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【WBSS初戦をクリア】戯れ言――『THE MONSTER』井上尚弥『PFP上位』について【パヤノを1Rで粉砕】

【WBSS初戦をクリア】戯れ言――『THE MONSTER』井上尚弥『PFP上位』について【パヤノを1Rで粉砕】

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さあ、戯れ言 記事 ゴト を始めようか――

 

 

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【WBAバンタム級世界戦 1回、ファンカルロス・パヤノ(右)を攻める井上尚弥(共同)】

 

去る10月7日――

日本国内において《モンスター》のニックネームで賞賛されている井上尚弥(25=大橋)が、改めてその二つ名を《THE MONSTER》として世界中のスポーツマスメディアに知らしめた。それもショッキングに。

 

圧巻の1回KO劇。

KOタイムは僅かに70秒。

 

戦績を17戦全勝(15KO)無敗まで伸ばす。

世界戦レコードは12戦全勝(11KO)無敗。

 

WBA世界バンタム級王座。

WBO世界Sフライ級王座。

WBC世界Lフライ級王座。

3階級制覇王者であるが、ここ10年以内で日本人ボクサーのレベルの底上げの影響が大きく、今や複数人のボクサーが3階級制覇を成し遂げており、それ自体は特筆したくない。

 

特筆すべきは対戦相手だ。

オマール・ナルバエス。ジェイミー・マクドネル。そしてつい先日、ファンカルロス・パヤノを、井上尚は葬り去ってみせた。

それも世界中のボクシングファンを驚嘆させる凄まじい破壊劇でだ。

 

しかしナルバエス戦以降、評価を得られる対戦相手には恵まれなかったし、結局、Sフライ級は統一戦が実現できぬまま、ナルバエス戦の勝利のみでスルーする羽目になる。アンハカスとの試合が決まれば、井上のレコードには更なる勲章が刻み込まれた筈だったのだが。

 

ただし、無名相手に7試合の防衛戦を消化したSフライ級時代も決して(時間の)無駄ではなく、その間にバンテージ職人との出逢いで拳の故障癖を克服したし、海外(アメリカ)イベント【SUPER FLY】に出場して顔を売り、その認知度を広めていった。

 

対戦相手に恵まれなかったが、フラットにみても井上の実力(および才能)は抜きん出ており、日に日に評価と期待は高まっていく。

最高権威のボクシング雑誌【リング】の独自ランキング【パウンド・フォー・パウンド】では、6位にまで順位を上げている。あのマイキー・ガルシアを抜いたのは、快挙以外の何物でもない。他サイトだと最高で5位だ。

 

そして減量苦から解放されたバンタム級での戦いが始まる。

アタックする王者は、当時のWBA世界バンタム級王者マクドネルだ。マクドネルは正規王者であり、同級にはスーパー王者も並立している。しかしマクドネルの母国イギリスでは、同じくイギリス人であるスーパー王者ライアン・バーネットよりも、マクドネルの評価の方が上であった。

 

そんな難敵を、井上は1ラウンドで破壊してしまった。

 

けれどケチがつかなかったわけではない。

マクドネルの減量苦は明らかで、傍目にもまともなコンディションではなかった。前日計量時に脱水症状で自力で秤に乗れなかったくらいだ。この敗戦を最後に、マクドネルはフェザー級まで階級を上げる予定である。少なくとも亀田和毅と2連戦していた頃のマクドネルではないのは確実だ。その頃は、相手の亀田の方が減量苦で戦力が落ちていた。故に亀田はその後、Sバンタムに上げている。

とはいっても、たとえ万全のマクドネルであっても、おそらく5回~8回で仕留められていたと思うが。どんな展開でも負けはなかっただろう。

 

時機は熟し――待望であったWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)第2シーズンのバンタム級トーナメントが開幕する。

 

ルイス・ネリの体重超過により空位状態のWBC王座以外の、全ての世界王者が一堂に会し、クラス最強を決定するトーナメントだ。

ちなみにネリは不参加となっている。最強を決める――という意味では是非とも参戦して欲しかったのだが、主催者側が「体重を造れるかどうか信用できない」という理由で、参戦を見送ったのだ。そりゃそうだろう。

話は脇道に逸れてしまうが、ネリは日本ボクシング界を永久追放されている。

謹慎(ペナルティー)からの復帰戦で、WBCシルバー王座を獲得したネリは、遠からずWBCの指名挑戦権を得る筈であるが、仮に井上拓真がWBC王座を獲得したら、防衛戦をどうするのだろうか? 拓真がメキシコに行くしかなくなるのだが。

それともWBC王座を返上するか、あるいは剥奪されてしまうか、WBCに配慮してもらってネリ用の暫定王座かダイヤモンド王座を設置してもらって、平行で防衛していくのか。

個人的には、ネリと試合したければメキシコに乗り込めばいいと思っているが。

 

話をWBSSに戻す。

 

対戦相手は、ファンカルロス・パヤノ。元WBA世界バンタム級スーパー王者。

歴戦の強者で、敗戦はスーパー王座を失った判定負けのみ。

井上の苦戦も予想に上がっていた難敵だ。

だが、結果は冒頭にも記した通り――1回KO勝ち。

 

たった70秒――されど濃密な70秒だった。

 

井上陣営はパヤノの動きを研究しており、シッカリと対策を立てていた。

トレーナーである父、真吾氏の戦略眼、敏腕が光った1戦でもあったのだ。

実は、これをまともにできない日本人ボクサーは意外と多い印象だ。「自分のボクシングをすれば勝てる」とか言って、無策に世界戦で散っていく日本人ボクサーの何と多い事か。

 

映像を見直すと確認できるが、井上はパヤノのステップに合わせて、シャープな右アッパーをカウンターで合わせている。ドンピシャのタイミングだった。空振りに終わったが、「ナイス、アッパー」という観客の声をマイクが拾った、あの一瞬だ。

あれで勝負あった、という印象を受けた。同時に、相手を学習する時間が短いと驚く。

 

同じ様な光景は2度、強烈に覚えている。

 

1度目は、長谷川穂積とモンティエルの試合だ。

長谷川は接近戦で苦しくなると、ややワンパターンにダッキングする悪癖があったのだが、そのダッキングに合わせてモンティエルが豪快にアッパーを空振りした。タイミングがドンピシャだった。しかも長谷川の頭の動きを読まれ始めている。これは序盤で捕まりそうだな、と思った。嫌な予想は当たり、4回で仕留められてしまった。

 

2度目は、内藤大助と亀田興毅の試合である。

内藤の鼻を粉砕した、2回に決まった亀田の左カウンターストレート(内藤が大きく腰砕けになった)が明暗を分けた一戦だった。けれど、中盤だったと記憶しているが、内藤のウィービングに合わせて亀田が左アッパーをすくい上げた一瞬、ああ、これはもう逆転はないな、と思った。そんなタイミングでの空振りだった。その後、ロープ際で体を入れ替えながらのショートカウンターを、亀田が内藤に決めた時は、その鮮やかさに「ヒューッ♪」と思わず口笛を吹いたものだ。

 

パヤノは井上の右アッパーで容易に圧を掛けられなくなっていた。

カウンターの残像が恐怖となって、パヤノ得意の前進を止めたのだ。

 

対する井上は、ジャブをアウトサイドから叩くように使い、パヤノの右ジャブを封じ、サウスポーであるパヤノの左から最も遠い位置にポジショニングをキープ。

次いで、インサイド――パヤノの右腕の内側から、最短距離でジャブを突き刺す。パヤノのステップワークを先読みしたかのような位置に、左を伸ばしたのだ。

 

これが見事という他、形容がない一撃となる。

 

そこからトドメの右ストレートをパヤノの右顔面に炸裂させた。

ジャブ着弾の時点で、パヤノの頭がブレていた。

踏み込みのスピードが尋常ではない。その正確性もだ。天性のパンチ力なのだろう。腕力はそれほど感じないのに、拳が生み出すのは爆裂めいた破壊力なのだ。

 

 

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【WBAバンタム級世界戦 1回、ファンカルロス・パヤノ(下)を倒す井上尚弥(共同)】

 

 

《神の拳》とニックネームされた山中慎介とは破壊力の次元が違う。というか、山中の拳は物理的な破壊力自体は大したレベルではなかった。コークスクリュー気味でねじ込まれる貫通力と、独特のタイミングが生んでいたKO劇、という印象だ。

そもそも世界戦で奪ったダウン数が多すぎである。

裏を返せば、それだけ決定力に欠けており、相手が立ち上がってきているのだから。

物理的な威力がそこそこでも、それに特化して上手く当てれば倒せるという、KOは破壊力が全てではないという好例だろう。

 

全く逆の印象が亀田大毅だった。

腕力とスイングの迫力と物理的パワーはもの凄く感じるのに、常にオープンブローで、それなりのヒットでは威力が分散していた。物理的な威力があっても当たらなければ意味が無い、という典型だろう。加えて、過酷な減量で試合時はヘロヘロだった(井上のライトフライ時代よりも過酷な減量の連続だった)し、ついに試合で『まともなクリーンヒット』は、ただの1度もないまま現役を終えてしまった。

パンチ力とは、総合すると当てる技術込みである――という教訓といえよう。

 

上記2名と比べても、井上の破壊力は際立っている。

パヤノはたったの2発でキャンバスへと無慈悲に強制送還されて、そのまま沈んだ。

今年度のノックアウト・オブ・ザイヤー候補である。

 

序盤KOに付きものである、アクシデンタルな要素が皆無な、戦略的にも完璧なKO劇。

 

それを、万全のパヤノ相手にやってのけてみせた。

まさに《モンスター》、海外では《ビースト》とも賞賛された。

 

この瞬間、井上は過去の日本人世界王者とは全く別のステージに立った。

ファイティング原田だけは例外かもしれないが。

ただし、ジョフレを2度も破った原田にしても、今とは時代が違い過ぎる。あの時代はまだボクシング黎明期といっていい。

何よりも、あの頃どころか、大橋秀幸が世界チャンピオンだった頃と比較しても、今の時代に世界王者になるのは難しいといえよう。

ハッキリいって、90年代以前の方が世界王者になる難易度は低いと思う。

まあ、世界的に無名な指名挑戦者に勝てれば快挙、な時代だったから。

今の時代の方が難易度そのものは高い。それ以上に日本人ボクサーのレベルが底上げされているから、近年の世界王者数が増えているに過ぎない。むろん世界王者の数が増えたことにより、世界王者としての過去みたいな希少価値は減った。

世界王者がゴールではなく、スタートと位置づける日本人世界王者も出てきた。

 

よくニワカファンが「亀田は弱い相手としか戦わない」と主張するが、ほとんどの日本人世界王者はそれ以下の相手としか戦っていなかったりする。元祖TBS王者として有名な鬼塚だけじゃない。名王者と持ち上げられている者の防衛戦だって、ボーイ・アルアンとか、ドミンゴ・ソーサとか、よくここまで超絶に弱い相手を見つけてきたものだ、と感心すらした。YouTubeで確認するといい。脅威的な雑魚っぷりに驚くこと請け合いだ。畑山隆則の世界戦だって、ラクバ・シン以外は亀田以上に酷い面子ばかりだ。本来なら新王者だった筈のリック吉村は負け(地元判定炸裂で、引き分け防衛)にされて可哀相だったが。

試合内容は面白かったが、世界戦のレベルとしては決して褒められたものではなかったしね、畑山VS坂本の世紀の一戦。ドラマ性は抜群だったが、実相は世界戦全敗でピークアウトした日本人下位ランカー(噛ませ犬)との選択試合である。両者の技術レベルは普通に亀田(大毅を除く)より下だった。あの試合を最高の日本人対決とかいう時点で、ニワカ丸出しだ。少なくともボクサーの強さを他人に語っていいレベルではない。ボクシングを見る目が節穴すぎる。

 

僕は懐古主義ではないので、現代に話を戻す。

 

過去の日本人世界王者でパヤノクラスの相手に、井上の様にテクニカルに勝てた者は皆無といえるだろう。

 

山中と2戦したモレノも全盛期ならば同等かもしれない。

モレノとの初戦は地元判定で勝ちを拾ったけれど、勝敗以前にモレノとほぼ互角だった山中が凄いと思った。リマッチは、判定では勝てないからモレノが打ち合いにきていた時点で、まあ、そういう事だ。山中が何度もダウンを奪っているのに、なかなかノックアウトまでいかないので、反射神経だけではなくパンチも落ちているのかな? と首を傾げた。

ちなみにモレノは再起戦で、無名相手に3回KO負けで引退している。要するに、井上と戦ったパヤノとは同列には評価しにくいなぁ、というのが本音だ。

 

長谷川も当時の対立王者で最弱だったモンティエルにKOされた。

アンチですら「流石にモンティエルには勝てるだろう」と予想していたのに、あの結果だから意外といえば意外であった。アンチの評価よりも実力が下だったというオチだ。ちなみに当のモンティエルには「知らない相手に10回防衛しているが、KO防衛が多いので気を付けたい」という旨のコメントを戦前にされている。実際、防衛後期の試合内容は、長谷川本来のボクシングスタイルから逸脱して、酷いものだった。KOが増えるに従ってボクシングが雑になり弱くなっていった。もしもKOを意識しない本来のボクシングを伸ばしていたのならば、一流王者に成長していたかもしれないので、残念といえば残念だ。

 

内山高志の防衛ロードには、そこそこの相手が混じっている(だからこそラスベガスに行ってビッグマッチして欲しかった)のだが、正直いって長谷川と山中の防衛ロードの相手は、振り返ってみても「う~~ん」という面子しかいない。

いや、何度も指名試合をクリアしている時点で、90年代以前の日本人世界王者とはレベルが違うのは確かなのだが。

 

間違いなく云えるのは、試されずに終わった内山、ローマンとどっこいどっこいだった三浦を別にすれば、山中や長谷川を井上と同列で比べる事はできないという事だ。

評価される舞台(基準)が違い過ぎる。

 

仮に山中、長谷川が在位していた頃にWBSSが開催されていても、優勝候補に挙げられる事はなかったに違いない。

そもそもWBCは破産危機を帝拳に助けて貰った過去があり、ぶっちゃけWBC関係は帝拳系列にはメッチャ甘いのは、ファンならば周知の事だ。山中と長谷川が、WBC以外のメジャータイトル(WBA、WBO、IBF)で同じ様な結果を残せていたか、ちょっと分からない。長谷川、IBF挑戦でキコ・マルチネスにKO負けするレベルだったし。ぶっちゃけると、Sバンタム級のボクサーとしては、今の亀田和毅よりも確実に弱い。小國、和氣、岩佐と戦っても晩年だと不利だったと思う。久我、大竹、大森、松本、勅使河原よりは流石に上だろうが。

西岡も全盛期のドネアに記念挑戦した結果が、アレだったしなぁ(滝汗。ジョニゴンを倒した金星は凄いが、ジョニゴンはポカも多かったので。

 

そんなワケで、井上尚弥が立っているステージ(グレード)は、過去の日本人世界王者にとっては未曾有であり未体験なゾーンだ。

 

WBO王者、ゾラニ・テテが初戦を勝ち上がった。

WBAスーパー王者、ライアン・バーネットも順当にドネアを撃破するだろう。

準決勝で激突するテテVSバーネットだが、大方の予想はバーネット有利。

けれど僕はテテの判定勝ちを予想しよう。

 

準決勝で井上と当たるのは、IBF王者、エマヌエル・ロドリゲスが濃厚だ。

WBAはスーパー王者がいる場合は、正規王者には統一戦を許可しない(統一後にスーパーに格上げされる為)のだが、今回のWBA正規とIBFでの統一戦は、WBAではどういった扱いになるのか気にはなる。

過去のケースとしては、

①ロドリゲスがIBF王座を返上して、WBA正規のみになる。

 ※)亀田和毅がWBO王座を返上したのは、このケース。

②井上尚弥がWBA正規を返上して、IBF王座のみになる。

③WBSS決勝戦でスーパー王座との統一戦をやる前提での特例発動。

 =WBA正規とIBFでの統一戦。

どの道、決勝でWBAスーパーがかかるので、WBA正規返上でも問題はないが。

 

バーネットVSドネアにはWBCダイヤモンド王座もかけられる(名誉王座とは違い、決勝にもスライドされるだろう)ので、最終的に決勝戦でかけられるタイトルは――

 

WBAスーパー(正規と統一)、WBO、IBF、WBCダイヤモンド、リング誌認定チャンピオン。

 

これだけの世界タイトルが一気にかけられる筈だ。

さぞや壮観だろう。

その舞台(リング)に、日本ボクシング界の至宝が上がる瞬間を夢想している。

 

余談だけど、テレンス・クロフォードはやはり強かった。

クロフォードとロマチェンコは井上から見ても別次元だろう。

現在、PFP第2位。井上もこのレベルにまで到達して欲しいなぁ。

 

 

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