僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

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【サタノファニ】戯れ言――DEATHTOPIA(山田恵庸)について【エデンの檻】

【サタノファニ】DEATHTOPIA(山田恵庸)について【エデンの檻】

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さあ、今日も戯れ言 記事 ゴト を始めますからね

 

この記事は2018年11月24日が初アップだ

山田恵庸作品を話題にする

本日は山田恵庸先生による完結作『DEATHTOPIA』について語ろう。

他作品も含めて。有名な代表作は別であるし。

エデンの檻

山田先生といえば、週刊少年マガジン(講談社)において連載した『エデンの檻』で一躍有名になり、人気漫画家の仲間入りを果たした。

しかし、人気が出た後での露骨な引き延ばしによりストーリーが間延びして、人気が落ちたのか、あえなく打ち切りとしか思えないエンドになってしまう。

色々な意味で投げっぱなしジャーマンだった畳み方に、第1巻からコンプリートしていた読者達は怒り心頭であった。

最終回を読んだ僕の感想としても「これ、単行本を買い揃えていたら、思わず床に叩きつけてしまうだろうな」というものだ。真面目に終わらせてコレなのか、ヤケクソでコレなのか、判断に迷う糞エンドといえよう。

 

平行世界や時間跳躍でなく、絶滅動物や主人公達が純粋なクローン実験の産物ならば、最低限として『主人公達が記憶を引き継ぐ過程(技術)』および『ダイレクトに人クローンのみを造れない理由』を提示(明解)してくれないと、舞台設定として色々とお話にならない。

そもそも《エデン計画》自体、主人公達の墓という意図だったし。

つーか、主人公達だけは時間跳躍して未来に行っていないと、辻褄合わないよね?

終わった作品に言っても意味はないのだが。

 

CHARON

次に連載した『CHARON』はもっと酷かった。

なにがどうなって、こんな悲惨な事態になってしまったのだろう?

超短期打ち切り――どころか、雑誌の巻末コメントで週刊少年マガジンとの決別を、山田先生は明白に表明し、編集部もそれを掲載した。

『CHARON』の大惨事から察するに、『エデンの檻』の打ち切りエンドも、相当に編集部と揉めたのだろう。

とにかく山田先生は週刊少年マガジンから姿を消す。

 

というか、山田先生の売り(セールスポイント)は少年誌向けではないと断言できる。

それだけは『エデンの檻』でハッキリしていた。

まあ、そういったミスマッチが人気の一因でもあったけれど。

 

ぶっちゃけると、デッサンや塗りは、そんなにレベルは高くなかったりする。

純粋な画力自体は低い部類に入るかも。

けれども、山田絵として独特の魅力と特徴――特にエロスに溢れており、かつ氏の最大の武器ともいえる天才的なノリ(変態要素)と加わって、強烈な個性を発揮するのだ。

 

 

次に紹介する『サタノファニ』は、今や作風も含めて山田恵庸の代名詞的な大ヒット作だぞ

この『サタノファニ』については、単独でのランキング記事もありますからね

サタノファニ

現在、週刊ヤングマガジン(講談社)で連載している『サタノファニ』には、そういった山田テイストが如何なく輝きを放っている。

間違いなく『エデンの檻』を超えた山田恵庸という漫画家の代表作だ。

 

サタノファニ表紙

 

正直いって、真っ当な人様に勧められる作品ではない。

山田テイストな笑える変態要素が満載だ。

この作品について具体的に内容をレビューしてお勧めすると、その、なんだ、Googleさんから警告のメールが来るかもしれないので、このブログでは割愛しよう。

◆合わせて読みたい◆

DEATHTOPIA

――で、実は山田先生が週刊マガジン編集部と決別してから、ダイレクトにヤングマガジンに移籍したのではなかったりする。

タイトルにある『DEATHTOPIA』をイブニング(講談社)にて連載したのだ。

個人的には、講談社がこの稀少な才能を他の出版社に渡さなくて良かったと思う。

 

DEATHTOPIA表紙1

DEATHTOPIA表紙2

DEATHTOPIA表紙3

 

全8巻で完結した。

5巻には特装版も発売されている。

 

《チーター(チート的能力者)》達との戦いが描かれているサスペンスものだ。

主人公の大学生に、高校を中退した刀使いの少女、ボクシング使いの勝ち気少女、ミステリアスな美女(20歳前後と推定)という――ライトノベル的な組み合わせだ。

うん、実にライトノベル的。

少年マンガとは違うし、本格派という佇まいでもない。

 

ストーリーもヘヴィー系ライトノベルそのものだった。

後半は色々と駆け足で、作者が終わらせたがっているのかな、という感じがした。

義理の妹の扱い(重複している能力)がそれを物語っていると思う。

 

本来ならば、もっと長いスパンで矛盾なく物語を畳む予定だったのだろう。

 

完結後に、間を開けること無く『サタノファニ』を開始した事からしても、新連載の都合で『DEATHTOPIA』は(再起成功という評価で)予定を前倒しして終わらせたのだ。

この『DEATHTOPIA』内でも語られているのだが、山田先生自身、自分にストーリーテリングの才能がないのを自覚している。前途した『エデンの檻』と『CHARON』の打ち切りも、週刊少年マガジンとの決別(出版社内での移籍なので、そんな深刻な話でもないだろうが)も、まあ、そういう事だ。

 

ライトな山田テイスト――が、2度の打ち切りからの再起戦として散りばめられている『DEATHTOPIA』という作品。

 

後半に色々と端折った感があるとはいえ、大枠では連載開始からの構想には沿っている筈だし、打ち切りではなく完結と判定できるだろう。

それと同時に、山田先生のストーリーテリングの限界も露呈している。

だから再起に成功して、週刊連載に復活した『サタノファニ』は、凝ったストーリーを避けて、可能な限り簡潔化させている。反面、山田テイストはフルスロットルだ。

この内容(設定と構成)ならば、いつでも綺麗に終わらせられる。

 

身も蓋もない言い方をすると、『DEATHTOPIA』はストーリーは大した事ないけれど、山田テイストを不快感なく味わえる、布教用に適した作品といえよう。

読み終わって後悔したり、憤慨したりはしないので、安心して勧められる。

 

たまに読み返していますよ

 

また、山田作品はシェアワールドではなくスター・システム(キャラの焼き増しではなく意図的な演出)になっている。

そういった意味での楽しみ方も可能だ。

頃合いを見計らって、そっち関係の記事も書いてみようかなぁ。

 

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