僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

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【完結か】戯れ言――お勧めボクシング漫画について【打ち切りか】

【完結か】お勧めボクシング漫画について【打ち切りか】

区切り線

 

さあ、今日も戯れ言 記事 ゴト を始めますからね

 

この記事は2019年1月10日が初アップだ

Big Hearts表紙

 

ボクシング漫画といえば、今だとやはり『はじめの一歩(作:森川ジョージ)』を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。アニメやゲームも含め、認知度は大多数の筈。

現在、130巻を超える大作となっているが、現在でも連載中だ。

◆合わせて読みたい◆

 

しかし、作品としての正当なる評価は完結後にしか下せない。

もう一つ、有名といえるボクシング漫画はヤングジャンプの『リクドウ(作:松原利光)』が挙げられる。非常に(主にボクシングファンからの)評価が高く、これも現在、連載中で読者の正当なる評価は完結後(※2019年5月に完結⇒追加)だ。

 

ヤングマガジンで連載中(現在は完結済み)の『早乙女選手、ひたかくす(作:水口尚樹)』は、ボクシング漫画とはいっても、ラブコメ要素が強い女子ボクシングだし。

 

 

その一方、完結したボクシング漫画で有名といえば、限られる。

 

筆頭は『あしたのジョー(原作:梶原一騎、作画:ちばてつや)』だ。

トータルでは昭和の名作として『はじめの一歩』を超える知名度を誇るだろう。

その次には『がんばれ元気(作:小山ゆう)』がくる。

 

 

本格的なボクシング漫画についての定義は、管理人の独断だからな

異論や苦情は勝手にしてくださいですが、当記事の主張は変えませんよ

 

ちなみに『リングにかけろ(作:車田正美)』は除外しよう。作者本人も語っている通りに、あれは『キャプテン翼』が比較にならないレベルでの超次元ボクシングであるので。骨子としてのストーリーラインも、プロでの試合がメインではないし。よって正当続編である『リングにかけろ2』も除外だ。

 

B・B(作:石渡治)』も変則的なボクシング漫画であるけれど、この作品はロングラン連載でOVA化もされたが、やはり一般的なメジャー作品とは言い難い。

拳闘暗黒伝セスタス(作:技来静也)』は現代モノではないしなぁ。

そして恐ろしい事に、完結済みで国民的知名度を誇るボクシング漫画は、ほぼこれだけという現実だ。

 

あだち充が描いた『KATSU!』ですら、それ程の知名度はないだろう。

人気不振というよりも作者都合(身内の不幸が原因との事)で、途中から色々と投げ出したENDになったし。それに『KATSU!』はボクサーは描けていたが、ボクシングシーンはサッパリな出来であった。試合シーンでは、どちらがパンチあるのか、どちらが速いのか、どちらのどんなテクニックが相手より優れているのか――といった具体的な内容が全く分からない始末であった。インファイトとアウトボックスすら理解し難かったのだ。

 

 

――ぶっちゃけ、ボクシング漫画自体、それだけマイナーといえる。

 

そこで、だ。

僕が思いつく限りのボクシング漫画を紹介していこう。

基本、マイナー路線という事で。

前提として、全て読破しているわけではないと断っておく。

それから完結か打ち切りかも僕の主観だ。

タイトルだけ聞いた記憶があり、この記事の為にググっている作品も混じっているので、その辺はあしからず。

また、順位付けはしておらず、順番は適当である。

 

目次は邪魔ならば、折り畳むことができるからな

 

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まずはお勧め枠だ。

 

ボクシング好きならば、読んでおいて損はない作品を厳選したぞ

絶対に面白いと保証はできませんが

タフ

作者:中原裕(サンデーコミックス)

全5巻で打ち切り


猿渡哲也の『TOUGH』とは違う。

『ラストイニング』等で有名な作者の初期作品。

タフボーイな高校生、日色健吾が不良的に暴れ回りながら、プロのリングに上がって、本物のボクサーになっていく。

例えるのならばプロのリングに主題が移る『ろくでなしBLUES(作:森田まさのり)』みたいな感じか。『ろくブル』は不良漫画であり、ボクシング漫画に加えるべきではないというのが、僕の意見である。

ウェルター級で全日本新人王になった後、キンクリが発生、そこから巻きに巻いて「これぞ打ち切り!って」感じで物語を畳んだ。

因縁のライバル2人はそれぞれWBAとWBCの世界王者になっており、主人公も1階級下(Jウェルター=Sライト)で、WBC王座をKOで獲得した。主人公は防衛戦なしでタイトルを返上、ウェルター級の統一トーナメントにエントリーする。WBC王者が世界ランク1位をKOを退け、決勝に進出。残る準決勝で、主人公がWBA王者の方とリング上で対峙したシーンで物語は終わる。

なかなか熱いストーリーだと思う。因縁の3人が世界の舞台にステージをグレードアップさせているのは、とても良かった。

しかし、作者はあまりボクシングに詳しくはなさそうだと感じた。

FIGHTING COCK

作者:あだちつよし(ジャンプコミックスデラックス)

全5巻で打ち切り


青年誌での『タフ』かというくらい、ストーリーの骨子には共通点が多い。

けれどもボクシングマニアであるこの作者と、ヤンチャ少年の成り上がり&成長の舞台としてボクシングを選んだ中原祐とでは、内容にはっきりと差違が出ている。

とにかくマニア視点からのボクシングシーンが秀逸。

細かい動きがよく表現できている。ボクオタならば必見だ。

現実の日本ライト級ボクサーよりも、かなりスピードはあったが(苦笑

しかし主人公がライト級日本チャンプになったところで、あえなく打ち切り。

後継作品である『PIT BULL ―闘牛―』(ヘビー級が舞台)にも名前だけ登場している。WBA世界タイトルに挑戦したが、引き分けで王座獲得を逃していた。

そして『PIT BULL』も全3巻で打ち切りとなっている。

残念な事だが、以降、作者はボクシング漫画を描いていない。

リクドウ

作者:松原利光(ヤングジャンプ・コミックス)

全23巻で完結


平成後期において、最もロングランかつ読者の評価が高かった作品。

陰惨な生い立ちから重度のトラウマを抱える少年――芥生リクの物語である。

そのボクシングスタイルも、恵まれた強打とカウンターセンス以上に、過去のトラウマを起源とする生存本能と殺傷本能に重点が置かれている。迫力満点の試合シーンであるが、難点が1つ、あまり理詰めではなく割と昭和的な描かれ方をしている事か。所属する馬場拳闘ジムも、ちょっとどころか、かなり時代錯誤で昭和チックといえよう。

ヒロインの苗代ユキが実に素晴らしいキャラだった。

人間ドラマに焦点が当たるボクシング漫画の宿命として『あしたのジョー』や『がんばれ元気』と同じ落としどころになってしまう。劇中での最終試合は、最強の世界王者(ただしリクとの因縁や接点は皆無)が相手だ。しかも『リクドウ』の場合は、エキシビションマッチであった。別にタイトルマッチでも問題なかった様な……

リクの目標がOPBF王座という点で、世界王座獲得⇒防衛戦⇒統一戦⇒複数階級制覇という路線は想像しにくかった。現実では東洋王座が目標というボクサーは皆無だ。基本、世界ランクに入ったら返上される事が多い王座だし。漫画的に東洋王座は日本王座よりも格上として書かれている事が多いが、現実と同じく「OPBFとWBOアジアは、諸事情で日本タイトルに絡めないジム(特に地方ジム)が経費を掛けて行うタイトル戦」としていたのが、リアリティがあって良かった。OPBF(WBCの地域タイトル)、WBOアジアパシフィック(WBOの地区タイトル)は、日本タイトルよりも経費が嵩むが、上位の世界タイトルには直結している。特にWBOアジアの軽量級は顕著に。

綺麗に完結したが、ボクシングストーリーとしては、リクというボクサーの特性から、これ以上の継続は無理だったと思う。ある意味、『はじめの一歩』とは好対照である。

劇中でリクはWノックアウトによる1引き分け(リング禍でもあった)以外は、全てKOで勝っている。一歩とは違い無駄な試合が一切なかった。ほぼ最短ルートで世界戦線まで駆け上がっている。ライト級という階級かつ二十歳前後の年齢でこのペースは、近年のボクシングでは世界的にも稀だ。このペースでの駆け上がりは、海外大手プロモーターがマッチメークする世界的スターを期待されるプロスペクト選手のみである。というか、現実のボクシングでこんな過酷なマッチメイクをしたら「リクは若いんだし、アマ経験もないのだから、もっとじっくりと育てなければダメだ」とファンや業界から批判を浴びるだろう。

間違いなく傑作であるので、ボクシングファンならば必ず読んでおきたい作品だ。

チキン

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作者:村上真祐(ヤングマガジンコミックス)

全1巻で中断のまま


かつて(アマ時代)は稀代の強打者だったが、とある理由から強打を封印してゼロKOチャンプになった男の物語――の序幕で打ち切り。

23戦15勝(0KO)8分

この戦績でWBCミドル級王座を8度防衛中というムチャな設定である。不人気ボクサーなのに、どうやって僅か15勝、しかもドローが8つもあるのにミドル級の世界戦が組めるのか、本当に無理があった。

要約すると、骨子は『がんばれ元気』の逆バージョンなのだが、18歳になるまで待っている子が、ミドル級までフィジカルが大きくなる保証はないのだが。

作者のボクシング知識も正直いって今一つであった。

それでも物語は抜群に面白い。

次期挑戦者として10戦全KOの指名挑戦者が現れたところで、打ち切りというか、単行本すら続刊なしである。

サクッと読み終えられるので、暇ならば是非、ご一読を。

ヘヴィ

作者:村上もとか(サンデーコミックス)

全8巻で完結


日系二世の少年、ガイ・ヒューガが主人公。

舞台はアメリカのニューヨークだ。要するに主人公が日系というだけで、日本ボクシング界は全く関わっていない。階級も作品タイトル通り、ヘビー級だ。

ガイはカラテカ(空手家)であり、ボクサーになったのは、あくまで金を稼ぐ為である。そして最後までボクシングにのめり込む事はなく、カラテカのままだった。

OVA化されている。今の映像技術でアニメ化か映画化すれば、面白いのでは?

ヒロインが娼婦だったり、友人がエイズだったりと、色々とヘヴィな面もある。

五輪ゴールドメダリストのライバルに、3回KOで完敗、そこでガイのボクシングロードは途切れたかに思われたが、ガイの規格外な必殺強打(通称・トルネードアッパー)でライバルは脳と精神を破壊されていた。

敗北したが、再起不能になったライバルの代役として、ガイは再起戦がダイレクトに統一ヘヴィ級タイトルマッチになり、新パンチ――《ダブル・トルネードアッパー》で無敵のチャンプを倒して、物語は綺麗にエンディングを迎えた。

かなり古い作品であるが、ボクシング漫画としては、時代背景や完成度を思えば、ひょっとしたら歴代ナンバーワンといっても過言ではない不朽の名作。

RIN

RIN 4 (SMART COMICS)

RIN 4 (SMART COMICS)

Amazon

作者:新井英樹(ヤングマガジンコミックス)

前作『SUGAR』が全8巻で完結

本作『RIN』が全4巻で打ち切り


天才ボクサー、石川凛の物語。

作者の作風からすると、かなり真っ当なボクシング漫画なのだろうが、それでもボクシング漫画としては異端な部類だろう。

前作(前編)『SUGAR』は主人公がプロボクサーになるまでが描かれている。

ようやくのデビュー戦、油断が原因で、ゴング鳴ったのによそ見したまま、なんと開始4秒でKO負けという(自業自得な)アクシデントが起こってしまった。

天才と業界で評判だったのに、いきなりデビューからコケるが、再起の2戦目で高校王者をワンサイドの2回KOで斬って落とし、凛はボクサーとして真の覚醒を迎える。

そして続編の『RIN』では前作ラストから時間が飛び、物語開始からWBC世界タイトルマッチとなる。Sバンタムでデビューしていた凛はSフェザーまで体が大きくなっており、タイ人の王者を一方的に2回KOで倒し、世界王者へ。

戦績は13勝(13KO)1敗

その後、世界王者としては凡庸なWBCライト級チャンプ(日本人)との絡みがあり、天才の悲哀と凡人の葛藤という対比がメインになる。

で、凛はSフェザーの防衛戦はせずに、そのまま2階級制覇にチャレンジ。

主人公有利の予想通りに、一方的に王者、立石を3回TKO。

その試合だけで完結というか、打ち切りに。

ボクシングシーンを主軸に据えたかった編集部と、ボクシングを舞台にした人間ドラマを描きたかった作者のすれ違いが原因らしい。正直にいうと、天才の悲哀は描けていたが、それ以外の人間ドラマはどうでもいいレベルだ。しかし、スピーディーなボクシング描画は必見の出来である。読むとしても物語(ストーリー)には期待しない方がいいだろう。

満天の星

作者:楠本哲(チャンピオンコミックス)

全19巻で打ち切り(完結?)


階級はフライ級である。

物語の導入部はまるっと『はじめの一歩』のデッドコピーだ。

主人公は拳の小ささを武器とするソリッドパンチャー。パンチが切れている、という表現はよくボクシングにおいて用いられるが、主人公、磯野満天のフィニッシュブロー(主に右ショートフック)は《切れるパンチ》と通称されている。

対戦相手も特色があり、『はじめの一歩』と比較しても、クォリティに遜色はなかったが、最後まで世評として一歩のデッドコピーから抜け出せなかった。

一歩でいえば、千堂との日本タイトルマッチで事実上の終わりを迎え、エピローグでWBC世界フライ級チャンピオンになっている事が明示されている。

戦績はなにげにパーフェクトレコード(全KO勝ち)

ライバルとの日本タイトルマッチは世界挑戦者決定戦でもあったし、満天の容姿が全く変わっていない事から推察するに、世界タイトルを2度~3度防衛中だと思われる。

フライ級とはいえ、一歩以上に豪快なKOシーンを連発して、なおかつ全KO勝ち、しかもまだ20歳くらいなので、国内でならば超人気ボクサーになるだろう。

いわば国内戦編の段階で物語が終わり、世界戦編まで連載としては生き残れなかったが、読後感は悪くないのでお勧めできる。

Big Hearts ジョーのいない時代に生まれて

作者:林明輝(講談社モーニングKC)

全3巻で完結


天才としか思えない作者の表現力。

脱サラ(実際には仕事で失敗しての自主退職が先)し、アマ実績という程でもないレベルの経験者が、26歳でプロデビュー(Sフライ級)するというのが物語の骨子。

主人公は天才ボクサーではない。

それなりの才能はあるので、日本ランカーにはなれるだろうし、日本か東洋でならば、穴王者相手にマッチメークできればタイトルに手が届くかも。しかし大化けしなければ、世界の舞台には決して立てないレベルだ。

デビュー戦で判定負け。でも、試合後には打ち上げをやった。

2戦目、3戦目で連続KO勝ち。

4戦目はドロー(新人王戦だったので引き分け優勢で勝ち残り)。

その後の2試合は描画なしで、判定勝ち。

通算戦績6戦4勝(2KO)1敗1分

現実的には決して悪くはない。本当にそこそこのレコードである。

7戦目は東日本新人王戦の決勝だ。

その試合でアマチュアエリートで、未来の世界王者候補にボコボコにされながらも、気合い十分でネクストラウンドのゴングに応えるシーンで、物語は幕を閉じる。

順当ならば、このまま負けるだろう。

だが逆転で勝つ事ができれば、主人公のボクサーとしての未来が大きく開ける――

可能性を示唆したまま、けれどリアルなまま完結した。

主人公が天才パンチャーだった『ヘヴィ』とは真逆であるが、『ヘヴィ』と双璧をなす名作といえるだろう。

知る人ぞ知るですらない、超どマイナー作品だが。

パラダイス

作者:守村大(ヤングサンデーコミックス)

全13巻で打ち切り


同作者の『あいしてる』という作品でも長期に渡るボクシング編はあったのだが、この『パラダイス』は純粋なボクシング漫画だ。

古き良き、平成初期の日本ボクシング界がマニアックに描かれている。日本ボクシング界やトレーニング論がグローバル化してきている今の時代に読むとなると、かなり古くさく感じるかもしれないが。

恋愛、ヒューマンドラマも程良く盛り込まれている。

試合描画も序盤から中盤までは秀逸だ。

後半からワンパターン化していき、気持ちのぶつかり合い=真っ向からの打ち合いになってしまう傾向があったが。

最初はバンタム級でデビューしたが、どんどん減量がキツくなっていき、日本バンタム級タイトルマッチ(勝利)で、バンタムを卒業する。

そして階級を上げ、憧れだったライト級のOPBF王者とノンタイトル戦(Sフェザー級の契約ウェート)で対戦。

善戦するがKO負け⇒リング禍で長い眠りに。

寝たきり(昏睡)生活だったのに、目覚めたら元気一杯という(苦笑

そもそもこのネタは『あいしてる』でやっている。この時点で打ち切りは決定済みだった様で、ここから先はダイジェスト的に物語が畳まれた。

OPBF王者は世界戦で惨敗(引退)、かつて日本バンタム級王座を争ったライバル(同門になっている)はLフライ級で世界戦ドロー、主人公はOPBF王者が負けた一流チャンプに、その元OPBF王者のサポート付きで挑戦、で打ち切りエンドだった。

物語中盤までは読み応えバッチリである。

後半になっていくに従い、ネタ切れ感と失速が明白だった。

太郎

作者:細野不二彦(ヤングサンデーコミックス)

全24巻で完結


『キャラリーフェイク』等で有名な作者のボクシング漫画。

主人公は吉野太郎。高卒で信金マンとして働く傍らプロのリングに立つ、いわゆるサラリーマンボクサーである。

信金マンとしての話(パート)の方が凝っていた印象が残っている。恋愛パートは青年誌だけあり、少年マンガの様な爽やかさはなかった。

デビュー戦で宿命のライバルにKO負け。

憧れのボクサー(主人公が原因で現役中に事故死)をコピーした、スタイリッシュなボクシングが売りで才能に恵まれている。デビュー戦直後は戦績的に伸び悩むものの、頭角を現していく。その反面、実力的な壁にぶち当たる。主に決定的なパンチ力不足だ。その原因は太郎が「本当は」サウスポーだった事が大きかった。右構えの綺麗なボクサータイプと左構え(デトロイド・スタイル)の破壊的なパンチャー型。異色のスイッチボクサーとして太郎は覚醒し、そこから快進撃を続け、デビュー戦で苦杯を舐めたライバルにも(日本タイトル戦で)KOにて雪辱する。

ボクシングの試合シーンは確かに面白かったが、正直いって勉強不足も顕著だった。

特に、ライバルであるガルシアの『ハメド・スタイル』を誤解していた。しかも試合中に背中を見せる始末。試合中に意図して相手に背を向けると、戦意喪失とみなされてレフェリーにTKO負けを宣告されてしまう。

ボクサーとしての太郎は中途半端な結末で終わる。

OPBFバンタム級チャンプであった頃がピーク(ダイジェストで流されたが)で、ラストファイトとなる、WBC世界バンタム級暫定王座決定戦で判定勝利を収めるも、網膜剥離で引退。最強の相手だったが、何故か陰謀によってWBC王座を失ってしまい、主人公との暫定王座戦という流れには首を傾げた。普通に最強の世界チャンプに挑戦というストーリーで良かった様な。

最後はヒロインと結婚しており、花屋さんになっていた。

 

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――正直にいって、お勧めできるのはここまでである。

次からは、お勧めはしないが、知って欲しい作品を挙げていく。

 

辛口なのはボクシング要素だけで、漫画としては面白いと思うぞ

スポーツものはマニアックに走ると、ライト層が置き去りになってしまいますから、その辺の塩梅は難しいですね

 

1ポンドの福音

作者:高橋留美子(ヤングサンデーコミックス)

全4巻で完結


ドラマ化&OVA化もされている人気作品。

だが、その人気はダメ人間の主人公と健気なシスターとのラブコメが受けたからであり、ボクシング漫画としては失格なレベル。ぶっちゃけ駄作の域。

最後に主人公はOPBF王者になって、ヒロインへの告白に成功するが、ボクシング漫画としては全く感動できないだろう。

二瘤駱駝

漫画:明石英之 原作:雨中恭(ヤングマガジンコミックス)

全4巻で打ち切り


不良系の友人が設立した土建屋に籍を置きつつ、プロボクサーとしてリングに立つ片切シンヤが主人公。階級はフェザー級。

戦績はかなり良く、日本ランク入りもすぐそこまで、というレベル。

いわゆるヤンキー型の主人公で、ヤンチャ(喧嘩)とボクシングの二瘤という意味での作品タイトルだ。あくまで不良モノだった『ろくでなしBLUES』とは異なり、すでにプロライセンスを所持している主人公が、ケンカ屋としても活躍するのには、やはり無理があった。

結局、早々に打ち切りが決まった様で、案の定ボクシング一本に改心して、強敵と戦うラストに軌道修正。その試合も展開的にヤケクソ気味な逆転KO勝ちだった。

最終話は「一瘤駱駝」というタイトルで、日本フェザー級タイトルマッチに挑戦者として臨むシーン。この時点で大失敗だったと察せられる。

ヤンマガという青年誌での連載だったが、コンセプト倒れの作品といえよう。物足りなくはあるが、そこそこ面白かった事は面白かったが。

BOXER's BLAST

漫画:暁月あきら 原作:酒井敦朗(ジャンプコミックス)

全3巻で打ち切り


ボクシング版『ヒカルの碁』みたいな漫画であった。

W主人公でメインの方は白木屋、サブの方は和民――居酒屋チェーンから宣伝費でも貰っているのだろうか? 作画は『めだかボックス(原作:西尾維新)』の人だが、迫力あるボクシングシーンには違いないが、あまりボクサーの動きを理解していない様な気が。

両親がいない白木屋くんは、住み込みで新聞配達をして小2の妹を養いながら、高校に通っていた。そんな彼はボクシング世界チャンプ(WBC・WBO統一フェザー級王者)である和民と親しくなる。「世界王者になった次の日も、夜明け前から練習なんて凄い」と白木屋はジムで和民に話し掛けるが、TV出演とか、ダメージ抜きも兼ねた休養とか、後援会(スポンサー&タニマチ)が催す祝勝会とか、試合後の世界王者には練習どころか寝る時間すら無い筈である。というか、いきなり統一王者になったのだろうか? 写真から察すると先にWBCタイトルを獲得している様子である。人気がありCM料が凄く年収2億円らしいので、WBC王者として防衛を重ね、白木屋が話し掛けたのは統一戦でWBOタイトルを吸収した翌日なのだろう、きっと。う~~ん、初っ端から疑問点と矛盾点が満載だ。

そんな和民(そもそも戦績が不明という)は、WBA・IBF統一王者と主要4団体統一戦に臨む――予定だったが、事故に遭って意識不明の重体に。

霊体となった和民は、白木屋のトレーナー兼セコンドとして彼を鍛えていく。凄まじくありきたりなストーリーだ。

白木屋には「音でパンチを察知できる」という才能がある。まあ、その才能が作品内で活かされる前に、あえなく打ち切りになってしまったが。

なにしろ白木屋がプロテストを受ける前から、キンクリが発生して数年後――新聞配達のバイト君が、ジムで練習する白木屋に「世界王者になった次の日も、夜明け前から練習なんて凄い」と話し掛けるシーンまで、時間がすっ飛ぶのだから。

白木屋は見事にWBC世界チャンプになっていた。戦績は不明だ。そして和民も昏睡状態から回復、再起を期していた。

さらに月日は流れる。当たり前だが、和民には長期リハビリ⇒カムバックして世界ランクに復帰というプロセス(4戦4KO勝ちで世界ランク入りしていた)を経る必要がある。その間も白木屋は無事に防衛を重ねていた模様。横浜アリーナにて、白木屋と和民は世界戦で拳を交える――でエンド。

妹がひたすら可愛かった。最終回では女子高生か女子大生くらいになっていたが。

最初から最後まで、和民と白木屋の戦績が一切不明という、珍しいボクシング漫画だった。

神様はサウスポー

作者:今泉伸二(ジャンプコミックス)

全12巻で完結


昔のジャンプ漫画。ボクシング界の取材等をした形跡が全くみられない作品だった。

もの凄い左を持つ、クリスチャン(修道士)の少年が主人公である。

階級はバンタム級だった。試合描画はボクシング風のバトル漫画、といった感じか。正直いって初期の『リンかけ』の方がボグシング的にマシなレベル。

デビュー戦でライバルと引き分け。

なぜか盛り上がったところで両陣営から同時にタオル投入(共に劣勢ではない)という珍事が起こるが、観客は拍手するという妙。

いや、再戦は別に、ちゃんと決着つけようぜ?

そこから圧倒的なKOの連続(一度だけ苦戦)で、日本王者に。防衛戦は行わず、世界ランカーと試合していく。日本王座獲得&世界ランカー撃破で、その後は調整試合をしながら世界戦のチャンスを待つのが業界のセオリーだが、指名挑戦者決定戦でもないのに、格闘ゲーム感覚で次々と上位ランカーと試合をする。何のメリットもなくリスクとデメリットしかないのに、上位ランカー達も(世界戦を度外視して)主人公と試合をしてくれる。

また作者は世界ランカー対決(ノンタイトル戦)を世界戦と勘違いしている描画(1回KO勝ちが並ぶライバルの戦績表)があった。

それから対戦相手は派手に吹っ飛び過ぎ。『リンかけ』と変わらない。

WBC王者になった主人公は防衛戦を挟まずに(その前に無益なランカー狩りをしたので挑戦者などいないが)、直後にWBA王者になったライバルと統一戦を行う。

勝ってデビュー戦での決着をつけた後に失踪。

ライト級に階級をあげて、俺たちの戦いはこれからだエンドだった。

なんていうか、本当に昔だから許された感のある漫画である。でも、この作品は『ろくでなしBLUES』と同時期なんだよなぁ。

連載初期の絵柄は魅力的だったが、どんどん線が太く、絵柄が粗くなっていた。

余談だが、リアル路線に切り替えた続編『神様はサウスポー DIAMOND』は、全3巻で打ち切りに。主人公の息子(早坂連)が(新主人公としてではなく)フェザー級の日本チャンプとして登場しております。

ライバル

作者:柴山薫(ジャンプコミックス)

全14巻で完結(打ち切り?)


今はなき月刊ジャンプで連載されていた。

これもかなり古い作品で、主人公がスケベな女好きだったと記憶している。

ボクシングの才能は天才的だが、(父親の英才教育が原因で)ボクシング嫌い、という設定だ。対して、ヒロインは大のボクシング好き。

KATSU!』とは違い、この時代には女子ボクシングがなかったから成り立つストーリーでもあった。

やや大味だが、ボクシングシーンは迫力満点である。

お色気路線も成功していた。

だが、アマ編が終わりプロ編に入ってから失速していく。

ヒロインと結ばれてからはネタ切れになった模様で、日本チャンプになった時点で物語を終わらせた。

打ち切りかどうかは不明だが、もう恋もボクシングもライバルはいないし、人気が継続していても、これ以上は続けようがなかっただろう。

彼女はデリケート!

作者:カジワラタケシ(マガジンコミックス)

全12巻で完結


かなり昔の作品であるが、連載当初は(ラブコメとして)人気があった模様。

表紙は全て巨乳美少女である。

僕は中古本屋の立ち読みでこの作品を知った。

二部構成になっており、第二部でボクシングよりもラブコメに比重を置くようになる。普通は逆になるのだが。

表紙もそうだが、作品タイトルからして、ボクシング漫画っぽくない。

漫画図書館Zにて全巻無料で読める。

ちなみに僕が覚えているのは、ぶら下げた風船を左リードで破裂させる《ダイナマイトジャブ》(笑、だけだ。それだけでボクシング漫画としてのレベルは察せられよう。

RRR(ロックンロール・リッキー)

作者:渡辺潤(ヤングマガジンコミックス)

全10巻で完結


27歳フリーター。ギタリスト志望だったダメ人間が、亡くなった姉の息子を引き取り、そしてボクシングにのめり込んでいくことで成長していく話。

TV企画において、タイトル返上して引退してしまった元ボクシング世界王者と関わる事で、主人公は運命的にボクシングの世界に足を踏み入れる。

そのまま元チャンプが専属トレーナーに。

ヒロインは姉の子供が通っている幼稚園の保母さん。

遅咲きながらも順調にキャリアを積み、34歳にして世界初挑戦。

挑戦する王者は(主人公に刺激されたのが原因で)現役復帰して世界チャンプに返り咲いたコーチ、という俺たちの戦いはこれからだエンド。

ボクサーとしての宿敵不在が、最後まで響いた印象だった。

CHIBI

作者:高橋陽一(ジャンプコミックス)

全6巻で打ち切り


不人気というか『キャプテン翼』の再連載の為に打ち切りに。

色々な意味で高橋陽一の黒歴史として有名な作品である。

ボクシング漫画としては酷いの一言に尽きるだろう。

競技に対して熟知していなかった点が『キャプテン翼』では+に働き、超次元サッカーとして世界中を魅了する金字塔となった。

しかし、この作品ではその奇跡は起きず。

連載当時、プロとアマチュアの階級名(リミットも)の違いすら調べていない状態(後に修正)では、まともなボクシング漫画になる筈がなかった。『キャプテン翼』の高橋陽一が描いたのでなければ、ボクシングファンから「ボクシングを舐めるな!」と、大不評間違いなしの出来である。

マーベラス

作者:武村勇治(サンデーコミックス)

全5巻で打ち切り


主人公の最終目的は《カイザー》の異名を持つ世界的トレーナー。

そして主人公の実父だ。家族を顧みないその《カイザー》打倒の為に、高校生の主人公はボクシングを始める。

主人公のトレーナーは謎の失踪(引退扱い)をした元世界チャンプ。

実父の愛弟子とフェザー級新人王決勝で戦うのがクライマックスだった。

その試合に勝利して、打ち切りではお馴染みのキンクリが起こる。

ダイジェスト的に、たったのワンパンチで世界チャンプになる主人公。そして挑戦者は現役に復帰していた元コーチだった。それが試合ポスターで示されて、物語は終了。

詰まらなくはなかったが、人気が出るとも思えない凡庸な作品だった。

天上天下唯我独尊

作者:もりやまつる(ヤングマガジンコミックス)

全16巻で完結


大暮維人の『天上天下』とは別作品だ。

正義の不良で、元からして強く、かつボクシングの才能は神懸かって恵まれている、という異色のボクシング漫画。

そんな主人公がボクシングに出会ったきっかけは、傷害罪で保護観察処分になってしまうが、その保護司がボクシングジムを経営していたから。

いい意味でも悪い意味でも、実に破天荒な作品であった。

大阪での生活やラスベガスでのボクシングビジネスはリアリティがある反面、その他の部分は荒唐無稽の塊といえよう。

というか、描画内容で評するのならば、全ボクシング漫画において『真の超天才ボクサー』って、この漫画の主人公なのでは? 割とマジで。

16巻で完結するが、まともな試合はエキシビションを含めて5試合のみ。

①エキシ 世界統一ウェルター級王者が相手

2回KOで敗北するが、輝かしい才能を世界に知らしめた。

②デビュー戦 日本人世界ランカー

衝撃的なエキシでの評判から実現、打ち合いの末、KO勝ち。

打ち合いにつき合わなければ苦戦はなかったとの事。

その後、自棄になった対戦相手は車で暴走して死亡。

③統一世界ウェルター級タイトルマッチ

エキシと戦った王者が策略によって陥落しており新王者が相手。

徹底したアウトボックスで翻弄し、7回TKO勝ちだった筈。

僅かプロ2戦目で世界統一ウェルター級王者に。ロマチェンコ以上だ。

④統一タイトルの防衛戦

牢屋から出所したエキシで戦った元王者が挑戦者に。

実力が逆転しており、6回KOで完勝だった筈。

挑戦者の元王者、サドラーはリング禍で死亡。

主人公の連打を瀕死で浴びながら「最高のシャワーだ」とか満足していた。

⑤統一世界ヘビー級タイトルマッチ

体ボロボロでボクサーとしての終わりを悟った主人公が望んだ相手。

超ビルドアップ&サドラーのトレーナーと組む。

逆転KOで奇蹟の2階級制覇を果たすが、リング禍で主人公は死亡。

母子家庭だったが、母親が先に急死して「これで心おきなくリングで死ねる」とか思っちゃう主人公なので、勝利後の肩車の最中「最高の気分だ」と歓喜(エクスタシー)に包まれながら、あの世へと旅立った。

後に伝説のボクサーとして殿堂入りを果たし、銅像エンド。

4戦4勝4KO

不敗のチャンプ――岩城凌 完!

世界はボクのもの

作者:若杉公徳(ビッグコミックス)

全4巻で打ち切り


史上初の8階級制覇ができるという超天才の主人公。

しかし、軽量のバンタム級スタートで、そんな芸当が可能なのだろうか?

試合シーンは抽象的に誤魔化していた。そもそも主人公が必要以上に強すぎる為、まともなストーリーにならない。攻防がなく某ワンパンマン並のワンサイドのみ。

アイドルオタクという設定もまるで生きていなかった。

新人王戦で世界王者級の実力者(変態で不快だった)をワンパンKOして、打ち切り。

ハッキリと駄作だが、変わった作品を読みたい方はご覧あれ。

タナトス 〜むしけらの拳〜

原案:竹原慎二 作画:落合祐介

全8巻で打ち切り


元WBA世界ミドル級王者が原案、監修を務めた作品。

原作という程にストーリーに関わっているのかは分からない。

そんなにマニアックな描写はないと思う。

累計発行部数が8巻で60万部超だが、実売は不明だ。人気が出ていれば、僅か8巻で打ち切りにはならないだろうし。

感想としては、不幸な(アウトロー的)少年がボクシングで立身していく、バッサリと斬ってしまえば、ありきたりなボクシング漫画といったところか。

凡策と佳作の中間といった印象。

作者:山本康人(ビッグコミックス)

全13巻で完結


全てにおいて極めて普通という高校生が「普通というコンプレックス」に立ち向かう為にボクシングをやるというストーリー。

才能がない、そんな風に描かれているし、序盤を読む限り、とてもプロボクサーになれる様には思えなかった。

しかし、プロになってから様相が変わる。

これといって秀でた武器を持たないボクサーの筈の鈴木ひろしが、不可解ともいえるKO勝ちを連発するのだ。

その独特な勝ち方に、周囲は「ラッキーパンチ君」と命名する。

物語のクライマックス――東日本新人王決勝で、ジムが期待を寄せる同門の天才と対決して、凄絶な激闘の末にKO負けを喫してしまう。

だが、カウントアウトされた直後から、まだ戦えた、負けてない、と主張するひろしと、KO勝ちした筈なのに、心身をひろしに打ちのめされた天才というコントラスト。

おそらく天才と呼ばれた方は世界には手が届かないだろう。

そして敗戦の弁でひろしは「僕は世界チャンプになる」と、記者たちに力強く宣言するのであった。

最後のシーン、敗戦後の帰宅途中でハイになったひろしは素っ裸になって「いぇ~~い」と歩道橋で飛び跳ねる。いつの間にか彼は普通ではなくなっていた、というオチ。

ダダダ

作者:あみだむく(ヤングアニマルコミックス)

全2巻で打ち切り(完結?)


もしも『めしぬま』の作者がボクシングを描いてみたら?

個人的には、それ以上でもそれ以下でもない、そんなレベルのボクシング漫画。

元々からして短期連載で終了の予定だったのか、それとも連載開始から高速での打ち切り決定なのか。

絵は迫力あるといえばあるが、試合シーンは分かりにくかった。

作者がボクオタ、という臭いも感じられなかったし。ミドル級でWBA世界ランク10位につけている日本王者がライバルで、そのライバルとの激闘を通じて、主人公がずっと離れていた(存在すら知らなかった)妹との絆を構築して、ライバル共々過去の呪縛から解き放たれる、というのが骨子。これではボクオタは騙せないかな?

ぶっちゃけ、主人公はライバルとの再戦も落として2連敗で終わる。

しかしストーリー的に勝敗はあまり重要ではなかった。

連載序盤から評判が良ければ、ストーリーを広げて続けられそうだったので、個人的には打ち切りだと思っている。

BUYUDEN

作者:満田拓也(サンデーコミックス)

全13巻で打ち切り


小学生編で大人気だったヒロインが、中学生編になって再登場した際、ふくよかな肥満児になっていた事が話題を呼んだ。

高校生編であえなく打ち切りになり、作者自身が打ち切りを認め、大きなショックを受けていたとの事。察するに『MAJOR』並のボクシング巨編を狙っていたのだろう。

内容的には初代『MAJOR』のボクシング版で、かつ出来は今一つだった。

主人公、大柄に見えてバンタム級だったし。

プロ編を想定した格好の良い表紙は、結果、全くの無駄で終わってしまう。

その頃(プロ編)には、萌花もダイエットに成功していた筈だ。

満腹ボクサー徳川。

作者:日高健男(バンチコミックス)

全11巻で打ち切り


ウェルター級で全KOだった稀代の天才ボクサーが、ヘビー級への転向の為に、一時期引退し、増量して復帰するという意外性に富んだストーリー。

いや、先にウェルター級で世界を制覇しようよ!

減量はキツいが、筋肉量を上乗せしながらの増量はもっとキツい、という事が描かれていた。というか、骨格(フレーム)とリーチ的に不利になるので、普通は無理矢理な増量はタブーである。無理な階級アップは基本的にビッグマッチの為で限定だ。

それと《エコノミーライン》とかいう謎理論が大失敗だったと記憶している。

試合描画は、かなりのレベルだった。

それだけに色々と惜しい作品だ。まあ、可愛いヒロイン不在だったし。

日本ヘビー級トーナメントは面白かったが、以後は失速し、OPBF戦で東洋王者になったところで、無念の打ち切りに。

当時は、旧Kー1が全盛期で、それを仮想したSー1という団体が登場する。キックボクシングよりもスポーツとしてボクシングが格上であると強調された描画が目立っていた。そこはボクオタ的には好感だろう。

のぞみ♡ウィッチィズ

作者:野部利雄(ヤングジャンプコミックス)

全48巻で完結


有名といえば有名な作品。実際、超巨編ボクシング漫画だし。

OVAにもなっている。

最初は作品タイトルからも察せられる通り、ボクシング漫画ではなかった。

高校での演劇を題材にしていたが、主人公が演劇でボクシング関係を扱うのをきっかけに、ボクシング部に研修入部、以降からボクシング漫画に路線変更となる。

主人公は高校1年生からボクシングを始め、アマチュア戦績22戦全KO勝ち。インターハイ制覇、全日本制覇、オリンピック金メダルに輝く。

プロ転向後は僅か1年程度の時間で9戦9KO勝ちで、WBA&WBC統一世界ライト級王座を獲得。防衛戦は行わずに引退して、普通の大学生に戻った。

ボクサーとしてのニックネームは《ライジングサン》だ。

全くのド素人が高校生スタートからの4年程度で、プロアマ通算31戦全KO勝ち、アマとプロのタイトル総嘗めという、スーパーミラクルサクセスストーリーだった。

世界タイトルに挑戦したのは、古くからのライバルで《ヤングカイザー》のニックネームを誇る19戦全KO勝ちの福山優吾。最終試合は二転三転するシーソーゲームだったが、決着シーンが「それまでの展開がなくても成立する」、見合った両者が同時に渾身のブローを繰り出す、という形で、ガッカリしたのを覚えている。

ぶっちゃけ、福山がチャベス・シニアもどきから世界を穫った試合と、ラスベガスでテリー・ノリスもどきから2階級制覇した試合の方が、主人公の試合よりも面白かった。

Monacoの空へ

作者:野部利雄(ヤングジャンプコミックス)

全22巻で完結

2 ALAS〜輝ける翼〜 は全11巻で打ち切り


『のぞみ~』と世界観を同じくする後継作だったが、失敗に終わった。

前作主人公はヒロインと結婚しており、ちょろっとだけ偽名で登場。どうやら現役復帰はしなかった模様。自宅に飾ってあるベルトがWBCのみだった。あれ、WBAのベルトは? OPBFのベルトは? 日本のベルトは持ち回り式なので、自費でレプリカを作らないと手元には残らないが。

福山は3階級制覇してウェルター級の世界王者として少しだけ(TV放送で)顔見せがあった。キャリアでは司葉遼太郎戦での敗北のみという事だったが、以後は流石に判定勝ちも戦績に加わっていた。

無印はアマ編から全日本新人王まで。

2は日本ランカーから世界ランカー、そして世界前哨戦が事実上のクライマックスだった。色々と消化不良のまま、作品タイトル通りにモナコに遠征して、WBCライト級タイトルを獲得して終わる。でも、試合シーンは描かれずに、アナウンサーの文字だけだったという。
単行本でのエピローグ編でその辺は補完されたのだろうか?

全てにおいて前作を下回っていた。

 

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