【アニメ化は成功】監獄学園(プリズンスクール)について【騎馬戦より駄作】
さあ、今日も戯れ言《
この記事は2018年10月10日が初アップだ
購入した単行本の範囲
まずは簡単な説明を――
『監獄学園(プリズンスクール)』は週刊ヤングマガジン(講談社)にて連載されていた、平本アキラ先生の代表作だ。製作委員会方式(八光学園裏生徒会)にて、2015年にアニメ化もされている。
というか、アニメ化で一気にブーストが掛かった。
単行本全28巻にて完結し、累計発行部数は1200万部を突破済み。
実は、全巻コンプリートしているわけではなかったりする。
その証拠は下(↓)の写真。
ヤンマガで連載されている程度は知っていたが、実は立ち読みすらしていなかった。
で、アニメの評判が良かったので、試しに視聴。即、大人買いという経緯だ。
このまま蔵書し続けるか否かは、ちょっと不透明か。
理由は後述する。
購入したのは8巻から
当時、近場の本屋でそれより前の巻が品切れだったのに加え、第1巻の画力をネットで確認するに、アニメで視聴できた分は買わなくてもいいか、と思ってしまった。ブックオフでも発見できたが、やはり購入を躊躇する画力であった。
しかし巻数が進むにつれて、もの凄い勢いで画力が上がっていくのは、何かの冗談かと思ってしまうくらいである。
で、そこから3巻分ずつ買い増していき、最新巻に到達し、ある時期だけポッカリと空白が生じて、最終の第28巻だけ購入した。
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傑作だったアニメ化
今だと普通に『dアニメストア』にて視聴できる。
登録者で未視聴の方は、是非とも観て欲しい。
当然ながら、アニメ化に際して原作が忠実に再現されてはいない。尺の問題もあるし。
しかし概ね完璧と評しても良いアニメ化ではなかっただろうか? 掲載誌においても、かなり優遇&プッシュされていたと思う。ドラマ化もされたが、キャスティングはなかなか良かった。特に千代役と花役が。低予算だったけどね。
この『監獄学園(プリズンスクール)』という作品は、3部構成になっている。
3部構成の内訳
- 第1部:男子脱獄編
- 第2部:女囚人編
- 第3部:体育祭編
アニメ化範囲は第1部であり、第2部を匂わせる形で終了した。
面白さのピークは、やはり第1部に詰まっていると思う。
最後の最後で、表生徒会が出てくるので裏生徒会なる設定にも納得がいく。
ただし、第2部を通じて裏生徒会の面々(特に万里や芽衣子)が好きという読者には、露骨な「俺達の戦いはこれからだエンド」になっているだろう。続きを知りたければ、原作漫画を購入しろ、という事だ。
問題はここから先だ
どんどんと展開に詰まって、失速していく印象でした
アニメ化範囲以降の展開
第2部である女囚人編は面白かったと(個人的に)思う。
個人的には満足だ。
ただし、囚人の扱いに不快感を覚える人も多いだろう。「男子の自業自得」「ギャグとしての扱い」が明白な第1部とは異なり、第2部の監守と囚人の対立は=「表生徒会VS裏生徒会」の縮図であり、その背後にある根底が「万里とケイトの因縁」であるからだ。
女と女の戦いは、男と女の争いとは根本的にニュアンスが異なる。
ハッキリいえば陰惨なのだが、その中に入っている主人公・キヨシが必死にエロコメ要素を加味させる事によって、不快さを中和している。
監獄の外に出てしまった男子生徒たちのボケも、ある種の清涼剤であった。
第1部ではラスボス的存在だった万里が、今後は主人公側のメインとして機能した面は、とても良かった。設定追加も含めて、僕の万里への好感度はうなぎ登りだった。
しかし第2部後半から「引き延ばし」感が目立ち始める。
そうしてラストとなる第3部へと物語は続く。
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駄作だった体育祭編
まず、とにかく不評だったのが、独立していた理事長パートである。
詰まらなかった上に、物語のテンポを削ぎ、はたまた意味(意義)不明であった。
長々と別パートにするまでもなく、最後に監獄の上へと墜落させるだけでオチ自体はつけられたのだから。そのオチも全く笑えなかったが。
それ以上にアンドレの獣人化が白けた。
脅威的に進化した画力と内容のバカバカしさとのギャップが、この『監獄学園』という作品の売りではあったのだが、いくらなんでも怪物になったアンドレはやり過ぎである。担当編集がストップを掛けなかったのが謎だ。
獣化アンドレが騎馬戦の駄作化の1番の原因だと思っている。
第2部では面白かったペットボトルロケット関連も無理に引っ張り過ぎ。
ポンコツ化した芽衣子はいいキャラしていたが、逆にいえばそれ故に、彼女が無敵の副会長に復活した時は、シリーズの畳み時である事を意味していた。
何よりも――体育祭が始まった時点で、もう監獄ではなくなっていた。
タイトル関係なしで突き進んでいく漫画も多いが、これはその系統の作品ではない。監獄からの脱出がメインテーマなので、話の核が喪失してしまったのである。裏生徒会(主人公側も含む)VS表生徒会という、ありきたりな漫画になっていたのだ。しかも決着が体育祭の騎馬戦ときている。スケールが小さい。
作者も書いていて辛かったのか、迷走という言葉がピッタリな惨状であった。
もう、いかにシリーズ(風呂敷)を畳むか。
途中から作者が考えていたのは、それだけであっただろう。
ギャグ作品であるので、オチだけは早い段階でシッカリと構想していた。
それに向けての辻褄合わせ(伏線という程ではない)と、読者を繋ぎ留めていた『キヨシと花のエピソード』で、どうにか連載を続けていた、そんな状態だった。
ラストだけは秀逸で、らしいといえる。
最終回までの数週は、蝋燭の最後の輝きの如し、だった。
けれど最終決戦(クライマックス)である筈の騎馬戦が始まってからは、本当に引き延ばし感が酷く、ネットでの感想(主に掲示板系)は、かつての熱心なファンからの失望で埋め尽くされていた。まあ、実際に詰まらなかった。コール使いの辺りは笑うどころかドン引きである。キヨシのポロリは笑えたが、その後のオチで「なんじゃそら」となってしまったし。
単行本で未購入の箇所は――騎馬戦の部分である。
逆にいってしまえば、体育祭編が及第点であったのならば、1巻~7巻も含めて全巻コンプリートしていただろう。
作者のモチベーション低下は、騎馬戦前から露骨に感じられた。
決定打は、最終巻の大幅書き下ろしである。
うん、この作品の最後を看取れた、と素直に思った。
加筆部のページ数も少なく、どうして再び監獄に戻っているのか経緯すら書かれていない。嫌々書いたのだろう。少なくともキヨシと花の現状くらいは『ファンの多くが望んでいるのだから』、プロの漫画家として明示するべきだった筈なのだが。
総括すると――
それでも第2部までは、紛れもない傑作であった。面白かった。
それだけは間違いない。
読んで損した、買って損した、とは思わないが、こんな酷い最後を迎えるくらいならば、いっそ第2部で綺麗に完結して欲しかったと思う。