【年功序列】団塊世代の仕事(会社)への価値観(本音)について【バブル時代】
さあ、今日も戯れ言《
新しい職場での飲み会
先日、新しい職場での先輩に、飲みに連れていってもらった。
本音では『飲みにケーション』など遠慮したかったのだけれど、まあ、新顔なので愛想よく付き合うしかなかった。全部、彼の奢りだったし。
上司とはいえない。
あくまで先輩だ。
その人の年齢は64歳である。
転職して5年という彼は、新人である僕の教育係をやっているのだ。
というか、来月末で退職(定年ではない)してしまうので、僕が彼の後釜になる。教育のみならず、引き継ぎもしなけれならない。
付き合いを断り機嫌を損ねて、引き継ぎが不備になっては本末転倒だ。
内心で嫌々ながら、僕は彼に付き合い、居酒屋で酒を飲み、その後、彼の希望でカラオケに行った。おっさん2人でだ。そのカラオケもスナックだった。
彼は奥さんと2人暮らし。
三十代の息子さんと娘さん2人は独立して、家には居ないとの事だ。全員が独身で、どうしようと彼は頭を抱えていた。その3名の結婚願望の有無が分からないので、同じく独身の僕は何とも言えない。
そして話題は仕事へと移っていく。
仕事についての話題
彼にとって僕は、あまり気分の良い教え子とはいえない筈だ。
僕は業務引継を念頭において、彼に花を持たせる事はほとんどしていないのだ。必要ならば容赦なく質問攻めして、悪い点と改善箇所を指摘し、自分で職場を仕切る状態をおおよそはイメージして、作り上げている。
まあ、そういう条件で採用してもらったので、それは会社側との約束通りだ。
彼は明らかに仕事に対して熱意はなく、そして不満だらけだった。
だから僕がつい敬いに欠ける態度をとってしまっても、もう無気力というか、出来ないヤツよりはマシと割り切っていた。後輩の教育に失敗して、何度も煮え湯を飲まされているという事も、会社側から聞いていた。実際、彼は有能とは言い難く、教え方も悪かった。これが部下でなくて良かったというレベルだ。
かなり酒が入り、彼は思いの丈を僕にぶちまける。
今は辛い。昔は幸せ。
――年功序列が良かった、と。
バブル景気の頃に帰りたいと云うのだ。
リストラされた前の会社でも、終身雇用と年功序列が生きていたのならば、問題さえ起こさなければ部長になれたのに、沢山の部下の前で大きな机にふんぞり返っていられたのに。そんな内容を恨みがましく彼は述べた。
前の会社からの早期退職金で、お金はかなりある模様だ。
僕は彼に諭す。「いいじゃないですか、たとえ給料安くても、身の丈にあった仕事をやれば」薄給激務だったり、給与不相応な責任なら、そりゃ逃げるべきだが。
スマホが普及し、ネットやSNSが一般的になり、グローバル化していった。
実力主義になりつつあるし、その方法を模索できる時代になった。
マスコミの嘘だってネットで曝かれている。
「権力者による嘘で塗り固められていたバブルの頃より、等身大でやれる今の時代の方が、ずっとマシですって。反面、日本という国の将来は厳しい状況ですけどね」
そうしたら彼はこう返した。
仕事は若いのには敵わない
――実力主義なんて嫌だし、仕事は若いのには敵わない、と。
魂の訴え。
確かに彼の仕事ぶりは酷い。
最低限の責任からすら逃げるし、上司頼み(人任せ)の上に最低限の工夫もしないのだ。予算がないのを言い訳にして、全く実績を作らないので、会社側も聞く耳を持たない。金を出させるのに足る、下準備とかも全く出来ないでいるまま。
「とにかく最初はある程度は自腹(サービス残業はしないが)を切ってでも、改善しなければ話にならない箇所が幾つか目に付くから、そこからでも手をつけましょう。効率化や結果を出せれば、会社側も追って最低限の金くらいは出しますよ」
「俺はそんな努力はしたくない。仕事の為に自分の金を出すなんて以ての外で嫌だ。それは会社の責任だ」
「職場改善の為に自腹切らなきゃならない状態にしたのは貴方でしょうに。今の状態で会社が金出すわけ無いでしょ。俺が会社側だって取り合わないっての。分かった。じゃあ、貴方が退職した後で、俺が主導してやりますから」
彼にとって、仕事とは自分より年下の部下に命じて『やらせる』事だったのだ。
そして自分で実際にやる能力がない。
責任を被せる相手がいなければ「会社が悪いので私は悪くない」と、彼は仕事先でも何度も口にしている(むろんクレーム化)、と僕は上司から聞かされている。
「実力主義とか平等とか、嫌な世の中だよ」
「平等なんかじゃなくて、年功序列がいい」
これが団塊世代(年功序列)の考え方か。
年下は目下。年上が目上。
でも、平等に勝負すると若いのには勝てないと自覚しているのだ。
要するに年功序列を楯に、自分より有能な人間を顎で使いたい、と。
彼の様に考える団塊ばかりではないと承知してはいる。
◆合わせて読みたい◆
久方ぶりに『飲みにケーション』とやらを経験し、勉強になった。
僕なら隠すんだけどね、そんな惨めは本音は。
たとえ強がりでも「平等で実力主義の方がいい」って。
まあ、彼が仕事できずに会社に切られた『真の理由』も、骨身に染みた。
繰り返すが、こんなのが部下や後輩じゃなくて、本当に助かった。