられないレベルに。

 

仮定ではあるが、パラオ編に入る前に「連載を引き延ばす」方向に軌道修正した結果、その後の長期的なプロットが雑になってしまった為、ストーリーに行き当たりばったり感が強くなり、ヒロインとしての千紗の言動が犠牲になった。そう考えると辻褄は合う。

 

耕平がケバ子(愛菜)に対して気がある、と明白に示唆されたのもパラオ編からだ。

 

第79話にて、千紗は「ケバ子(愛菜)と微妙な感じになった」とか思っていたが、普通レベルの知能があれば、千紗の「別れていない発言」はケバ子(愛菜)への恋愛的な裏切りに等しいと自覚できるわけで、今まで通りの付き合いができると思う方が異常なわけで、千紗の知能指数はどうなっているのだ、というレベルで千紗は頭が悪くなっている。千紗の描写に関しては「頭が悪すぎて」ギャグにもならず、正直キャラとして痛々しい。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

上のコマなど、都合が悪い事から目を背ける小学生の様だ(苦笑

とても大学生の精神年齢には見えない。

『SPY✕FAMILY』アニメ14話を視聴した感想としては、第79話の千紗よりもアーニャ(公称6歳、推定4歳児)の方が確実に知能が高く賢いだろう。

真面目な漫画ならば、間違いなく恋愛的な修羅場になっているし。で、この小学生低学年みたいな黙んまりをぶっこいている千紗の横で、梓と奈々華はどういった反応をしていたのかも不明である。ってか、桜子もこんな無様な千紗に納得するなよという。

しかも「こんな黙んまり」で誤魔化す女が、伊織を「バカだし」とか見下している。ギャグにすらなっておらず、本当になんなんだよこの女は――って感じだ。

 

まあ、千紗が伊織を「バカ」「変態」とか見下さなければ、まだマシなのだが、作中で最も地頭が悪く馬鹿な女が主人公を「バカ」とか言っているから、不快感が半端ない。

千紗の地頭が並レベルならば「認めたくないが自分は伊織に惚れている」程度の事は、すぐ客観的に理解するというか、その程度すら分からないホンマモンのバカが、伊織をバカ呼ばわりが本当に不快だ。

 

あそこで修羅場になるのを避けたかったのは理解できるが、その手段が千紗のガ×ジ並みの超低知能化に精神年齢低下って。――そのまま緊迫感マックスになっても、伊織に「奈々華さん、おじさんが呼んでいます」って乱入させるだけでいい筈なのに。

控えめに言ってもメチャクチャである。

 

第17巻以降の千紗は、話の都合に誘導されて動く作者のロボット。人格と知能に従って動くキャラではなく、露骨に作者の操り人形の糸が見えてしまう。だから千紗が恋愛関係に絡んでくると、話が途端につまらなくなる。

桜子とケバ子(愛菜)も千紗同様に伊織への恋愛にふざけているのならば、バランス取れているのだが、2人に対して千紗だけが不真面目な描写になっているし。

 

真面目に『ぐらんぶる』を読むと、この展開になってしまうと、伊織は桜子を選び、千紗は自分の気持ちに気が付くも時すでに遅し、で「サヨナラ、私の初恋」と伊織への想いを封印(もちろん伊織には悟られない)して、連載初期みたいな伊織と千紗の関係に回帰する――くらいしか「まともな」落としどころが想像できない状況だ。

 

第80話以降の綿密なプロットは存在しているのだろうか?

 

第17巻以降の劣化の原因は、ギャグのネタ切れでもマンネリ化でもなく、単純に連載初期に用意されていたレベルのプロットがないからだと推察する。

可能ならば、数ヵ月間は番外編(単発話)で乗り切り、その時間(猶予)を使って第80話より先の長期的なプロットしっかりと練り直した方が良いと思う。

 

スポンサーリンク

 

千紗の気持ちの推移

第79話の考察

推察するもなにも、この回で千紗の気持ちがネタバレされた。

(よって、この項目はここにて打ち切り)

今の千紗は「素直に伊織への恋慕を認められない」とハッキリと明示された回。

未だに伊織への好意は全て無自覚。

摩耶の結婚パーティーでの「結婚式の本番は和装~」という台詞も「無自覚&無意識」だと判明した。それっぽい描写ではあったが流石に無理があると思う。

 

無理があるといえば、ケバ子(愛菜)も頭が良くないという残念な感じに。いや、千紗は堂々とお前を裏切ったのだから、桜子と同じく正面から戦おうよ、と。千紗を「この嘘つき女」と罵倒したって別に不思議ではない状況だ。

で、対抗する気満々である桜子も何故か「千紗の伊織が彼氏宣言」に遠慮して、チャンスなのに攻め込まない始末。一歩戦でKOチャンスを見逃した沢村竜平みたいである。

 

桜子に「伊織は私の彼氏だ」と牽制した直後に、自室で「どうして私はあんな台詞を」と悩むって、もう、ここまできたら二重人格を疑って精神科を受診するか、カウンセリングを受けようよっていうメンタルが危険なレベルで、ギャグになってないって、これ。

 

しかし千紗の伊織への評価――

〇あんな変態 ⇒ それはそうだ

〇脱ぐし ⇒ 伊織だけじゃない

〇飲むし ⇒ 別に酒乱ではない

〇頭悪いし ⇒ お前(千紗)の方が頭悪いだろ

〇がさつだし ⇒ お前(千紗)の方が以下略

〇無神経だし ⇒ お前(千紗)の方が以下略

〇泳げないし ⇒ そんな事で差別するのかよ

強引に伊織を下げているけれど、ルックス以外は普通に千紗の方がアレな女だとしか思えない描写だと思う。桜子の方がイイ女だし、やっぱり伊織は桜子を選ぶべきだよなぁ。

 

〇パラオ編での気遣いと打算ぬきの行動

〇沖縄旅行での桜子への気遣い

〇催眠術が誤爆した千紗に合わせてくれる

 

時系列的に最近の言動でも、読者目線ではこれだけ伊織は気遣いができている。なんか、もう、千紗はヒロインとして色々と酷過ぎる感じで、自分的にはこの回で千紗というキャラについてはハッキリと愛想が尽きた。無神経さが臨界点を突破している。

 

なによりもヤバいのは、第80話で千紗が伊織への思慕を認めたとしても、現時点で「伊織は千紗の恋人宣言に付き合ってくれているだけ」であり、別に伊織から告白されたり、両想いだと確信できる過去がなかったりと、完全に「伊織の立場を考えられない」メンヘラ女の思考回路になっているっていう。

 

そもそも論として、実相は「伊織は千紗の恋人ではない」っていうね。

 

某掲示板の『ぐらんぶる』スレでこの回について、兄貴に恋人ができるのを阻止しようとする妹みたい(意訳――ってレスがあったが、千紗の思考回路が幼稚すぎるよなぁ。ギャグになっていないくて、ただただただただ自分勝手で幼稚、これに尽きる。

 

ヒロインが主人公をボロクソにけなして、読者が不快感を覚えないというのは、大前提として「本音ではヒロインは主人公を好いている」というのがあるからであって、ヒロイン云々以前に、主人公を好きでもない奴が主人公をボロクソにけなすって、そりゃ、ただの嫌な奴の罵詈雑言でしかない。

どうして、この程度の「作劇における基本中の基本」すら度外視して、千紗を(読者に不快感を与える)「嫌な女」にしたのか、本当に謎である。

 

古手川千紗という人物の何が醜いかというと、恋人として伊織を幸せにする気がないのに、ケバ子(愛菜)の恋は応援できない、伊織を桜子に幸せにしてもらえればという発想もない、形式上の彼氏彼女に合わせてくれている伊織への配慮もない、考えている事は自分の事のみ――でギャグ漫画のヒロインなのに人間性がリアルな方向で醜い、汚くて醜悪なんだよ。

伊織が「嫌な面がない読んでいて楽しい主人公」なのに、ヒロインである筈の千紗が、この第79話の身勝手さから「本当に不快で醜い存在」としてしか映らなくなった。

 

伊織は乙矢君とのW勘違いの時に、ちゃんと千紗の事を考えてやれている――というか、真っ当な人間性ならばそれが普通だと思う。千紗がまともな人間だったら、ケバ子(愛菜)と桜子に伊織を「彼女として、どちらかが彼を幸せにして」と譲る筈。もちろん「自分が伊織の本当の恋人になる」と決意するのならば、別に他の女に伊織を譲る必要なんてないが。

 

右代宮准教授とのやり取りが面白かったから「あり」な回であったが、千紗の恋愛云々に関しては引き延ばし感が出てきて、露骨にダレてきている。ケバ子(愛菜)も不自然に行動を起こさなくなっているし、ストーリーがこんな様では第80話で伊織が桜子と既成事実を作ってしまって、そのまま桜子ENDでもいいやって思った。

伊織のキャラが秀逸なのに反して、千紗があまりにもヒロインとしてダメ過ぎる。

 

メインヒロインだけは「主人公の良いところ」を理解している、の逆張りで、メインヒロインだけが「主人公の良いところ」を理解できていないという設定にしてしまった。だから「まともにリテラシーがある」読者からすると、なんなんだよこの女(千紗)になってしまっているわけで。

 

伊織のバカはギャグになっているバカなのに、千紗のバカはギャグになっておらず、本当に馬鹿(頭が悪い)になってしまっている。

メインヒロインは普通に「常識的&頭が良い」の方が好ましいと思うのだが、よりにもよってメインヒロインが賢いどころか、ギャグ的なバカキャラの男たちよりも「地頭が悪く」描写されているっていうね、もう。

 

これじゃ、負けヒロインになる前提の妹系ヒロインというか、千紗はメインヒロインではなくワガママな妹分でしかない。中学生の栞よりも幼稚という。

 

伊織、耕平、先輩方、乙矢君(悪友たちは評価が分かれるだろうけれど)と、男キャラは本当にいい味を出している。ケバ子(愛菜)、桜子、梓、ケバ友3人、摩耶と素晴らしい女性キャラが揃っているのに、なぜにメインヒロインである筈の千紗をこんなゴミ女にしてしまったのだろうか? この第79話の「千紗が伊織を好きという感情を拒否っている中で、伊織を本当にナンパ除けの為だけに利用した(利己的で自分勝手の極み)」という暴露で、『ぐらんぶる』という作品がガラガラと崩壊したイメージだ。

 

っていうか、これ、伊織と千紗を入れ替えて考えると相当にヤバい。

・伊織は千紗を「自分の都合だけで」「好きでもないのに」偽カノジョに仕立て上げる

・伊織が発端で千紗を偽カノジョにしたのに、形式上の彼氏彼女は不本意と愚痴る

・千紗を偽カノジョに仕立て上げたが、伊織は千紗を何とも思っていない

・千紗への好意を認めたがらずに、伊織は「千紗はバカ、変人でぼっち」と堂々と見下す

・伊織は千紗との行為は吐き気を覚えるが、千紗に言い寄ってくる男には「千紗は自分の女」「千紗に手を出すな」と千紗の知らないところで妨害する

・千紗が偽カノジョを続けてくれている事は当然で、感謝などしない

・なお上記の言動をしておきながら、千紗が自分に好意をもっているか否かなど、伊織は知った事じゃないというスタンス

う、う、うぅ~~ん、上記の様な伊織は見たくないが、こうして見ると千紗は単なるクズ女だよなぁ。王道的に「伊織に対し素直になれないが、好意を隠しつつ他の女を牽制する目的で、伊織を偽彼氏にした」で良かったじゃないか(泣

 

千紗の恋愛云々を引き延ばしたかったら、シンプルに「好きだと自覚したが、伊織の前ではどうしても素直になれない」というだけで事足りる筈。

桜子とケバ子(愛菜)が妨害すれば、いくらでも引き延ばせる。そのためのライバルヒロインだろうし。恋愛面のゴールを遠ざけるのは「伊織に千紗を好きだと認識させない」だけで良い。伊織が千紗を(異性として)何とも思っていないのは「(読者目線で)そりゃそうだろうな」としか思わない写画だ。

ここまで千紗の株を下げる方向性に舵を切って、これからどういった展開にするのだろうか? 桜子は劇的に告白し、ケバ子(愛菜)も友人3人の前で真剣な心情を吐露した。だが、千紗はパラオ編で(別に読者が望んでいない)無駄にシリアスな母親との確執があったのに、ここでこそビシッとシリアスにならなけれならない場面で、(読者が期待しているとは思えない)こんなフザケタ様っていう。准教授との掛け合いが面白い反面、話全体では滑りまくっている。

ひょっとして、原作者にはラブコメの才能がないのだろうか?

純粋なギャグはキレッキレなのになぁ。

完結後に振り返ると、このキャラ(千紗)ってトータルでは何だったんだ? ってな事になりかねない。某掲示板の作品スレでも、ぶっちゃけ読者は白けていたというか呆れていたって空気だ。第78話が面白かっただけに、グダグダ感が拭えない。

 

第78話で『good! アフタヌーン』本誌が十桁台もこのページから売れていたが、第79話は✕冊しか売れていないのが、まあ、読者の心情の現実だと思う。

 

ふと気が付いたのだが、作画担当の吉岡先生の『てんぷる』に出てくる月夜は、顔の造形が千紗タイプであるが、性格と言動については「千紗を反面教師にした」のかなぁ、と思ってしまった。千紗とは違い、月夜の性格は可愛いし不快感がない

 

 

今の千紗は『ヴヴヴ』のショーコ並みに言動が不快感な面が強い。ショーコは製作側が「人気出る正統派ヒロインのつもり」で描画したらしいが、その言動で視聴者から不快と反感を買いまくったキャラだった。なんであんな言動させて人気出ると思ったのだろうか? って当時の視聴者は衝撃を受けていたなぁ。

第78話の考察

出番が1コマ(後ろ姿のみ)。

雑誌の表紙およびカラー扉絵(単行本には載らない系)はアップだったが。

状況から察するに「伊織に異性として好かれている自信」が皆無なのは、まあ、間違いないだろう。自信があるのならば、桜子とケバ子(愛菜)に「潔く伊織は諦めろ(横恋慕するな)」と結論を突きつければ良いだけだ。

普通に考えたら「普段の千紗の伊織への言動」「伊織の普段の言動」を鑑みれば、千紗が「本当の恋人になってくれ」と告白しても、伊織に断られると千紗が予想するのは当然といえば当然だろう。

第77話までの考察

第77話『キャットファイト』にて、ようやく千紗は自分の「伊織への」気持ちを自覚(確定)した。正直いって「遅かったなぁ」というのが感想だ。連載8年だから、本当にようやくである。恋愛マンガならばともかく、酒とダイビング、サークル活動(主に飲み会)が主題のギャグ漫画だから、主題から外れている恋愛面は引っ張り過ぎ。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

ここで19巻が終わり、次の78話が20巻のスタートになる。

千紗の部屋での修羅場(上の発言)から話が続行なのか、キンクリが起こってシャークスクランブルでのダイビングになるのかは、現時点では分からない。おおまかな流れとしては、最初からのプロットとのズレは少ないと思われるが、細かい部分では粗が目立つ。

 

〇伊織が交わした梓との約束

・最初は「千紗がもういい」というまで、伊織は「彼氏のフリ」をする筈だった

・第76話では、梓の判断でもう「彼氏のフリ」をしなくてもよいになっていた

 

ただし、千紗に対して「伊織が彼氏のフリ」をしてくれているのは梓が伊織に約束を取り付けてくれたから、と直接的に知らされているシーンはない。しかし第77話の感じからすると、千紗は「梓との約束のお陰」で「伊織が彼氏役をやってくれている」と理解してる様子だ。伊織にメリットがない話(約束)なので千紗が伊織に感謝の意を示していないのは人としてどうかとも思うが、ギャグ漫画だからそこは突っ込むべきではないか。

 

〇最初から伊織を意識していた?

約10年ぶりに再会した直後は、流石にそんな事はないだろう。普通に軽蔑および落胆していたと推察できる。伊織を好意的に評価できるシーンも皆無だったし。

だが「伊織のために」嫌々ながらもミスコンに参加した時点では、少なく見積もっても嫌いである筈がない。

ミスコンの表彰式で、一方的に「伊織が彼氏」宣言した時は、まあ、ケバ子(愛菜)に構いっ切りな伊織に対しての「腹いせ」だったのだろう。

 

そこから意味ありげな場面も散見できるのだが――

 

スポンサーリンク

 

 

〇意図した?矛盾シーン?

伊織が童貞(千紗と関係を持っていない)だと、講義中のグループディスカッション(番外編)で周囲にバラされた時、千紗が「あのバカ絶対許さない」と顔を真っ赤にしていたシーンは、話のオチとしては秀逸だった――が、この時点で伊織への好意を無自覚ならば明らかに変である。

身体を許していない程度は、別に堂々としていれば良いのだから。

 

それに「ケバ子(愛菜)が伊織が好き」と知った後の心理状態およびリアクションも、変(違和感の塊)としか言い様がない。友人の恋路に「自分から無理に」首を突っ込むのは野暮だとしても、自身の伊織への好意を認識していないのならば、ケバ子(愛菜)の恋を完全スルーはいくらなんでも薄情&不自然である。

真っ当な感覚ならば、この時点で伊織との形式上の彼氏彼女を解消する筈だ。

まあ、千紗は明かに性格的に真っ当ではないキャラだが。

千紗が他人の心情を理解可能な普通の性格だと仮定すると「友人が伊織を好きと知り」色々と悩む。ケバ子(愛菜)の気持ちを知らなかったとはいえ、伊織を偽彼氏にしている事に後ろめたさ、罪悪感を抱く。だが、そういった心理状態にもならず、第77話でも恋敵として意識しているのは桜子のみで、ケバ子(愛菜)は眼中にないって感じだ。ちょっとサイコパスっぽい。千紗にとってケバ子(愛菜)って何なのだろう? 友人に違いないが、友情は相当に薄いとしか思えない

それにケバ子(愛菜)は「伊織への恋心」を耕平に相談しているのに、自分(千紗)には内緒――を「自分は友人として信頼されていない」「蚊帳の外か」と怒ったり落ち込んだりしていないので、千紗とケバ子(愛菜)の友情って表層的な代物でしかなさそうだ。つーか、ケバ子(愛菜)の友人って「きっこ、かなこ、恵子」の三名であり、千紗はサークルのダイビング仲間に過ぎないよねっていう。

 

沖縄リベンジ編での千紗も変だ。

それ以前では桜子と相性が良くない感じで描かれており、途中からムリヤリ参加した桜子の横暴ぶりに、千紗は反発しなければならないのだが、リアクションが薄い。自分がメインの旅行だった筈なのに傍観者感というか他人事感が凄い。心理描写を省かれているので、千紗の置物感は不自然極まりなかった。ケバ子(愛菜)を動かす為の代償だったのは分かる。

そもそも千紗は伊織に旅行をプレゼントしてもらっている立場である、本来は。

桜子乱入から催眠術にかかるまでの千紗は、ぶっちゃけキャラとして人形に近かった。

 

っていうか、2人きりの旅行に誘われた時のリアクション、新品の水着を買いに行き、旅行の最初は緊張していた千紗と、桜子乱入後の千紗は人格が同一とは思えない。

第77話の回想シーンで「旅行を含めた伊織との記憶」を思い出しているのだが、いや、今さらやっとその程度の事に思い至るのかよ、と読者としては呆れるばかりだ。伊織を他の女に奪われた後、千紗にとって伊織と同等の男が「都合よく」また現れてくれる事がほぼ無いだろうなんて程度、まともな思考回路をしていたらすぐに気が付きそうなものだが。千紗、お前はアホか、と。

 

シンプルに考えて――

〇同居しているので、生活態度に問題が無いのが保証されている

〇親戚なので家柄に問題が無い(旅館経営なので裕福の部類)のが分かっている

〇ちゃんとファミレスのバイトと店の手伝いをこなす

〇社交的な性格で友人を作れて、コミュニケーション能力が高い

〇イトコ同士とはいえ血縁がない

〇千紗の性格および趣味に理解がある(というか趣味が共通している)

〇容姿と身長と体力と運動神経と地頭が全て標準以上で備わっている

〇トラブル、ピンチに対応可能

〇四六時中、一緒にいてもノンストレス

イトコ同士という要素はともかく、ここまで千紗にとって好都合な条件が揃っている同年代の男性なんて伊織以外に存在するとは思えない。特に結婚を仮定するのならば、同居済み&婚族以前に親戚、という条件が強過ぎる。同棲してボロが出る、相手方の親類縁者に問題あり、で結婚が破談になるケースだってあるのだから。

 

伊織を桜子とゲームで争うのに「やる気でない」と嫌な顔をした千紗であったが、桜子も「私も」とボソッと小さく零す(扉絵シーン)。

けれども桜子は本気で伊織を好きになっていたと、明らかに桜子の言動も矛盾しているが、整合性よりも目先のギャグを重視しているのだろう。

 

その桜子にしても、伊織へのアタックが期待外れに終わっている。

伊織に距離を置かれない為に無理に迫らないのは理解できるが、もうちょっとやり様があると思う。そもそも「千紗が本当の彼女ではない」と知っているので、第77話で伊織に「千紗と別れるのね」と言うのも変だ。実際は付き合っているフリだと分かっているのだから。

 

〇引き延ばしの代償による知能低下

千紗が「伊織に彼女ができるわけない」と高を括るのは、まあ、普段の伊織の言動からしても許容範囲内だ。第76話まで千紗は伊織を「このバカ」と思っている。たぶん千紗の恋が実っても「伊織がバカ」という認識は不変だろう。

 

だが、ケバ子(愛菜)は早くから「伊織と相性が良く桜子は危険な女」と察知していたのに、千紗は第77話まで呑気にも無頓着に近かった。

伊織が傍にいる生活が「実は大学生活限定で、他に恋人がいない状態」だから成立していると気が付くのが遅すぎである。つまり伊織を恋人にできずに大学時代が終われば、伊織は千紗のもとを去る(下宿が終わる)。というか、危機感がなさ過ぎだ。身も蓋もない言い方をすれば「千紗って割とマジでバカ(頭が悪い)だな」としか感じなかった。

 

登場初期はもっと頭がよさそうなキャラだったのに、いつの間にか、眠たそうなデフォルメ目でボケっと首を斜めに傾げるキャラに。?が多くなる。意外とチョロい、割と天然が追加されたところまでは良かったが、パラオ編辺りから千紗は知性と聡明さが除去されたイメージだ。

逆に伊織は、本当の意味で馬鹿キャラだったのは女子大の学祭くらいまでか。栞が登場して以降、実は有能でイザという時は頼りになる奴という描写になっている。無人島編くらいから、明らかに千紗よりも精神的に大人だという部分が増えていた。

 

読者目線だと、千紗に伊織はもったいない男としか思えないので、ハッキリ言って千紗は1度、伊織を他の女に取られて精神的に痛い目を見た方が良いと思っていた。

酒バカ&おバカなノリの言動を除くと、水泳が苦手以外「ほぼ完璧超人で非の打ちどころのない好青年」である伊織は、千紗に対しては激甘で優しい+精神的に大人として接する事が多いので、伊織が千紗を悲しませる展開にはならないのは分かっているが。

 

話の都合上、メインヒロインだから補正的に優遇されているだけであり、千紗が伊織に相応しい女だとは正直いって思えない。悪友たちに「千紗はダイヤで、伊織は蛆虫」と発言させているが、描写されている内実は「千紗はガラス玉で、伊織がダイヤ」って感じである。

 

第76話での結婚式についての会話も、千紗に限定すれば不自然だ。

摩耶に偽新郎新婦を頼まれた時は、内心で嫌がっていたのに。でも結婚するのならば「伊織を想定」という矛盾。しかも催眠術にかかった際の伊織を大好きといったコマのコピーを使っている。伊織と結婚したいのが本音ならば、その前の内心で嫌がる描写は明かに余計(必要がない無駄なコマ)であった。催眠術にかかっていなくても偽新婦はOKだったっぽいけれど、「将来への予行練習~」云々のリアクション(演技)が嫌と読み取れるが、イベントの手伝いだし、色々と中途半端な描写だった。というか、自分が担当編集だったら修正させるかな、その場面は。

なんにしろ、話の都合で千紗というキャラがブレまくっている印象が強い。

 

夏休み中の千紗と伊織のやり取り(掛け合い)なんて、偽恋人ではなく本当の恋人同士でも差異はない内容ばかりなんだから、可能な限り迅速に恋愛問題を片づけて「連載初期から夏休み前半」みたいな千紗と伊織の軽妙でおバカな掛け合いを復活させて欲しいと思う。

 

スポンサーリンク

 

伊織の気持ちの推移

第83話の考察

やはりこの回まで、伊織は千紗を「異性として恋人にする」発想自体がないと判明。

普通に桜子相手に脱DTする気だった。当然といえば当然だろう。

だが、水族館にて「千紗の存在を思い出し」て、桜子との脱DTのチャンスを放棄――つまり桜子と男女の関係になると千紗との関係が壊れると判断したのである。

これで、ほぼほぼ伊織の千紗への認識は変わった筈。

 

摩耶の結婚パーティーでの千紗との会話から、伊織は「千紗は自分以外の男性と将来は結婚する」と考えていたと分かるが、この第83話を経た伊織は「千紗を他の男に譲れるか」と問われたら、答えはノーだと思う。

第78話の考察

千紗が彼女云々はあまり深く考えていないんだろうな、と思った。

悪友たちに対して「一応、彼女持ちなんだが!?」と言っていたので、今さら「実は付き合っていたふり」だったが解消した、と周囲に説明するのも面倒なのかもしれないが。

野島に「どうせギャラが発生する恋人関係だろ」とか言われていたのは笑った。実際は真逆で「千紗がギャラを払うべき偽の恋人関係」というのも含めて。

この回で思ったが、時田先輩の彼女と同じく「劇中には一切 顔出ししない」遠距離恋愛の恋人を伊織に当てがい、徹底してギャグ的にストーリーを進めた方が面白い気がしてきた。

第77話までの考察

パラオ編で、モデルのアイちゃんをナンパしたところまでは「千紗に女としての好意を向けていない(内心で感じているのか否かは別)」のは間違いない。あるいは千紗と男女の関係になるのは想定外だ。

 

無人島編で千紗の胸を見てしまった後に「妹(栞)と同じってわけにはいかないか」と呟いたが、完全に妹扱いは無理だと分かった――程度と推察できる。

 

決定的な伊織の認識の変化は、パラオ編でのラスト、千紗に「伊織が居てくれて良かった」と言われたシーンだと思われる。時系列的には番外編も含めて、そこから伊織は合コンやナンパに興味を失っている筈だ。

 

とはいっても『深夜体操』の回での千紗への認識は、まだまだ家族愛に含まれている感じに解釈できる。が、催眠術にかかった千紗に額を当てられた時の伊織の過剰なリアクションからすると、確実に千紗を女として認識しているだろう。

パラオ編で耕平に語った理想の彼女像が「まんま千紗」であるから、その辺に伊織が気が付くのかどうかが、鍵になるかも。

 

まあ、伊織については「別に恋人が千紗でなくても問題ない」ので、解釈については色々な意見が出てもおかしくない。千紗は「恋人が伊織」でなければ恋愛的に破綻するキャラなので、分かりやすいといえば分かりやすい。

千紗が賢くなった瞬間、千紗は「伊織への本心」を自覚するのは当然であったが、伊織は何がキーになって「千紗を異性として正面から向き合う様になるのか」が、第77話の時点では不明だ。

 

逆説的にではあるが、本心で「千紗が一番大切」でないのならば、普通に桜子を受け入れて恋人にしているであろう(他に理由が思い付かない)から、なんだかんだで「千紗を選べるのならば、千紗を選ぶ」という心理なのだと思う。

耕平の気持ちの推移

第78話までの考察

大筋というか、初期プロットからしてケバ子(愛菜)の相手(着地点)が耕平なのは間違いないだろう。桜子が再登場した辺りから、ケバ子(愛菜)と耕平が2人で話すシーンが印象的になってきていたし。何よりもケバ子(愛菜)の友達3人の認識が「耕平と伊織」では段違いである。

 

しかし露骨に耕平がケバ子(愛菜)に対し、「隠している本心で」気があると示唆したのは、パラオ編からだ。

 

『泥酔卓球』の回で、催眠術以上に色々と本音をぶっちゃけていた。

※)74.5話で雑誌掲載=単行本19巻には未掲載

  場所的には19巻の2話目に当たる位置

 

だが、その後に第78話の遊園地にて(以前と変わらずに)栞に執着していたり、摩耶(カヤ様)への憧憬を抱き続けている点からしても、「異性(愛菜)への恋愛感情」と「オタク的な思慕」は耕平の中では綺麗に分かれていると思われる。

単にキャラが内包している矛盾かもしれないが。

奈々華、梓、摩耶の年齢は?

これは結構、不思議である。

年齢・学年を超えた女の友情――だと単純に解釈しているけれど。

 

奈々華:『PaB』のOG

梓:青海女子大3年生

摩耶:青海女子大OGで『Ground Blue』の客

 

水樹カヤとしての芸歴から考えると、摩耶=25歳くらい?

奈々華は青海女子大卒(『PaB』はインカレサークルだから高卒はない)でイントラしているとして、23~25歳だろう。

梓だけ年下の20か21歳になってしまうが、梓が高校時代からの付き合いと仮定すれば、今の3人のタメ感(同年代)はそんなに違和感はないか。でも、う、う~~ん。

 

ひょっとして――

 

梓は専門学校を卒業した後に青海女子大に入学、あるいは伊豆大学を卒業後に青海女子大に入学だとすると「20歳+3年」もしくは「22歳+3年」で奈々華、摩耶と推定同学年にはなる。正解はこの線になるのかなぁ?

 

そもそもケバ子(愛菜)の実家は九州の農家と思われるが、かなこ+きっこ+恵子の3名とは「高校時代からの親友」なので、彼女は高校から親元を離れている事になるし。

 

ってか、電車で半日くらいしか離れていないのに、北原家と古手川家が約10年も顔合わせをしていなかったりと、細かい設定に粗が目立つよなぁ。

 

粗といえば、19巻の番外編(どう見ても真夏)にて山本は奈々華を目にしているのだが、時系列的にその後に当たる夏休み明けの第2回目の合コン回で「伊織と同居している従姉が、以前、山本が目撃した天使(奈々華)だ」と初めて気が付いていたから、整合性はあまり気にしていない作品なのだろう。

第79話時点で、桜子が勝ちヒロインの方が物語とギャグがスムーズに両立できる状況になっている件について

つまるところ『ぐらんぶる』はスキューバダイビングと飲みサーを主題にしたギャグ漫画である。決して恋愛マンガではない。

 

〇桜子ENDの場合

・彼女は『PaB』のメンバーではないので、不必要な時は出番をなくせる

・伊織との掛け合いが最も自然なヒロインである

・彼女が伊織を好きになった過程が王道

・ギャグ漫画に相応しいゲスな面もあるヒロイン

・伊織と桜子との関係は王道パターンの1つ

・仮に伊織が求めれば、ちゃんと行為に応じる

・最終巻にて桜子と結婚して北原旅館を継げば、栞問題も解決できる

 

〇千紗ENDの場合

・『PaB』にいてもいなくても、ほとんど影響がない

・そもそも能動的に動いてくれないキャラである

・ボッチ系で友達すらいないキャラである

・天然系を通し越してアスペルガーとしか思えないキャラである

・「伊織は彼氏だ」と一方的な恋人宣言で伊織を嵌めておいて、時に被害者面

・好意の裏返しという王道ではなく、本当に伊織を好きな感情を拒否っていた

・「伊織は恋人」と「伊織の恋人は不名誉」を都合よく使い分ける悪役ムーブ

・伊織との行為は吐き気がする反面、桜子が伊織に行為を許すのはダメらしい

・千紗ENDだと北原旅館の跡取り問題が解決しないのでは?

 

軌道修正が可能ならば、いっそ千紗と伊織の互いの感情の正体は「家族としての親愛」である方向性にして、伊織と桜子をくっつけた方が面白くなると思う。

伊織が千紗と桜子に行為を求めるのか否かはさて置いて、自分は伊織に行為を許す気はないのに、桜子が伊織に行為を許すのは「伊織は自分の彼氏(=実は違う)」だからダメとか、倫理観がおかし過ぎて、ちょっと人として嫌悪感が。

 

千紗が伊織と行為をしたくないと思うのは勝手であるが、だったら桜子が伊織に行為を求めたり、行為を許そうとするのを邪魔するのは露骨に卑怯だ。潔く容認するべき。しかも、その時だけ限定で「伊織は彼氏だから」という建前を盾にして妨害である。

クソ女、クズ女にも程がある。

こんな卑怯で狡い女が勝ちヒロインになるのは、個人的にには、もう望んでいない。

 

千紗に相応しい男性キャラは山本だと思う。

お似合いだと思う、千紗と山本は色々な意味で。

ケバ子と耕平の方が長くなる筈

何度でも繰り返すが『ぐらんぶる』は恋愛マンガではないので、極端な話、伊織と千紗が学生結婚してもエンディングにはならない。スキューバダイビングと飲みサーと悪友たちとのバカ学生生活が主題であるから、大学3年でサークル引退するまで話は引っ張れる。

 

ドラクエVに喩えるのならば、千紗がビアンカで桜子がフローラみたいなものだ。

 

ってか千紗が滑り台になり桜子ルートだったとしても、伊織の大学生活&サークル活動という本筋に大差はないだろう。選択ヒロインを差し替えても、ほとんどのイベントが共通している実質一本道シナリオのエロゲーを想像してみれば理解できる。

 

で、伊織の千紗ルートは第83話で確定したわけだ。

桜子のフォローはどうなるかは全く予想できないが、今度はケバ子(愛菜)の失恋から耕平ルートに移行しなければならない。そして、この2人の恋愛は成就するまでかなり長くなるのは必至だ。まずケバ子(愛菜)が失恋から立ち直り、伊織のことを吹っ切るまでに相当な時間を要する。というか、簡単に吹っ切られたら逆にドン引きだ。

ケバ子(愛菜)が伊織を吹っ切り、耕平に向き合えるまでに立ち直り、なおかつ耕平も自分の気持ちに正直になりケバ子(愛菜)にアピール、という道程を経なければならないので、少なくともそれを描き切るまでは『ぐらんぶる』完結はないだろう。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

作中時間で今は秋だから、来年の夏くらいまでは要する――と思うが。

 

先輩方3年生がサークル引退で『ぐらんぶる』完結だと、ケバ子(愛菜)と耕平が片付いていないままになるので、OB・OGとしてトッキー、ブッキー、梓は4年生になっても店に顔を出しながら、新入生を数名加えての2年生編を夏くらいまではやると予想している。

 

変化球的な展開としては伏線として「産婦人科の名刺」「避妊ネタ」をやっているから、千紗が妊娠(学生結婚)⇒2年生時は出産があるのでサークル休眠(当然、新入生入らず)⇒よってキンクリで1年間スっ飛ばして、伊織たちが3年生で春から『PaB』存続をかけた最後の1年、という線もあるにはある。

 

最新話より前の感想

第91話『視察』

 秋祭における『PaB』ミーティング回。

場所は店から伊織の部屋(部室)へ。

サークル全員ではなく、いつもの6人だけで秋祭の屋台出店についての話し合い。そこに雪子が視察にやってくる。品行方正(上品、品位アリ)でなければ、実行委員として出店許可を取り消すという旨。サークル活動費を学祭の売り上げで補填している『PaB』としては、出店中止は非常に困るという事情がある。

推定18か19歳である伊織と耕平は、雪子の前で酒を飲めないという事態に。

案の定、3年の先輩達が『PaB』の流儀で下品かつ酒バカな面を隠し切れないが、それ以前に雪子も率先して卑猥な方向へ解釈(ウソ&捏造)して、いよいよピンチに。

しかし伊織と耕平は悪知恵による「普段通りの卑怯な」機転を利かせ、雪子を罠に嵌めて事実上の口封じ(有耶無耶にもっていく)に成功する。

辛うじて雪子の妨害を躱し、無事にお好み焼き屋を出すのみならず、伊織と耕平は賞金目当てで連覇を狙い男コンにエントリー予定に、そして意外にも千紗がミスコンに出場するのを拒否らず、伊豆秋祭が始まる(と思われる)次号に続く。

感想および考察

予定調和な回であったが、面白かった。

この面子でのギャグと悪友たちとのギャグを交互に繰り返せば、作者側と読者側は飽きずに長く連載を継続できそう。雪子は良いキャラをしていた。デカい眼鏡を取れば実は美女とかいう安易なオチでなくて安堵だ。このまま簡単に伊織たちに迎合しないで欲しい。

それから新入生が全て二浪している設定のアニメ版とは違い、やはり伊織たちは現役入学している模様。ぼかす気ゼロのぼかしが入っていた(笑

千紗はミスコンでどうするつもりなのだろうか。

連覇すると予想するのだが、優勝インタビューで伊織への告白か、逆に「仮初の恋人関係」を解消して全てをスタートにするのか、伊織との今後へ向けてそんな路線かな?

雪子の出番がこれからも続くのを願う。今回のみの使い捨ては勘弁だ。恋愛のライバルだった桜子とは違うベクトルの、千紗のライバル(?)という立ち位置のままで。そもそも伊織と千紗がデキたとしても、まだ栞とカリーナという妨害キャラが残っているし。

第90話『プレゼンテーション』

 第89話の続きから。

カノジョ(仮)で自称・今カノ状態の千紗は、伊織に「桜子と別れた(つまりその前に付き合ったという理屈)のは、どういう事か」と、詰問するが伊織は(桜子の名誉の為に本当の事は)はぐらかす。

悪友たちも納得がいかない様子だったが、准教授がやって来て講義開始。

桜子の件は有耶無耶になったが、悪友たちは伊織への悪意を募らせる。

4つある実験の中から1つを選んで行うという授業内容であるが、悪友たちはその実験のやり方を伊織への拷問にカスタマイズしつつ、自分が考える実験(拷問)を選んで欲しいと、仲間内でプレゼンテーションしていく。

なお、今回の面子は悪友フルメンバーに千紗、そして眼鏡女子(初登場)

決定権は女子2名だったが、あまりの馬鹿馬鹿しさに千紗が眼鏡女子に悪友たちを押し付けてトンズラこいた。なお、実験結果は予想通りの大惨事である。

講義終了後、眼鏡女子の名前が「林雪子」であると判明。

雪子は千紗を快く思っていない。ミスコンになっても興味なしな態度の上、男に囲まれており、難攻不落と云われている美男子の耕平、なんだかんだでイケメンの部類の伊織を彼氏にしていると、千紗に嫉妬全開であった。

そして学園祭実行委員でもある雪子は、秋祭の風紀監査担当になり、彼女主導で波乱が起きそうな悪い顔をして、次号に続く。

感想および考察

いやいやいやいや、千紗とモブ女子2名(友達同士)の合計3名だったのに、モブ女子1名がオミットされて、林雪子なる新キャラが追加されたぞ。ビックリした。――さようなら、名もなきモブ女子1名さん、どっちが消えたのかは分からないけれど。

強引にも程があると思った。

まあ、でも話の展開としては面白い。

次のネタは秋祭か。

雪子の登場で、ほぼほぼ新展開という趣きだ。

黒髪ポニテに丸眼鏡というデザインだけれど、個人的には可愛いと思ったよ、雪子。

千紗の新たなライバルキャラであるが、ぶっちゃけ前ライバルの桜子は千紗よりも魅力的になってしまい作者がストーリーテリング的に持て余していた感が強かった。桜子にスポットが当たる度に千紗の株が下がっていくという。その経験(失敗)も生かしてか、今度のライバルは程よい咬ませ犬感が漂っている。

2024年はギャグ漫画らしく、スカッと発進した感じだ。

番外編『今村耕平の受難』

 受難シリーズの3作目。

今回は耕平の番。

編集さんが遊びで『シャンフロ』ネタを入れていた。

エロゲ『らぶ娘々』(ラブやんに掛けている?)を寝食忘れて徹夜プレーしていたら、うっかりスピリタス一気飲みでお亡くなりになる耕平。

思いっ切り「なろう系」なベタベタの異世界転生イベントが発生する。

声が能登麻美子っぽい感じな女神に、お約束的に異世界転生させてもらう耕平だが、希望は『らぶ娘々』の世界であった。

しかし、手違いで地獄というか男子校のエロゲ世界へ。普段の面子ばかりの異世界に転生して、耕平は望んでいないイベントの連続に見舞われる。嫌になった耕平は水をがぶ飲みして再びあの世に戻る選択をし、能登っぽい女神に現世に戻してもらう顛末だった。

元世界(現世)に帰還した耕平であったが、店に揃っているケバ子(愛菜)たちを見て「現実はいいなぁ」と呟き、それを聞いたケバ子(愛菜)たちが「二次元至上主義の耕平が!」と驚愕する中、次号へ。なお、夢オチかどうかは定かではない。

感想および考察

待望の受難シリーズだった。

3人目は御手洗ではなく耕平とは。

男子校内でのやり取りは普段通りの範囲で、割と個々のオチは読めていたが、すんなりと楽しめた。ダッチワイフさんが再登場するのは読めなかった。嬉しくはなかったが。

読感よく2023年最後の回から2024年の最初の回にバトンタッチだ。

それにしても耕平はやっぱ良いキャラだなぁ。この番外編がコミックス22巻の〆になると思うが、23巻以降のギャグ展開が楽しみ――というイメージになるだろう。

余談だが『くりことびより』も割と好きだったりする。

第89話『毒島桜子』

 伊織はバイトの後、風邪ひいた桜子の部屋へ見舞いに行く。

桜子と伊織の色々なやり取り。しかし、最後に伊織はキッチリと桜子を振る。

伊織に気を使った桜子は「1分間だけ付き合って、振る」という体裁をとってくれた。一応は元カレと元カノという関係というか形式に。

翌日、伊織が大学に行くと「付き合ったが即日速攻で伊織を振った」という情報を、桜子が悪友たちに流していた。大喜びの悪友たち。彼らが「こういう話が出るってことは千紗ともすでに別れている筈」と解釈する中、伊織の背後から怒りの千紗が登場(ハシラに「元カノ1号さんがお怒りです!」)して、次号へ。

感想および考察

タイトルの時点でオチが察せられた回。

正直、桜子がイイ女過ぎて、読んでいて切なくなった。

千紗が現時点でかなりアレな女な分、桜子に感情移入していたから。

読み返すのが、ちょっとキツイ。

まあ、でも本来のジャンルはバカ大学生によるギャグ漫画なわけで。元の路線に軌道修正するのには、これがベストというか、伊織と桜子の株とイメージを損なわなかったのだから、いい出来だったのではなかろうか。でも、桜子を振るのは勿体ないなぁ、ホント。

ってか、藤原の陰の薄さには笑った。

それから何気に耕平も不在だった。

次号は千紗とのやり取りはキンクリして、通常のギャグ回で構わないと思う。

第88話『刺客』

 前回の続きで、ドタバタなラブコメ回。

桜子がアタックするも、伊織は筋肉痛にてそれ(Hなアレ)どころではない。伊織の貞操の危機に、栞からの刺客――カリーナが再登場。

カリーナも交えて、ドタバタが加速。

だが、ビザの関係でカリーナは仕方なしに帰国するしかなかった。で、伊織は気絶してしまい、そのまま有耶無耶に。その後、なんか桜子が風邪をひいた感じになり、次号へ。

感想および考察

こういうのでいいんだよ、的なラブコメ回。

最初から最後までフルスロットルで面白い。

カリーナ再登場は望んでいたので、久しぶりのカリーナを見た時は超嬉しかった。奇を衒わずに正攻法で描けば、やっぱり抜群に面白いんだよ。にしても桜子だけではなく、カリーナも超可愛いなぁ。読んでいてニヤニヤが止まらないエピソードだった。

第87話『ウェイクボード』

 伊織は千紗の誤解を解こうとするも、千紗は伊織を避けまくっていた。

11月になっており、今回のサークル活動は店の手伝い(店番しているであろう奈々華を除く、いつもの面子のみ)。というか、新たな実験。この時季はスキューバダイビングする客が減るので、新規事業としてウェイクボードを試してみようという事。

で、伊織・耕平・トッキー・ブッキーの4名でウェイクボードに挑戦する。女子3名が得点を付けて、負けたら罰ゲーム(いつもの全裸)という趣向。

勝負が終わった後は女子3名もウェイクボードに挑戦、そして締めにビールで乾杯。

翌日は全員が重度の筋肉痛に。

千紗も動けないと察した伊織は、千紗の部屋に来襲して誤解を解く。

自室に戻り筋肉痛で寝ているところに、桜子がやってきて次話へ続く。

なお、次号は作者取材の為に休載。

感想および考察

コミックスでいえば2話目に位置するから、完全なギャグ回かと予想していたら違った。しかし、サークル関連の話だとは思っていたから、それは当たった。

う~~ん、千紗との恋愛云々はどこまで引っ張るのだろう?

正直いって「伊織と千紗は最終回まで今のまま」で問題ないって感じている。どうせ「恋人のフリ」だし。ここが2人のゴールで良いよ、もう。

っていうか、もう11月なのだが、先輩たちはいったいいつまでサークル引退を先延ばししているのか謎だ。普通に考えたら、もうとっくに引退しているのでは?

第86話『ノーリアクションゲーム』

 前話から一夜明ける。

千紗の言葉(別れないという意思表示)から特に何もなく、2人はそのまま解散した模様。だが、伊織は「千紗の勘違い」をちゃんと理解していた。しかし「千紗が自分を好いている筈がない」「別れたくない理由は、脅迫・催眠・取引とかか?」と困惑。

一般教養の講義にて、いつもの面子(悪友たち)でノーリアクションゲームを行う。

激しい応酬が繰り広げられる。

最後のオチには千紗も絡む。

感想および考察

恋愛面に関しては「引き延ばし」っていえば、全く以てそれ以外のなにものでもないが、それを上手くギャグに絡めているなと感心した。

当たり回で面白かった。前回のハロウィンといい今回のノーリアクションゲームといい、よくぞここまで面白いギャグのネタが出てくるものだ。もういっそ千紗とはこのままの距離感でいいから、今度は合コンとか行って欲しい。クリスマスも悪友達とのネタでオッケーだ。

難点・不満点は1つだけ。

千紗のキャラというか、イメージがブレブレ。85話でのラストと86話でのラストで、同一人物には見えない。こんなキャラだっけ。「私と別れたいから嫌われようとしてる?」は、どうしてそんな思考回路(推察)になるのだ? と。対して、伊織の思考回路(千紗と別れたくない理由)は矛盾しておらず、結局のところ、この作品の歪(ゆがみ・いびつ)は「千紗一人」で請け負っているから、こんなキャラブレを起こしてしまうのだろう。

まあ、千紗の関しては「細かい矛盾」を抽出したらキリがないキャラなので、あまり気にせずにギャグ面を楽しんだ方が精神衛生上、賢明なのかもしれない。

個人的にはラストのオチ以外は大満足なので、点数を付けるのならば80点くらいか。

第85話『ハロウィン』

 ハロウィンの前夜、御手洗がダチ4名(なぜか藤原がいない)を罠に嵌めて亡き者にしようとするも、失敗――が前振り。

そしてハロウィン当日、山本が企画したカップル襲撃会なる独自イベントを行う。

伊織は千紗という彼女がいるから不参加を表明するも、周りから「本当に彼女だったらボアーズランドにどうして妹を連れて来た」とツッコミを入れられ、梓の台詞「もう彼氏のふりしなくて良い」を思い出す。

その台詞から、伊織は「もう千紗は彼女ではないんじゃないか?」と考えた。

千沙に、ハロウィンに出かけないかと誘うが「無理」と断られ、千紗の中で偽恋人関係は終わった話だと誤解する。ついでに悪友たちに「千紗にフラれた」と馬鹿にされる妄想まで。

千紗との(恋人)関係は楽しかったから、また前の関係に戻れないか、と提案するも、千紗は「前の関係(恋人になる前)」に戻ろうと言われたとすれ違い、キレた顔芸で断る。

彼女なしの自分を自覚した伊織は、カップル襲撃会に参加。

当たり前のごとく耕平と野島も加わる。

で、今宵のターゲットは「前の夜に伊織たちを排除しようとした」御手洗。彼女のりえとの一晩に向けて準備万端な御手洗であったが、りえが登場した最初の回のごとく、りえの夜をぶち壊す事に成功する。

襲撃会(カップル狩り)に御手洗も加えて、伊織たちらしいハロウィンになるのだった。

ハロウィンから帰宅した伊織を出迎えた千紗が、「私、絶対に別れないから」と(伊織にとって)爆弾発言をして、次号に続く。

感想および考察

今月はちゃんとkindle版が売っており、ちゃんと買えた。

よかったよかった。

 

 

第84話といい、この話といい、ギャグがキレッキレで絶好調じゃないか!

面白くて朝から大満足だ。

『PaB』関係のギャグ回⇒悪友とのギャグ回――を繰り返して、たまにダイビングや栞関係の話をやるだけで連載をエンドレスで続けられる。

最後の千紗の台詞は「あれ、このまま伊織に勘違いさせた方が(引き延ばしに)好都合なのに」と思ったが、そういえばこれ単行本21巻の〆となる話だった。

よって次号は単行本用の番外編か、未収録の『泥酔卓球』が21巻に収録されるのかな?

しかし、この回の面白さから考えるに、このまま伊織には「千紗は彼女ではなくなった」と勘違いさせたままの方が良いと思うのだが。大して上手いとは思えない「ダレた引き延ばし感が強い」ラブコメをやるよりも、第84話・第85話みたいなギャグ話に振り切った方が個人的には面白いし、ストレスを感じないで済む。

正直いって千紗は好きなキャラではないが、今回みたいな顔芸だけは面白いと思った。

考察については下の『もう「朝チュン」でいいんじゃないかな?』に詳しく記載。

第84話『昔話』

 伊織が自室の片付けを始める。

耕平とケバ子(愛菜)も手伝う中、『PaB』が理事長から受けた表彰状を発見。

その経緯を、店で飲んでいる先輩方に訊く。

要約すると、先輩方が入学当初に起こした騒ぎ(学内事件)を解決したから。オチからバラすと、まだサークルに入っていない東先輩が、飲み会で酔い潰れていた梓を人質(ホントに傍で寝ていただけ)にとり、梓に硫酸かけるぞと立て籠もりをやっていた。

右代宮准教授の無茶なレポート120枚(課題)にブチ切れての犯行。

トッキーとブッキーが全裸で解決した。

昔話を終えた後、犯人が東先輩だったので、伊織たちが「それもうマッチポンプでは?」とツッコミを入れて、おしまい。

感想および考察

??? どうしてkindle版が売っていない?

『ぐらんぶる』休載回を避ける為に公式サイトで掲載作品を確認してから、Amazonで買うのだが、え、まさか『きららフォワード』と同じで電子版が遅れて発売になるの? GW中の今回だけだと思いたい。

『球詠』レビュー記事の為だけに『きららフォワード』紙版を「仕方なし」に購入して(しかも売っているが店少なくコンビニで買えない)、ハッキリ言って定期的に捨てる必要がある過去号の山が邪魔なのだが(怒

幸い、近くのコンビニに紙版が売っているので、ちょっと朝の散歩も兼ねて立ち読みに走った(置いてなくても買う物あったし)。くっそ面白いギャグ回だったから、読みながら笑い堪える(最初に分かっていたら購入していた)のに必死だった。悲しい事に完全に不審者だ。前回のコラボ回も笑えたが、今回は傑作中の傑作だと思う。キレッキレでギャグが冴えまくっていた。

面白かったから良かったが、わざわざコンビニまで行って(近いは近いが、そこそこ離れている)読んでまで外れ回だったら、たぶん怒り心頭だっただろう。

というか、伊織は再びチャンスが来れば「自室で桜子を抱く」つもりなのだろうか?

まあ、今回の話を読む限り「千紗VS桜子のラブコメ」なくても、この路線だけで充分に連載を続けられそうだけれど。

番外編『おとなりにぐらんぶる』

 今月からアニメスタートする『おとなりに銀河』とのコラボ回。

とはいってもクロスオーバーではなかった。

ケバ子(愛菜)が店にて『おとなりに銀河』を読み、感動。そして伊織に全巻を布教して、そこから夢の世界へ。

最初から夢オチと伊織本人も自覚しているパターン。

伊織は一郎となり、夢の世界(仮想おとなりに銀河の世界)を体験。

しおりは栞ではなく、栞は妹のまちとして登場。弟のふみおは乙矢くんが担当。

ヒロインのしおり役には奈々華を期待(もしかしたら千紗かも)する伊織であったが、案の定、期待は裏切られ耕平であった。

ドタバタの末、夢から醒める伊織。

場所は自室で、すでにいつもの飲み会が開かれていた。嫌な事(夢)を忘れる為、自発的にスピリタスを一気飲みして、最後は店のカウンターでうなされているシーンにて〆。

感想および考察

減ページで、世界観とキャラがクロスオーバーすると思っていたら、予想外に嬉しいページがガッツリのギャグ回であった。いつも以上に読み応えは十分だ。

『おとなりに銀河』はそのまま漫画という代償を支払うが。だが絵柄の差もあるし、無理にクロスオーバーよりはこちらの方が『ぐらんぶる』らしい。悪友たちとの番外編、テーマパークに行ったギャグ回に次いで面白い話であった。

なんていうか、サークルの飲み会イベント、悪友達とのバカ大学生活、伊織と耕平がメインのギャグ回をローテーションするだけで充分に面白いし話を続けられると改めて思った。まあ、ギャグの方がネタ出しがキツイのは理解しているが。

次回、また栞が登場してくれると嬉しいなぁ。

第83話『据え膳』

 ようやくデートの出番が回ってきた桜子回。

伊織はデート前夜に「ヤりたい」と理性の限界を迎えていた。しかし自分が童貞で経験者の桜子にエッチで見下されることを危惧し、素直に踏み切れない。それに加えて、ダイビング装備に目が行き、なにやら思うところがある様子。

で、翌日にデートがスタートするがリードするのは桜子の方。

ボルダリング⇒酒屋(店飲み可能)⇒水族館とのコース。

そして桜子が伊織攻略に王手をかけたが、土壇場で伊織は千紗を思い出す(という暗喩)シーンが差し込まれ、酒が回って酔いが限界と嘘をつく。帰宅してすぐ寝る伊織。スマホの時刻は21:09、つまり伊織が無事だったと解釈した千紗は安堵のため息。

最後に桜子がバーのマスターに愚痴って、次回へ続く。

感想および考察

伊織の感情(気持ち)を上手く処理したと感心の回。

デート前夜のダイビング装備への視線と、水族館で過去に言われた奈々華の台詞から千紗を読者に想起させる展開は、非常によくプロットが練られてた。伊織視点で見ると、物語の出来はかなり良い作品だと思う。千紗だけが(引き延ばしの都合で)フラフラとキャラぶれを起こしているから、ストーリーに違和感を覚えてしまうのであって。

いや、ホント、伊織(と耕平)ほど読感が良い主人公ってなかなかいない。

正直にいうと伊織と耕平、そして先輩方が良いキャラでなければ、千紗の不快感さから『ぐらんぶる』を読むのを切っていた。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

この構図に千紗バージョンを加えるのか、2人に伊織争奪戦を続けさせて、しかし伊織は「千紗の存在」を認識したから、この状態のまま引き延ばす(現状維持)のか。

いずれにせよ、伊織はもう桜子の誘惑に乗ることはなくなったし、おそらく他の女に目移りすることすらないだろう。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

それにしても桜子は可愛いなぁ。

上の表情なんて最高だ。

表情の豊富さといい、スタイルといい、気さくな面や努力家そして今回のデートで垣間見えた「相手に合わせられる」面といい、客観的にみると理想的な女だ。

ってか、悪友たちとの飲み会シーン、藤原は見切れているが御手洗いないのね。

ラブコメパートはここで一旦の区切りかな?

次回は『おとなりに銀河』とのコラボ回な模様。その『おとなりに銀河』は主人公とヒロインの間に第一子が誕生していたのだが。単純なクロスオーバーなのか、それとも伊織とヒロインの誰かが結婚して子供が生まれている未来的な話なのか、今から楽しみだ。

第82話『真のストライカー』

 前回からの続き。なんとケバ子(愛菜)、替えの下着がない。

ケバ子(愛菜)は「下着を忘れた」と正直に申告できずに、ノーパン・ノーブラのまま帰宅ミッションを決行する。

風がイイ感じで、ケバ子(愛菜)のスカートをまくってエロさを演出し、伊織と耕平はケバ子(愛菜)を意識する。そして耕平はケバ子(愛菜)が恥じらいに目覚め、このままアピールすれば伊織のハートを掴めると勘違い。ケバ子(愛菜)をアシストしようと試みる。

だが、そんなアシストはケバ子(愛菜)にとっては余計なお世話。それを親切心で(意図せず偶然にも)ガードしたのが、千紗。で、ケバ子(愛菜)は千紗に感謝する。

紆余曲折の後、どうにかノーパン・ノーブラをバレずに済むケバ子(愛菜)であった。そして千紗へのギクシャクも彼女の中では解消されていた。

そんなケバ子(愛菜)とは逆に、彼女がつい呟いた「下着履いていないのバレなかった」という独り言を車の助手席で聞いた千紗が、「そこまで伊織の好みに合わせようと!?」と、衝撃を受けて今度こそ遠征は終わり。

感想および考察

ここ最近で、ぶっちぎりで面白かった。

120点の出来だ。

前回のオチであった替えのパンツ忘れた、をここまで掘り下げてギャグにできるとは感服である。ケバ子(愛菜)と千紗のギクシャクの解消をこういったカタチでもってくるとは。

ちゃんとケバ子(愛菜)は千紗を友達だと思っている感じなのは好感が持てる。それに対して、現状だとケバ子(愛菜)に対し友人としては伊織絡みで不誠実なままの千紗は、彼女に対しての感情(の種類)をどう帰結するのだろう。今のままだと「表層的な友情」に過ぎないし、むしろ桜子とケバ子(愛菜)の方が本当の友達っぽい。

ケバ子(愛菜)と耕平は本当に良いコンビだ。

実はこの話、最後のオチ以外の視点はケバ子(愛菜)と耕平であり、伊織ではなく耕平がケバ子(愛菜)の相手になっている。それに加えて耕平と伊織のコンビ、そしてケバ子(愛菜)と千紗の組み合わせと、人間関係が上手く描かれていた。

サッカー風(ブルーロックのパロ?)の心理描写で、それぞれの立ち位置を暗示していたのも面白い。

なんていうか、ケバ子(愛菜)は桜子との区別が徹底的になされている印象で、伊織に対してこういった役割なのかなと思った。桜子とは違い劇的な告白云々はなしの感じ。

伊織も相応にケバ子(愛菜)を異性的に認識しているし、押せば桜子と同じポジションにまでいけるのでは? まあ、どこかで「伊織に告白する前に」桜子か千紗に対し「(伊織に内緒で)伊織を諦める」展開になり、耕平ルートに移行は必至だが。

千紗はこれからどう描くのだろうか?

最後の表情(顔芸)は笑えた。桜子ルートではなく千紗ルートにするのならば、今回みたいな感じで「少しずつ」千紗のキャラブレを修正していくしかないだろう。実は伊織は千紗が好きだった(描写からして、そんなわけないが)という理由(根拠)以外で、千紗を桜子に勝たせる方法なんてまるで想像できないけれど。

頑張って「千紗の読者イメージ」を回復させたいのかな、という作者側の意図は読み取れたというか、強引に「千紗は良い子」とケバ子(愛菜)にフォローさせていた。千紗がやっている親切は普通の範疇で勘違い的なギャグも含めての描写だったが。

この第82話は本当に面白いエピソードで、ギャグもキレッキレで大満足である。

なお、第20巻は4月6日発売予定。第21巻分を本誌に収録し終わっているタイミングだ。本来ならば今月発売でも良い筈だが、第21巻分ラストで「大まかな」エピソード的な区切りがつく感じなのかな?

第81話『シャークスクランブル』

 シャークスクランブルに行く前の夜(か、その早朝)からスタート。

ケバ子(愛菜)は前日の作戦会議を思い出す。面子はいつものケバ友3名。普段の伊織攻略法とは別路線でいくと決める。

遠征は前泊なしで早朝5時からの早出。ワゴンをレンタルしての車移動。

で、シャークスクランブルに到着してダイビングを行う。多くのサメが群がる壮大な海の中のシーン。視点はケバ子(愛菜)固定。

餌やりをする3本目を前にして、ケバ子(愛菜)はサメに装備を外されるのを危惧するが、伊織がその不安を取り除く。伊織の笑顔と言葉に、ケバ子(愛菜)は改めて惚れ直す。

最後の最後に、ちょっと笑えるオチ(替えの下着を忘れた)がついて〆。

感想および考察

読感の良い話であった。

100点を付けても良い。

『ぐらんぶる』ならではのダイビング回。作画も気合いが入っていた。

ケバ子(愛菜)は水着姿も含めて可愛かったと思う。

これで胸さえあれば完璧なヒロインなのに。それからきっことかなこは良いキャラだ。正直いって伊織が彼女にするのならば、きっこが最もお似合いの様な。

ケバ子(愛菜)と桜子は真っすぐなので、読んでいて楽しいキャラである。

けれど、前回にあった千紗との気まずさが無かったかの様になっていたのは、ちょっとだけ違和感がある。千紗は今回みたいな一歩引いた立ち位置がベストなのだろう。単行本20巻の〆となる話で、(原作者が)伊織についてケバ子(愛菜)に向き合わせなかったという事は、千紗はこのまま恋愛レースからはフェードアウトなのかも。

第79話のアレから手の平返しして「やっぱり伊織が好き」とかやられても、読者としても白けるし。千紗は今回のケバ子(愛菜)みたいな恋愛的な役回りは無しで、ケバ子(愛菜)と桜子の伊織争奪戦の勝者に、ニセ彼氏彼女を解消した上で伊織を託す、のがストーリー的に最適だと思った。

伊織の胸に額をコツンとするケバ子(愛菜)は最高だ。

次は第何話なのかは不確定(ギャグ回を挟むかもしれない)だが、伊織は桜子と2人きりでデートになる筈。バイトを代わって貰った借りもあるし。どうなる事やら。ただ千紗が桜子回に出しゃばったり、邪魔したりするのだけは勘弁して欲しい。

第80話『アドヴァンス!』

 シャークスクランブルに行く為のミーティングから幕開け。

1年生4人での話し合い。どうやら前泊になる模様。そして計画(詳細な予定)は発案者であるケバ子(愛菜)が立てる事に。ケバ子(愛菜)と千紗は気まずい雰囲気。

で、シャークスクランブルにはAOW(アドヴァンス)が必要と判明。そして週末に奈々華の講習を受けて、伊織たち3名はライセンスを取得する。

AOW取得の飲み会にて、シャークスクランブルで(群がってくるサメに機材を外されて)伊織とケバ子(愛菜)がパニックになったケースを想定した時のビックリネタを、『PaB』の面子が色々とギャグ的にやって、次回はいよいよシャークスクランブルへ。

自宅でケバ子(愛菜)が「伊織との関係を進めるぞ」と気合いを入れて〆。

感想および考察

AOWをようやく取得した。

ってか、こんなに簡単に近場かつ即日で取得できるのならば、もっと早く取得しておけばと思った。単行本9巻では「最短2日」と千紗が言っていた気がするが。

恋愛レースに敗北すると分かってはいても、ケバ子(愛菜)の健気さはよい。千紗も内心のモノローグさえなければ、まあ、不快感は許容範囲内であろう。というか、やはり千紗はダイビング以外では置き物に徹した方がギャグとストーリーが円滑に進む。

第79話で千紗に感情移入できなくなっているので、希望としては千紗はこのまま伊織へのアプローチなしで、桜子に恋愛レースでは敗北して欲しい。ダイビングシーンのみがメインの「作品の顔」的なヒロインでいいよ、もう。それ以外では出しゃばらないでくれ。

というか、ミーティング中も上の空であり、頼むから「やるべき時はやるべき事」をちゃんとやってくれ、千紗。ケバ子(愛菜)みたいな感じで葛藤するのならば(読者目線で)ストレスないが、今さら伊織を好きかどうかで悩んでいて、かつミーティングがそれが原因で不真面目って、(読者目線で)救い様がないじゃないか(泣

ハッキリ言って、「今の」伊織に千紗は大して必要ではない存在だ。読者として俯瞰してみても、桜子がいるのでこのキャラは物語的には用済みにできる。

ギャグ漫画なのに、伊織に関して「(読者にとって)無駄に」悩んでいるせいで、千紗だけ読者にとって陰湿だ。読感よくスカッとラブコメできないのならば、このまま「ボー」っと余計な真似をせずに大人しく恋愛レースから脱落するべきだろう。

今月号の話は非常に出来が良かった。

伊織と耕平はダイバーとして成長した感が顕著である。できれば2年生編で後輩を指導して欲しいと願うが、この1年生編で終わりそうな雰囲気だ。というのも、後輩の女の子がサークルに入ってきたら、普通の感性していたら伊織と耕平に惚れるよねっていう。

藍那(モデルの藍ちゃん)がケバ子(愛菜)の脳裏に1コマだけ再登場。読者的にはカリーナ再登場の方が面白いと思う。

シャークスクランブルは前泊になるので、そこで色々なドラマがある事を期待したい。後の展開を想定すると、桜子が控えているから万が一にも「たとえ一時でも」ケバ子(愛菜)が思い出的に良い思いをする事はなさそう。なにしろ先に桜子が告白済みで牽制を入れてしまっているからなぁ。でも、最後のコマのケバ子(愛菜)は可愛かった。

今回の伏線的にシャークスクランブルで溺れたケバ子(愛菜)を、伊織が救出くらいのイベントはあるかも。で、人工呼吸はベタといえばベタ。

それから時田先輩は、本当に彼女を妊娠させたのだろうか?⇒追記)単行本のおまけ絵で、嘘だったと発覚。

あと栞の盗撮&盗聴人形って、今は基本的に伊織の部屋に置いてあるのか。

とにかくケバ子(愛菜)の奮闘を応援する気持ちだ。そして、その後に控えている桜子と出かける約束で、伊織が桜子を選んでくれれば個人的には満足である。それで伊織に関しての恋愛パートは店仕舞いして、基本ギャグ路線に戻ってくれれば最高かな。

番外編『野島元の受難』

 チンスピの次はウォシュレット。

第78話の前(チンスピの件を初めて話した)であろう日常バカ風景。時系列的には、「この前」にチンスピだから夏休み明けだろう。

バカ6名が雑談する中、野島がウォシュレットの故障で悲惨な目に遭う話。

お約束なオチで〆る。

感想および考察

この系統の話はシリーズ化して欲しい。

でも月刊誌だから、このボリュームならば2本立てを希望する。やはりこっち方面の話はズバ抜けて面白いなぁ。常識を分かっているキャラが非常識をやるから面白いという大前提が守られている。千紗はこれの真逆なんだよなぁ。でもケバ子(愛菜)と桜子のギャグと倫理観は常識的な位置に立っているから、千紗だけが作品内で異質になっているという。

過剰な私刑とかに走らなければ、悪友達もキャラ立っており個性的なので、こういった大学生活ギャグは需要あると思う。不快感もないし快く笑えた。『PaB』の先輩達といい、悪友達といい、こっち系統の面白さは唯一無二で素晴らしい。安易に他の作家がコピーできない域で、天才だと思う。こういったギャグは超プロ級なのに、千紗を絡めたラブコメパートがゴミなのが本当にもったいないと思う。ってか、来月号、もう「千紗はコマの端っこに映っている」だけにして、喋ってくれなくて結構である。

この作品、千紗だけが邪魔(癌)だ。

第79話『ホワイト相談室』

 実質的には右代宮准教授が主役のギャグ回。

第77話の引きの続きが語られるが、ヒロイン3人の間に特段なにがあったわけでもなく、それぞれが勝手に気まずくなって、第78話で伊織と距離を置いたと判明。

千紗は「伊織への気持ち」について悩み、右代宮准教授に相談するという内容。准教授の研究室が通称「ホワイト研」だから『ホワイト相談室』になる。

千紗と准教授のやり取りが終わった後、千紗は『Ground Blue』に帰宅。

入口に桜子(伊織に手を出す気が満々)がおり、未だに伊織への想いを素直に認められない千紗だったが、桜子への対抗心から「伊織は自分の彼氏だ」とけん制する。桜子はその言い分を認めて、一応は引き下がる。

で、最後のコマでやっぱり「どうしてあんな台詞が出た」と悩んでEND。

感想および考察

ギャグはキレていたと思う。

千紗がメインの回は何気に初めてだった筈。

しかしギャグを面白くする代償として、ストーリーが露骨に犠牲になっている。第78話に「栞を登場させる為」とはいえ、各々が伊織からの誘いを断るほどの「確執や取り決め」は発生していなかった。ぶっちゃけ、拍子抜けだ。

桜子とケバ子(愛菜)は千紗に抜け駆けして伊織の誘いに乗れば良いし、梓だって遊園地くらい伊織の誘いを受ければ良い。そちらの方が各々の行動として遥かに自然である。

というか桜子だけではなく、ケバ子(愛菜)も超不自然なまでにお人好し過ぎる。なぜなら千紗が「伊織は自分の彼氏」と勝手に主張しているだけに過ぎず、神視点で物語を俯瞰している読者的には「千紗の戯言なんて無視すれば良い」となってしまう。

そもそも前提として桜子は「相手に恋人がいても好きだったらアタックする」と明言していたキャラである。その場凌ぎでストーリーを繋げている印象が強く、桜子とケバ子(愛菜)のキャラも通して見るとガタガタになってきた様な(汗

ギャグがずば抜けて面白い反面、ストーリーテリングの酷さと、千紗の天然を超えた「頭の悪さ」が気になって仕方がない回であった。

あと、話が進まないなぁ。

第78話『テーマパーク』

 栞(初の洋服姿)がメインかつ、ギャグ回。

前回の引きからキンクリ。大学の講義室にて悪友6人の会話からスタート。

御手洗がテーマパーク『ボアーズランド』男女ペア割引チケット4枚を他の面子に譲る。「女を連れて行けるのか否か」で伊織、山本、野島、藤原(耕平は興味なし)の間にて賭けが行われ――伊織は栞しか都合できなかった。どうも千紗、桜子、ケバ子(愛菜)は「(伊織に対して)抜け駆けなし」との均衡状態らしく、伊織の誘いを断った。梓も「今の状況では」伊織と二人では行けないと辞退する。

山本は○○(女性)、野島は○○(女型)、藤原は謎の美女Xを連れてきて、テーマパーク内で色々とはっちゃけるという内容。ストーリー的には完全にギャグに特化していた。悪友たちがやり過ぎての不快な描画もなかった。

感想および考察

非常に出来が良かった回。

点数を付けるならば95点。

恋愛的な要素よりも、こういったノリのギャグ回の方が面白い。この味は『ぐらんぶる』にしかないオリジナルの面白さ。というか、シビアな話、恋愛的な話があまり出来が良くないっていうのもある。原因の9割が千紗という「扱いにくい」キャラにあるのだが。

シャークスクランブルを延期にしてまでギャグ的な日常回に戻したという印象か。気になったのは、先輩たちのサークル引退式およびAOW(アドヴァンス)取得の件はどうなっているのだろうか?

栞の方がヒロイン(まあ、妹ではあるが)として動かしやすいという感じだった。でもシリアス面は相変わらず粗が隠し切れない。千紗、桜子、ケバ子(愛菜)がヒロイン三竦み状況になったとして、じゃあシスコンの奈々華はどうなったのか。中立ではなく千紗に肩入れする筈なのに、伊織に対し随分とアッサリ風味という矛盾。「彼氏のふりしなくてOK」という話も、深入りせずに「なかったこと」に。ラブコメとしては面白くても、純粋に恋愛的にキャラの心情を推察すると、お世辞にも出来が良いとは言えない。

第77話『キャットファイト』

 要約すると、千紗の部屋で「伊織の休日使用権」を賭けてケバ子(愛菜)と桜子が、野球拳で勝負した話。途中から千紗、奈々華、梓も参加する。

前回の引きであった「形式上の彼氏彼女」を解消するか否かは、少なくとも伊織は答えを名言していない。桜子に「別れるのね」と言われて反応を濁していたので、進んで解消したいってわけではなさそう。

次の休みは「ダイビング仲間でシャークスクランブルに出掛ける」、その次の休みは「桜子が伊織を遊びに連れ出せる」で決着したが、ケバ子(愛菜)と桜子だけの約束に千紗が異を唱えた。――まだ伊織と別れたつもりはない、と。

感想および考察

奈々華が野球拳に参戦した時の、千紗とのやり取りが面白かった。

女子会にあっても『PaB』のノリが継承されており、かつ桜子も非常に良くキャラとして動いていた。千紗が「伊織との思い出」を回想するシーンは、流石にメインヒロインといった感じで、上手く演出されていたのではなかろうか。

普段通りのギャグを基調としつつ、最後の最後にストーリーラインを進めてきた構成は100点満点中85点は付けられる出来だったと思う。

けれど千紗の性格はもう少し何とかして欲しいかな。ケバ子(愛菜)と桜子が「なんで伊織を好きになったんだろう」って、2人に見えている「伊織の良さ」を自分が認識できないだけだってのに随分と失礼な女だなぁと、正直いって不愉快になった。そもそも「人を好きになる」のに理由は要らない筈だが。伊織に対しての、千紗の幼稚な思考と性格および言動は少しだけでも良いから改善・修正してくれると個人的に嬉しい。

第76話『結婚パーティー』

 摩耶の結婚パーティーおよび後日まで。

とりあえず村中ゆりかさんの誤解は解ける。ついでにパーティーのクライマックスで耕平の催眠も解けた。理由はパーティーの目玉であった、新郎新婦のお披露目コスプレ。魔法少女ららこにコスプレした摩耶を見たショックが催眠解除の原因。

伊織と千紗は摩耶に頼まれて、お披露目のフェイントとして偽の新郎新婦をやる事に。某セーラー戦士なコスプレをする。千紗は伊織の花嫁役に内心で不満だったが、いざ伊織にウェディングドレス姿を褒められると照れた。伊織に「おじさん達にも見せたかった。千紗の本番は水中ウェディングだろうから」と言われた千紗は「伊織の実家を考えたら、和装の方が良い」と本音を漏らしてしまう。

催眠から醒めた耕平は、立派に摩耶へお祝いの言葉を告げることができた。

千紗もどさくさ紛れでパーティーの終わりで催眠が解けた事にする。

翌日、『Ground Blue』に集まるいつもの面々。梓が伊織と千紗の様子を見て「もう彼氏のフリしなくてもいい」と爆弾発言。それを聞きつけた桜子が店に乱入してきて次号へ。

感想および考察

77話の時点から書いている記事であるので、感想および考察は省略。

強いて書くのならば、千紗のウェディングドレス姿はたいへん良かったのだが、両肩のボンボンみたいなアレはデザイン的にもうちょっと工夫して欲しかった。

 

引用元――ぐらんぶる(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)より抜粋】

 

管理人による電子書籍はコチラ。

◆配信電子ストア◆