【歩道走行は違法】自転車が歩行者にベルを鳴らす行為について【どこまで許容範囲か】
さあ、今日も戯れ言《
自転車乗りに多い勘違い
先日、自転車のベルについてこんな記事が話題になり、自転車乗りと歩行者の間でそこそこの激論が交わされていた。以下、引用しよう。
「チリンチリンじゃねぇよ」歩道でベルを鳴らす自転車に怒りの声、違法じゃないの?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190925-00010166-bengocom-life
・歩道を歩いていたところ、自転車に乗ったおばさんにチリンチリン鳴らされた挙句、「邪魔」と吐き捨てられたーー。
・ネット上には、「自転車のチリンチリン腹立ちます」「チリンチリンじゃねぇよ」「歩道でなんで鳴らされなければならないの?」「車道走ってよ」「納得いかないんだけど、どかなくていい?」など、自転車に歩道でベルを鳴らされることに対する怒りの声が少なくない。
・中には、チリンチリン鳴らされるだけではなく、舌打ちをされたり、「どけよガキ!」「邪魔だよ、くそが!」などの暴言を吐かれたりしたという人もいる。
・ある人は、ベルを鳴らしながら自転車で走っていた70代の男性に「ここは歩道なので危ないですよ」と注意したところ、「俺はいいんだよ!」と逆ギレされたという。
まあ、何とも殺伐とした話である。
このマナーの悪さと思いやりの欠如、嘆かわしい。
意見を述べる前に軽く整理してみようか。
歩行者にベルを鳴らす行為は基本的(緊急性を除き)にはNG
道路交通法54条2項
車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない
ここでいう車両等には、当然ながら自転車も含まれている。
そんでもって警報器はクラクッションに限らず、自転車のベルも該当だ。
要するに「むやみにベルを鳴らしながら自転車で走行する事自体がNG」と規定されている。例外は危険を防止する為の、いわば緊急時だ。
まとめると――
- ベルを鳴らさなければならない時(「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所や「警笛区間」の見通しのきかない場所を通る場合)
- 危険を防止する為、警笛がやむを得ない状況
これらに該当しないケースで、自転車が歩行者にベルを鳴らすのは違法行為となり、違反した場合は、2万円以下の罰金または科料となる(道路交通法121条1項6号)。
この事を、普段から自転車に乗る人がどの程度、把握しているのだろうか。
把握していたとしても、現実問題として渋滞中のクラクッション連打や、ベルで威嚇する自転車が警察に現行犯逮捕されたケースは、少なくとも僕の記憶にはない。
そもそも自転車は歩道を走れない
原則は以下だ。
道路交通法によると、歩道のある道路では、自転車は車道を通行しなければなりません。 もし歩道を通行すると、通行区分(車道と歩道)違反で3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
ただし例外となる歩道(ケース)もある。
- 「自転車通行可」の道路標識や道路標示がある
- 「普通自転車通行指定部分」の道路標示がある
- 運転者が13歳未満又は70歳以上、身体の障害を有する者
- 歩道での通行が「やむを得ない」と認められる場合
4は割と皆が納得するだろう。反面、3は多くの者が知らないと思われる。
1と2については下の画像を参照だ。
上が「自転車通行可」の道路標識で、よく電柱や信号機の脇にぶら下がっている。下の標識が「普通自転車通行指定部分」の道路標示だ。歩道にプリントされているケースが多いので、普段は標示を気にしない人は注意してみてはどうだろうか。
逆もまた然りで、自転車が車道を走る時には「自転車ゾーン」を走行するのがルールとなっている。そのゾーンがなければ、基本的には自動車の邪魔にならない様、端っこを走るのが交通マナーだろう。
自転車走行帯のマーク(標示)は以下である。
個人的な印象としては、そんなに普及しているとは思えない。
速度が出るロードバイク等は、自動車やオートバイに遠慮せずに堂々と車道をかっ飛ばしている場面を見かけるが、あれはあれで危険な行為だ。
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三方の意見をピックアップ
歩行者側の意見
- あれ警報器なのに、人をどかす道具だと思ってる人がいる
- 歩行者がいない時に歩道を利用し、車がない時に車道を使え
- 常識ある人なら自転車で歩道走ってて、人が前にいると車道に降りるか降りれなきゃ一旦降りるか減速して、隙間見つけて追い越すよね
自転車側の意見
- 車道走るのが正しいのは分かるんだが、自転車が走るのを想定してない作りの道路が多いのは何とかして欲しい
- 自転車も通ることを考えずに歩道の真ん中をフラフラ歩いてる方が悪い
- ベル鳴らされたくらいでイライラするのはあまり良くない
- 自転車走行可の歩道を徐行してるけど、道幅一杯に広がった連中にベルは鳴らせないので、めっちゃ近づいて最徐行
割と中立的な意見
- 現状の道路事情で自転車=車両なのが無理ある
- 実際の交通人身事故でも、自転車による歩行者への加害事故が圧倒的に多いから、これは徹底させた方がいい
- 車もそうだがベルは警報の意味もある。歩行者の方が突然立ち止まったり、進路変更したり他の交通を気遣っていない場合が多い。自転車も不見識な運転が多いけど今や道交法ヒエラルキー最弱になりつつある
- まず法律に穴があるのに、法律を基に考えようとするからおかしくなる
ロードバイクが認知されて自転車=車両となる前の頃は、自転車が車道を走ると「歩道を走れ」と注意されていたし、標識や標示で事後対応しても、日本の道路事情だと「自転車の運転の在り方」についての根本解決は難しいのだろうと感じた。
チャリが自転車ゾーンを運転すれば万事良しか?
正直いって、そうでもないように思える。
最初から自転車ゾーンが設定して道路が作られていれば大丈夫そうだが、後付けのゾーンだと、どうしても充分な幅を確保できない。よって、自動車どころかバイクとの接触を起こす危険性がある。安全面で心許ないのだ。
加えて、幼児や高齢者が自転車ゾーンを運転していて、突発的に転倒してしまうケースも発生するだろう。そうなれば自動車のドライバーはたまったものではない。もっとも、そういった危険性を考えて、前途した「歩道を運転できるケース4」がある。とはいっても、あまり知られていないという。
自転車運転者の安全を考えれば、ぶっちゃけ、歩道を走るべきだ。
その場合は、自転車側が充分に気を付けないと歩行者に危険が及んでしまうが。
歩行者への危険を除く為のベルならば必要である——が、自転車が歩道の強者で歩行者という弱者(邪魔)を退かす為に鳴らす者が目立つから、こうして軋轢が表面化および問題化している。
まとめ:どこまでが許容範囲か
充分に広い自転車ゾーンが設けられているのならば、普通に車道を走る。
車道が危険で歩道の方が安全そうならば、歩道を走るが道交法的にNGであるので、歩行者に気を使い速度を抑える。かつ、必要最低限のベルを心掛け、もしも鳴らしてしまった場合は「すいません」と避けて貰った歩行者に一声かけるべきだ。
では、歩行者側は?
マナーが悪かったり速度を出して危険な自転車を敵視するのは、仕方がないだろう。けれども止む無く歩道を走っており、最低限のマナーを守っている自転車に対しては、それなりの理解を示し、協力する事が大事だと思う。
横並びの歩行者で歩道を塞いだりしない。
後ろから自転車が来るのを察知したら、一時的に避けて通り道を作る。
この程度の事は、普段から何気なく心がけても罰は当たるまい。
歩き煙草のポイ捨てもそうだが、最低限のマナーを守り、公共の場ではお互いに気持ち良くとまではいかなくとも、他人に不快な思いをさせない様にしたいものである。
おまけ:自賠責保険加入の義務化
2019年10月――
消費税が10パーセントに上がったり、はてなブログで個人営利利用(収益化)が正式に許諾されたりするが、自転車についても改正がある。
神奈川県にて、自転車の損害賠償責任保険などへの加入が義務化されるのだ。
原チャリやバイクのみならず、自転車で歩行者を轢いて死なせてしまう事故も発生している時代なので、これは義務化云々ではなく率先して加入しておいた方が良い。
この記事を読んだ皆さんも、是非とも自分が住んでいる地域の条例を確認するべきだ。そしてお子様が自転車に乗っている保護者の方は、すぐにでも保険に加入しよう。
大切なお子様が自転車で見知らぬ誰かを轢いて大怪我させた後では、遅すぎるのだから——