僕は【戯れ記事《ゴト》遣い】

「戯れ言遣い」ならぬ「戯れ記事遣い」を名乗るブロガーです。 雑記系ですが、読んで損したと憤慨されても困ります。 だってコレは「戯れ言」だから――

ヘッダーPC画像 ヘッダーSP画像
淡雪のマジカルくっきんぐ
  •   
  •   
 — 最 新 記 事 —

【WBOスーパーフライ級】戯れ言――田中恒成が井岡一翔に屈して4階級制覇失敗【8回TKO負け】

【WBOスーパーフライ級】田中恒成が井岡一翔に屈して4階級制覇失敗【8回TKO負け】

f:id:ayafumi-rennzaki:20180529140913j:plain

 

さあ、戯れ言 記事 ゴト を始めようか――

 

f:id:ayafumi-rennzaki:20201231193015j:plain

【引用=井岡(左)の顔面に右ストレートをヒットさせる田中(撮影・菅敏)】

脆さを露呈した天才

海外の識者や国内のボクオタの評価では、田中の方が評価が高かった。リングマガジン誌におけるパウンド・フォー・パウンドでの順位も、僅かに田中が上。この試合における海外でのオッズも田中有利予想。足りないのは日本国内での人気と知名度のみ。井岡を食ってそれを手に入れて海外へ打って出る野望だったが、天才は致命的に欠点を露呈する形で初黒星を喫してしまう。井岡から全てを奪う筈が、唯一、井岡より勝っていた「ボクサーとしての評価」を失う事になってしまうとは。

 

12月31日

会場:大田区総合体育館

WBO世界Sフライ級タイトルマッチ

TKO8回1分35秒

 勝利 同級王者

    井岡一翔(31=Ambition)

    戦績:26勝(15KO)2敗

      VS

 敗北 同級1位

    田中恒成(25=畑中)

    戦績:15勝(9KO)1敗

 ※)井岡はV2

 

スポンサーリンク

 

田中のこれまで

この記事は田中にスポットを当てる。

勝者である井岡については別記事を参照の事。

1年前の大晦日の試合(WBOフライ級V3戦)は井岡の記事にまとめているので、参照して欲しいのはその前の試合(同王座V2戦)を扱った記事にしよう。

◆合わせて読みたい◆

 

正直に白状すると、井岡アンチではないが若い田中に世代交代を実現して欲しいと思っていた。その方が先の展開も面白くなるだろうと。 それに減量苦から解放されて適正階級であるSフライに上げた田中が、どこまで「夢」を魅せてくれるのか期待してもいた。

結果は非常に残念である。

相手が井岡でその気になれば、もっとスキルフルで頭脳的、戦略的なボクシングが可能だと思っていたのに、これまでの試合と代わり映えしない内容でしかなかった。そりゃ井岡相手ならば普通に負けるに決まっていた。

この負け方では「井上尚弥に匹敵する才能」という評価も大暴落だろう。

25歳という若さから時間はたっぷりとある。しかし、ここからのロードバックが色々な面で苦難の道になる事は想像に難くない。内容的にそれ程の惨敗であった。

試合内容を振り返る

立ち上がり、一見、優勢だったが

スピードとパワーそして回転力。

フィジカルで明らかに上回っているのは田中だ。

アスリートとしての土台が井岡とは段違い。

その戦いぶりは木村戦や田口戦を彷彿をさせる力強さであり、強引さであった。井岡の防御技術を前にして、簡単にクリーンヒットやダメージングブローを当てられないのは、本人と陣営も織り込み済みだろう。それでも序盤から前に出て、強気の打ち合いを仕掛ける。

田中本人は1Rは取った感覚だったらしいが、インターバルでセコンドは「あまり良くない」と伝えたそうだ。

 

その性格ゆえか必要以上に好戦的に試合を運んでしまう悪癖が、この試合は吉と出るか、凶と出るか――

 

4ラウンドに出た鼻血(偶然のバッティング)が暗雲の象徴だった。

初回を終えた辺りから井岡にパンチを見切られ始めていたし、とにかく工夫がない。井岡はマイペースに上下にカウンターをコツコツと入れていたが、田中は攻防分離が過ぎて実質的にディフェンスレスに近かった。

無駄な動き(とスピード、パワー)が削がれた省エネ(おっさん)ボクシングの井岡に対して、無意味にエンジン全開で正面からの波状攻撃が空回る田中。必要なのは更なるスピードとパワーではなく、考えての駆け引きだと思うのだが。

5ラウンドに痛恨のダウン

決して慌てずに動じない井岡を、田中はどの様に感じていたのだろうか。このままで押し切れるという手応えはあったのか。それとも苦戦や技術差を感じていたのか。

一本調子にしか見えない田中。

対する井岡は対応力を発揮し始めている。

この適応も田中は想定の範囲内なのか?

今までの試合、防御しなかったのではなく単純に防御できなかったのかと勘ぐってしまう。打ち終わりの頭の位置を完全に読まれていてた。

ラウンドの残り20秒に衝撃が走る。

 

 

田中の右ストレート⇒返しの左フックに対して、井岡も右ストレートから左フックと連続でカウンターを合わせているのだ。しかも井岡は打った後にキッチリと両ガードをこめかみまで上げているし。

マンガじゃあるまいし、滅多にお目に掛かれない珍しいシーンともいえる。相当に技術差があるというか、田中の動きが完全に読まれている証左だ。事前に癖を見抜かれて、このパンチを研究されていたに違いない。

 

 

終わったと感じたし、この1シーンだけで両者の間の差が明白に感じられた。

井岡が勝つ――という予想の中で「田中はボクシングIQが低い」「打たれ強さに懸念があるので、井岡のカウンターで倒れるのでは」という意見が少なからずあった。

一理あるなと思いつつ、僕はSフライ級で覚醒した田中ならば、これまでとは違うボクシングを披露してくれるだろうと期待していたのだが。

過去のダウンを踏襲してしまった。

田中陣営にとって最悪のシナリオだ。

成す術なく8回に仕留められる

ものの見事にカウンターでダウンを食った。

1Rが井岡、2~4Rが田中、5Rが10対8で井岡。まだ6回でポイント的には競っている状態だ。僕がセコンドならば、出入りのスピード差を活かしたアウトボックスに切り替えさせる。可能ならばガードがザルになってしまう左フックも封印だ。

井岡は明らかに田中の左フックにカウンターを合わせにきているし、田中が左フックを打つ際に、右ガードが下がり気味になる癖を見抜いている。だったらフックを餌に左右のアッパーを要所に使うか、コンビネーションの基点にする様に指示を出す。

 

しかし6ラウンド。

田中は戦い方を変えないのか、否、変えられないのか――

 

 

またしても左フックに左フックを合わされた。

ダメだこりゃ。

威風堂々の井岡。

これでポイント的にはトドメを刺されたも同然。

最低でも1回はダウンを奪い返すか、そのまま逆転KOしか残されていない。ガムシャラに向かっている田中だが、この時点では無策にしか映らなくなっていた。

井岡の試合運びと技術が光る。

頭脳的で老獪だ。

身体つきや省エネっぷりは31歳とは思えないオッサン風味なのだが、強い。無駄にスピーディに動く田中を「いいんだよ、そんなに動かなくて」と嘲笑っているかの様。

主に海外の識者から天才と形容されている田中は、凡庸なボクサーになっていた。この時点で、田中の野望と目的は粉々に砕けている。天才は金メッキだった。技術でも(本気を出せば)井岡を上回っているという評価もあったのだが、技術があるように見えて、実際は全く足りていなかった。2度の倒れ方からして、防御はマジでザルだ。

 

田中に期待していた分、7回からは観るのが少々辛かった。

ただ、この内容で逆転KO勝ちしても次には繋がらないので、田中を応援してはいたが、井岡が冷徹にフィナーレの幕を引くのを待ちながらのTV観戦になる。

ボクサーとしてのクォリティの差。淡々と田中を追い詰めていく井岡は、八重樫東と殴り合っていた、あの頃の井岡一翔とは別次元の上質なボクサーになっていた。

 

KOラウンドは8回だ。

フェイントを巧妙に織り込んだ左フックが綺麗に田中の顔面を半回転させた、その時、田中の意識は刈り取られていた。腰砕けになり身体が前のめりに泳ぐ。井岡の追撃で致命的なダメージを負う前に、レフェリーがナイスな判断で田中を救った。

 

 

2度の敗戦から同格以上にも通用する技術を磨いてきた井岡と、格下にしか通用しない技術で、才能とフィジカル頼りだった田中のコントラストは、2020年の大晦日という大舞台で、残酷なまでに示された。

KO負けが田中のレコードに刻まれた。

 

スポンサーリンク

 

どうして惨敗したのか

世界戦は9勝5KO1敗

あまりに大きな1敗だ。最悪な負け方である。

こんなに技術が拙かったのか、と。

 

「完敗です。こんなに差があったのかとびっくりしました」

 

試合後の田中の弁だ。

そこはいいだろう。顎が打たれ強くない事も分かっていたわけだし。

問題はここからになる。昇級して減量への不安がなくなり、土台から作り直したという事であるが、父の斉トレーナーによると――

 

 「技術的なことは何もしていない。ストロングメニューばかり。いじめ倒した」

 

技術的な対策を練っていなかった事が判明する。そりゃ、戦い方を変更できないわけだ。だって、ファイトプランと呼べるものを用意していなかったのだから。

驕っていたというか、頭が悪いというか。

井岡相手に「行き当たりばったり」なボクシングで勝てる筈がないのは、素人だって分かるだろうに。どうして井岡対策を用意しない田中をチームは叱らなかった。

田中は記者にこう答えている。

  「悔いはないです。(井岡の力を)認めざるをえない」

 「(今後については)分かんない。負けたばかりなんで」

 

負けて当たり前だったとは(汗

観ていて「おかしい、変だ」と感じていた違和感の正体が、この無計画だった。井岡対策みたいなものが微塵も見えなかったのは、対策を用意していなかったのが理由だ。信じられない。井岡のディフェンスや癖を研究して、それを突く対策を数パターン用意しておけば、勝てたかはともかく、こんな惨敗にはならかっただろうに。

 

再起するにしても、対戦相手を研究・分析できてファイトプランを用意してくれるブレーンを抱え込まないと、上がり目はないと思う。「田中はボクシングIQが低い」というボクオタがいたが、IQ以前の問題だ。考えて戦っていなかったのだから。途中で見せた左へのスイッチも付け焼刃でフォームが酷かったし。

 

世代交代どころではない。

国内、海外ともにネットでファンやボクオタに(試合内容を)ボロクソに叩かれている。この状態で頭打ちにしない為には、海外の一流トレーナーに師事して、練習メニューや相手の研究に対して田中に厳しく口を出せるチームスタッフを用意する必要がある。

自分が気持ちよくなるだけの(我流で自己満足な)練習なんて、フィジカルトレーニングはともかくボクシングの技術や試合レベルが向上する筈がないのだから。

 

管理人による電子書籍はコチラ。

◆配信電子ストア◆