【トヨタ社長】「終身雇用守るの難しい」限界発言について【経団連会長】
さあ、今日も戯れ言《
発端は5月7日のニュースだったと思う。
経団連・中西会長「終身雇用は制度疲労」改めて持論展開
経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は7日の定例会見で、終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と改めて持論を展開。「雇用維持のために事業を残すべきではない」と、経営者に対して新しいビジネスに注力するよう訴えた。
中西会長は、出身の電機業界で事業転換が進んでいると指摘した上で「自分の仕事がなくなるという現実にいくつも直面している。すぱっと首を切るわけにはいかない。その人たちには内部で転換を図るか、外で活躍してもらうかだ」と強調。「だめになりそうな事業を残すことは雇用されている人にとって一番不幸だ。経営者は早くあきらめるべきだ」と話した。
また、前日で終わった初の10連休について、「今回は(天皇陛下の)ご退位とご即位があった特殊事情」と理解を示しつつも「(激しい渋滞が発生するなど)一斉に休むのはよくない。ばらしてとった方がいい」との考えを披露した。(加藤裕則)
引用:朝日新聞デジタル
この発言も議論は呼んだが、ぶっちゃけ「まあ、経団連の発言だし」的な見方も多かった。今時の労働者の大半は経団連など「自分たちの事(都合)しか考えていない」と信用していないのだ。
しかし、日本最大企業のトップ(社長)が同様の発言をすれば、話は別だ。
それは5月13日の出来事。
日本自動車工業会会長としての会見であるが、トヨタ社長・豊田章男が「終身雇用を守っていくのは難しい」という旨の発言をした。
「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか
トヨタ自動車の豊田章男社長の終身雇用に関する発言が話題を呼んでいる。13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。
背景にあるのは、グローバルでのコスト競争の厳しさ。国境や業種を越える競争が激しくなるなか、企業は労働者に優しいとされる「日本的雇用」との向き合い方を模索せざるを得なくなっている。豊田社長は「今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」と指摘した。経団連の中西宏明会長も「企業からみると(従業員を)一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と話し、雇用慣行の見直しを唱えている。
終身雇用は年功序列と並び、日本企業における特徴的な雇用制度とされる。また、懲戒解雇に該当するような理由がない限り、日本では解雇することが難しい。「新卒で採用された会社に定年になるまで働き続ける」という働き方は徐々に変わってきてはいるが、今もなお、日本の人材の流動性は諸外国と比べて緩やかだ。
ただ、グローバル化と急速な技術革新により、日本的雇用の前提は崩れ始めている。トヨタの場合、連結の新車販売台数の国内比率は25%。「100年に一度の大変革期」(豊田社長)にあっては、今後の競争力維持のためにはコネクテッドや自動運転など「CASE」への対応が不可欠で、研究開発費などのコストも膨らむ。
米ゼネラル・モーターズが北米5工場の閉鎖を発表するなど、ライバルは大胆なコスト圧縮で新たな時代への適応を図る。自動運転分野などでは米グーグルなど、世界中の頭脳を集めるIT(情報技術)大手との競争も本格化する。豊田社長は「世の中が日々変わる中、全ての変化に神経を研ぎ澄ませる必要がある」と語っており、今年の春闘では、回答日当日まで労働組合とのギリギリの交渉を繰り広げた。
今のところ、自動車業界や電機業界の労働組合に、豊田氏や中西氏の発言を受けた動きはない。ただ、ある上場企業の元人事担当役員は「終身雇用は新卒一括採用や春闘など、日本的な雇用制度の根っこにある。グローバル経営を突き詰めれば、労働組合も人事部もいらなくなる」と指摘する。
ある労組幹部は豊田社長の発言について、「これまでのやり方では生き残れないという危機感の現れだと思っている」と話す。働き方改革が進む日本だが、世界の競争原理は「茹でガエル状態」(前出の元人事担当役員)を許してくれない。豊田社長の発言は、雇用維持への政府支援の必要性を訴えているようにも映る。「パンドラの箱」が開き始めているのは確かなのだろう。
引用:日経ビジネス、記者:北西厚一
終身雇用という慣例は、遠からず終わるであろう。
変えていけなければ、国際競争に勝てなくなり、日本企業は更に沈んでいく。
各年代別において、この件をどう受け止めるべきか考察してみたい。
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誤解なき大前提
終身雇用をなくすのならば新卒一括採用をなくせ、という声が多いが、そんな批判などなくても、自ずと新卒一括採用の枠は減っていく。
何故ならば、正社員=簡単にクビを切れない、という図式だから、企業側としても新卒で一定数以上の新人を定期的に確保(補充)する必要性に迫られていたのだ。
不要な人間をクビにできる=雇用の流動化。
これは間違いない。そうなれば年齢に関係なく必要な人材をその都度、ヘッドハントするのが容易になるし、キャリアアップした即戦力もゲットできる環境になっていくので、新卒一括採用という文化は廃れていくと思われる。
反面、働き手は常に自分の市場価値を上げる為のバージョンアップを強いられるが。
なぜトヨタという大企業のトップまでもが「終身雇用はもう無理。雇用側にとってのインセンティブがない」と本音をぶっちゃけたのかというと、新卒一括採用を止めたいからだ。40歳以上で一律リストラしたい――みたいに広がっているが、給与に見合って使える高齢者を手放したいとは思っていないだろう。40歳や45歳という線引きをしたという事は、哀しいかな、それ以上の世代における雇用側にとっての「お荷物社員」「ぶらさがり社員」率が異様に高いという証左に他ならない。
新卒一括採用=正社員での終身雇用。
そして。
正社員の待遇>契約社員の待遇≧派遣社員の待遇>パート・アルバイトの待遇
これがそのままスライドし、
正社員の能力>契約社員の能力≧派遣社員の能力>パート・アルバイトの能力
この図式が成り立つのならば、終身雇用は止めないだろう。
止めるメリットが企業側に薄く、長期で正社員を囲い込んで、そして人事権を強く発動できる方が、トータルでメリットがあるのだ。愛社精神も植え付けられるし。
最大の問題は――
非正規雇用の能力>>>>正規雇用の能力
これが時に成り立ってしまっている現状および人材不足である。
労働人口が減っていくし、若者も減っていく。そして日本型雇用(ジョブではなく会社に属する)における年功序列を嫌う有能な人材が、より高い報酬を求めて、実力勝負で評価してもらえる環境を欲して、海外に流出してしまっている。
これから先、シビアな国際競争で生き残る為には、雇用改革はもう必須な段階まで日本企業は追い込まれているのだろう。
非正規よりも能力の低い正社員は契約解除(クビ、解雇)。
正規よりも能力の高い非正規社員には報酬アップで囲い込み。
浮いた人件費で、優秀な人材を海外に逃がさずにゲット。
これが真の目的(狙い)である。
残酷な話、貴方が正社員で貴方以上に優秀な非正規社員が社内にいるのならば、貴方は会社にとって賃金的にお荷物だと自覚した方が良い。将来のリストラ候補だ。
雇用が流動化すれば、新卒で大量に一括採用して一定割合で存在する「お荷物な正社員」まで、無駄に長期で抱え込む必要がなくなるのだ。終身雇用を守らなくてよい⇒正社員でも解雇が自由⇒新卒一括採用が不必要に。
これを前提として、以下の文章を読み進めてもらいたい。
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十代以下にとっての「終身雇用」廃止
よほどの楽観主義者か情報弱者でもない限り、今の子供や十代が企業(会社)に終身雇用を期待する、なんて事はないだろう。
当然ながら、転職(キャリアアップ)を見据えた就職活動になるのは必至だ。副業(サイドビジネス)によるリスクマネジメントも、それなり以上に優秀ならば早い段階で着手している筈である。最低限レベルで優秀だったらね。
対する企業側にしても「ギブ&テイク」のバランスが崩れたら、優秀な人間は会社から離れるものとして、この世代を採用せざるを得なくなる。逆にいえば、「終身雇用は保証しないが、我が社に人生を尽くしてくれ」なんて寝言をほざく会社は、間違いなくブラック企業なので近寄るべからず、と分かりやすくなるのだ。
労働者を(求人詐欺などで)騙して搾取するブラック企業でもない限り、この十代以下の世代に対する雇用契約は、グローバル基準に変わっていくと予想する。
要するに「日本型雇用」から世界基準である「ジョブ型雇用」への大転換だ。
経営者側の本音としては「必要な内は会社に尽くしての欲しいが、不必要になったら切り捨てられる」かつ「可能な限り安い賃金で、なるべく休まない働いてくれる若くて優秀な人材」が欲しいのだろうが、グローバル化が進むにつれて、こんなふざけた寝言は通用しなくなっていくだろう。
それが顕著に顕在化するのが、この十代以下の世代が若手として働く時代だ。
この頃には、企業内ジョブローテーションとか、理不尽な転勤とか、そういった終身雇用を(長期雇用)を前提とした人事権や愛社精神はなくなり、その仕事専門の人間やプロジェクト単位での契約など、海外的な雇用契約が浸透している筈だ。
二十代にとっての「終身雇用」廃止
精神的にキツい――という人が多いのではないか。
優秀で仕事ができる人間は限られている。むろん優秀な人間は、とっくの前に「終身雇用なんて期待できないし、しない」というライフプランを立てている。逆説的に「終身雇用の廃止にダメージを受ける」層は、ぶっちゃけ大して優秀ではない人達にカテゴリされるのだ。
大企業や優良企業への就職が経済的人生ゲームにおける「ある種」のゴール、という層にとっては辛い現実だろう。その会社専用の人材になり、その会社に人生の面倒をみてもらう、という人生設計が崩れたのだから、相応の対応を迫られる事となる。
- 同業他社に転職可能な仕事の取り組み方をする
(むろんヘッドハントされるレベルが目標) - ブルーワーカーとして手に職をつけ、生涯現役を目指す
- 日本企業に見切りをつけ、外資系企業で勝負
- 独立(フリーランス)、起業する
- 人並程度で納得し、色々な意味で人生を諦める
順を追って説明していく。
まず①についてだが、ホワイトカラーにとっては、これがスタンダードになるだろう。というか、同業他社にステップアップ不能な人材=転職市場で無価値という事に他ならない。企業内ジョブローテーションにより、その会社のみでしか使えない、転職市場でポンコツ扱いされる人材にされてしまうのだ。
次に②の説明だ。
ホワイトカラーとして転職(キャリアアップ)を繰り返す気概がないのならば、最初からブルーカラーを目指すのも人生戦略といえよう。基本的に食いっぱぐれない。
ただし単純系の非専門職は割と「誰にでもできる作業」と誤解されがちであるが、超最先端で設備投資がされ、無駄なくシステム化されていない限り、この手の実務仕事は個人の能力差、性能差がモロに出る。だから甘い考えは禁物だ。
誰にでもできる仕事=誰がやっても結果は同じ、ではない。
こう勘違いする人は世間知らずの部類だと思う。
節制、体力、集中力の3要素だけで、結果の個人差は生まれる。
結果は同一に粉飾可能でも、その過程のクォリティが段違いだ。
一例を挙げるのならば介護業界だ。
お年寄りの扱いで腰をクラッシュする者が続出している業界であり、補助用のパワードスーツが開発されていたりするが、正しい姿勢+180キロくらいの背筋力および相応の脚力、腕力、握力がある人材ならば、お年寄りの抱っこ程度でヘルニアにはならない筈だ。
夜勤に対しても自己管理と節制を徹底でき、かつ資格を取得。
その上で、ダイレクトに賃金交渉が行える交渉力がある人ならば、相当に長続きして稼げるだろう。賃金交渉に失敗したのならば、同業他社に転職すれば良いのだ。
単純に「優れた筋力を誇る頑健な肉体」+「不規則な勤務や夜勤に耐えられる節制(自制)および健康管理とトレーニング習慣」+「資格を取得可能な勤勉さと頭脳」+「目まぐるしい激務をこなす要領の良さ」+「お年寄りからの理不尽な言動に耐える精神力」全てを高レベルで兼ね備えた、優秀な人材というか、超人が少ないだけで。
逆にいえば、ブルーワーカーなのに最低限の筋トレすらしていない、もしくは筋力不足な時点で、その人は大して優秀でもないし凡人の域を出ていないともいえる。
ブラック企業だと、そういった極一部の超人を「相手の責任感と善意につけ込んで」安く使い倒そうと画策するが、人手不足+人材不足は加速していくので、この手のブラック企業は追い込まれていく筈だ。
外国人労働者? 長期的にみればそんなに甘くないと思う。
騙して安く使えるのは、ほんの一時期で、日本に外国人労働者が寄りつかなくなるか、騙して連れてきた人しかいなくなるのでは? 理不尽な扱いを受けた外国人労働者はブラック企業から逃げ出して、犯罪に走ったりと治安悪化の要因になるだろう。
③に進もう。
ホワイトカラー志望ならば、もう最初から外資系狙いで良いと思う。
ただし能力に自信がある人に限って。
そんでもって海外市場で勝負している大企業は、この層を獲得したいと狙っているのだ。
外資系で活躍できる人材を引き留める、あるいはヘッドハントするには、「終身雇用」と「年功序列」が足枷だから。ぶっちゃけ、実力があり仕事ができる者にとって(日本型雇用とそれに追従する人事権)は邪魔でしかない慣例だろう。
日本的企業の慣例により、多くの優秀な人材が海外企業に流出し続けている。彼等を海外企業から引き戻すには、とにかく雇用契約の改革――ジョブ型雇用への転換が必須なのだ。
④である。
外資系での活躍以上に、真に優秀な人材ならば進む道だ。
だが、日本社会においてスタンダードとは真逆なので、この記事においては割愛しよう。
そりゃ実力と才覚があるのならば、誰だって雇われは嫌だし、クリエイティブな分野においてフリーランスで活躍できれば、金だけではなく有名にもなれる。場合によっては名誉も付加だ。しかし、それは超極一部の天才かつ運に恵まれた者のみである。
⑤という選択肢が最多ではないか。
凡百なホワイトカラーで会社に都合よく使い捨てられるか、並程度(周囲と同じ)仕事ぶりで長くブルーワーカー(多くは低賃金)をやるか、いっそ思い切って生活保護のゲット(どの道、年金と統合されると思う)を目指すか。
恵まれた肉体と実務を要領よくこなす起用さ、理不尽に耐える精神力+節制と自己研鑽ができないのならば、その時その時、周囲と同じ待遇に甘んじるしかないだろう。
時代(現代)はスピード重視だ。
長期雇用が必要な分野は、その必要性の範囲での長期契約(途中解除もある)となり、長期雇用が不必要なプロジェクトは、それこそ1年契約どころかプロジェクト単位での契約になっていく。
そしてジョブ型契約が主流となれば、企業に安く買い叩かれる事もなくなる筈だ。
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三十代~四十代にとっての「終身雇用」廃止
氷河期世代にとっては、そもそも終身雇用と正社員はレアケースとなっている。独身で身の丈にあった生活ならば、非正規雇用(派遣ではなく契約社員、もしくは高度専門職の派遣)でも、貧困に喘ぐ程ではない。既婚ならば共働きになる。
社会的に単身者世帯ばかりでは、人口問題が解決しないという点は差し置いてだ。
まあ、この世代は正社員であっても「会社での立ち位置」は、すでに確定しているケースが多いし、その自覚もあるだろう。正社員という立場に依存している者にとって「終身雇用の廃止」は、人生レベルでの大異変だ。
実際、給与に見合った仕事ができればリストラとは無縁だ。
終身雇用云々など関係なく、好条件での雇用契約は続く。
それに契約社員が簡単にクビになるというのもデマである。
事務系の派遣ならばともかく、中小企業の契約社員がクビになるケースも実のところ非常にレアだったりする。マジな話、契約社員でも簡単にはクビにできない会社が多い(その場合は、まともな会社ではないだろう)のだ。壊滅的に仕事ができない、人格に問題がある、故意的な契約不履行をする、でもない限り、まずクビにはならないのだ。逆にいってしまえば、契約社員ならばクビにできる超ウルトラ劣悪な従業員でも、正社員だと解雇が難しいのが問題なわけで。 契約社員ならば「能力不足で契約打ち切り」が可能であり、別にそれは当たり前の事であるが、正社員だと「能力不足を理由に解雇するのは難しい」のだ。冷静に考えてみると、とんでもない話だ。そりゃ、雇用側だって正社員雇用に二の足を踏む。
繰り返すが、契約社員だと大半が退職金なしだったり、昇給がなかったりする点を除けば(昇給は個別交渉で可能)、実際は簡単にクビなんて切られていないのが実態だ。というか、並より仕事ができる人ならば、囲い込み目的で正社員になるのを勧めてくる中小企業も多い。皮肉なことに、少しのボーナスと少しの昇給で正社員の責務を要求されるのならば、契約社員の方がいいと正社員を断るケースも、中小企業では珍しくないのだが。
そもそも仕事内容と責任に対して、元からして給料が安く会社にとってリーズナブルな契約社員を「問題がない」のにクビにする人員的余力のあるブラックではない中小企業は、今の日本にほとんど存在していない。
要するにだ。
正社員としてそれなりに会社に勤め、三十代以上になって「並以上に優秀でない」社員は、会社としては「お荷物だから」正社員雇用から外したいという事だ。
契約社員どころかパートやアルバイトよりも現場を把握できていない正社員とか、雇用主にとっては「じゃあ、パートや契約社員でいいじゃん」となってしまう。
そして浮いた金で「囲い込みたい」パートと契約社員の賃金を上げて、余所の同業他社(ライバル)を狡猾に出し抜きたいのだ。
今の日本企業は、いわゆる悪平等が基本となっている。
できる社員が2割、できない社員が2割、並程度が残りの6割。
上の2割が残りの8割を引っ張って、結果の平等で帳尻を合わせている。それは大企業と下請けの関係も類似しており、大企業がホワイトでいられる余力は、下請けが負担を背負ってブラックになる対価として発生している。その下請けでも上位2割の社員が負担を背負い、会社としての負担は、孫受けに背負わせる――というループだ。業種によっては曾孫受けやその先まであったりするのが、日本社会だ。
その結果として、日本は国際競争力を失いつつある。
要因は他にも多数あり複雑でもあるが、前途した無茶がまかり通っていれば、国民は疲弊し、国力が衰退するのは必然といえよう。企業だって貴重な技術力を海外に流出して、内実が空洞化しているし。 技術は買うモノとかいう寝言を聞いた記憶があるが、中小企業がその技術を売ってくれなくなったら(海外の企業と提携する)どうするのだろうか?
上位2割で頑張っている者は、退職を願い出ても会社が引き留める。会社にとって戦力な内は、だ。皮肉な事に、早期退職を募った場合に真っ先に出て行くのも、この上位層である。
会社だって早期退職希望でのリストラは本音では避けたい。
要らない人間はピンポイントで解雇したいのだ。
早期希望退職の募集をやると、トップ層と下位層が出て行き、残るのは中間層のみになってしまうリスクが高いから。
で、だ。
下層の2割は論外として、上位2割の頑張りで、やっている仕事以上に給与を貰って会社にぶら下がっている中間の6割にとっては、日本式雇用の崩壊=終身雇用の撤廃は、かなりの死活問題だろう。
上位2割は、いわば「会社と中間層以下の8割に搾取されている」「仕事(成果、実力)よりも給与が低い」側とも解釈できる。
仕事ができない層は「副業=アルバイト(Wワーク)」であり、それだったら「副業より残業代の方が良い」みたいな考え方で、「よし、仕事を能率化して定時であがり、サイドビジネス(副業)を立ち上げるぞ」みたいな発想にはならない。
並かそれ以下の仕事しかできない(してこなかった)正社員とは、実のところもの凄い既得権益者なのだ。会社はクビにできない上に、上位2割の頑張りにぶら下がって、実際の仕事以上の報酬(給与と待遇)をゲットし続けているのだから。
この層は気持ちを切り替えるべきだ。
仕事に対する認識を変え、今の会社のみに依存しない人生設計に。
もう必要以上に会社に尽くす意味も義理も、利点もない。
会社は貴方をいずれ並以下と切り捨てるのならば、貴方もそれを前提として並以下の会社として切り捨てよう。今時だと、極一部の大企業勤務を除き、転職回数がゼロだと逆に「世間知らず」という烙印を押されかねない。視野を広げて、実際に転職するかはその時次第だが、まずは転職活動をやってみよう。それだけでも、かなり視野が広がるし、世間を知る切っ掛けになる。
ジョブ型雇用へのシフトに、真っ先に乗るのだ。
その結果として貴方が得られる報酬こそが、貴方の能力であり市場価値――等身大の貴方なのだから。ジョブ型雇用にイノベーションやパラダイムシフトが起これば、正規と非正規という区分ではなく、仕事ができる(有能)と仕事が並以下(有能でない)という区分に、カテゴリが変化するだろうし。
有能ならば、自分より能力の劣る若者や年上よりも稼げ、無能ならば自分よりも能力のある若者や年上よりも稼げない――という、平等な時代が訪れるのは避けられない。
人生と生活をかけてチャレンジしよう。
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五十代にとっての「終身雇用」廃止
もう詐欺に遭ったも同然だろう。
彼等が若かった頃と今では、技術的にもスピード的にも時代と世相が違い過ぎる。高度成長期の神話と「日本は一流の経済大国」という幻想を信じていた彼等に、今の日本(すでに二流国に転落)を予想しろとは無理難題だ。
会社に尽くす覚悟と引き替えに、会社に人生を保護して貰う。
長期雇用を前提に、若い頃は安い賃金に甘んじたし、愛社精神も誇りと共に持っていた。会社の強い人事権(転勤やジョブローテーション)にも従った。
結果として、その会社でしか通用しない、他の会社や他業種ではポンコツに近い「使えない」「無駄にプライドが高い」ダメな人にされてしまうという結果に。
下手をすると会社の看板=自分の実力といった勘違いすら。
こういう人が転職しても、まあ、ほぼ上手くいかない。採用面接にてヘッドハントされたわけでもないのに「管理職ができます」とか痛い発言をする人までいる始末。
超絶に有能(給与に見合った仕事ができる)ならば話は別だが、有能な五十代ならば、そもそもリストラの対象にはならないので。
この世代は年功序列型の給与上昇によって、平社員であっても大企業ならばそれなりの給与を得ているケースが多い。
そしてまだ返済半ばのローンを抱えていたり、子供が独立していない親である事も。
過去にどれだけ会社に貢献してきたのかは、僕には分からない。
しかし、過去の実績のみで「現状の仕事に見合わない」高給取りを雇い続けるだけの企業体力はないだろう。残酷だが、ここに掛かっているコストを、海外に流出してしまう若い戦力に回す様に方向転換しなければ、国際社会での日本企業に明日はないのだ。
自己責任。
一時期とても流行ったこの言葉であるが、周り回って、結果としてこの世代に自己責任という言葉が最も重くのし掛かりそうだ。
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六十代以上にとっての「終身雇用」廃止
勝ち逃げに滑り込みで成功したラッキーな世代だ。
心配事と関心は、目減りしていく年金をどれだけ維持して貰えるかだろう。
だから若者に云うのだ。「破綻しないから、お前たちも(俺たちの為に)年金を納めてくれ」と。よほどのバカでない限り、今の若い世代が年金の納め損になる事くらいは、重々承知しつつ。