【WBA・IBF世界Sバンタム級戦】暫定王者、岩佐亮佑が5回TKO負けについて【2冠獲得&王座統一失敗】
さあ、戯れ言《
岩佐、ウズベキスタンで難敵に挑む
前の試合で快心のKO劇を披露、覚醒した感があった岩佐だが、今回の相手はタパレスとは比較にならない難敵であった。2015年の世界ボクシング選手権大会にバンタム級(56kgリミット)で出場し、銀メダルを獲得。そしてリオデジャネイロオリンピック銅メダリストである。アマ通算300勝を誇る正真正銘のアマチュアエリートだ。そんなキャリア最強の相手に岩佐は苦杯を喫する事となった。
4月3日(日本時間4日)
会場:ウズベキスタン、首都タシケント
ヒューモ・アリーナ
WBA(S)&IBF世界Sバンタム級タイトルマッチ
TKO5回1分30秒
勝利 統一王者
ムロジョン・アフマダリエフ(26=ウズベキスタン)
戦績:9勝(7KO)無敗
VS
敗北 IBF暫定王者
岩佐亮佑(31=セレス)
戦績:27勝(17KO)4敗
※)アフマダリエフはV1に成功
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賭け率は王者の1.1倍という鉄板
岩佐については下の記事で扱っている。
ヘビー級タイトルマッチがメインだけど、サブとして書いてある。山中戦やハスキンス戦にも簡単に触れているので、興味のある方は参照ねがいたい。
◆合わせて読みたい◆
――で、2019年12月7日に暫定王座に返り咲いてから、新型コロナ禍の影響でブランクを余儀なくされた。対する統一王者も世界タイトル獲得に成功した前戦が2020年1月30日だから、岩佐と同じく1年以上も試合から遠ざかっている。
今回のオッズはアフマダリエフが1.1倍。岩佐が5倍。圧倒的な不利予想であった。
試合内容を振り返る
侍(サムライ)をイメージしたヘアスタイルにガウン。個人的には似合っていたと思う。ニックネームである“イーグルアイ”からはかけ離れてしまったが。
試合ができなかった鬱憤を晴らし、2本のベルトを手にして欲しいと期待が膨らむ。
ファーストラウンドこそ好調で互角。
2ラウンド以降は、ジャブの差し合いで後れを取り、岩佐自慢のスピードも及ばず、被弾こそ避けたがパワーパンチに圧倒される展開が続いた。4ラウンドに一発だけ良いパンチが王者を捉えたかな。
というか、スキル差が明白だった。
体格とリーチで有利な岩佐であったが、リードブローが機能していないので、簡単に踏み込まれてしまっていた。アフマダリエフの出入りに付いて行けないのだ。
最初からまともに勝負できないと思っており、ファイトプランとして岩佐陣営は後半勝負で、アフマダリエフのスタミナ切れに光明を見いだそうとしていたのか(王者は後半のスタミナに難がある)。
岩佐は深刻なダメージこそ被らないが、ほぼ一方的に王者に打たれていた。岩佐のパンチは、ジャブも含めて有効打が極めて少ない。相手の防御は堅牢である。
決着は5ラウンド。
左アッパーを皮切りに、王者が的確なパンチで岩佐を追い込む。岩佐はロープ際まで真っ直ぐに後退。理想的な詰め方だ。防御できず、反撃の手が出ない岩佐をレフェリーが救った。
互角の展開だったり、逆転の目がある様相ならば「止めるのは早過ぎ」だ。
でも技術差が大きく一方的に岩佐が殴られているだけの試合なので、僕がレフェリーであっても「これ以上は時間の無駄」「岩佐が余計なダメージを受けるだけ」と、ストップしてしまうだろう。正直、試合としての見所はゼロだった。
ってか、4回後半からレフェリーは「ワンサイドな展開だから」岩佐が守勢一辺倒になったら即ストップ、という姿勢で様子(タイミング)を伺っていた。
これが早いという人は、おそらく10~12ラウンドで岩佐が「凄絶にダウンして10カウントを聞かされる」シーンをご所望だと思う。
白熱した好ゲームならば、そういった決着も素晴らしいと思っているが、ここまで実力に優劣が付いている試合で、(弱い方の)無意味なダウンシーンなんて見たくもない。
アフマダリエフが強かった。
ミスマッチに近い実力差。
しょうがないとしか形容できないし、玉砕覚悟で序盤から強引なKO狙いに行っても、100回やったら98か99回、カウンター食らって逆にKOされていた。それだけの実力差、技術差である。
岩佐はよく頑張ったと思う。
リマッチしたとしても、今回よりマシな結果にはならない。そう断言できる。
再起か引退か。
とりあえず今はゆっくりと休んで欲しい。