僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

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【実際に通過作で解説】戯れ言――ラノベ新人賞の一次通過のコツについて【第1回】

【実際に通過作で解説】戯れ言――ラノベ新人賞の一次通過のコツについて【第1回】

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さあ、戯れ言 記事 ゴト を始めようか――

 

 

ぶっちゃけると、今時、プロのライトノベル作家を目指すのは、そんなに賢い選択ではないと思っている。夢を追うにしても専業は考えない方が無難だ。狭き門を通過して新人賞経由でデビューしても、売れて業界で生き残るのが本当に難しいからだ。

yaraon-blog.com

 

WEB小説で人気(ポイントやPV)を獲得して書籍化という道もあるが、これも運とコツを要する。というか、一部のプロ作家や人気作家を除き、書籍化作品以外はパッとしないというケースも多い。僕自身については以下の記事を読めば分かる。

◆合わせて読みたい◆

 

それでもライトノベル新人賞にチャレンジしたい、という作家志望の方を対象に、ちょっとしたノウハウを実際の通過作品を載せて披露したいと思う。受賞デビュー(というか、初の一次通過)の一助になれば、と願う。

 

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基本中の基本というか常識

面倒なので箇条書きにする。

WEB小説のコンテスト(連載中でも可)は、根本的にノウハウが違うので、それは別の方の記事などを参照する様に。今回の指南はあくまで文庫本1冊で完結している事が前提の、旧来からある新人賞についてだ。

  • 表紙絵は必要ありません
  • レーベルの傾向は研究した方が良い
  • あらすじは商業作のソレとは違い結末まで
  • 指定されたフォーマットを守る
  • 必要性がない限り漢数字を用いる
  • 郵送原稿ならば枠線は必要ありません
  • 以上さえ守れば、割とファジーです

これは個人的な所感と注意点

  • レーベルの傾向以上に運が大きい
  • WEB小説で有名(人気)だと有利
  • SNSで炎上した過去があると不利
  • 86-エイティシックス- の件からも選考は不正確
  • 下読みさん、編集者の審査力も不正確
  • 晒す参考作は応募時は端折っていた

タイトルは『PHANTOM✕BLADE』であるが、完全版を電子書籍で個人出版しようかな、と思っていたのだが、気が付けばそんな時間的なリソースはないので、思い切ってブログのネタにしようと思った次第である。

規定枚数の関係で、新人賞応募時にはムリヤリ圧縮した不完全バージョンだった。とはいえど、それなりに面白ければ『アクセルワールド』の件からしても受賞もしくは拾い上げられている筈なので、単純に受賞ラインには達していない。まあ、自虐すると「日本語として成立している」と下読みさんに認められたレベルといえよう。

 

逆にいえば、今から段階を追って晒していく『PHANTOM✕BLADE』以下のクォリティの作品は、新人賞では箸にも棒にも掛からぬレベルと思ってくれて結構だ。

では、披露していく。

ジャンルは異能バトル系だ。学園要素は薄い。

 

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応募作のプロローグ

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【CONTENTS:目次】

 ◆ プロローグ  始まりの場所へ

 ◆ 第一章    眩夢(DemonDream)

 ◆ 第二章    狩人(TOUJI)

 ◆ 第三章    使神(BLADE)

 ◆ 第四章    英霊(HIFUMI)

 ◆ 第五章    思惑(MITHUKI)

 ◆ 第六章    実戦(PHANTOM)

 ◆ 第七章    姑獲鳥(Showdown)

 ◆ エピローグ  未来への歩み

この作品はフィクションです。

実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。

 

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プロローグ 始まりの場所へ

 

 時刻は深夜。

 十八歳の少年―― 津久茂 刀路 つくも とうじ の眼前には、巨大な龍が立ちはだかっている。

 全長で六十メートルはある大きさだ。

 これは本物の龍ではない。

 西洋風のドラゴンを模して顕現化している巨大な霊障―― 専門用語 テクニカルターム で【DD】である。

 DDとはデーモン・ドリームの頭文字で、日本だと【 眩夢 げんむ 】と呼ばれる事も多い。

 

 ――現在は【ケースDD(眩夢事案)】の最中である。

 

 そして刀路は【対DD戦闘員】という特殊な身分の霊能者であった。

 単身で任務に当たっているのではない。今回のケースは個人クラスではなく災害クラスだ。バックアップチームによる援護に、事案区域の完全封鎖。作戦の規模は大きい。

 刀路が所属している組織――【パンドラ】および【DD】は秘匿されている存在である。

 彼等は人知れず、【DD】という霊障と戦う存在なのだ。

 バックアップと組織の警備を担当している【対G霊装兵士】は、【対G霊葬兵装】を扱える霊能者であるが、直接的に【DD】と戦闘するには戦力不足である。

 対【DD】戦闘で主力となれるのは、刀路の様な『特殊な霊能者』に限られるのだ。

 己が内の霊力のみならず、契約している霊格(霊核)――【 使神 シシン 】を、外部霊力として接続および起動、 霊子構成物体 アストラル (通称で霊体や霊子)に変換して顕現可能な霊能力者。

 

 すなわち――【神使い】と呼ばれる者達に。

 

 今回のドラゴン型【DD】討伐に集結させられた【神使い】能力者は五名。

 Aランクは刀路を含めて三名だ。

 この中で、最下位となるBランクが一名。ただし最上位のSランクからA、B、C、D、Eまで設定されている中で、Bランクは紛れもなく上位ランク者である。それに実力と実績の両面からの評価なので、必ずしも上位ランクが下位ランクよりも強いとは限らない。

 上位【神使い】が五名。関東区域において【パンドラ】日本支部が収集可能な最高戦力といっても過言ではない。この災害クラスの大規模【DD】は、それだけ脅威という事だ。

 刀路は残り一名――Sランクの相棒(パートナー)に声をかける。

 

緋文 ひふみ! こうなったらアレをやるぞッ!!」

 

 予定外に長期戦の様相を呈してきた。

 他の三名の【神使い】は余力充分だが、疲弊がみえてきている【対G霊装兵士】から犠牲は出したくない。彼等は自分達【神使い】能力者よりも一般人寄りなのだから。

 声を掛けられた少女――紅瀬 緋文 くぜ ひふみは肩越しに刀路を振り返ると、相手から離脱した。

 刀路と緋文の意図を察し、後衛を担っていた他の【神使い】が前衛にと、入れ替わる。

 基本的には単騎での戦闘が前提で訓練している【対DD戦闘員】であるが、チームワークが悪いというわけではない。即席チームでも充分に共闘は可能だ。

 彼等三名では、そう時間は稼げない。急がなくては――と、刀路と緋文は霊力を高めた。

「いくわよ、トージ」

「ああ。準備はいいか?」

 刀路と緋文が手にしている霊子で構成された霊具 アストラル・ウェポン ――【 使神 シシン 】は、共に刀型である。

 けれど【 使神 シシン 】としてのタイプは別だ。

 緋文と契約して、彼女の【 霊核 コア 】となっている【 使神 シシン 】の正体は、太刀に宿る【 付喪神 ツクモガミ 】であり、顕現している霊刀もその太刀――《 紅蓮神威 ぐれんかむい )}}》をそのまま象った形状だ。

 対して、刀路が手にしている霊刀は【 使神 シシン 】本来の姿ではない。

 炎の刀剣――《 巫御乃火凰 フミノカオウ )}}》が、【神使い】の意志を受けて『本来の姿』へと還った。

 

 シンプルな紬を着ている巫女めいた少女に。

 

 これが真の姿。タイプとしては【英霊】に区分される【 使神 シシン 】である。

 よって少女に意志はない。霊子構成物体 アストラル ――ヒトを象った霊的炎そのものだ。

 そして、顔立ちが緋文に酷似している。中学一年の緋文よりも年代は上だ。推定で高校二年前後だろうか。女性が第二次性徴期を終えて成長を遂げた直後の、最も若い時期である。

 刀路が【 使神 シシン 】を元に戻したのを確認して、緋文は刀の【 使神 シシン 】を消した。

 炎の巫女が、緋文へと飛んでいき――二つが重なる。

 

 ――劇的な変化が起こった。

 

 まずは外見だ。緋文が装着している【耐Gバトルスーツ】が変形。漆黒を基調としている薄型でコンパクトな全身アーマーだが、炎の巫女とシンクロした影響で装甲部が真っ赤に染まり、排熱の為に各部が展開していく。頭部を護るヘッドドレスも左右に広がり、微妙に形状を変えた。刀路たち四名が装着している規格品とは異なり、この変形機能(フォーム・シフト)は緋文の【耐Gバトルスーツ】のみが備えている緋文専用の特注(ワンオフ)品だ。

 邪魔にならない様に後ろでまとめていた、腰まで届くしなやかな長髪が、炎を纏って勢いよく解き放たれた。ヘッドドレスが左右に展開したのは、これが防げない為である。

 黒髪が赤く燃え染まり――黒瞳が紅く煌めく。

 緋文を中心として炎のオーラが嵐の様に吹き荒れる。

 ヴヴォぉォんッ! 外観の変化に合わせて、爆発的に緋文の霊力と霊圧が上昇した。

 霊的同一 ハイパーシンクロ 化――完了。緋文は凛と【言霊】を叫ぶ。

 

顕現 なさい――我が使神《 炎皇 えんおう )}}》ッ!!」

 

 再度、契約している【 使神 シシン 】を召喚し直す。

 顕れたのは、先程までの月光めいた冷たい太刀ではなく、太陽のごとく輝く炎の大太刀。

 これが二人の切り札だ。

 あれが特Sランクのチカラ……という感嘆の声が、あちこちから漏れた。

 現役ならば世界で十三人しか存在していないSランクを超えた存在――特Sランク。

 この状態となった緋文は、暫定的にではあるが、十三人目の特Sランクとして扱われる。

 その反面、刀路に掛かる霊的負荷は凄まじい。気を抜けば即失神しそうだ。

 訓練により稼働時間を増やしているが、現状は最高で三分が限界である。しかも反動で丸二日程も【 使神 シシン 】を召喚できなくなってしまうという諸刃の剣なのだ。

 つまり三日に一度、三分間限定の特Sランク。

 霊的同一 ハイパーシンクロ 化した刀路と緋文は二人一組 ツーマンセル として、両者のコードネーム――刀路の《ファントム》と緋文の《ブレード》――を繋げ、《ファントム・ブレイド》と呼ばれる。

 緋文は《炎皇》の切っ先を巨龍に向けると、決然と見得を切った。

 

「前座も前振りも終わり。ここから真のクライマックス……つまり、決着の時間 ファイナルバトル よ」

 

 お馴染みとなりつつある決め台詞の直後。

 仲間達の歓声を背中に、緋文は龍型【DD】に斬りかかっていった――

 

       

 

 任務を終えた刀路と緋文は、学校制服に着替えると現場から飛び出した。

 刀路は高校三年、緋文は中学一年である。

 幸いにも無傷に近いので、現場での簡易チェックのみで解放してもらえた。本格的なメディカル・チェックは二日後に【パンドラ】専用の病院で行う。

 緋文との霊的同一 ハイパーシンクロ 化――《ファントム・ブレイド》となった事による刀路の霊的消耗は激しいが、辛うじて動ける程度の余力は残っていた。もちろん戦闘は不可能である。

 夜の静寂を斬り裂く排気音。

 漆黒のオンロードバイクに二人はタンデムだ。

 高校生の刀路ではなく、まだ中学生の緋文が運転している。

 バイクは緋文がオーナーである。満十六歳には届いていないが、所属する【パンドラ】の計らいで、緋文は年齢詐称した国際免許を所持していた。

 漆黒のフレームに包まれている大型バイクは、夜の闇に溶け込む獣のようだ。

 

 二人は、とある小丘を目指している。

 

 真夜中の十二(ゼロ)時を超えて日付が変わり――特別な日になっていた。

 常夜灯の明かりが飛ぶように入れ替わっていく。

 刀路は緋文の腰に腕を回し、彼女の背中に被さるように密着している。そうしなければ、うっかりするとバイクから振り落とされかねないスピードと迂り方だった。

 出逢った頃は、緋文の体温としなやかさにドキマギしていたが、今では慣れた二人乗り タンデム だ。静まり返っている深夜の空気を、バイクの排気音が乱暴に震わせ、掻き乱す。

 もうじき高速道路に着く。そこからはほぼ一直線の道のりだ。このまま法定速度ギリギリでオートバイをかっ飛ばせば、午後には到着できるだろう。

 約束の地――大切な場所へ。

 緋文は左手グローブの中にある指輪の感触を確かめてから、怖々と口を開いた。

「……ねえ、トージ」

「なんだ?」

 

「今でも彼女を――一番に愛している?」

 

 問いかけは、微かに震えていた。

 だが、その声の震えはバイクの獰猛な震動に紛れて、刀路には届かない。

 数瞬の間の後に、刀路が答える。

「愛していた、だよ。今でも愛しているって現在形でいったら、アイツが天国で怒る」

「そっか。――うん」

 緋文は小さく頷き、それきり会話は止んだ。

 ちょうど一年前になる。もう一年だ。あれから、早くも一年が過ぎた。

 刀路と緋文が、二人で歩んで行く運命となった――とても大切なモノが其処にある。

 最愛の少女が死んだ。

 その時、二人は初めて《ファントム・ブレイド》化した。

 強力かつ凄絶な【DD】であった。

 繰り出した《炎皇》の刃の感触は、今でも生々しく緋文の手に残っている。

 逝く間際、彼女は緋文に刀路を託して、緋文は彼女に……、緋文は彼女を……

 三人の原点だった場所で、彼女は生涯を終えた。

 そして二人の原点ともいえる地となった。

 だから、あの場所へは刀路と緋文の二人で行かなければならないのだ。

 一度、全てが終わり。

 

 新しい始まりがあった――あの場所へ。

 

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ここまでの解説

まず人称と視点であるが、基本的には以下に大別される。

  • 一人称
  • 二人称
  • 三人称神視点(単に三人称と呼ぶ事も)
  • 三人称一人視点(自由間接話法)

新人賞で二人称はめったに使わないだろう。

人気があり初心者が好むのは一人称であるが、実のところ一人称は上級者向けだ。理由は、視点の人物が実際に見ていないシーンを直接的に書けないという制限があるから。よって間接的な方法で情報を挿入するしかなく、最悪で別視点でのシーンを挿入する羽目になる。そして一人称での視点チェンジは新人賞において減点というか、単純に技量不足を露呈する事となるので、一人称(単一視点)で物語を表現しきれないのならば、素直に三人称にするべきだ。応募作は自由間接話法で書かれている。視点(主観的感情)は主人公のみで、他の登場人物は客観的に描かれている。

ちなみに一人称は叙述トリックが使い易いという大きな利点もあるので、使える様に常日頃から訓練はしておこう。

なお、プロ作家が一人称で視点を変えるのはあり。そこは誤解しない様に。今回はあくまで新人賞に限っての話である。

 

新人賞において「あらすじ」「プロローグ」は最重要だ。

この2つで、下読みと編集者は書き手の力量をほぼ把握可能だからだ。ただし、企画(アイデア)として面白いか否かは、また別の問題だが。

 

この作品は異能バトル系なので、最初からある程度の世界観の説明は必須となる。

どの様な設定でのバトルなのか、という点を早い段階から明示したい。

基本的には「主人公」

あるいは「主人公」と「ヒロイン」

または「キーパーソン」

それから「主人公」と「敵キャラ」

といった組み合わせで、読み手に分かり易く設定を導入する。

 

で、大切なのは単に説明するだけではなく、本編に進むにあたり、読み手の興味を引く謎であったり、魅力的な矛盾点を織り込む事だ。プロローグだけで完結してしまっては、読み手は本編まで熱意を持続してくれなくなる。

謎がない場合は、「ああ、次から面白そうだな」という引きを、インパクトを伴いつつもっていくのだ。

決してプロローグで読み手をお腹一杯にさせてはいけない。

美味しい(面白い)と思わせつつ、腹八分目くらいで本編へ誘うのだ。

プロ作家ならば、不条理に満ちた奇想天外、意表を突きまくりのプロローグでも良いが、新人賞応募作では避けよう。どんなに良いアイデアが浮かんだとしても。

 

理由は明白で、渾身のネタによる変化球勝負で受賞、プロデューできたとしても、確実に次が続かない。デビュー作(受賞作)が最高傑作という惨めなオチになるだけだ。

新人賞に変化球は要らない。

その先を見据え、ストライクゾーンの直球(王道)で通用する書き手を目指そう。

オーソドックス(地力)で勝負するのだ。

次の第2回は 『第一章 眩夢(DemonDream)』を載せて、説明する。

繰り返すが、この記事のプロローグ以下(のクォリティ)しか書けないのならば、プロ作家は諦めるか、もっともっと努力して精進しよう。ハッキリいって『PHANTOM✕BLADE』は大した作品ではないので。

 

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