【WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦】村田諒太が完全燃焼の9回TKOで散る【GGGことゴロフキンは完勝】
さあ、戯れ言《
死力を尽くした村田
アマプラで観れたのは助かった。画質が良かったので満足である。でも、本当に久しぶりにプライムビデオを使ったなぁ(苦笑。エヴァンゲリオン完結編以来か。アーカイブが上がったらもう一度視聴してみたいと思う。それくらい良い興行だった。村田もよく9回まで頑張った。7回くらいからいつ倒れ込んでもおかしくない程、ゴロフキンのパンチが入っていたし。その戦いぶりに感動した。試合後の感想は「それだけ」である。
4月9日
会場:さいたまスーパーアリーナ
WBA(S)&IBF世界ミドル級王座統一戦
TKO9回2分11秒
勝利 IBF同級王者
ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)
戦績:42勝(37KO)1敗1分
VS
敗北 WBA同級スーパー王者
村田諒太(36=帝拳)
戦績:16勝(13KO)3敗
※)GGGは王座統一でIBF王座はV2に成功
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ここまで感動する試合は初めて
村田にとって「勝ち筋」が見えるファイトプランはこれしかなったのは間違いない。
すなわち――
●ペース度外視で開幕チャージ
●ゴロフキンのボディを攻める
作戦は全力で遂行したと思う。
事実、2回と3回はとっていたし。ゴロフキンにもダメージは与えていた。
けれど、立ち上がりからゴロフキンのパワージャブが村田のガードを割って、正確にゴツン、ゴツンと痛烈にヒットしていたので「これは勝てないな」と察した。
序盤、もう少しボディを打てていれば。だが、ローブローを取られて右のボディストレートを出し難くなったのと、左ボディフックは早々に軌道とタイミングを見切られていた感じだ。しかも序盤から飛ばしたツケで村田のスタミナは落ちていく一方である。
2回と3回のインターバルでのゴロフキンの表情から「仕留めるのは無理」と感じた。肩で息をしていたが、顔に余裕が伺えたのだ。逆に村田の方は、インターバルの様子から余裕がないのが見て取れた。けれど、序盤は時折 笑顔が出ていたのは「村田自身の予想」よりは戦えていたのだろう。
全く歯が立たずに無残な序盤KO葬――これを村田本人が想像していない筈がない。
4回からは一方的だったと思う。
距離を取ったゴロフキンがコンビネーションの引き出しを開けていく。逆に序盤に賭けていた村田に「別の引き出し」は残っておらず、後は逆転の望みをかけて既存のパンチを繰り出すだけになっていた。隠し玉や奇策はなかった。
打たれても、翻弄されても、愚直に押し返し、時には反撃に出る――そんな村田の姿は観ていて胸を打たれた。しかし序盤とは異なり、懸命に前に出る村田はゴロフキンにプレッシャーをかけられている様には見えない。守勢を強いられた時のゴロフキンであっても、常に冷静さと正確なポジショニングをキープしている。
村田のガードを回り込んで側頭部目掛けて鋭利にカーブを描くゴロフキンの凶悪な左右のフック。特に左フックの連打は凄かった。パワージャブの精度に、鋭くインサイドから入っていくシャープな右ストレートも。
6回にゴロフキンの右フックで村田のマウスピースが綺麗に吹き飛んだが、あれで事実上の勝負は決していたのだろう。7回からは「村田が無事にリングを降りられますように」と祈る様に観ていた。
中谷VS山内の試合は「実力差があり過ぎるこんな残虐ショー、痛々しくて見てられないから、レフェリー早くストップしろよ」って感じだったが、村田の無事を祈りつつ「ギリギリまで試合を続けて欲しい」と思った。つまり――戦う村田の姿は美しかった。
9回のこのシーンで初めて「ストップしてくれ!」と思う。
僕としては、ここまでですでに充分だった。
立ち続ける村田は神々しくさえもあったが、後遺症が心配になる光景でもある。
最適なタイミングでのタオル投入で幕を閉じる。
村田はこの試合で引退だろう。憶測だが36という年齢を考えても「仮に勝ったとしても引退を選んでいたのでは?」と推察する。プラントに敗北した時とは「負けた意味」が大きく違う。全てを成し遂げた村田を見るファンにとって勝敗はオマケに近い。
この夜、村田諒太は日本ボクシング史上における「伝説」となった。
だが、率直に言ってGGGは――
村田は頑張ったのだが、この日の出来だとゴロフキンはカネロには惨敗しそう。
渕上戦と見比べれば、めちゃくちゃフットワークが落ちている。
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まあ、Lヘビーまで上げているカネロがミドルに戻して、どうパフォーマンスに影響するのか不明であるが。正直いってゴロフキンも引退を視野に入れるべき—―と寂しくなってしまったのも事実である。