【正確にKOとTKOを区別、完全版】幕之内一歩の戦績(随時更新)について【プロボクシング26戦23勝(23KO)3敗】
さあ、今日も戯れ言《
この記事は2018年10月6日が初アップだ
【引用元――はじめの一歩(漫画:森川ジョージ、講談社)より抜粋】
幕之内一歩の戦績
漫画界を代表するボクシング巨編――『はじめの一歩(漫画:森川ジョージ、講談社)』の主人公、幕之内一歩であるが、ネットにアップされている記事における、その戦績表(レコード)においてKOとTKOについての誤記がやけに目立つ。これ、作っているのボクオタじゃないだろう? と。ボクオタじゃないマンガ読みが知識なしで適当に作っている感じがして、ボクシング愛が感じられない。
よって正確にKOとTKOを区別した戦績を残そうと思った次第だ。
では、いこう――
1戦目(デビュー戦、フェザー級4回戦)
1991.01.XX 勝利 3R 2:35 KO 小田裕介(西川)
KO裁定の内訳:
右ジャブ連打で小田がダウン、失神を確認してレフェリーがKOを宣告。
TKOとの誤記が目立つが、完全に失神しているので正確にはKO。
2戦目(フェザー級4回戦)
1991.02.XX 勝利 1R 2:50 KO 藤原義男(前田)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
3戦目(フェザー級4回戦、東日本新人王1回戦)
1991.06.XX 勝利 2R 2:52 TKO ジェイソン尾妻(八戸拳闘会)
TKO裁定の内訳:
2ノックダウン・システムだったので倒れた瞬間、自動的にTKOになる。
これも何故かKOという誤記が目立つ。どうしてコレを間違う。
4戦目(フェザー級4回戦、東日本新人王2回戦)
1991.08.XX 勝利 4R 2:58 KO 小橋健太(大滝)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
5戦目(フェザー級4回戦、東日本新人王準決勝)
※この時点でB級に昇格済み
1991.11.XX 勝利 1R 2:59 KO 速水龍一(音羽、元高校王者)
KO裁定の内訳:
右アッパーで速水がダウン後、失神を確認したレフェリーがKOを宣告。
起き上がり戦意をみせていればTKO扱いだが、完全に失神していた。
6戦目(フェザー級4回戦、東日本新人王決勝⇒優勝)
※MVP獲得
1991.12.XX 勝利 3R 2:13 KO 間柴了(東邦)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
7戦目(フェザー級6回戦、全日本新人王決定戦⇒獲得)
※MVP獲得
1992.02.XX 勝利 3R終了 TKO 千堂武士(なにわ拳闘会)
TKO裁定の内訳:
4R開始に千堂が応じられずに、そのまま棄権(TKO)。
KOとの誤記どころかKOタイムの誤記が多い。このケースは『3R終了』になる。
近年でいうところの『ロマチェンコ勝ち』だ。
8戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦、日本ランカー対決)
※前戦後に日本ランク入り
1992.06.27 勝利 1R 2:58 KO 沖田佳吾(仲代、前年度全日本新人王)
KO裁定の内訳:
カウントの途中で失神、レフェリーがKOを宣告。世界戦だとTKO裁定も。
この試合から一歩は前座を卒業し、基本的にセミファイナルかメインイベンターに。
9戦目(フェザー級6回戦、A級トーナメント準決勝)
1992.XX.XX 勝利 4R 2:12 TKO 冴木卓麻(河合、元アマ日本王者)
TKO裁定の内訳:
ダウン後に冴木が立ち上がるも、続行不可能と判断してのレフェリーストップ。
KO裁定でも支障はないケースだが、作中のアナウンスがTKOだった。
10戦目(フェザー級A級トーナメント決勝8回戦⇒優勝)
※日本ランク1位に
1992.XX.XX 勝利 5R 1:21 KO ヴォルグ・ザンギエフ(音羽、元アマ世界王者)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
11戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒挑戦失敗)
※指名試合
1993.02.XX 敗北 5R 2:32 TKO 伊達英二(仲代、元日本&元東洋王者)
TKO裁定の内訳:
完全にKOされていたが、レフェリーの試合終了より陣営のタオル投入が先。
よって棄権負けが正式記録。このケースもKO裁定で特に問題はない。
この試合で伊達は4度目の防衛に成功、その後、タイトル返上。
12戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦)
1993.07.11 勝利 2R 2:00 KO ポンチャイ・チュワタナ(タイ)
KO裁定の内訳:
左右の連打でポンチャイがダウン後、レフェリーがKOを宣告。
実は世界タイトルマッチだとTKO裁定になる事が多いケースでもある。
13戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒王座獲得)
1993.11.20 勝利 7R 1:32 KO 千堂武士(なにわ拳闘会)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
なお、千堂は3度目の防衛に失敗。
14戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛①)
※指名試合
1994.04.07 勝利 5R 2:33 TKO 真田一機(木下、前日本Sバンタム級王者)
TKO裁定の内訳:
スリップダウン後、真田が失神しているのを確認し、レフェリーストップ。
打撃によるダウンではないので、このケースだとKOになりようがない。
返上した日本Sバンタム級に続く、日本2階級制覇に真田は失敗。
この試合後に一歩はWBC世界フェザー級13位のランクを専門誌で確認。
15戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛②)
1994.08.20 勝利 2R 2:42 TKO ハンマー・ナオ(八戸拳闘会)
TKO裁定の内訳:
絵に描いたようなレフェリーストップ。倒れる前にレフェリーが両者に割って入る。
これもKOとの誤記が目立つが、このケースがKO裁定される事は稀。
16戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛③)
1994.12.20 勝利 1R 0:32 KO 李 龍洙(三沢)
KO裁定の内訳:
左右の連打で李がダウン後、レフェリーがKOを宣告。
17戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛④)
※指名試合
1995.03.21 勝利 7R 2:15 KO 島袋岩男(めんそ~れ沖縄)
KO裁定の内訳:
カウントアウトしているので、KO以外はありえない。
18戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛⑤)
1995.06.15 勝利 7R 1:15 KO 沢村竜平(鬼槍留)
KO裁定の内訳:
左右の連打で沢村がダウン後、レフェリーがKOを宣告。
19戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛⑥)
1995.10.03 勝利 2R 2:15 KO 唐沢拓三(木下)
KO裁定の内訳:
左フックで唐沢がダウン後、レフェリーがKOを宣告。
20戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛⑦)
※指名試合
1996.01.25 勝利 6R 1:00 KO 武 恵一(鮫一)
KO裁定の内訳:
右フックで武がダウン後、レフェリーがKOを宣告。
21戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦)
1996.08.01 勝利 4R 2:03 KO ジミー・シスファー(タイ王者)
KO裁定の内訳:
左アッパーでジミーがダウン後、レフェリーがKOを宣告。
22戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦)
1997.02.15 勝利 8R 2:37 KO マルコム・ゲドー(フィリピン王者)
KO裁定の内訳:
右アッパーでゲドーがダウン後、レフェリーがKOを宣告。
23戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦)
1997.07.15 勝利 8R 1:35 TKO ウォーリー(インドネシア王者)
TKO裁定の内訳:
ウォーリーがダウンする直前にタオル投入。このケースはTKOになる。
24戦目(日本フェザー級タイトルマッチ10回戦⇒防衛⑧)
1997.10.25 勝利 1R 2:07 KO 小島寿人(森山)
KO裁定の内訳:
左フックで小島がダウン後、レフェリーがKOを宣告。
この試合の後、一歩は日本タイトルを返上。
25戦目(世界前哨戦10回戦、世界ランカー対決)
1998.03.21 敗北 7R 1:17 TKO アルフレド・ゴンザレス(メキシコ)
TKO裁定の内訳:
完全に失神KOされていたが、試合終了よりセコンドのリングインが先だった為。
このケースはKO云々より棄権扱いにされる事が多い。
WBA3位&WBC2位という世界上位ランカーとの初試合であった。
26戦目(フェザー級ノンタイトル10回戦)
1999.XX.XX 敗北 4R 2:45 KO アントニオ・ゲバラ(フィリピン王者)
KO裁定の内訳:
本来ならば3ノックダウンによるTKO裁定になる。
倒れた瞬間に試合は終わったが、その後、一歩が長々と失神していた為のKO裁定。
ゴンザレス戦とは異なり、このケースはセコンドのリングインは関係なし。
通算戦績
幕乃内一歩(鴨川)
26戦23勝(23KO)3敗
獲得タイトル:日本フェザー級王座
(防衛8、返上)
フェザー級A級トーナメント優勝
全日本フェザー級新人王
最高ランキング:WBC世界フェザー級7位
WBA世界フェザー級8位
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一歩というボクサーの総評
はじめの一歩世界と現実世界の国内試合戦での最大の違いは、試合終了時のゴングだと思う。日本国内だと主に鐘3つ「カン!、カン!、カン!」でKO決着を報せるが、はじめの一歩世界だとラスベガス基準のKO決着告知で鐘を派手に乱打「カンカンカンカンカンカンカン!」している。まあ、些細な表現の差異だが。日本だと鐘連打はラウンド終了の合図である事が多い。
不思議なのは、メキシカンであるリカルド・マルチネスが何故、ベネズエラ本部のWBAタイトルを長期保持しているのかという点か。メキシコ本部のWBCタイトルを優先するか、チャベスみたいに統一するのが自然だと思うのだが。
はじめの一歩世界だとフェザー級のメキシカンの2強はリカルドとゴンザレスっぽいので、メキシコ人以外のWBC王者が登場するのだろうか(後にリカルドとの対戦の為にWBC王座を返上したビリー・マッカラムが登場)?
キャリアを総括すると、東洋圏内でしか戦っていない世界未満のボクサーになる。
テストマッチ(世界前哨戦)が25戦目だから、アマ経験なし、高校生デビューにしても無駄なキャリア(試合)が多い。しかも多くの試合を苦戦して消耗してしまった。減量苦がないにしても、常にフェザーの正規体重で試合せずに59キロくらいのキャッチウェート(契約体重)で、もっと手頃な相手(適性がSバンタム級の相手)と試合させるべきであった。鷹村のミドル級世界戦を国内で組めているので、ジムの力不足・資金不足はないだろう。あれだけ毎試合、バカスカ打たれてしまっては、世界挑戦は程遠かった。
一歩に2度敗北した千堂が、後にWBA5位までランクを上げている事(この記事の後、A・ゴンザレスとのエリミネーターに勝利し、指名挑戦権&WBA1位をゲット)からも、マッチメークは非常に重要であると劇中でも暗示されている。WBC傘下(下部の地域タイトル)であるOPBF(東洋大平洋)のタイトルホルダーである宮田が(防衛を重ねて)WBC4位なのは、当たり前といえば当たり前である。今の現実のボクシング界ではWBO傘下のWBOアジア・パシフィック王座がJBC公認だが、WBA傘下の東洋タイトル(PABA)は未だに公認されていないのは、ボクオタ以外へのマメ知識だ。ってか、この程度すら知らずにボクシングを語るなってレベルではある。
漫画(フィクション)に突っ込むのも無粋だが、宮田一郎とは普通にSフェザー級前後の契約体重(ノンタイトルになるが)で、試合をすれば良かったのだ。現実でもデラホーヤ、パッキャオ、カネロに至っては、リミットより軽いキャッチウェートで世界タイトル戦をやるという荒業も実現させている。まあ、ミドル級では肉が余っていたデラは、あっさりとポプキンスにKOされたが。
23勝(23KO)の勝ち星も、対戦相手の質が(世界を狙うボクサーとしては)低く、まともな世界ランカーとは伊達、千堂(再戦時には下位の世界ランカーの筈)そしてゴンザレスとしか試合をしていない。しかも伊達とゴンザレスには負けている。現実のボクシングに照らし合わせると、こんな雑魚狩りオンリーでスカスカな戦績(対戦相手)では、たとえ50勝50KOでも、激戦区のフェザー級で世界は無理なのだが、再起するとなると、もっと質の高い相手(アメリカや中南米)との対戦が必須となるだろう。そもそも最長で8ラウンドまでしか経験していないので、12ラウンドを通じたゲームメイクができるかどうかすら怪しい、それが現実基準での一歩というボクサーだ。
よく一歩の戦績が凄いという読者がいるが、この戦績(対戦相手)と試合内容であれば、ぶっちゃけ亀田三兄弟の方が遙かに中身が濃い戦績だったりする。
ゲバラ戦の敗北が意外だったという読者も多いが、一歩よりも若くて、アイデンティティのモデルが若き日のパッキャオ(外見はマルコ・アントニオ・バレラだろう)だった時点で、敗戦からの引退は既定路線だったと思う。
26戦目は、最初から最後までゲバラが主人公的に描かれていた。
格下の好青年を新型の実験台に見立てていた一歩は、まさに倒されるべき敵役である。苦戦の時点で、再び世界へなどとはならないのは確定だし。ゲバラ戦は一歩が勝ったら読者が不愉快になる様に意図されていた。
作者は引退からの再起を描きたいのだろうが、引退の原因となったパンチドランカー関係をどう辻褄合わせするのだろうか?
引き続き、一歩の今後を見守っていきたい。