【人手不足】会社幹部「外国人は条件の良いところに移っちゃうから、雇いたくないんだよなぁ」について【非正規雇用】
さあ、今日も戯れ言《
研修期間中での出来事
前にトンズラ(退職)した会社で、研修期間中に支社の上層部(関連企業からの天下り)の方と会話する機会が一度だけあった。
それで話題が「深刻な人手不足」と「外国人労働者」になった時に聞いた台詞が、記事タイトルにある言葉である。
会社幹部と僕の会話
僕「今ホントにどの業界もマンパワーが不足してますよね」
彼「もっと採用したいけど、使えそうもない人は採れないし、頭が痛いよ」
即戦力とまではいかなくても、時間をかけて育成するという選択肢はない模様だ。
まあ、正社員ではなく契約社員だし。完全に使い捨て上等な感じである。こちらもそれを承知で会社を体よく利用する気であるけれど。
彼「君は辞めないでね。希望すれば正社員も考えるから」
僕「あ、正社員はいいです。ただ真っ当に休日さえあれば」
彼「そっかぁ。休日かぁ」
僕「いや、休日を保証するっていうから入社したので」
使い潰して過労状態にさえしなければ、御社で長く働きたいですとアピール。まあ、その休日が採用面接とかけ離れていたから、トンズラこかせて貰ったのだが。嘘はいけないよ、嘘は。止めよう、求人詐欺。
僕「外国人は募集しないんですか? ほら、常に話題の技能実習生とか、そういうブラックな方向じゃなくて」
彼「いやぁ、外国人は採用したくないね」
僕「珍しいですね、コンビニでも外国人ばかりなのに」
彼「だって外国人は日本人とは違って、ウチより条件が良いトコを見つけたら、義理とか責任感なしにすぐ転職しちゃうから。何度かあったんだよ」
余所よりも給料と休日が悪くても転職しない労働者が欲しいそうだ。
冗談とか酒の席ではなく――素面かつ真顔で言ったのである。
その上層部な方というか企業認識として。
日本人は条件悪くても義理人情で働いてくれると思っている。
スポンサーリンク
なぜ日本人は義理人情で働くのか
社会システムと風習――雇用の流動性が低いから、こういった発想になるのだ。
正社員どころか、契約社員やパート、アルバイトにまで、こういった義理人情と責任感で、余所ではなく自分達の為に(他所よりも条件が低くても)働いて欲しいと考えている。だが、契約社員やパート、アルバイトが「会社側が思っているほど」簡単に退職したり転職したりしないのは、義理や責任感からではなく、単に環境を変えたり書類等を再提出するのが「大してメリットもない状況では」面倒なだけだ。
逆にいえば、職場を変える事に対しての転職前後の面倒さえ許容すれば、デメリットも大してないので、人間関係等の不都合があれば、人手不足で売り手市場の今、簡単に会社を去ってしまう。
外国人労働者みたいに、アクティブに好条件へ移る行動力はなくとも、不都合から逃げる為に重い腰を上げる程度はするのだ。
まあ、仕事をするにしても同僚と仲良くした方が、職場が楽しいのは間違いない。
しかし上司や経営者はそこを勘違いしがちだ。
深刻さを増す人手不足の昨今、よほど給与と休日に恵まれているホワイト企業でもない限り、簡単に人を切れなくなっている。非正規雇用であっても代わりは簡単に補填できないのは、流石にどんなブラック企業でも理解しているし、代わりを用意できても質が落ちるのは必至だからだ。
誤解されがちであるが、「専門知識なし」で「誰にでも出来る仕事」ほど、実務能力(ポテンシャル)の差が顕著に顕れるので、「本当に最低限」「満足レベル」「いい仕事振り」「+アルファでこなせる」と、成果は区分される。全員、給与は同じであるが。
やりがい詐取が横行する社会
そんな状況の中、会社の上は仕事を並以上にこなす人に対し、「やる気があるな。低い給料でも、責任感をもって職場で楽しく働き、顧客にも評判が上々な人は、やりがいをもって我が社を気に入ってくれているから、もっと仕事を(滅私奉公して)頑張ってくれるだろう」と超都合良く解釈しようとするのだ。
冒頭で述べた「すぐに好条件へと渡り歩く外国人とは真逆」と評価してしまいがちだったりする。逆に、あまり業務に対し積極的でなかったり、顧客の評判が悪い仕事振りだと「やる気ないから、扱い気をつけないと逃げそう」と、色々と遠慮したり「やる気ないから必要最低限だけ働かせよう」なんて思ってしまうのだ。
残酷な話、僕が見てきた限りにおいては「休み要らないから、とにかく仕事がしたい」という人は、高確率で仕事振りは並以下だ。対して、休日はしっかりというタイプの方が、能率良く働き、会社内外の評価が高い事が多い。管理側、マネジメント側だった経験もあるので、そのあたりは結構、細かい処まで差が付いているのが、如実に分かっていたりする。
正直、雇用側や管理側としては「並」で充分で、それ以上の人材(戦力)来たらラッキーな感覚だ。
会社側がこき使いたい人材は無理に働きたくない傾向があり、あまり重用したくない方が、休み要らずに働きたいと願う――低所得な職種だと割とありありなミスマッチである。
しかし、そもそもコンセプトとして「責任が軽く休みたい時に休め、正社員みたくコキ使われないで済む」というのが非正規の最大メリットなのだ。
非正規雇用労働者の責任は軽い
実際は、真面目に仕事に取り組み、迅速に戦力になる者ほど、引く手に困らないので、あっさりとブラックな職場を去ってしまう。
不満を言わずに、波風立てるのすら面倒がって退職する者もいるだろうが、退職願前に色々と不満は伝えている者も多い筈だが、不思議と上は「真面目で一生懸命で、仕事もできるから、辞めたりはしない。ここを乗り切れば、さらに戦力になる」「休ませたくないし、我が社のしきたりに洗脳する勝負どころだ」とか考えている。要は「我社の色に染めたい」というやつだ。
で、逃げられた後に、こう残念がる。
「見所があると評価したのに、期待に応えてくれなかった」
ちなみに、その期待とやらは気持ちだけである。
給与を上げて――と希望する者に給与アップするわけではない。
ちゃんと休日を――とライフワークバランスの訴えも配慮せず。
全面的に会社側が折れるのは不可能だとしても、現場の声に耳を傾けて、できる範囲で対応していれば、そんなにポンポンと有能な戦力に逃げられるわけはないのだが。
正社員での囲い込みに対しても、副業や独立が容易になった時代、割に合わない拘束と責任を押しつけられるのならば、ノーサンキューという人も多いだろう。
働く非正規側も、どうせ日本の会社(企業)なんて極一部を除いて似たり寄ったりだと諦めている故に、妥協して残る者は残ったりするが。
経営者側もそれを分かっているから、結局は「有能であれば越したことはない」が、自分たちの思う通りに「やりがい、責任感、義理人情」で洗脳できなければ、手放しても仕方なしと思っている。
本当に、日本の労働環境はどうかしているなぁ(苦笑